タイトルは、『MBについて思うこと』。画像では細かい文字が読めないので、記載内容をあらためてご紹介致します。(インプットには小一時間かかりそうです。)

あまり裏面は注目されることはありませんが、何かどこかの美術館に飾ってあるようなタッチが素晴らしいと思います。さてさて、師匠の記述内容を詳しく見ていきましょう。
MB-M38-M38A1-M151A2とアメリカの軍用1/4トン車は改良され、発達してきた。民間型も戦後すぐにMBに一寸手を入れただけで発売されたCJ-2Aから次第に大型化し、強力なエンジンになって、今日は直-6、V8をのせたデラックスなCJ-5、CJ-7があり、日本でも三菱のHJ-J58ジープ、それにジープの名前こそつかないが類似の車がゴマンとあって、そのいずれもが強力なオフロード性能と快適なドラバビリティをうたっている。が、私は時々ジープはMB以降本当に発達したのだろうか?と考え込んでしまうことがある。私がMBと並んで好きな車にシトロエン2CVがある。この両車に共通するのは第一に、“車はこれでいいのだ”という虚飾をすてた合理精神に基づいて設計されていることで、共に今日の運転しやすい至れりつくせりの車に馴れたドライバーにとっては、ある程度の忍耐と微妙な運転技術の習熟を要求する要素を持っている。
もうひとつの共通点は限られた重量と生産コストの中で必要最大の性能を引き出すための工夫がいたるところに見られる点で、一度こういう設計思想に共感してしまうと性能などは気にならず、その車に惚れ込んでしまうものである。
MBを運転してみると重量が軽く、車高、重心が低く、そしてスプリングが柔らかいために傾斜地や凹凸道路、泥濘地を走り抜ける能力において、その後のモデルに決して劣らない。但しそれもMB固有のギヤの選び方やアクセルの微妙な操作に慣れる-という条件付きであって、今日の大排気量、ワイドタイヤの車と一概に比較することはできないが・・・。
更に重要なことはMBはあらゆるジープの中でもっともメンテナンスが容易であるという点があげられる。リンケージなどが実に良い位置についていたり、部品交換が楽で“手の入らない場所はない”設計になっているのには感心させられる。MBについているT84トランスミッションが小型で貧弱なことがよくMBの泣き所としてあげられているが、これについて私の考えを述べてみたい。
確かに現在残っているMBの大半はセコンドが抜けやすい、ハウジングのガタがひどい、などのトラブルが多くまともなものは極まれと言ってよい。その原因として車齢が古いという事のほかにコーションプレートに記されている注意事項を無視した荒っぽい使い方があげられる。特に戦場で使用する場合はオーバーロードのうえに各ギアの守備範囲を守らないで使うケースが多かったものと考えていい。
一般概念として車が坂道に向かう際、走行力が落ちるのでシフトダウンするのが普通であるが、MBの場合エンジンのトルクが強いため、そのまま走ってしまってトランスミッションに余計な負担をかけてしまう結果となっている。面倒でもコーションプレートに記載されている各ギヤの守備範囲をきちんと守って使用しなければならない。但し、現在使っているミッションは、戦争中の過酷な使用によって疲労したものではない。日本の場合、戦後払い下げられる前に追浜や赤羽の米軍デポでオーバーホールされて“たいまつマークが入っている”オーバーホールされたものが殆どで、その後一般人の普通乗用車的なギアシフトによって再度疲労したものである。MBのT-84トランスミッションはギリギリの軽量化への戦いから生まれた必要最小のトランスミッションということができる。エンジンのトルクとミッションの強度のアンバランスから敢えて欠点ともいえなくもないが、各ギアの守備速度を厳密に守ることを習熟しさえすれば、丈夫で寿命の長いミッションと断言して良い。
ウイルスのエンジニア達は、戦後直ちに改造に着手し、T-90トランスミッションを開発した。このミッションはMBの膨大な経験をベースに作られただけあって、非常に強力で、2A,3A,3B,M38,CJ-5と主なモデルだけでも5車種をT-90で済ませている。T-84付のMBを使う気の配り方で扱えば、5リッターV8エンジンでも巡行使用に耐えるT-90である。
簡単で美しいスタイルからMB/GPWを愛する人は多いが、車はスタイルだけでは評価できない。MB以降のジープには乗り心地が良くなったかわりに走破性が悪くなったり、ハンドルが軽くなりすぎたり、MBが持っていた良い点も一緒になくなっているように思える。私の考えでは、MBを今日のニーズに合わせて仕上げるという方向で、各部を今日の基準にあわせて強化するだけで、本当にバランスの良い完璧なジープができるのではないかと思う。フランスのオッチキスが今もMBと外見は全く同じM201を使っているが、その辺をどう考えていじってあるのか一度試乗してみたいものである。(以上JJC黒岩政明氏寄稿全文)
★三菱ジープ互助会★
代表発起人J57改@日野市
