きょうの日本民話 gooブログ編

47都道府県の日本民話をイラスト付きで毎日配信。

10月31日の日本民話 幽霊の足あと

2009-10-31 10:25:18 | Weblog

福娘童話集 > きょうの日本民話 > 10月の日本民話


10月31日の日本民話


幽霊の足あと



幽霊の足あと
大阪府の民話大阪府情報


 むかしむかし、ある大きなお寺に、徳(とく)の高いお坊さんがいました。
 いつものように夕方のおつとめをしていると、一人の女性が本堂(ほんどう)に現れて、お経(きょう)がおわるのをまってから、足音をしのばせてお坊さんに近づくと、女の人はぜひ自分のためにお経をあげてほしいというのでした。
 この女性はお石(いし)という名で、江戸の町にすむ大工の奥さんでした。
 そして、
「実は、わたしは死んでいます。死んでから、まだこの世をさまよっているのです」
と、いうのです。
 お坊さんは、「江戸の女」ときいて、ビックリ。
 じつは一年ほど前に、お寺のご本尊を江戸へ運んで江戸の信者(しんじゃ)たちにお参りさせたのです。
 この女性はそのとき、お経を読んだお坊さんの姿にふかく感動したというのでした。
「あれからしばらくすると、わたしは病気になって、ずっとふせっていました。お金などありませんから、お医者にかかることもできません。夫は家をあけたまま、どこで遊んでいるのかいっこうに帰ってきません。そのうちに病気はおもくなり、だれにもみとられることなく、わたしは死んだのです。ですからわたしは、まだ成仏できません。ぜひ、お坊さまにお経を読んでいただこうと箱根山(はこねやま)をこえ、やっとの思いでここまでやってきたのです」
 お石の話しに、お坊さんは胸をうたれました。
 そしてお石の身の上をあわれに思い、ご本尊にむかうと一心にお石のために祈りました。
 お石の幽霊(ゆうれい)は、お坊さんのうしろにしずかにすわっていました。
 供養(くよう)がおわると、お石は成仏したのか、姿が消えていました。
 そして、お石が立ったときについたのか、ざぶとんの上に土によごれたはだしの足あとが、はっきりと残っていました。
 その足あとはいまも額におさめられて、そのお寺につたえられているという事です。


おしまい


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10月30日の日本民話 ほらふき村は子どもまで

2009-10-30 06:51:58 | Weblog

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10月30日の日本民話


ほらふき村は子どもまで



ほらふき村は子どもまで
京都府の民話京都府情報


♪朗読再生


 むかしむかし、あるところに、ほらふき自慢のおじいさんが住んでいました。
「おれにかなうほらふきはどこにもおるまい。よし、ほら比べにいってみよう」
と、ほらふきで有名な、ほらふき村へいったのです。
 ほらふき村に着きましたが、村には大人はだれもいません。
 小さい子どもが一人だけいたので、おじいさんはたずねました。
「坊や、お父さんはどこいった?」
「ああ、富士山(ふじさん)が地震でかたむいたんで、竹を二、三本きって、つっかい棒をしにいったよ」
「それでは、お母さんはどこいった?」
「琵琶湖(びわこ)の水がもれ出して、空っぽになるといって、おはぎを三つもって、湖の底をぬりにいったよ」
と、子どもなのに上手なほらをふくので、おじいさんはビックリしましたが、こんな子どもに負けてたまるかと、おじいさんもほらをふいてみました。
「わしはなあ、昨日は奈良へいって、大仏殿(だいぶつでん)でハックショーン! と大きなくしゃみしたら、大仏さんがこっちの村まで飛んでしもうたんだ。わしはそれを探しに来たんだよ」
 それを聞いた小さい子は、ケラケラ笑い出しました。
「なーんだ、その大仏さんやったら、昨日、あそこのクモの巣にひっかかって、ゆーらゆーら、ゆれとったよ」
「・・・・・・」
 ほらふきじいさんは、子どもでさえこれだけのほらをふくのだから、大人ではとうていかなわないと、そそくさと逃げて帰ったという事です。


