きょうの日本民話 gooブログ編

47都道府県の日本民話をイラスト付きで毎日配信。

9月30日の日本民話 乙姫さまのくれたネコ

2009-09-30 06:49:31 | Weblog

福娘童話集 > きょうの日本民話 > 9月の日本民話


9月30日の日本民話


乙姫さまのくれたネコ



乙姫さまのくれたネコ
京都府の民話京都府情報


 むかしむかし、あるところに、花売りのおじいさんがいました。
 とても心のやさしいおじいさんで、花が売れのこると海辺に行き、
乙姫(おとひめ)さま、売れ残り物ですまんが、この花をもらってください」
と、言っては、花を海に投げていました。
 するとある晩の事、かわいいネコをだいた女の人がやってきて、
「わたしは乙姫さまの使いの者です。このネコは、おじいさんが花をくれたお礼です。このネコに毎日、お茶わん一ぱいのごはんをやってかわいがってください。そうすればきっと、ネコが小判をうみます」
と、言いました。
 花売りのおじいさんはよろこんで、次の日から言われたとおり、ごはんを一ぱいだけ食べさせたら、ネコはチャリンチャリンと小判をうみました。
(なんて、ありがたいネコだ)
 花売りのおじいさんは、ネコをいっしょうけんめいかわいがって、毎日お茶わん一ぱいのごはんを食べさせたので、たちまちお金持ちになりました。
  さて、その事を知った、となりのよくばりおじいさんは、
「おい、わしにもそのネコをかしてくれ」
と、言って、いやがるネコをむりやり自分の家につれていきました。
 それでも、やさしい花売りのおじいさんは、
「いいか、ごはんは一日にお茶わん一ぱいだけ。それ以上食わせたらいかんぞ」
と、教えてやりました。
 ところが、よくばりおじいさんは、
(うまいこと言うて、わしのほうがお金持ちになるのが気に入らんのじゃろ。ごはんをたくさん食わせれば、それだけたくさんの小判をうむはず。わしはすぐに大金持ちじゃ)
と、思い、どんどんごはんを食べさせました。
 するとネコは、小判を一まいもうまずに、おなかをこわして死んでしまいました。
「なんじゃ、このネコは。ごはんばかり食いおって!」
 よくばりじいさんはすっかりはらを立てて、ネコを庭にすててしまいました。
(なんて、なんてひどいことを・・・)
 花売りのおじいさんはネコをひろいあげると、自分の家の庭にうめて、その上に木を一本植えてやりました。
 すると不思議な事に、木はグングンとのびて、あっというまに金色の花をさかせたのです。
(なんてきれいな花だ)
 花売りのおじいさんは、ネコのかわりにこの花をたいせつにしました。
 ある朝、花売りのおじいさんが目をさますと、庭の方からチャリンチャリンと、小判のふれ合うような音がします。
(はて? なんの音やら?)
 花売りのおじいさんが庭へ出てみると、なんと大きな小判がえだいっぱいになっていて、チャリンチャリンと風にゆれているのです。
 花売りのおじいさんはもう大喜びで、その小判をかごいっぱいに取りました。
 この小判のおかげで、花売りのおじいさんは死ぬまでしあわせにくらしたという事です。

※ 福岡にも、同様の話しが伝わっています。「乙姫様のくれたネコ


おしまい


きょうの豆知識と昔話


きょうの記念日 → クレーンの日
きょうの誕生花 → はげいとう
きょうの誕生日 → 1966年 東山紀之(俳優, 歌手)


きょうの新作昔話 → いたずらタヌキと木こり
きょうの日本昔話 → あぶらあげ
きょうの世界昔話 → ふしぎな胡弓
きょうの日本民話 → 乙姫さまのくれたネコ
きょうのイソップ童話 → 波をかぞえる人
きょうの江戸小話 → ぱたぱたとふうふう


