きょうの日本民話 gooブログ編

47都道府県の日本民話をイラスト付きで毎日配信。

5月31日の日本民話 家宝の皿

2007-05-31 04:59:19 | Weblog

福娘童話集 > きょうの日本民話 > 5月の日本民話

5月31日の日本民話

家宝の皿

家宝の皿
大阪府の民話大阪府情報

 むかしむかし、大阪に、ある大金持がいました。
  この大金持の屋敷(やしき)には、先祖代々の宝として一枚の皿が伝えられています。
  この皿は青磁(せいじ)といって、青みがかったみどり色の、とてもめずらしいものでした。
  家の主はこの皿をなによりの自慢にし、桐(きり)の箱におさめてふくさで包んで、それはそれは大切にしています。
  ある時の事、この大金持のだんなは、友だちを二、三人つれて大阪でも有名な料理屋へいきました。
「さあ、食ってくれ。たんと食ってくれ」
  山のような料理が目の前にならべられましたが、その出された皿の中に、自分が宝としている青磁の皿とそっくりのものがありました。
  だんなはその皿を手にとって、つくづくとながめていましたが、
(なんと不思議な。わしの物と少しもかわらんではないか)
  いっしょにいた友だちもなかなかの目利きで、次々とその皿を手にとっては、
「いやあ、まことに見事なものよ」
「これは天下に二つとない、立派な皿じゃ」
  などと、ほめたのです。
  そのようすをだまって見ていただんなは、料理屋の主人を呼びました。
「主人、この皿をぜひゆずってもらいたい」
  これを聞いた料理屋の主人は、ビックリです。
「そ、それだけは。この皿は大切なお客さまがいらした時だけ、もちいております家宝の皿ゆえ、なにとぞお許しくださいませ」
  それを聞くと、金持ちのだんなは、
「それならなおのこと、ゆずってもらいたい。三十両(さんじゅうりょう→約二百十万円)で買い受けましょう」
  金持ちのだんなは大判三枚をほうり出すと、その皿を手にとってこなごなに打ちくだいてしまったのです。
「ああっ・・・」
  店の主人は、くだけた皿を見つめていましたが、やがて座を立っていってしまいました。
  このなりゆきを見ていった友人たちが、
「どうしてまた、そのようなもったいないことを」
と、たずねると、大金持のだんなは、
「わしの持っておる青磁の皿は家の宝。世間にそれと同じ物が二つあっては、家の名がすたるわ」
と、答えたのです。
  その夜の事、いつものようにだんなは、青磁の皿をながめて楽しもうと桐箱のふたをしずかにあけました。
「あーっ!」
  さけぶと一緒に、その場にのけぞるように倒れました。
  なんとその中にあった青磁の皿は、こなごなに打ちくだかれているではありませんか。
  しかもかけらの下には、大判が三枚、ちゃんと入っていたという事です。

