きょうの日本民話 gooブログ編

47都道府県の日本民話をイラスト付きで毎日配信。

11月30日の日本民話 キツネとタヌキのばけくらべ

2008-11-30 07:53:33 | Weblog

福娘童話集 > きょうの日本民話 > 11月の日本民話


11月30日の日本民話


キツネとタヌキのばけくらべキツネとタヌキのばけくらべ



キツネとタヌキのばけくらべ
京都府の民話京都府情報


 むかしむかし、ある村のお宮さんに、化けるのが上手なキツネが住んでいました。
 それから村のお寺にも、化けるのが上手なタヌキが住んでいました。
 ある日の事、キツネとタヌキが村の中で、バッタリと顔を合わせました。
「キツネどん、お前さんは化けるのが、とてもうまいらしいね」
と、タヌキが言いました。
「いやいや、タヌキどん、お前さんこそうまく化けるそうじゃないか」
と、キツネが言いました。
 でも、二匹でほめ合っているうちに、
「そんなら、どっちの化け方がうまいか、くらべてみようじゃないか」
と、いうことになったのです。
「では、あしたの朝、お宮さんにきてくれ。そこで化け比べをしよう」
と、キツネが言いました。
「いいとも。もしキツネどんが勝てば、おらが村を出ていく。そのかわりおらが勝ったら、キツネどんが村を出ていく。それでいいいな」
と、タヌキが言いました。
「ようし、わかった」
 キツネは大急ぎで、お宮さんにもどっていきました。
 タヌキも大急ぎで、お寺へもどっていきました。
 さて次の日の朝、タヌキがお宮さんへいってみるとキツネの姿がありません。
(おかしいな。まさか逃げたんじゃあるまいな)
 まわりをキョロキョロ見ていたら、社(やしろ)の前に大好きなあずきご飯がそなえてありました。
(しめしめ、キツネが現れる前に腹ごしらえだ)
 タヌキがあずきご飯に口をつけようとしたとたん、あずきご飯がパッとキツネに変わりました。
「わあっ! なんだ、キツネどんか」
 タヌキがビックリすると、キツネがいばって言いました。
「どんなもんだい。今日はおらの勝ちだ」
「しかたがない。今日はおらの負けだ。そのかわり明日の朝は、お寺へきてくれ」
 タヌキが、くやしそうに言いました。
 次の日の朝、キツネはお寺へ出かけていきました。
 でも、タヌキの姿がありません。
(もしかして、おらに勝てないと思って、逃げてしまったのかな?)
 まわりをキョロキョロ見ていたら、お堂の前にあぶらあげがそなえてありました。
(なんてうまそうなあぶらあげだ。タヌキが出てくる前にいただこう)
 キツネがあぶらあげにかぶりつこうとしたとたん、あぶらあげがパッと消えて、タヌキが現れました。
「どんなもんだい。まんまとだまされたな」
 今度は、タヌキがいばって言いました。
「まいった、まいった。おら、本物のあぶらあげかと思った」
 キツネが、頭をかきました。
 これで勝負は引き分けです。
 キツネとタヌキの二匹はそれからもこの村にいて、ますます化け方のうでをみがき、どっちも村の人たちから化け名人と言われたという事です。


おしまい


きょうの豆知識と昔話


きょうの記念日 → カメラの日
きょうの誕生花 → あし(よし)
きょうの誕生日 → 1967年 田中章 (芸人)


きょうの新作昔話 → 酒つぼのヘビ
きょうの日本昔話 → もうはんぶん
きょうの世界昔話 → 魔法のツボ
きょうの日本民話 → キツネとタヌキのばけくらべ
きょうのイソップ童話 → イヌの家
きょうの江戸小話 → てんぐのさいなん