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9月29日の日本民話 キジムナーのしかえし

2009-09-29 10:12:06 | Weblog

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9月29日の日本民話


キジムナーのしかえし



キジムナーのしかえし
沖縄県の民話沖縄県情報


 むかしむかし、沖縄本島南部の宇江城(うえぐすく→糸満市)というところに、サメ殿とよばれた漁師(りょうし)がいました。
 ある夜、海へでて漁(りょう)をしていると、すぐそばで、おなじように魚をとる人がいました。
 近くの村の人なら、たいてい見おぼえがあるはずなのに、どうも見たことがありません。
(はて、誰だろう?)
 それからは、夜おそくに漁へでるたびに、その男がやってきます。
 そしてその男が現れると、魚がよくとれるのです。
「今夜も魚がたくさんとれたよ。あんたのほうはどうかね?」
「わたしだってとれたさ、見てごらん」
 そのうちに二人は友だちになって、毎日のように一緒に漁をしました。
 ところがその友だちは、名前をいわないし、顔つきも口のききかたも、ふつうの人たちとちがいます。
(もしかしたらあの友だちは、人間ではないかもしれない)
 ある時、サメ殿はそう考えました。
 一度考えはじめると、気味が悪くなって、
(あれはきっと、ヤナムン(→沖縄の言葉で妖怪のこと)が化けているのだ。このまま長いことつきあっていたら、悪いことがおこるだろう)
と、思いました。
 サメ殿はある夜、漁が終わって友だちと別れたとき、こっそりあとをつけました。
 すると友だちは、家のあるところを通りぬけて、当山(とうやま)という、さびしい丘へのぼっていきました。
 そして大きなクワの木に、吸い込まれるように姿を消したのです。
「たいへんだ。やっぱり友だちは人間ではねえ。あのクワの木にすむ、キジムナーが化けていたんだ」
 キジムナーというのはカッパのような妖怪で、古い木にすんでいて、魚とりがうまく、キジムナー火という火をともしたりもするそうです。
 サメ殿は家にかえると、この事を妻にうちあけていいました。
「明日も漁に行くから、お前はその間にほし草だの、ワラだのを持って、クワの木に行き、それに火をつけてクワの木を燃やしてしまうんだ」
 さて次の夜、サメ殿と友だちとは、いつものように漁にでかけました。
 魚がとれはじめたとき、
「クンクン。どうもおかしい。家のこげるにおいがするよ」
と、友だちがいいだしました。
「そんなはずはないさ。ここからは何も見えないし、気のせいだろうよ」
「いや、たしかににおう。こうしてはいられない」
 友だちは大いそぎで漁をやめると、すぐに帰って行きました。
 でもすでに遅く、あの大きなクワの木はすっかり焼けてしまい、まっ黒になっていました。
 その日から、キジムナーの友だちは姿を消してしまいました。
 サメ殿は、これであの友だちと別れることが出来たと大喜びです。
 家をなくしたキジムナーは、すみかになる木をさがして、ずうっと北のほうの、国頭(くにかみ→沖縄本島北部)までいったそうです。
 さて、それから何年もの月日がたちました。
 サメ殿はある時、首里(しゅり→昔の沖縄の都)の町へ出かけて、幼なじみの友だちとあいました。
「しばらくぶりだ、酒をのんで話そう」
 二人して酒場へ入り、長い時間のんでは話すうちに、サメ殿はつい気が大きくなり、今までだれにもいわなかった、あのキジムナーの事や、クワの老木を妻に焼かせて追い出したことを、すっかりしゃべったのでした。
 それを聞いた幼なじみの友だちは、急にこわい顔になって怒り出しました。
「あんたは友だちに、そんなひどいしうちをしたか! たとえキジムナーだとしても、あんたに何をしたと言うんだ! あんたはわるい男だ!」
 見ると、そこにいるのは幼なじみの友だちではなく、あのキジムナーだったのです。
 キジムナーは持っていた小刀で、サメ殿のゆびとゆびのあいだを切りつけました。
「いたい! 何をする」
 このサメ殿は、全身がサメのようなザラザラのかたいはだをしていて、小刀くらいでは傷つかないのですが、ただ、ゆびとゆびのあいだだけがふつうのはだだったのです。
 サメ殿は血を流しながら村へかえると、苦しんだあげくに死んでしまいました。
 沖縄のキジムナーは、ガジュマルやクワの大木をすみかとして、人間にはめったに害をしなかったといいます。
 それどころか、人間に幸福をもたらしてくれるのです。
 しかし人間がうらぎったり、ひどいしうちをしたりしたときは、おそろしい仕返しをしました。
 サメ殿は『鮫殿』と書き、沖縄の言葉では、サバムイと読むそうです。