おしまい
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5月30日の日本民話 六助いなり

2007-05-30 05:04:00 | Weblog

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5月30日の日本民話

六助いなり

六助いなり
京都府の民話京都府情報

 むかしむかし、京都の峰山(みねやま)の近くに、六助(ろくすけ)という、かやをかるのを仕事にしている働き者の男がおりました。
 六助は奥さんのおいちと二人で、山のかやをかってきては、それを売ってわずかなお金をもらってくらしています。
 この六助は働き者の上に、とても親切な男です。
 ある日の事。
「おや? こんなところに、キツネの巣穴(すあな)があるわい」
 それを聞いた、奥さんのおいちは、
「さわらない方がええよ。たたりがあるかもしれねえから」
と、いうと、六助は笑いながらいいました。
「なに、たたりなんかあるもんか。見ろ、こんなにかやがおいしげっておるじゃろう。これじゃ中は暗いし、お月さまもおがむことができめえ。いまおれがそうじしてやるからな」
 そういって六助は、キツネの巣穴のまわりのかやをきれいにかりとってあげました。
「ほれ、これでさっぱりしたじゃろ。さて、はらもへったで帰るとしよう」
 その日の、夜の事です。
 ねむっている六助とおいちのところに、キツネがやってきて言いました。
「今日はご親切に、そうじをしてくれてありがとう。おかげで、お月さまをながめながらねむれるようになりました。お礼に、いいことを教えましょう。あと十日もすると、京の伏見(ふしみ)のおいなりさんに富くじがあります。それを買うといいですよ。きっと大当たりしますから」
 キツネはこういうと、帰っていきました。
 とてもいい話ですが、それを聞いた二人は、それを信じようとはしませんでした。
「富くじなど、なかなか当たるもんでねえ。第一、そんな物を買う金がどこにもねえ」
「本当にねえ。おほほほほほほほ」
 でも次の日も、そのまた次の日も、キツネはやってきていうのです。
「富くじを買え、本当に当たるぞ」
 何回もそういわれると、二人はだんだんとその気になってきました。
「もしも富くじが当たれば、金や米がぎょうさん手に入るな」
「でもあんた、伏見までいくお金がないよ」
 するとその夜、またキツネが出てきていいました。
「伏見までのお金は、戸やしょうじを売ってつくればええ」
 それを聞いた二人はなるほどと思い、さっそく家の戸やしょうじを売ってお金を作ると、伏見へと向かいました。
「よしよし、金がぎょうさん手に入ったらどうするかな? まずは立派な家をたてて、ええ着物きて、おいちにもいっぱい着物を買うてやろう。それからそれから・・・」
 六助は七日かかって、やっと伏見につきました。
 だけど、町の中はシーンとしています。
 六助は、通りかかったおじいさんにきいてみました。
「あの、おたずねしますが、富くじはどこで売ってるんで?」
「へえ? 富くじ? それは来年の二月二日の午の日のことかいな。その日に市がたち、富くじが売られるんじゃが、まだ一年も先のことだよ」
「・・・はあ?」
 六助はしかたなく、家にもどっておいちにわけを話しました。
 それを聞いたおいちは、まっ赤になって怒りました。
「わたしは、お前さんがお金をたくさん持ってくると思って楽しみにしておったのに。戸もしょうじもないこの家で、寒いのをがまんして待っておったんよ。どうしてくれるの!」
「そんな事いうなら、お前がいってこい!」
 二人はたちまち大げんかです。
 そのようすを見て、天井のはりの上からキツネが顔を出していいました。
「やーい、六助。よーく聞け! お前はわしらの巣穴の大切なかやをかったじゃろ。おかげで、わしの家には風がスースー入り込んで、おちおちねむることも出来なくなったんだ! お前たちも戸やしょうじがなきゃ、わしらとおなじ気持ちだろう。どうだい、ねながらお月さまを見る気持ちは。けっけけけけけけけけ」
 それを聞いた六助は、おいちに言いました。
「ああ、こっちは親切のつもりでやったんじゃがのう、キツネにとっちゃあ、ありがためいわくだったんだなあ。悪いことをした。明日、キツネの巣穴の前に戸を立ててこよう」
 次の日、六助はキツネの巣穴の前に、大きな石をおいて帰りました。
 その石を道ゆく人は「六助いなり」といって、おがんでいくようになったという事です。

