きょうの日本民話 gooブログ編

47都道府県の日本民話をイラスト付きで毎日配信。

4月15日の日本民話 ナメクジ土俵

2008-04-15 05:08:49 | Weblog

福娘童話集 > きょうの日本民話 > 4月の日本民話

4月15日の日本民話

ナメクジ土俵

ナメクジ土俵
愛媛県の民話愛媛県情報

 むかしむかし、ある村では日照り(ひでり→長い間、雨がふらない事)がつづいて、田畑の作物がほとんど枯れてしまいました。
 食べる物が少なくなり、働く気力もなくなったお百姓(ひゃくしょう)さんたちは、すっかりふさぎこんでいました。
 この村では毎年四月にすもう大会がひらかれていましたが、土俵(どひょう)をつくる元気もないのか、だれもすもう大会のことを口にする者はいません。
 このままでは、すもう大会は中止になるでしょう。
 ところが、ある朝の事です。
 畑仕事にいこうとしたお百姓が、お地蔵(じぞう)さんの前の原っぱで、キラキラ光っているものを見つけたのです。
「はて。なんだろう?」
 お百姓が原っぱまで行ってみると、大きな土俵(どひょう)のまわりの縁のところが、日の光にあたって丸くと光っていたのです。
「だれかが、こんなりっぱな土俵をつくってくれたぞ」
 お百姓は喜んで、ふと土俵のかたわらの草のかげに目をやると、そこには何百匹もの死んだナメクジがころがっていました。
 お百姓はビックリして、村の人たちのところへ飛んでいきました。
「そういえば、きのうの晩おそくにあそこを通ったんだ。その時、何かがボーッと光っていた。月の光が草の夜露(よつゆ)にあたっているんだろうと思って、べつに気にもかけなんだが、その時に、このナメクジたちがはいずりまわって、からだのネバネバで土俵をつくっておったんだな」
「これは、祭りにすもう大会をしろという事じゃないか。きっと神さまがナメクジたちに命じて、この土俵をつくらせたんじゃ」
「うむ、そうかもしれん」
 ナメクジは自分たちが死ぬほどの力を出して、たった一晩で見事な土俵をつくったのです。
 祭りの日、元気を取り戻したお百姓さんたちは、すもう大会をおおいに楽しみました。
 そして自分たちに元気をあたえてくれた土俵に、『ナメクジ土俵』という名前をつけたという事です。

おしまい

きょうの豆知識と昔話

きょうの記念日 → ヘリコプターの日
きょうの誕生花 → きんぎょそう
きょうの誕生日 → 1965年 野口聡一 (宇宙飛行士)

きょうの新作昔話 → 米のごはんを腹いっぱい
きょうの日本昔話 → カモとりごんべえ
きょうの世界昔話 → おくびょうものと大男
きょうの日本民話 → ナメクジ土俵
きょうのイソップ童話 → アリとハト
きょうの江戸小話 → こやしとおもう

hukumusume.com サイト一覧


4月14日の日本民話 イモほり藤五郎

2008-04-14 04:58:04 | Weblog

福娘童話集 > きょうの日本民話 > 4月の日本民話

4月14日の日本民話

イモほり藤五郎

イモほり藤五郎
石川県の民話石川県情報

 むかしむかし、加賀山科(かがやましな)の里に、山イモをほって生活している、藤五郎(とうごろう)という若者がいました。
 とても気のいい男で、あまったイモはみんな人にやってしまうのです。
 ある日、藤五郎のところに、都からとても美しいお姫さまがきました。
 そして、ビックリしたことに、
「藤五郎さま、わたくしをあなたのお嫁さんにしてください」
と、たのんだのです。
「それはうれしいが、せっかく嫁にきてもらっても、家には二人分のお米もない」
と、いう藤五郎に、お姫さまはいいました。
「これで、お米だってお魚だってなんでも買えますよ。心配いりません」
と、いって、砂金(さきん)の入った錦(にしき)の袋を藤五郎にわたしました。
 欲のない藤五郎は、砂金の価値もわからないまま山をおりて、買い物にでかけました。
 藤五郎は山を下りる途中、二羽の鳥を見つけました。
 お姫さまにあの鳥の肉を食べさせてあげようと思い、砂金の袋を鳥めがけて投げつけました。
 ところが砂金の袋は口がひらいてバラバラになり、鳥も逃げてしまいました。
 手ぶらで帰ってきた藤五郎の話を聞いたお姫さまは、
「まあ、あなたという人は、何という事をしたのです」
と、いって、残念がりました。
 そんなお姫さまのようすをみて、藤五郎はいいました。
「それは悪い事をしたな。だけども、こんなものが欲しいのなら、山イモをほればツルにいくらでもついてくるよ」
 藤五郎はお姫さまを山につれていき、山イモをほってみせました。
 すると山イモのツルは、ピカピカに輝いています。
「まあ、これはもしかして」
 お姫さまが山イモを沢(さわ)で洗ってみると、たくさんの砂金がとれました。
 それから藤五郎は、イモほり長者と呼ばれるようになりました。
 しかし藤五郎の生活ぶりは変らずで、砂金をとっても貧しい人にわけてあげるなど、欲のないものでした。
 村の人たちはイモ洗いの沢を『金洗沢(かねあらいさわ)』と呼び、いつごろからか『金沢(かなざわ)』というようになったのです。

おしまい

きょうの豆知識と昔話

きょうの記念日 → SOSの日
きょうの誕生花 → どうだんつつじ
きょうの誕生日 → 1970年 工藤静香 (歌手)