おしまい


きょうの豆知識と昔話


きょうの記念日 → 招き猫の日
きょうの誕生花 → チトニア(メキシコひまわり)
きょうの誕生日 → 1980年 榎本加奈子(俳優)



きょうの日本昔話 → ネズミのすもう
きょうの世界昔話 → 百匹のヒツジ
きょうの日本民話 → キジムナーのしかえし
きょうのイソップ童話 → ネズミをこわがるライオンとキツネ
きょうの江戸小話 → 鉄砲とさいふ


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9月28日の日本民話 アジ船と口さけばば

2009-09-28 06:50:36 | Weblog

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9月28日の日本民話


アジ船と口さけばば



アジ船と口さけばば

徳島県の民話徳島県情報


 むかしむかし、ある漁村(ぎょそん)の漁師(りょうし)たちが、アジ船を出してアジを取りに行きました。
 その日はなかなかの大漁でしたが、日が西にかたむき、お腹も空いてきたので、
「どうじゃい、ここらで、ひと休みせんか」
と、船を浜へつけました。
 取れたてのアジを塩焼きにして、それで酒をのむのが漁師たちのなによりの楽しみです。
 アジの焼けるいいにおいがただよってきたころ、どこからともなくだれかが近づいてきて声をかけました。
「ええにおいじゃの。わしにも、そのアジをごちそうしてくれ」
 その声は、おばあさんの声でした。
 ふりむいた漁師たちは、ビックリ。
 それというもの、そのおばあさんの髪の毛は針金のように逆立っていて、ギラギラとした丸い目玉は大きくて飛び出しており、おまけに口は耳までさけているのです。
(こいつはバケモノかもしれん。みんな返事するな)
 漁師たちは目で合図(あいず)をすると、みんなジッと下を向きました。
「どうした? はやくわしにもくれんか」
 おばあさんがさいそくするので、一人の漁師が言いました。
「もう、食べてしまったので、新しいのを船からとってくる。待っていてくれ」
 そして、その猟師があわて船に乗り込むと、
「あいつ一人じゃ大変だから、おれも手伝いに行こう」
「おれもだ」
「おれも」
と、みんな船にとびのると、そのまま船を沖へむかってこぎだしたのです。
 しばらくして、みんなが逃げだしたのに気づいたおばあさんは、
「こらまてえ! わしをだまして逃げる気か! 逃げたら、さかなのかわりにお前らを食ってやる!」
 おばあさんは、ものすごいいきおいで追いかけてくると、船のとも(船のうしろのほう)に飛びついて、船のともにかみつきました。
 耳までさけた大きな口の歯は、みんなキバみたいにとがっています。
「こら、はなさんかい。頭をたたき割るぞ、はなせえ!」
 ろ(→和船をこぐための、木でできた道具)を一本ふりあげて、たたこうとするのですが、ランランと光る目玉を見ると、おそろしくてたたけません。
 かといって、ともをガジガジとかみくだかれては、船もろとも海にしずんでしまいます。
 漁師たちは、
「なむ、船霊大明神、おたすけたまえ、おたすけたまえ」
と、となえながら、むちゅうで船をこぎました。
 いいかげんこいで、ふと目をやると、うれしいことに、ともにかみついたおばあさんは消えていました。
 それでも浜にあがるまでは、こわくてみんな口がきけませんでした。
 阿波(あわ→徳島県)には、牛鬼(うしおに)といって、からだがウシで顔はのバケモノがいたといわれます。
 あのおばあさんは、この牛鬼が化けたものだと言われています。


おしまい


きょうの豆知識と昔話


きょうの記念日 → パソコン記念日
きょうの誕生花 → しおん
きょうの誕生日 → 1982年 吹石一恵(俳優)


きょうの新作昔話 → 沼女の手紙
きょうの日本昔話 → サル地蔵
きょうの世界昔話 → コウモリのはねをつけた小オニ
きょうの日本民話 → アジ船と口さけばば
きょうのイソップ童話 → カナリアとコウモリ
きょうの江戸小話 → 名医