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11月29日の日本民話 不思議な火鉢

2008-11-29 07:24:15 | Weblog

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11月29日の日本民話


不思議な火鉢



不思議な火鉢
沖縄県の民話沖縄県情報


 むかしむかし、沖縄には、とかしきぺークーという、とんちの名人がいました。
 ある冬の事です。
 冬でもあたたかい沖縄ですが、この冬は特別に寒くて、だれもがこまっていました。
 でも、ぺークーは火ばちを持っていたので、どんなに寒くても平気です。
 すると、村の金持ちのだんながやってきて、
「火ばちとは、めずらしいものをお持ちですね」
と、しきりにうらやましがりました。
「よければ、あなたにさしあげましょうか?」
「えっ、本当ですか?」
「ええ、あげますとも。この火ばちは不思議な火ばちで、だれにあげても、じきにもどってくるのですよ」
 ペークーは、おおまじめにいいました。
「では、さっそくいただきましょう」
 金持ちのだんなが火ばちをかかえてかえろうとすると、ぺークーがいいました。
「大事な火ばちをあげたのですから、わたしが遊びにいったときには、ごちそうしてくださいよ」
「ごちそうしますとも。いつでもおでかけください」
 金持ちのだんなは、喜んでかえっていきました。
 ぺークーはその日のうちから、金持ちのだんなのお屋敷へ出かけました。
 だんなは約束通り、ペークーを酒や料理でもてなしました。
 それからというもの、ペークーはくる日もくる日もだんなのお屋敷へ出かけて、朝から晩まで飲んだり食べたりするのです。
 さすがのだんなも、これにはこまってしまい。
「このままでは、屋敷がつぶされてしまう。もったいないが、火ばちはぺークーにかえそう」
 だんながぺークーの家に、火ばちをかえしにいくと、
「本当に、よくかえってくる火ばちだ。なぜかえってくるのか、どうもよくわからん」
と、ぺークーは、首をひねったという事です。


おしまい


きょうの豆知識と昔話


きょうの記念日 → いい服の日
きょうの誕生花 → ちゃ
きょうの誕生日 → 1956年 定岡正二 (タレント)


きょうの新作昔話 → 佐渡二郎(さどじろう)と安寿姫(あんじゅひめ)の母
きょうの日本昔話 → おスマばあさん
きょうの世界昔話 → 北風のくれたテーブルかけ
きょうの日本民話 → 不思議な火鉢
きょうのイソップ童話 → けがをしたオオカミ
きょうの江戸小話 → タコのだしがら


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11月28日の日本民話 クジラになったお坊さん

2008-11-28 13:31:47 | Weblog

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11月28日の日本民話


クジラになったお坊さん



クジラになったお坊さん
茨城県の民話茨城県情報


 むかしむかし、ある海辺(うみべ)の村に、宝蔵寺(ほうぞうじ)というお寺がありました。
 このお寺では、お寺のお金はお坊さんが村の漁師(りょうし)たちと相談をしてつかうきまりになっていたのですが、ある時、ほかのお寺から新しくやってきたお坊さんが、
「なあに、あとで話せばよい。ちょっとかりておこう」
と、村の漁師たちにないしょで、お寺のお金をつかってしまったのです。
 それを知った、村の漁師たちは怒って、
「あの坊さんは、とんでもないことをする。お寺をまかせておくことはできん。こらしめてやる」
と、みんなでどうするかを、話し合いました。
「しかし相手はお坊さんだから、手あらなことはやめよう」
と、いう人もいましたが、気のあらい他の漁師たちは、
「なにをいう。ここは一度、きつくこらしめてやらなくては」
と、ある夜、お坊さんをお酒にさそいだして、よっぱらったお坊さんをお寺の古池(ふるいけ)へ投げこんでしまったのです。
 泳げないお坊さんは、そのままおぼれ死んでしまいました。
 それから何年かたった、ある年の正月の朝のことです。
 浜の漁師たちは、沖(おき)でしおをふきあげるクジラを見つけました。
 よろこんだ漁師たちはすぐに村から舟をだして、沖へむかいました。
 そして手分けをして逃げるクジラをとりかこんでいきましたが、モリをかまえた漁師たちがクジラをしとめようとしたとき、あばれだしたクジラが大きな尾びれを、とりかこんだ舟にたたきつけてきたのです。
 何せきもの舟が木切れのようにこわされ、たくさんの漁師たちが死んでしまいました。
 村では犠牲者(ぎせいしゃ)たちの霊(れい)をなぐさめようと、供養塔(くようとう)をたてましたが、犠牲者のほとんどが宝蔵寺のお坊さんの事件にかかわっていた人たちでした。
 そんなことから、
「あのクジラは、お坊さんの生まれかわりではないのか? 池に投げこまれた坊さんのたましいが、クジラになってしかえしをしたにちがいない」
と、いいつたえられるようになったという事です。


