きょうの日本民話 gooブログ編

47都道府県の日本民話をイラスト付きで毎日配信。

2月28日の日本民話 カッパのわび証文

2009-02-28 06:54:22 | Weblog

福娘童話集 > きょうの日本民話 > 2月の日本民話


2月28日の日本民話


カッパのわび証文



カッパのわび証文
山形県の民話山形県情報


 むかしむかし、最上川(もがみがわ→山形県)のほとりに庄屋(しょうや)の家があり、一人のきれいな娘さんがいました。
 一人娘だったので、庄屋さんは目に入れてもいたくないほど可愛がっていたのですが、最近は何となく元気がなくなり、顔色も青ざめてきたのです。
 医者に見せても病気ではないというし、娘にどこか具合が悪いかときいても首を横に振るだけです。
 こまった庄屋さんは、町の巫女(みこ)に娘の事をみてもらいました。
 すると巫女は、
「これは、カッパに見こまれて術をかけられているのでしょう。えらい坊さまなら、道切り(みちきり)の呪文(じゅもん)でカッパをつかまえられるでしょう」
と、いうので、庄屋さんは村に飛んで帰り、古いお寺のえらい和尚(おしょう)さんに道切りの呪文を頼みました。
 和尚さんは、
「カッパが人間の女に心を寄せるなど、とんでもない事だ。こらしめてやりましょう」
と、さっそくカッパのいる川で道切りの呪文をとなえ始めると、川の水がみるみるへりはじめたのです。
 そして和尚さんは、大声でさけびました。
「庄屋の娘の術を解き、二度と人間に悪さをしてはならぬ。明日の朝までに約束する証文(しょうもん)を持ってこないときは、川の水をからしてしまうぞ!」
 すると川の底から、苦しそうな声が聞こえてきました。
「悪かった。明日の朝まで待ってくれ」
 その日からカッパにかけられた娘の術がとけて、元気な美しい娘にもどりました。
 次の朝、和尚さんが山門に出てみると、一巻のカッパのわび証文がおいてあったそうです。
 今も高畠町糠野目(たかはたちょうぬかのめ)のある寺には、このカッパのわび証文が残されているという事です。


おしまい


きょうの豆知識と昔話


きょうの記念日 → バカヤローの日
きょうの誕生花 → みすみそう(ゆきわりそう)
きょうの誕生日 → 1978年 菊川怜 (タレント)


きょうの新作昔話 → まこもが池のオシドリ
きょうの日本昔話 → クラゲのおつかい
きょうの世界昔話 → トラになった王さま
きょうの日本民話 → カッパのわび証文
きょうのイソップ童話 → 足をけがしたふりをするロバとオオカミ
きょうの江戸小話 → おれじゃない


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2月27日の日本民話 カッパと伝次の約束

2009-02-27 06:31:31 | Weblog

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2月27日の日本民話


カッパと伝次の約束



カッパと伝次の約束
熊本県の民話熊本県情報


 むかしむかし、ある村に、一匹のカッパがすんでいました。
 このカッパは力が強くて、大変なすもう好きです。
 おまけにイタズラも大好きだったので、村の人たちは手をやいていました。
 ある時、お百姓(ひゃくしょう)の伝次(でんじ)が仕事をおえて、川辺でよごれたウマを洗っていました。
 すると川の中からカッパがでてきて、ウマのしりこ玉をとろうとしたのです。
 村一番の力持ちである伝次は、
「何を悪さするか。ひねりつぶしてやるぞ!」
と、いうと、カッパは逃げようともせずに、
「ふん! 伝次よ、お前は村一番の力持ちというが、おいらには勝てねえ。いっちょう勝負だ」
と、身がまえました。
「なにを、なまいきな。かかってこい!」
 こうして、伝次とカッパのとっくみあいが始まりました。
 するとそのとき、カッパの頭のお皿に入っている水がこぼれおちたのです。
 水は、カッパの力のみなもとです。
 こうなっては、カッパは力がでません。
 たちまちねじふせられて、ウマ小屋の柱にしばりつけられてしまいました。
「日干しにしてやる。そこにずっとおれ」
 伝次はいいすてると、家の中へ入ってしまいました。
 しばらくすると伝次のおかみさんがウマに水をやるため、おけに水をいれて持ってきました。
 するとカッパは、おかみさんをからかったのです。
「このブサイク女。鼻ペチャ女」
 おかみさんは怒って、おけの水をカッパの頭の上からザブッとかぶせました。
「ウッヒヒヒ。ありがとよ」
 頭のお皿に水がたまって元気をとりもどしたカッパは、なわを引きちぎって川へ逃げていきました。
 それからしばらくたった、ある夜のことです。
 伝次が畑の中の道を歩いてとなり村から帰ってくると、あのカッパが畑でイモほりをしているのが月明かりに見えました。
「こらっ! イモをぬすむとはなにごとか! お前はまだ悪さをしておるのか!」
 伝次が大声でどなると、カッパは、
「すもうをとるべえ」
と、いって、かかってきました。
 伝次はまた、カッパとすもうをとることになりましたが、今度も勝負はあっけなくついてしまいました。
 カッパが伝次のおなかの下へ頭をおしつけてきたとき、うっかり頭のお皿の水をこぼしてしまったのです。
「どうだ。もうぜったいに悪さはしないと約束するか。しなければ、今度は本当に日干しにしてくれるぞ」
「約束する」
「それは本当か? お前は、平気でうそをつくからな」
「カッパは、うそはつかぬ」
「よし、なら証文(しょうもん)を書け」
と、伝次はカッパに証文を書かせました。
 紙ではやぶれてしまうので、二つの石に証文をきざませて、おたがいに一個ずつ持つことにしました。
 その石には、
《この石がくさるまで、人間に悪さはしません》
と、きざまれていました。
 その後、カッパは約束を守って、村の人たちにイタズラはしなくなりました。
 けれども、ウマにはときどきイタズラをするので、村の人たちはこまっていたという事です。