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9月27日の日本民話 生きている竜

2009-09-27 05:48:50 | Weblog

福娘童話集 > きょうの日本民話 > 9月の日本民話


9月27日の日本民話



生きている竜



生きている竜


宮崎県の民話


 むかしむかし、ある山里に、安ざえ門(やすざえもん)と十べえ(じゅうべえ)という、二人の兄弟が住んでいました。
 兄弟は毎日、山奥深く入り込んで、ウルシの木からウルシをとる仕事をしていました。
 ある日、兄の安ざえ門は、いつものようにカマを持って、一人でウルシをとりに行きました。
 ウルシの木をさがして山奥へ入って行くうちに、まだ来たことのない谷川のほとりに出ました。
 谷川には流れのゆるやかな深いふちがあり、暗い緑色の水がよどんでいます。
「ほう、こんな深いふちは、見たこともない」
 安ざえ門は、ふちに近づいてのぞきました。
 そのとき、うっかり手に持っていたカマをふちに落としてしまったのです。
 カマは仕事に使う、だいじな道具です。
「ああ、とんだことをしてしまった。どうしよう?」
 安ざえ門はしばらく考えこんでいましたが、ふちにもぐってみることにしました。
 底が見えないようなふちにもぐるのはこわいのですが、落ちたカマを取りもどすためには、そうするしかありません。
 安ざえ門ははだかになると、思いきって水の中へ飛びこみました。
 頭がジンジンとしびれるほど、冷たい水です。
 底の方へもぐって行くと、おどろいたことに、黒いつやのある上等のウルシが水底一面に、しきつめたようにたまっているのです。
 多すぎて、どれくらいあるか見当もつきません。
 これは近くの山にたくさん生えているウルシの木が雨に洗われて、木のはだから流れ出たうるしが谷川にこぼれ落ち、長い年月の間にこのふちの底にたまったものでした。
 安ざえ門はカマの事など忘れて、ウルシを両手ですくうと、ゆっくりとうかびあがりました。
「夢のようだ。こんなにたくさんの上等のウルシがあるなんて」
 安ざえ門はウルシの木をさがし回るのをやめて、その谷川のふちにもぐっては、底にたまっているウルシをとるのでした。
 そのウルシは質がよいので、商人たちは高い値段で買ってくれました。
 おかげで安ざえ門は、どんどん金持ちになりました。
「あの人はいったい、どこであんな上等なウルシをとって来るのだろう?」
 村の人たちは不思議に思いましたが、安ざえ門はうるしのとれる谷川のふちのことは、だれにも話しませんでした。
「兄さん、うるしはどこにあるのか、おらにだけは教えてくれよ」
と、弟の十べえが聞いても、
「ああ、そのうちにな。そのうち連れて行ってやる」
と、言うだけで、ぜんぜん連れて行ってくれません。
「これにはきっと、なにかわけがありそうだぞ」
 十べえはそうか考えて、ある日、兄の後をこっそりつけて行きました。
 そして、兄が谷川のふちからウルシをとるのを見つけたのです。
「そうか、あのウルシはここにあったのか。これでおらも金持ちになれるぞ」
 十べえもその日から、兄と同じように谷川のふちのウルシをとるようになりました。
 ふちのウルシを一人じめにしたかった兄の安ざえ門は、弟の十べえがとり出したのが、どうにもおもしろくありません。
 それでなんとかして、弟がとらなくなるような方法がないものかと考えました。
 いろいろと考えたあげく、なにか怖い物をふちの底においてみることを思いついたのです。
 ウルシをとりにもぐった十べえがそれを見て怖くなり、ウルシをとるのをあきらめるかもしれないと思ったからです。
 安ざえ門は間もなく、遠くの町に出かけて行きました。
 そしてその町に住むほりものの名人に、お金をたくさんはらって、大きな木のをほってもらうことにしました。
 できるだけ怖い感じにしてくれるように、何度も念を押してたのみました。
 しばらくして出来上がった竜は、木でつくった竜とは思えないほど、見るからに恐ろしい物でした。
(これなら怖くて、近づかなくなるだろう)
 安ざえ門はその竜をこっそり山へ運ぶと、大きな石をくくりつけて、ウルシのたまっている谷川のふちにしずめました。
 水底にしずんだ木ぼりの竜は水の動きにゆれて、まるで生きているように見えます。
 まっ赤な大きな口を開けて、キバをむき出して体をくねらせるのです。
 安ざえ門は、その恐ろしさに大満足です。
「やれやれ、これでひと安心というものだ。だれでもこの竜を見りゃ、おどろいて逃げ出すに決まってる。もう二度と来ないようになるだろう。そうなれば、うるしはまた、おら一人のものになるというわけだ」
 安ざえ門は満足して、山をおりました。
 あくる日、そんなことを少しも知らない弟の十べえは、いつものように谷川のふちに飛びこみました。
 とたんに、十べえはビックリ。
 水底に恐ろしい竜が体をくねらせて、キバをむき出しにした大きな口をあけて、十べえをのみこもうとしていたからです。
 十べえはまっ青になって、あわてて水から出ると、いちもくさんに山をおりて家に逃げ帰りました。
 安ざえ門は、弟が自分の思った通りになったのを知って大喜びです。
 安ざえ門はすっかり満足して、ふちの中にもぐりました。
 ところが水底にもぐってみると、木で作った竜が本物の竜になっていて、安ざえ門が近づくと大きな口を開けて、ひと飲みにしようとするのです。
「そんなはずはない。この竜は、おらが町のほり物師にたのんでつくってもらったものだ。生きているわけはないんだ。水の動きにゆれるもので、生きているように見えるだけだ。きっとそうだ」
 安ざえ門はそう思いなおして、何回か水底に近づきましたが、そのたびに本物になった竜が、かみつこうとするのです。
 なんとか逃げだした安ざえ門は、岸にあがるとその場にへたり込んでしまいました。
「ああ、こんなことになるのなら、初めから兄弟仲よく二人でウルシをとったものを。おれは、とんだことをしてしまった」
 安ざえ門は後悔しましたが、もう取り返しがつきません。
 とぼとぼと、家に帰っていったという事です。