おしまい


きょうの豆知識と昔話


きょうの記念日 → 太平洋記念日
きょうの誕生花 → サンダーソニア
きょうの誕生日 → 1967年 原田知世 (俳優,歌手)


きょうの新作昔話 → 生き返ったカジカ
きょうの日本昔話 → 三枚のお札
きょうの世界昔話 → イワンと子ウマ
きょうの日本民話 → クジラになったお坊さん
きょうのイソップ童話 → いっしょに旅をするロバとイヌ
きょうの江戸小話 → くじらの絵


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11月27日の日本民話 カッパ岩

2008-11-27 06:02:42 | Weblog

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11月27日の日本民話


カッパ岩



カッパ岩
宮崎県の民話宮崎県情報


 むかしむかし、ある川の中に、一匹のカッパがすんでいました。
 ある日の事、子どもたちが大勢集まって、川の中に白い小石を投げ込んではひろってくるという遊びをしていました。
 するとそこへ、川から顔を出したカッパが言いました。
「楽しそうだな。おれも仲間に入れてくれ」
 子どもたちは、カッパが子どもの尻子玉(しりこだま)を取って食べる怖ろしいやつだと聞いていたので、みんな逃げだそうとしていました。
 するとカッパは、
「おれと勝負をして、勝った者にはこの魚をやるぞ」
と、くしにさした魚を見せたのです。
「よし、それなら勝負しよう」
 こうしてカッパと子どもたちは勝負を始めましたが、何度やってもカッパには勝てません。
 たまりかねた、一番大きな子どもが、
「よし、今度はおらが相手になってやる」
と、小石を深いところへ投げ込んで、カッパと一緒に川へ飛び込んだのです。
 子どもたちは、どっちが早く石をひろって来るかを見まもっていました。
 でも、いくら待っても、どちらもあがっては来ません。
 この話しを子どもたちから聞いた村人たちは、夜になってもかがり火をたいて探しましたが、とうとう子どもは見つかりませんでした。
 さて次の日、村人たちが子どもをさがしていると、昨日のカッパが姿をあらわしたのです。
 村人たちはカッパつかまえると、子どもをどこへやったと問いただしました。
 するとカッパは、
「子どもの尻があまりにもうまそうだったので、尻子玉を抜いて食っちまった。そしたら子どもはそのまま水に流されて、どこかへ行ってしまった」
と、言うのでした。
「なんだと! このカッパめ、たたき殺してやる!」
 村人たちが、カッパを殴りつけると、
「許してください。おれが悪かった」
と、カッパは涙を流しながらあやまりました。
 それを見た村人たちは、
「じゃあ、二度と子どもの尻子玉は抜かないと約束するなら許してやる。川の中にある、あの大きな岩が腐(くさ)るまでは、決して悪さをしてはならんぞ」
と、言って、カッパを放してやったのでした。
 それからというもの、カッパはこの約束を守って悪さをしなくなりました。
 それでも時々は、この岩に登って来ては、
「この岩、まだ腐らんのじゃろか」
と、いいながら、岩を水かきのある手でなで回すという事です。


おしまい


きょうの豆知識と昔話


きょうの記念日 → ノーベル賞制定の日
きょうの誕生花 → りゅうのひげ
きょうの誕生日 → 1970年 セイン・カミュ (タレント)


