きょうの日本民話 gooブログ編

47都道府県の日本民話をイラスト付きで毎日配信。

4月10日の日本民話 げんこつのほうび

2008-04-10 05:17:18 | Weblog

福娘童話集 > きょうの日本民話 > 4月の日本民話

4月10日の日本民話

げんこつのほうび

げんこつのほうび
新潟県の民話新潟県情報

 むかしむかし、ある国の殿さまが、
《めずらしいものを持ってきたら、ほうびをとらせる》
と、いうおふれを出しました。
 それを聞いた人たちは、めずらしいものを持って、次々と城へ出かけました。
 でも、殿さまはだれよりもお金持ちなので、どんなにめずらしいものでも、城にないものはありません。
「なんだこんなもの、ちっともめずらしくない」
と、言って、みんな追いかえされてしまいました。
 さて、この国にカブをつくっているお百姓(ひゃくしょう)さんがいました。
 お百姓さんは、いままで見たこともないような大きなカブをつくろうとして、長い間、苦労を重ねてきました。
 そしてその苦労が実って、大きな岩みたいなカブができたのです。
「これなら、城にはあるまい」
 お百姓さんは近所の人に手伝ってもらって、そのカブを荷車にのせると、城へ運んでいきました。
 ところが城の門番が、
「なんじゃい、このカブは。カブなんてちっともめずらしくない。さあ帰った、帰った」
と、言って、中へ入れてくれません。
「でも、おらがいっしょうけんめいつくったカブです。こんな大きなカブはほかにありません。殿さまに一目、見ていただくだけでいいのです」
 お百姓さんがあまりにもいっしょうけんめいたのむので、門番は殿さまのところへ行って、大きなカブのことを話してくれました。
 すると、殿さまはよろこんで、
「すぐ、持ってくるように」
と、言いました。
「わしのおかげで、殿さまが見てくださるそうだ。いいか、もしほうびをもらったら、わしにも半分よこせ。わかったな!」
 門番は、おどすように言いました。
「はい、しょうちしました」
 お百姓さんは、城の庭へ荷車をひいていきました。
 殿さまは荷車の上のカブを見て、目を丸くしました。
 これほど大きなカブは、見たことも聞いたこともありません。
「これはめずらしい。よくぞここまでそだてあげた。ほうびをとらすから、何でもほしいものを言うがよい」
 殿さまは、ニコニコして言いました。
 でも、お百姓さんはほうびよりも、大いばりしている門番をこらしめてやろうと思いました。
 そこで、おそるおそる殿さまにわけを話して、
「おらに、げんこつを十個ください」
と、言ったのです。
「よし、よし。のぞみとあらば、げんこつをあげよう。もっと近くへ来なさい」
 お百姓さんは、殿さまの前に進みでて頭をさげました。
 殿さまはお百姓さんの頭を、そっと十回たたいて言いました。
「お前は正直者だ。本当のほうびは、あとでけらいにとどけさせよう」
「ありがとうございます」
 お百姓さんは喜んで荷車をひき、城の庭を出ていきました。
 門のところへくると、門番が待ちかねていたように言いました。
「どうじゃ。殿さまにほうびをいただいたか?」
「はい、おかげさまで」
「それじゃ、やくそくどおり半分もらおうか」
 門番はお百姓さんの前に両手を出した、そのとたん、お百姓さんはこぶしで、門番の頭を思いきりなぐりつけました。
「な、なにをする!」
 門番は、頭をかかえてすわりこみました。
「おらが殿さまからもらったほうびは、げんこつが十個だ。半分あげるからかくごしろ!」
 お百姓さんはこぶしをにぎりなおすと、あと四回、思いっきり門番の頭をなぐりつけました。
 畑仕事できたえた力でなぐられては、さすがの門番もたまりません。
 そのままひっくりかえって、のびてしまいました。
「ざまあみろ」
 気持ちがスッキリしたお百姓さんは、家に帰っていきました。
 家に帰るとすぐに、殿さまからのほうびのお金がとどきました。
 よろこんだお百姓さんは、そのお金で村の人たちにごちそうをしたという事です。