※ 栃木県にも、同じような民話があります。→ たましいが入った竜


おしまい


きょうの豆知識と昔話


きょうの記念日 → 女性ドライバーの日
きょうの誕生花 → コスモス
きょうの誕生日 → 1970年 羽生善治(将棋棋士)



きょうの日本昔話 → 大仏の目玉
きょうの世界昔話 → 花のおじいさん
きょうの日本民話 → 生きている竜
きょうのイソップ童話 → ハトとカラス
きょうの江戸小話 → 最後のうそ


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9月26日の日本民話 一休さんの、サルの恩返し

2009-09-26 07:02:04 | Weblog

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9月26日の日本民話


一休さんの、サルの恩返し



一休さんの、サルの恩返し
滋賀県の民話滋賀県情報


 むかしむかし、一休さん(いっきゅうさん)と言う、とんちで評判の小僧さんがいました。
 その一休さんが、大人になったころのお話です。
 ある年の春、一休さんが伊豆(いず)のお寺にいたとき、村の男が一匹のサルをつかまえて、家の軒下(のきした)でさんざんなぐりつけていました。
 一休さんはサルをかわいそうに思って、わずかばかりのお金でサルを買いとると、山へ逃がしてやりました。
 それから何日かしたある日の夕方、お寺の縁側(えんがわ)から夕焼けにそまる春の山々の景色(けしき)をながめていると、一匹のサルがやってきて、葉っぱにつつんだものをさしだしました。
 一休さんはそのサルの顔を見て、このあいだのサルだと思いながら、
「これをわしにくれるというのか? ありがとう」
と、サルの手から葉っぱのつつみをうけとりました。
 中にはまっ赤にうれた、野イチゴの実が入っています。
 すると一休さんは、
「これはおいしそうだ。ああ、ちょっとおまち」
 そういって、布袋にいりマメを入れてやると、サルはそれをうけとって、お寺の裏山へ消えていきました。
 次の日、サルはその布袋においしそうなクリの実を入れて、一休さんのところへかえしにきました。
「命を助けられた恩を、よく知ったサルじゃ。善悪の区別もわからぬような人間は、サルにもおとるといえる」
 一休さんはたいそう感心して、若いお坊さんたちにそう語ったという事です。


おしまい


きょうの豆知識と昔話


きょうの記念日 → ワープロの日
きょうの誕生花 → きくいも
きょうの誕生日 → 1957年 天童よしみ(歌手)



きょうの日本昔話 → キセルおさめ
きょうの世界昔話 → ちいさなヘーベルマン
きょうの日本民話 → 一休さんの、サルの恩返し
きょうのイソップ童話 → ヘラクレスとアテネ
きょうの江戸小話 → 無筆のねがい書


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