おしまい


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10月29日の日本民話 ネコ女房

2009-10-29 05:40:41 | Weblog

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10月29日の日本民話


ネコ女房



ネコ女房

沖縄県の民話沖縄県情報


 むかしむかし、沖縄には、八キロメートル以上も松並木(まつなみき)の続く海辺があり、その海辺のほら穴に化けネコが住みついていました。
 ある時、化けネコが美しい女に化けていたら、一人の男がネコとは思わずに、
「わしの女房になってくれ」
と、言ったのです。
 男はなかなかに立派で顔立ちもよく、ネコもこの男が気に入って、さっそく一緒にくらすことになりました。
 男はとてもやさしく、ネコも負けじと男につくします。
 やがて子どもが生まれて、何年かたつうちに、二人は三人の子持ちになりました。
 ネコ女房は正体がばれないように気をつけていましたが、それでもネズミを見かけると、思わずとびつきたくなります。
 それでネコ女房は、男や子どもたちがいない時に天井裏にのぼって、ネズミをとらえて食べていました。
 ある日、ネコ女房が天井裏にのぼっていたら、ふいに子どもたちがかえってきました。
 ネコ女房はあわてて下へおりましたが、口にはまだ、ネズミをくわえたままです。
「かあちゃん、どうしたの!」
 子どもたちはビックリして、顔を見あわせます。
 ネコ女房はハッとして、ネズミをはなしました。
「ネズミなんかくわえて、ネコみたい」
 子どもたちがそう言うので、ネコ女房は、
「ネズミがあんまりうるさいので天井裏へ行ったら、いきなりかあちゃんの口にとびついてきたのよ。いい子だから今日のこと、とうちゃんに言うんじゃないよ」
 ネコ女房は何とか言いくるめましたが、子どもたちは、まだ信じられないという顔をしていました。
 夕方になり、男が仕事からもどってくると、子どもたちは母親にかくれて今日の出来事を話しました。
 それを聞いて、男はビックリ。
 だからといって、いきなり女房を問いつめるわけにもいかず、しばらくようすを見ることにしました。
 ようすを見ていると、女房にはおかしなことがあります。
 だれもいないことがわかると、ゴロゴロとのどを鳴らしたり、時にはネコのように、かまどの上にのぼったりするのです。
(もしかして、ネコにとりつかれたのかもしれないぞ)
 男は心配になって、
「かあちゃんは病気かもしれないから、気をつけてやるように」
と、子どもたちに言い聞かせた。
 ところが子どもたちは、それ以来、母親をおびえるようになりました。
 男は思いきって、女房に別れ話を持ち出すと、
「子どもにきらわれてはしかたがないので、別れることにします」
 女房はそう言って、家を出ていきました。
(いったい、どこへ行くのだろう?)
 男はこっそりと、女房の後をつけました。
 女房は後ろもふり向かずに、どんどん歩いていって、ほら穴の中に消えました。
 男がほら穴のようすをさぐっていたら、奥の方から女房の声が聞こえてきて、
「どうやら、正体を見破られてしまったらしい。せっかくうまくやっていたのに。いつかこのうらみは、はらしてやる」
と、言ったのです。
 そして、姿の見えない誰かが言いました。
「そうは言っても、お前がネコだということが、わかったわけではないだろう」
「いや、ネズミをくわえているところを、子どもたちに見られてしまった」
「そうか、それなら仕方ない」
 その話を聞いていた男はビックリ。
 まさか自分の女房が、ネコだなんて。
 ほら穴のネコの話しは、まだ続きます。
「しかしな、男の命をとるといっても、相手に呪文(じゅもん)をとなえられたらどうする? われらはあの呪文をとなえられると、手出しができなくなるぞ」
「大丈夫よ、今の若い人間が、呪文なんて知るわけがない」
「まあ、たしかに。知っているとすれば、村一番の年寄りのおばばぐらいだろう」
 男はそれを聞くと、すぐにほら穴をはなれて、村一番の年寄りのおばばの家に行き、わけを話して、
「化けネコを追いはらう呪文を教えてくれ」
と、たのみました。
「さて、うまく思い出せるかどうか」
 そう言いながらも、おばばは呪文を思い出してくれました。
♪ネコネコ鳴くな。
♪北風吹けば、南に飛ばされる。
♪南風吹けば、北に飛ばされる。
♪ネコネコ鳴くな。もう鳴くな。
 男は呪文の言葉をしっかり覚えると、家にもどって行きました。
 その晩、男が子どもたちを寝かせていたら、表から気味の悪いネコの鳴き声がひびいてきました。
「フギャー! フギャー!」
 男は鳴き声の方に向かって、教えてもらった呪文をとなえました。
♪ネコネコ鳴くな。
♪北風吹けば、南へ飛ばされる。
♪南風吹けば、北に飛ばされる。
♪ネコネコ鳴くな。もう鳴くな。
 すると、ネコの鳴き声がおさまり、
「くやしいー!」
と、言う言葉を残して、一匹のネコがたちさっていくのが見えたという事です。