おしまい

きょうの豆知識と昔話

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4月9日の日本民話 人を食わなくなったオニ

2008-04-09 04:42:38 | Weblog

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4月9日の日本民話

人を食わなくなったオニ

人を食わなくなったオニ
岡山県の民話岡山県情報

 むかしむかし、あるところに、とても気の強い男がいました。
 ある日の事、山で仕事をしていたら、いきなりおそろしい人食いオニが現れて、男をペロリと一口で飲み込んでしまいました。
 でも、男の人は少しもこわがりません。
「ほう、これがオニののどか」
と、言いながら下へおりていくと、赤いかべにかこまれたところへ出ました。
 ふと前を見ると、上からひものようなものが三本ぶらさがっています。
「なんだこりゃ?」
 男の人は、一本のひもを引っぱってみました。
 そのとたん、まわりが地震みたいにゆれて、オニが大きなクシャミをしたのです。
「は、は、はっ、はくしょん!」
(なるほど、これはクシャミの出るひもだな)
 男の人は、もう一本のひもを引いてみました。
 すると、オニは大きな口を開けて、
「わっはっはっは、わっはっはっは」
と、笑い出したのです。
(いよいよ、おもしろくなってきたぞ)
 男の人は、最後のひもを引っぱってみました。
 するとさっきまで笑っていたオニが、きゅうに泣き始めたのです。
「うぇーーん、うぇーーん」
(これはいいものを見つけた。もし、いっぺんにひもを引っぱったらどうなるだろう?)
 男の人は三本のひもを一つににぎりしめると、思いっきり引っぱってみました。
 さあ、たいへんです。
 はくしょん!
 わっはっはっは。
 うぇーーん、うぇーーん。
 くしゃみをしたり、笑ったり、泣いたりと、えらいさわぎです。
 ですが男の人は、ひもを引っぱるのをやめません。
 オニは苦しくて苦しくて、今にも倒れてしまいそうでした。
(さあ、そろそろ出るとするか)
 男の人は三本のひもをはなすと、クシャミのひもを力いっぱい引っぱりました。
 は、は、はっ、はくしょん!
 ものすごいクシャミと一緒に、男の人はオニの口から外ヘとびだしました。
「やい、オニよ。もう一度飲み込んでみるか?」
「ブルブルブル。とんでもない!」
 オニはあわてて首を横にふると、いちもくさんに逃げていきました。
 そんなことがあってから、オニはもう二度と、人間を食ベなくなったという事です。

おしまい

きょうの豆知識と昔話

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きょうの日本民話 → 人を食わなくなったオニ
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4月8日の日本民話 タコとしゃれこうべ

2008-04-08 05:57:22 | Weblog

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4月8日の日本民話

タコとしゃれこうべ

タコとしゃれこうべ
千葉県の民話千葉県情報

 むかしむかし、ある漁師町(りょうしまち)に、代々漁師をしている庄五郎(しょうごろう)という男がいました。
 この日は先代の命日(めいにち)でしたが、まずしいくらしをしているので、一日も漁を休む事ができません。
 庄五郎は弟や仲間たちと、沖へ舟をだして魚をとっていました。
 今日は、ひさしぶりの大漁です。
 庄五郎の弟たちがのっている舟がアミをひきあげていると、一匹の大きなタコが、なんと人間のしゃれこうべ(→ドクロ)を頭の上にのせながら現れました。
 漁師たちはビックリして、だれもタコに手をのばす者はいません。
「おーい。どうした? なにがあったんじゃ?」
 向こうの舟でアミをひきあげていた庄五郎が、声をかけてきました。
 そのときです。
 庄五郎たちがひきあげているアミの中にも、しゃれこうべを頭にのせたタコがかかってきたのです。
「なんということじゃ。海の中から、二つもしゃれこうべがでてくるとは」
と、一人の漁師がいうと、庄五郎が、
「今日は親父の命日じゃ。これは、なにか因縁(いんねん)があるかもしれんぞ」
 そういって、水あかでよごれているしゃれこうべとタコをアミからとりあげました。
 タコはほかの魚と一緒に、すぐに売ってしまいました。
 二つのしゃれこうべは、庄五郎の父親がほうむられているお寺へ持っていって手厚く供養(くよう)してもらいました。
「それにしても、しゃれこうべをのせていたタコを売らずに海に逃がしてやれば、父親のいい供養になったものを。それにしても、どうしてタコがされこうべをのせて現れたんじゃ?」
 町の人たちは、そううわさをしました。
 タコを売ってしまった庄五郎に、その後たたりのようなことはおこりませんでしたが、しゃれこうべがあがった漁場は、その後まったく魚がとれなくなったという事です。

おしまい

きょうの豆知識と昔話

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きょうの日本民話 → タコとしゃれこうべ
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4月7日の日本民話 白いオオカミと温泉