おしまい
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5月29日の日本民話 わらしべの王子

2007-05-29 04:57:09 | Weblog

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5月29日の日本民話

わらしべの王子

わらしべの王子
鹿児島県の民話鹿児島県情報

 むかしむかし、琉球(りゅうきゅう→沖縄)の那覇(なは)に、長栄(ちょうえい)という男の子と母親が二人でくらしていました。
 長栄が七才になったとき、母親は病気で死にましたが、死ぬ少し前に、
「長栄、これからわたしが言うことをよく聞いて、かならずやりなさい。いいですか、ほかに何もありませんが、天井にワラが三たばあります。わたしが死んで七日たったら、それをみそ屋に持って行って、みそと取りかえなさい。わたしは王さまの妃(きさき)でしたが、ある時、わずかのあやまちのために追い出されたのです。城を出るときに、王さまの父に当たるおかたからいただいたのが、そのワラなのですよ」
と、長栄に言い残しました。
 たった一人になった長栄は、三日間、泣き続けましたが、四日目にはなみだをぬぐって、
(もう、泣かないようにしよう)
と、自分にいいきかせました。
 そして母親が言いのこしたとおり、母親が死んで七日たったらワラを三たば持って、みそ屋へ行きましたが、
「ワラとみそを交換しろだと? ふざけるな!」
と、相手にされませんでした。
 ですが、長栄がしんぼう強く二日も三日も座り込んだので、みそ屋はとうとう、
「お前には負けた、そのワラを買ってやろう」
と、言って、ワラと引きかえにみそを三つくれました。
 長栄はそのみそを持って、今度はいかけ屋に行きました。
 そして、一日中座り込んでいると、いかけ屋は、
「お前の持っているみそを、売ってくれないか?」
と、言ったのです。
「このみそは売れない。でも、そこにあるカマと取りかえるのならいいけど」
と、長栄が答えると、
「そうかい。それならどれでも、自分で好きなのを取りなさい」
 いかけ屋はそう言ったので、長栄はみそをわたして、ふちのかけ落ちたカマを選びました。
 そしてそのカマを持って、かじ屋へ行きました。
 何も言わずに座り続ける長栄を、かじ屋は無視していましたが、座り込んで二日目に、かじ屋は言いました。
「いつまでそこにいられてもこまる。そのカマを買ってやるから、どこかへ行きな」
 そこで長栄は、
「売ることはできない。でも、と取りかえるのならいいけど」
と、答えて、刃の部分だけで持つ部分のない刀をカマと引き替えにもらいました。
 その次の日、長栄はその刀を布にくるんで、唐船(からぶね)をつないである浜へ行きました。
 そして昼寝をしていると、ドロボウがしのび寄って来て、そばにおいてあった刀を取ろうとしました。
 ところがドロボウが刀を取ろうとして手をのばすと、不思議な事に刀はヘビに変わってしまうので、どうしてもぬすむことができません。
 このようすをジッと見ていた、唐船の船頭(せんどう)が、
「おーい、そこで寝ているわらべ(→子ども)よ、その刀を持って船まで来てくれや」
と、大声で呼びました。
 長栄が刀を持って、船に行くと、
「ヘビに変わるとはめずらしい刀だな。その刀をわしにぜひ売ってくれ。お金はたっぷり出すぞ」
 船頭は目を光らせて、そう言いました。
「売ることはできない。でも、びょうぶと取りかえるのならいいけど」
 長栄はそう答えて、びょうぶをもらいました。
 さて、長栄は船頭からもらったびょうぶを持って、王さまの城に行きました。
 そしてけらいに、
「今からおもしろいものを、ごらんにいれます」
と、言って、中庭に入り込むと、びょうぶを立ててそのかげで昼寝を始めました。
 すると間もなく、びょうぶにかいてあったウグイスがよい声でさえずりました。
 その声につられたのか、たくさんの小鳥たちも集まって来て、ウグイスの声に合わせてさかんにさえずります。
 けらいたちはみんなおどろいて、目を見張りました。
 小鳥たちの声を聞きつけて出て来た王さまは、これを見て長栄に、
「これ、そのびょうぶをわしに売ってはくれまいか」
と、言いました。
「このびょうぶは売ることはできませんが、二つの物となら、すぐにでも取りかえます」
 長栄がそう答えると、王さまは、
「その二つの物とは、いったいなにか?」
と、たずねました。
 そこで長栄は、ニッコリ笑うと、
「はい、その二つのものとは、海の塩をぜんぶと、陸の水をぜんぶです」
と、答えました。
 王さまは長栄の答えを聞くと、バカな子どももいるものだなと思って、
「そうか、よろしい。海の塩と陸の水をやるから、そのびょうぶをもらうぞ」
 そう言って、その場で海の塩と陸の水とをぜんぶ長栄のものとするという書き付けをけらいにつくらせて、長栄にわたしました。
 長栄は海の塩と陸の水が自分のものとなったので、ふれを出して、井戸の水をくむ人からは、一おけにつき十銭(じゅっせん)をもらい、塩水をくむ人からは、同じように五銭もらうことにしました。
 井戸水をくんだり、塩水をくんだりするたびに、いちいち十銭、五銭とお金を取られるのて、人びとはすっかりこまってしまいました。
「なんとか、もとのようにお金などはらわないで、自由にくませてもらえないものだろうか」
 人びとはそう言って、王さまに願い出ました。
 けれども王さまは、びょうぶと引きかえに長栄のものとしてしまったものですから、どうにもなりません。
(これは、わしとしたことがまずいことをいたした。なんとか取り返さねば)
 王さまはそう思って、長栄を呼び、
「お金はじゅうぶんにあたえるから、水と塩を返すように」
と、言いました。
「いやです。水と塩は返しません!」
 長栄がことわると、王さまはこまりきって、
「それでは、やむをえぬ。戦をいたしても取りもどすが、よいな」
と、おどかしました。
 けれども長栄はビクビクしないで、王さまの顔をにらみながら、
「わたしは戦だっておそれません。ですが、これだけは王さまにおたずねしたいと思います。それは、わたしの母親をわずかのあやまちで追い出したのは、いったい、どこのどなただったかということです」
と、言いました。
 そう言われて、王さまは長栄が自分の子であることを知ったのです。
 それで王さまは王の位を長栄にゆずって、水と塩とを返してもらったという事です。

おしまい
きょうの豆知識と昔話

きょうの記念日 → こんにゃくの日
きょうの誕生花 → ジャーマンアイリス
きょうの誕生日 → 1937年 美空ひばり (歌手)

きょうの日本昔話 → しかられたゆうれい
きょうの世界昔話 → ヤギとライオン
きょうの日本民話 → わらしべの王子
きょうのイソップ童話 → こどもとカラス
今日の江戸小話 → おまえじゃない