おしまい


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10月28日の日本民話 ダイコンおろしストーン

2009-10-28 07:06:56 | Weblog

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10月28日の日本民話


ダイコンおろしストーン



ダイコンおろしストーン

鳥取県の民話鳥取県情報


 むかしむかし、お百姓(ひゃくしょう)たちが年貢(ねんぐ)のお米をおさめないので、お代官(だいかん→役人)が、きつく取り立ててやろうと、山の村へやってきました。
 それを知った山の村では大さわぎで、ウマにのったお代官がやってくると、ごちそうにと、大きな皿(さら)にタイを一匹のせて出しました。
「よしよし、よい心がけじゃ。年貢の取り立ては、まずこれを食ってからにしてやろう」
と、お代官が出されたタイを食べようとしたら、なんとそのタイはくさっていて、ウジ虫がわいているのです。
「この無礼者(ぶれいもの)! なんと言う物を出すのだ!」
 お代官が顔をまっ赤にして怒ったので、村のお百姓が言いました。
「へえ、なんでも、えらいお方が来られたときは、タイをつくって(→この場合のつくるとは、本当はおさしみにすること)さしあげるもんじゃと聞きましたで、わしらはタイを畑にうめて、こやしをかけてつくりました」
 これには、お代官もあきれてしまいました。
「まあ、こんな山の中にいては、海の魚の食べ方など知らぬのも無理はない。だが、山ならダイコンぐらいあるじゃろう、ダイコンおろしにして食うから、もってまいれ」
「へえ、へえ」
 お百姓たちは、いったん帰りましたが、何をしているのか、なかなかダイコンを持ってきません。
 でもそのうちに家の天井裏で、何やらガサゴソと音がし始めました。
「あいつら、天井裏にのぼって、何をしているのじゃ?」
 お代官が天井を見上げていると、お百姓の一人が天井の板を一枚はがして言いました。
「お代官さま、今からダイコンおろしいを出します」
 そして、天井から大きなダイコンを投げ落としたのです。
「わっ、何をしておる!」
 ビックリするお代官の目の前に、お百姓はまた、ダイコンを投げ落としました。
「へい、ダイコンおろしいです」
 そしてまた、ストーンとダイコンを天井から投げ落とします。
「こら、あほうども、やめい。もうダイコンおろしはいらん!」
 お代官がいくらどなっても、お百姓たちは、天井からダイコンを投げ落としました。
「だっ、だめじゃ。話してわかるような相手じゃない。いや、こんな村にグズグズしていたら、何をされるかわからん」
 お代官は年貢の取り調べもせずに、急いで逃げ帰ったという事です。


おしまい


きょうの豆知識と昔話


きょうの記念日 → 速記記念日
きょうの誕生花 → しそ
きょうの誕生日 → 1982年 倉木麻衣(歌手)


きょうの新作昔話 → リンゴの枝とタンポポ
きょうの日本昔話 → たのきゅう
きょうの世界昔話 → 金髪姫
きょうの日本民話 → ダイコンおろしストーン
きょうのイソップ童話 → とじこめられたライオンとお百姓
きょうの江戸小話 → 還暦の祝い


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10月27日の日本民話 洪水から村をすくった若者

2009-10-27 10:06:46 | Weblog

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10月27日の日本民話


洪水から村をすくった若者



洪水から村をすくった若者
宮崎県の民話宮崎県情報


 むかしむかし、ある村に、大きな池がありました。
 この池には、全身がまっ白な大蛇(だいじゃ)と、全身がまっ黒な大蛇がすんでいました。
 村の人たちから池の主とあがめられていた二匹の大蛇は、とてもおとなしくて、村人には何の悪さもしません。
 いつも仲よく頭をならべて池を泳いだり、池のほとりで寄りそって、畑仕事をしている村の人たちを見ているのでした。
 ところがある時、この大蛇があいついで死んでしまったのです。
 それからというもの、雨がふると池の水があふれだして、村の家や田畑をおし流すようになりました。
「大蛇たちがおったときは、いくら大雨がふっても池の水があふれることはなかったのに」
 村の人たちはみんなで力をあわせて、池のまわりにじょうぶな土手(どて)をつくりましたが、大雨がふると土手が切れて、村はたちまち水びたしになってしまいました。
 土手は何度なおしても、大雨がふるとこわれてしまい、村は水びたしです。
 そこで都からえらい占い師をまねいて、どうしたらいいかを占ってもらいました。
 すると占い師は、
「白い大蛇と黒い大蛇が、村人のためにずっとこの池を守ってきたのに、死んでからは、だれもその事に感謝しない。大蛇の霊(れい)は怒っておるぞ。明日の朝、池のほとりを通る薄緑色の着物を着た若者を一人いけにえとしてさしだせば、大蛇の霊もいかりをおさめて、池から水が出ることはなくなるだろう」
と、いうのでした。
 とは言っても、だれだって、いけにえにされたくはありません。
 村の若者たちは占い師の話をきいて、明日は家から出ないようにしようと思いました。
 ところが次の日の朝、夜明けとともに、池の土手の上に現れた若者がいたのです。
 それは長千代丸(ながちよまる)という、村の酒屋の三番目の息子でした。
 長千代丸は占い師の言っていた、薄緑色の着物を着ていました。
 そして土手の上で正座(せいざ)をすると、池のむこうからのぼってくるお日さまをみつめながら、自分のお腹に刃物をつきさして、命をたってしまったのです。
 長千代丸は村人たちのしあわせを願って、みずからいけにえになったのです。
 それからは、池の水があふれ出る事はなくなりました。
 そして田畑もよく実る、すばらしい村になったのです。
 みずからいけにえとなった長千代丸のお墓は池のほとりにたてられて、いつも美しい花がそなえられていたという事です。


おしまい


きょうの豆知識と昔話


きょうの記念日 → テディベアの日
きょうの誕生花 → ななかまど
きょうの誕生日 → 1966年 高嶋政伸(俳優)



きょうの日本昔話 → テングの羽うちわ
きょうの世界昔話 → ふしぎなブドウ
きょうの日本民話 → 洪水から村をすくった若者
きょうのイソップ童話 → ねむっているイヌとオオカミ
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