おしまい


きょうの豆知識と昔話


きょうの記念日 → 新撰組の日
きょうの誕生花 → サキシフラガ(くもまぐさ)
きょうの誕生日 → 1969年 富田靖子 (俳優)


きょうの新作昔話 → 大アワビの怒り
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きょうの日本民話 → カッパと伝次の約束
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2月26日の日本民話 おたつ女郎

2009-02-26 06:20:17 | Weblog

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2月26日の日本民話


おたつ女郎



おたつ女郎
三重県の民話三重県情報


 むかしむかし、神島(かみじま)におたつ女郎(じょろう)と呼ばれる、美しいお姫さまが流れついて来ました。
 漁夫たちは、おどろいて、
「あなたのような美しいお姫さまが、どうしてこんな島に流れて来られたのじゃ?」
と、聞きました。
 すると、
「私はおたつ女郎という姫で、遠い国から流れて来たのです」
と、いうだけで、その遠い国がどこの国ともいわないのです。
 みんなが不思議に思っていると、ある日、お姫さまが、
「じつは、この神島とは神さまが住まわれている島だと思ってやって来たのです。金でつくった丈夫な舟に乗り、大波小波を乗り越えてやって来たのです。私はみんなに知られるのがいやで、金の舟は神島の近くの海辺にうめてしまいました」
と、いいました。
 それからというもの、漁夫たちはお姫さまの美しい顔を見ようと、毎日のようにお姫さまのところへたずねて行きました。
 お姫さまは見られるのがいやで、あちらこちらと姿をかくしますが、小さな島なので、どこにかくれてもすぐに見つかってしまいます。
 お姫さまが神島の岩屋(いわや)の中にかくれていますと、夜中ごろに庄屋(しょうや)がやって来て、
「私の家が空いていますから、ぜひ来て下さい」
と、いいました。
 そこでお姫さまは、庄屋の家に泊めてもらうことになりました。
 ある日、お姫さまがカガミを立ててお化粧(けしょう)をしていると、一人の若者が自分のカガミでしきりにお姫さまをてらしているのです。
 お姫さまは、
「どうして、私をてらすのです?」
と、聞くと、若者は、
「お姫さまが、とても美しいからです」
と、答えました。
 するとお姫さまは怒って、
「私のような者をてらしてもらっては、おてんとうさまに申しわけありません。どうか私をてらさないでください」
と、いいました。
 若者はそれでも、
「お姫さまは、とっても美しいかたです。おてんとうさまも、きっとそう思っています」
と、いうと、お姫さまはまた怒って、庄屋の井戸の中へカガミを投げこんでしまいました。
 それ以来、庄屋の井戸はもちろんのこと、島中の井戸の水は赤サビ色になってしまったということです。
 お姫さまが持って来たと伝えられる、掛け軸と守り刀が神島の波切不動(なみきりふどう)さんにまつられてあり、毎年、大晦日(おおみそか)の夜中にだけ、戸を少しだけ開けて見せてくれるそうです。


おしまい


きょうの豆知識と昔話


きょうの記念日 → 咸臨丸の日
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きょうの日本昔話 → ひっぱりあいず
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きょうの日本民話 → おたつ女郎
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2月25日の日本民話 よっぱらったスズメ