2008-04-07 04:40:51 | Weblog

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4月7日の日本民話

白いオオカミと温泉

白いオオカミと温泉
鳥取県の民話鳥取県情報

 むかしむかし、都(みやこ→京都)での戦いにやぶれて逃げのびたある武将(ぶしょう)が、味方の力をふたたびもりかえすことを願って、その祈願(きがん)のために、はるばる鳥取の山奥にあるお寺をたずねていきました。
 けわしい山の中をお寺にむかっていると、むこうの林の中に白いオオカミがたたずんでいるのが見えました。
「ほほう。白いオオカミとは、めずらしい」
 武将は足を止めると、弓に矢をつがえました。
 そして白いオオカミにねらいをさだめましたが、
「・・・やめておこう」
と、弓矢をしまいました。
 これからお寺へ祈願(きがん)にいくのに、殺生(せっしょう)してはならないと思いとどまったのです。
 武将は林の中にいる白いオオカミをしばらく見つめていましたが、やがてその場をはなれて、山奥のお寺へむかいました。
 それから、何日かたった夜ふけのことです。
 武将の夢の中に仏(ほとけ)さまが現れて、こんな事を言ったのです。
「よく聞くがよい。そなたが白いオオカミに出会った林の中に、大きなクスノキの株がある。そこには万病にきく湯がわいておる。病に苦しむ人たちを、それで救うがよい」
 武将はさっそく、白いオオカミに出会った場所へ出かけていきました。
 そして林の奥へ歩いていくと、大きなクスノキの切り株のそばに湯がわきでていました。
 その湯の中には、足をケガしたあの白いオオカミが、ケガの治療に入っていたということです。
 これが有名な、三朝温泉(みあさおんせん)のはじまりだという事です。

おしまい

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きょうの誕生日 → 1954年 ジャッキー・チェン) (俳優)

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きょうの日本民話 → 白いオオカミと温泉
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4月6日の日本民話 赤児の授かり小判

2008-04-06 04:41:50 | Weblog

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4月6日の日本民話

赤児の授かり小判

赤児の授かり小判
山形県の民話山形県情報

 むかしむかし、ある山の地蔵堂(じぞうどう)の中で、旅のお坊さんが目をさました。
 お坊さんは身仕度(みじたく)をしてお堂(どう)の外へ出ると、何かで足をつまずきました。
「うん? なんじゃ?」
 お坊さんが手にとって見ると、それは小判が一枚入った財布(さいふ)で、財布の中には一枚の紙が入っており、その紙には《初息子(はつむすこ)に与える金》と書いてありました。
「なるほど、残念じゃが、これはわしがもらうものではない。ここにおいておこう」
と、お坊さんは財布をもと通りお堂の前におき、近くで用を足していると、一人のおじいさんが来て、お堂の前の枯葉(かれは)を集め、財布に気づかずに枯葉と一緒に背負ったカゴに入れて山を下りて行きました。
 お坊さんはその日はふもとの村々を歩き、夕方になると一軒の家に宿をたのみました。
 こころよく宿を引き受けたその家の主は、なんと、今朝の木の葉集めのおじいさんだったのです。
 そしておじいさんの息子の嫁さんが、今日、男の子を産んだので、おじいさんもおばあさんもニコニコしていました。
 お坊さんは、
(さては、このじいさまが地蔵堂の前をきれいにしてくれる礼に、神さまが小判をさずけたのだな)
と、思い、おじいさんに財布の事を話しました。
 おじいさんが庭に出てひろい集めた落葉の中をさがすと、やはりあの財布が出て来ました。
 でも、おじいさんは、
「ありがたい話しじゃが、これはお坊さまが先に見つけた物で、おれのものではねえ。この財布はお坊さまの物だ」
と、さし出します。
 ですが、お坊さんは書いてある通り、
「いいや、これは今日生まれた男の子のものだ。わしがもらうものではない」
と、おじいさんにおさめさせました。
 次の朝、旅立つお坊さんにおばあさんが、
「どうぞ、昼に食べてください」
と、にぎりめしを持たせてくれたのです。
 じつはそのにぎりめしには、きのうの小判が入れてありました。
 お坊さんが峠(とうげ)を下りて行く途中、荷物を背負い、腹をすかせたような若者とあったので、お坊さんはおばあさんからもらったにぎりめしをあげました。
 若者はお坊さんに何度もお礼をいい、峠をのぼって行きました。
 この若者ですが、実はお坊さんがきのう世話になった家の息子、すなわち、きのう産まれた赤ちゃんの父親だったのです。
 小判はやはり、初息子へとさずかったのです。

おしまい

きょうの豆知識と昔話

きょうの新作昔話 → カエルのむこえらび 江戸小話

きょうの記念日 → コーンビーフの日
きょうの誕生花 → きぶし
きょうの誕生日 → 1973年 宮沢りえ (俳優)

きょうの日本昔話 → キツネのしかえし
きょうの世界昔話 → すずの兵隊
きょうの日本民話 → 赤児の授かり小判
きょうのイソップ童話 → ライオンを見たことのないキツネ
きょうの江戸小話 → まんじゅうのためしぎり

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