当方へのアクセスは、jeep-gojyokai@crux.ocn.ne.jp まで

あまり裏面は注目されることはありませんが、何かどこかの美術館に飾ってあるようなタッチが素晴らしいと思います。さてさて、師匠の記述内容を詳しく見ていきましょう。
MB-M38-M38A1-M151A2とアメリカの軍用1/4トン車は改良され、発達してきた。民間型も戦後すぐにMBに一寸手を入れただけで発売されたCJ-2Aから次第に大型化し、強力なエンジンになって、今日は直-6、V8をのせたデラックスなCJ-5、CJ-7があり、日本でも三菱のHJ-J58ジープ、それにジープの名前こそつかないが類似の車がゴマンとあって、そのいずれもが強力なオフロード性能と快適なドラバビリティをうたっている。が、私は時々ジープはMB以降本当に発達したのだろうか?と考え込んでしまうことがある。私がMBと並んで好きな車にシトロエン2CVがある。この両車に共通するのは第一に、“車はこれでいいのだ”という虚飾をすてた合理精神に基づいて設計されていることで、共に今日の運転しやすい至れりつくせりの車に馴れたドライバーにとっては、ある程度の忍耐と微妙な運転技術の習熟を要求する要素を持っている。
もうひとつの共通点は限られた重量と生産コストの中で必要最大の性能を引き出すための工夫がいたるところに見られる点で、一度こういう設計思想に共感してしまうと性能などは気にならず、その車に惚れ込んでしまうものである。
MBを運転してみると重量が軽く、車高、重心が低く、そしてスプリングが柔らかいために傾斜地や凹凸道路、泥濘地を走り抜ける能力において、その後のモデルに決して劣らない。但しそれもMB固有のギヤの選び方やアクセルの微妙な操作に慣れる-という条件付きであって、今日の大排気量、ワイドタイヤの車と一概に比較することはできないが・・・。
更に重要なことはMBはあらゆるジープの中でもっともメンテナンスが容易であるという点があげられる。リンケージなどが実に良い位置についていたり、部品交換が楽で“手の入らない場所はない”設計になっているのには感心させられる。MBについているT84トランスミッションが小型で貧弱なことがよくMBの泣き所としてあげられているが、これについて私の考えを述べてみたい。
確かに現在残っているMBの大半はセコンドが抜けやすい、ハウジングのガタがひどい、などのトラブルが多くまともなものは極まれと言ってよい。その原因として車齢が古いという事のほかにコーションプレートに記されている注意事項を無視した荒っぽい使い方があげられる。特に戦場で使用する場合はオーバーロードのうえに各ギアの守備範囲を守らないで使うケースが多かったものと考えていい。
一般概念として車が坂道に向かう際、走行力が落ちるのでシフトダウンするのが普通であるが、MBの場合エンジンのトルクが強いため、そのまま走ってしまってトランスミッションに余計な負担をかけてしまう結果となっている。面倒でもコーションプレートに記載されている各ギヤの守備範囲をきちんと守って使用しなければならない。但し、現在使っているミッションは、戦争中の過酷な使用によって疲労したものではない。日本の場合、戦後払い下げられる前に追浜や赤羽の米軍デポでオーバーホールされて“たいまつマークが入っている”オーバーホールされたものが殆どで、その後一般人の普通乗用車的なギアシフトによって再度疲労したものである。MBのT-84トランスミッションはギリギリの軽量化への戦いから生まれた必要最小のトランスミッションということができる。エンジンのトルクとミッションの強度のアンバランスから敢えて欠点ともいえなくもないが、各ギアの守備速度を厳密に守ることを習熟しさえすれば、丈夫で寿命の長いミッションと断言して良い。
ウイルスのエンジニア達は、戦後直ちに改造に着手し、T-90トランスミッションを開発した。このミッションはMBの膨大な経験をベースに作られただけあって、非常に強力で、2A,3A,3B,M38,CJ-5と主なモデルだけでも5車種をT-90で済ませている。T-84付のMBを使う気の配り方で扱えば、5リッターV8エンジンでも巡行使用に耐えるT-90である。
簡単で美しいスタイルからMB/GPWを愛する人は多いが、車はスタイルだけでは評価できない。MB以降のジープには乗り心地が良くなったかわりに走破性が悪くなったり、ハンドルが軽くなりすぎたり、MBが持っていた良い点も一緒になくなっているように思える。私の考えでは、MBを今日のニーズに合わせて仕上げるという方向で、各部を今日の基準にあわせて強化するだけで、本当にバランスの良い完璧なジープができるのではないかと思う。フランスのオッチキスが今もMBと外見は全く同じM201を使っているが、その辺をどう考えていじってあるのか一度試乗してみたいものである。(以上JJC黒岩政明氏寄稿全文)
★三菱ジープ互助会★
代表発起人J57改@日野市
当方へのアクセスは、jeep-gojyokai@crux.ocn.ne.jp まで