きょうの新作昔話 → 寝覚の床の主
きょうの日本昔話 → すもうとりとびんぼうがみ
きょうの世界昔話 → ヘビの足
きょうの日本民話 → カッパ岩
きょうのイソップ童話 → ゼウスにお願いするロバたち
きょうの江戸小話 → 遠めがね


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11月26日の日本民話 鳥になったおばあさん

2008-11-26 05:42:39 | Weblog

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11月26日の日本民話


鳥になったおばあさん



鳥になったおばあさん
沖縄県の民話沖縄県情報


 むかしむかし、鉄砲うちのおじいさんがいて、毎日山へ行っては、鳥やけものをとっていました。
 ある日の事、いつものように山へ出かけると、今まで見たこともない美しい金色の鳥が飛んできました。
(なんて美しい鳥だ。もしかして、神さまの鳥かもしれないぞ)
 おじいさんは、鉄砲をうつのをやめて見とれていました。
 すると金色の鳥が、おじいさんのそばにきて言いました。
「どうしてわたしをうたないのですか? 鳥をうたなくてはくらしていけないのでしょう」
「いいや、わしはばあさんと二人ぐらし。お前一羽をうたなくても、なんとかくらしていける。お前みたいな美しい鳥をうつなんて、わしにはできないよ」
 おじいさんが、そう言うと。
「そうですか。では二人が楽にくらしていけるようにしてあげますから、これからは鳥やけものをとるのはやめてくださいね」
 そう言ったかと思うと、金色の鳥はまっすぐおじいさんの家の方へ飛んでいきました。
(やっぱり、神さまの鳥かもしれないぞ)
 おじいさんが不思議に思いながら、家に帰ってみるとどうでしょう。
 今まで住んでいたボロ小屋が、りっぱなお屋敷にかわっていたのです。
「こりゃ、たまげた!」
 おじいさんがビックリしていると、中からおばあさんが出て来て言いました。
「りっぱな身なりの人がやってきて、あっというまに屋敷をたて、米をどっさり運んでくれたのです。もう、何が何やら」
 そこでおじいさんは、山で会った金色の鳥のことを話してあげました。
「そうですか。するとこれは山の神さまのおめぐみかもしれませんね。これからはもう、鳥やけものをうつのはやめてくださいね」
「ああ、もう鉄砲うちはやめだ。これからは二人でのんびりくらそう」
 おじいさんはその時から鉄砲うちをやめて、おばあさんと二人でしずかにくらしました。
 仕事をしなくても、お金も食べ物もたくさんあるので、少しもこまりません。
 ところがそのうちに、このくらしにあきてきたおばあさんが言いました。
「ああ、たいくつで死にそう。鳥みたいに空を飛ぶことができたら、どんなに楽しいでしょうね。おじいさん、一度でいいから空を飛べるように、金色の鳥にたのんできてくれませんか」
 おばあさんがそう言うので、おじいさんは山へ出かけていって、金色の鳥に言いました。
「すまないが、おばあさんの願いをかなえてあげておくれ」
「わかりました。すぐ飛べるようにしてあげましょう」
 おじいさんが家にもどると、どうでしょう。
 おばあさんは一羽の烏になって、屋根の上に止まっているではありませんか。
 鳥になったおばあさんは、おじいさんに言いました。
「空を飛びたいと言っても、まさか鳥になるなんて。早く人間にもどしてください」
 おじいさんはあわてて山へもどると、金色の鳥を探しましたが、金色の鳥は二度と姿を現しませんでした。
 おじいさんは鳥になったおばあさんをかわいがりながら、一人でくらすようになったという事です。


おしまい


きょうの豆知識と昔話


きょうの記念日 → ペンの日
きょうの誕生花 → シャコバサボテン
きょうの誕生日 → 1942年 カルーセル麻紀 (タレント)


きょうの新作昔話 → 山の三太郎
きょうの日本昔話 → 空飛ぶ米俵
きょうの世界昔話 → キツネのさいばん
きょうの日本民話 → 鳥になったおばあさん
きょうのイソップ童話 → お百姓と運命の女神
きょうの江戸小話 → 助太刀


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