2009-02-25 19:48:00 | Weblog

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2月25日の日本民話


よっぱらったスズメ



よっぱらったスズメ
長崎県の民話長崎県情報


 むかしむかし、あるところに、お父さんと息子がいました。
 ある日の事、お父さんは息子に言いました。
「となりの国ヘスズメを持っていけば高く売れるそうだが、一度にたくさんのスズメをとる方法はないものか?」
 すると息子は、
「そんなことはわけもない。酒のカスとツバキの葉っぱがあればだいじょうぶだよ」
と、言って、酒のカスを買いにいき、ツバキの葉っぱをかごにいっぱいつんできました。
 それからスズメのきそうなところに葉っぱを並べて、その上に、少しずつ酒のカスをつけておきました。
「こうしておけば、スズメなんかすぐにつかまえられるよ」
 二人は木のかげにかくれて、スズメが来るのを待っていました。
 すると、チュンチュンチュンと、スズメたちが集まってきて、酒のカスを食べはじめました。
 ところがしばらくして、スズメたちは酒のカスによっぱらってしまい、ツバキの葉っぱの上へコロリと横になったまま、動かなくなりました。
「なるほど、息子はたいしたものだ」
 お父さんが感心していると、日であったまったツバキの葉っぱが、クルリンとまがって、寝ているスズメをすっぽりと包みこんでしまったのです。
「いまのうちだ!」
 息子は、ほうきで葉っぱをはきよせると、俵(たわら)の中に入れました。
「さあ、これを売りに行けばいい」
 お父さんはさっそく、スズメの入った俵を舟につみ、となりの国へ売りにいきました。
「さあさあ、よく太ったおいしいスズメだよ、買った買った」
 お父さんの声を聞いて、大勢の人が集まってきました。
「まさか、死んでいるスズメじゃないだろうな」
「とんでもない。ほれこの通り、ゴソゴソ動いていますよ」
「本当だ。それなら売ってくれ」
「はいはい。みんなきちんと並んでください」
 これほどスズメを買う人があるとは、お父さんも知りませんでした。
(全部売ったら、どのくらいのお金になるだろうか)
と、思うだけでうれしくなってきます。
 ところが俵の口を開けたとたん、スズメがいっせいにとび出して、あっというまに空へとんでいきました。
 よっぱらって寝ていたスズメは、すっかり目がさめてしまったのです。


おしまい


きょうの豆知識と昔話


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きょうの誕生日 → 1972年 有野晋哉 (芸人)


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きょうの日本民話 → よっぱらったスズメ
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2月24日の日本民話 爺婆かぼちゃ

2009-02-24 14:51:52 | Weblog

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2月24日の日本民話


爺婆かぼちゃ



爺婆かぼちゃ
三重県の民話三重県情報


♪ 朗読再生

 むかしむかし、ある村にうつくしい娘が一人で住んでいました。
「ああ、おじいさんとおばあさんが欲しいなあ」
と、いつも思っていました。
 ある日の事、娘がカボチャ畑に立っていると、裏山からガラガラドスン! と、一匹のが落ちてきました。
 鬼は頭や腰を強く打ったので、
「痛い、痛い、痛いよー」
と、泣いていましたが、村人たちは怖くて、だれも鬼のそばへ寄りません。
 でも、娘だけが赤い帯(おび)をビリビリとさいて、痛いところに巻いてあげたのです。
 それから家へ連れていき、鬼にごちそうをたくさん食べさせてあげました。
 すると鬼は、
「これはうまい、うまい」
と、腹いっぱい食べてから、
「お前はなかなか親切なよい娘じゃ。このこづちをお前にやるから、これでかぼちゃをたたいてみるがよい」
と、いったのです。
「ありがとう」
 娘は鬼にお礼をいうと、急いでかぼちゃ畑へ行って、鬼のいったように一番大きなかぼちゃをそっとたたくと、
 ボコン!
と、音がしてかぼちゃが二つに割れて、なんと中からおじいさんとおばあさんがニコニコ笑いながら出てきたのです。
 そして、
「すまないが、わしらをお前の家においてくれんかのう?」
と、いいました。
 もちろん、娘は大喜びです。
 それからは、おじいさんとおばあさんと三人仲よく暮したという事です。

おしまい


きょうの豆知識と昔話


きょうの記念日 → 月光仮面の日
きょうの誕生花 → クロッカス
きょうの誕生日 → 1967年 コージー冨田 (タレント)


きょうの新作昔話 → 長者の森
きょうの日本昔話 → よっぱらいのばけものたいじ
きょうの世界昔話 → 橋の上の幸福
きょうの日本民話 → 爺婆かぼちゃ
きょうのイソップ童話 → よっぱらいとおかみさん
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