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5月28日の日本民話 うそ五ろうとはねおうぎ

2007-05-28 05:31:51 | Weblog

福娘童話集 > きょうの日本民話 > 5月の日本民話

5月28日の日本民話

うそ五ろうとはねおうぎ

うそ五ろうとはねおうぎ
福島県の民話福井県情報

 むかしむかし、岩代の国(いわしろのくに→福島県)のあるところに、なまけものでうそつきの、「うそたれうそ五ろう」という男が住んでいました。
 あまりひどいうそをつくので、ある日、怒った村人たちにつかまえられて、山の高い木の枝に、さかさづりにされてしまいました。
 するとそこにテングが、テングの宝物の「はねおうぎ」をパタパタとあおぎながら空を飛んできて、
「いったい、何をしておるんじゃ?」
と、たずねたのです。
「さかさまになって見るけしきはいいぞ。どうじゃ、テングさまもやってみんかね?」
「おもしろそうじゃな。しかし、どうやってぶらさがるんじゃ?」
「おらが教えてやるから、ちょっと、おろしてくだされ」
 うそ五ろうはテングをうまくだましてテングを木のえだにさかさづりにすると、とりあげた「はねおうぎ」をパタパタとあおいで、京の都まで飛んでいきました。
 都を歩いていると、りっぱな屋敷の前に、
《娘の病気をなおしたものは、むこにむかえる》
と、立て札がありました。
 うそ五ろうは屋敷の人に、
「娘さんは、どんな病気だね?」
と、たずねました。
 すると屋敷の人は、声をひそめながら答えました。
「それがな、おならの止まらない『尻なり病』です」
「よしきた。おらがなおしてやる」
 うそ五ろうは娘の座敷に入ると、はねおうぎで、娘のおしりをあおぎました。
 するとおならはピタリとやんで、娘も屋敷の人たちも大喜びです。
 そして、家の主人に、
「ありがとうござしました。ぜひとも、娘のむこになってください」
と、たのまれました。
「それは願ってもない話しだが、ちょっくら待ってください」
 うそ五ろうははねおうぎをパタパタとあおいで、テングをさかさづりにしている山へ飛んでかえり、
「テングさま、すまなかった。おわびのしるしに都の酒を持ってきた。たんと飲んでください」
と、テングを木のえだからおろしました。
 うそ五ろうはそれからあらためて都にのぼって、とてもよいむこになったという事です。

おしまい
きょうの豆知識と昔話

きょうの記念日 → 花火の日
きょうの誕生花 → スズラン
きょうの誕生日 → 1955年 村上ショージ (タレント)

きょうの日本昔話 → おいてけぼり
きょうの世界昔話 → ヒツジ飼いの少年
きょうの日本民話 → うそ五ろうとはねおうぎ
きょうのイソップ童話 → ビーバー
今日の江戸小話 → みょうが宿

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5月27日の日本民話 海にしずんだ島

2007-05-27 05:34:09 | Weblog

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5月27日の日本民話

海にしずんだ島

海にしずんだ島
大分県の民話大分県情報

 むかしむかし、大分県には瓜生島(うりうじま)という島がありました。
 島にはいくつかの村があって、豊漁(ほうりょう)をもたらしてくれる恵比寿(えびす)さまがまつられていました。
 島には古くから、こんな言い伝えがあります。
「恵比寿さまの像(ぞう)が赤くなると、島が沈む」
 それを知っただれかが、恵比寿さまの顔にベンガラ(→酸化鉄の塗料)という赤い顔料をぬったのです。
 するとその夜、島がグラグラとゆれ動き、たった一夜のうちに島の人もろとも島は海に沈んでしまったのです。
 この日は、慶長元年(けいちょうがんねん→一五九六年)七月十二日だと言われています。
 さて、このとき近くにあったもう一つの島の久光島(ひさみつじま)は、海に沈むのをまぬかれましたが、この久光島にも、
地蔵(じぞう)さんの顔が赤くなったら、島が沈む」
と、いう、古くからの言い伝えがありました。
 瓜生島が海に沈むのを見た、久光島の人たちは、
「瓜生島に伝わる言い伝えは、本当だったんじゃ。それにしても、言い伝えをためしてみるなど、バカな事をしたものじゃ」
と、自分たちの島が沈まなかった事に、胸をなでおろしていました。
 ところが、それから二年後のことです。
 地蔵さんへのお参りにきた島の人が、地蔵さんの顔に赤いものがぬられているのを見つけて、大さわぎになりました。
「だれがあんなイタズラをしたんじゃ! 瓜生島でもバカなイタズラをして、島が沈んでしまったのじゃ」
「イタズラでもなんでも、今のうちに逃げた方がいい」
 そういって、久光島から逃げだした人もいましたが、
「まさか、そんなことがおこるわけがない」
と、大勢の人が、島から逃げだす人たちを見て笑っていました。
 するとその日のうちに、鶴見岳(つるみだけ)が大噴火(だいふんか)をして大津波(おおつなみ)が発生し、久光島は大津波にのみこまれて、瓜生島と同じように海にしずんでしまったという事です。

おしまい
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きょうの誕生花 → つるばら
きょうの誕生日 → 1955年 内藤剛志 (俳優)

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きょうの日本民話 → 海にしずんだ島
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