きょうの新作昔話 → ホジャおじさんのだまし勝負
きょうの日本昔話 → しびれのくすり
きょうの世界昔話 → 力比べ
きょうの日本民話 → イモほり藤五郎
きょうのイソップ童話 → カラスと水差し
きょうの江戸小話 → めじるしの犬

hukumusume.com サイト一覧


4月13日の日本民話 お坊さんに手を貸した男

2008-04-13 07:09:00 | Weblog

福娘童話集 > きょうの日本民話 > 4月の日本民話

4月13日の日本民話

お坊さんに手を貸した男

お坊さんに手を貸した男
東京都の民話東京都情報

 むかしむかし、江戸(えど→東京都)に、右筆(ゆうひつ)をつとめる男が住んでいました。
 右筆とは、殿さまにつかえて字を書く仕事で、今でいえば書記のようなものです。
 ある朝、この男が家の門を出ると、一人の坊さんに出会いました。
 坊さんは、男のそばへ寄ってくると、
「ぶしつけな願いじゃが、あなたの手をしばらく貸していただけませぬか。これから書の会に出ねばなりませぬのでな」
 書の会とは、おたがいに字を書いて見せ合う集まりです。
 とつぜん見も知らぬ人から手を貸せといわて、男はビックリ。
「手を貸すとは、どのような事ですかな?」
と、たずねると、
「いや、ベつになんという事もござりませぬ。ほんのしばらく、あなたの手をお貸しいただければよろしいので」
 変だなと思いましたが、相手はお坊さんなので、
「まあ、いいでしょう」
と、答えてしまいました。
 ところがその日から、殿さまのご用もあるのに、紙を前にするとまったく手が動かないのです。
 右筆は、困りはてて、
「字のかけぬ右筆など、なんの役にも立たぬ」
と、いつ首になるかも知れないと思っていました。
 ところが三日目のタ方、右筆の家に、あのお坊さんがやってきて、
「あなたさまのおかげで、命びろいをしましたわい。ありがとうございました」
と、いかにもうれしそうに礼をのベて、
「これといって、大したお礼もできぬが」
と、何かを書いた紙を出すと、
「これは火をふせぐ力を持っております。もしお近くで火事がありましても、これがありますと、もらい火はまぬがれまする」
と、いって、右筆の手に紙をわたしたかと思うとさっと、すぐにどこかへいってしまいました。
 その日から右筆の手は、もと通りに字が書けるようになりました。
 右筆は殿さまにめいわくをかけたといって、おわびのしるしにお坊さんにもらった火難よけの紙をさし出しました。
 殿さまはその紙を掛け軸職人に出して立派な掛け軸にすると、いつも床の間にかけていました。
 それからあと、何度も家敷の近くに火事がありましたが、この家だけはいつも無事でした。
「これはまた、なんとありがたいものであろう。家宝にいたそう」
と、殿さまは大喜びです。
 そして万が一にもぬすまれては大変と、土蔵(どぞう)の中へ大事にしまっていました。
 ところがそれから数日後、近所に火事がおこりました。
 急いで掛け軸をとり出しにいきましたが間に合わず、屋敷は灰になってしまいました。
 でも、掛け軸がある土蔵だけが焼けずに、ポツンと一つ、広い焼けあとの中にのこっていたという事です。

おしまい

きょうの豆知識と昔話

きょうの記念日 → ボーイスカウトの日
きょうの誕生花 → いちご
きょうの誕生日 → 1955年 西城秀樹 (歌手)

きょうの新作昔話 → 小鳥を捕る方法
きょうの日本昔話 → ニワトリのお告げ
きょうの世界昔話 → トルーデおばさん
きょうの日本民話 → お坊さんに手を貸した男
きょうのイソップ童話 → イルカとクジラとハゼ
きょうの江戸小話 → サルがにる

hukumusume.com サイト一覧


4月12日の日本民話 ヒヒと力くらべをした源助

2008-04-12 05:47:07 | Weblog

福娘童話集 > きょうの日本民話 > 4月の日本民話

4月12日の日本民話

ヒヒと力くらべをした源助

ヒヒと力くらべをした源助
富山県の民話富山県情報

 むかしむかし、黒部(くろべ)の山おくでは、突風(とっぷう)が起こって木こりたちを空中に投げとばしました。
 これはこの地にすむヒヒが木を切らせないように、木こりたちを追い払おうとしているためです。
 さて、この黒部の山おくに、源助(げんすけ)という木こりの親分(おやぶん)がいました。
 たいそう力持ちで、イノシシでも素手(すで)でなぐり殺すほどです。
 ある日の事、この源助が作兵衛(さくべえ)という木こりを連れて奥山に入ったところ、すさまじい突風が吹きつけたので、ひとまず山をおりることにしました。
 ふと後ろをみると、ついてきているはずの作兵衛がいません。
 いそいで引き返してみると、ヒヒが大きな手で作兵衛の体をつかみ、からだを引きさこうとしているではありませんか。
「おのれ! お前なんぞに作兵衛を渡してなるものか!」
 源助はこういうと、とび上がって作兵衛の足をつかみ、ヒヒから引き離そうとしましたが、これがなかなか離れません。
 作兵衛の手足からしたたる血で、源助は血まみれです。
 源助とヒヒとの力くらべは、一晩じゅう続けられました。
 しかし、夜明けになるとヒヒが根負けして、作兵衛をはなして谷の向こうに消えていきました。
 源助は作兵衛を介抱(かいほう)して家にとどけると、すぐ奥山にもどって、谷一番の大木を切りました。
 あのヒヒをよびだして、勝負の決着をつけようと言うのです。
 でも源助におそれをなしたのか、それからヒヒの姿は見られませんでした。

おしまい

きょうの豆知識と昔話

きょうの記念日 → 世界宇宙飛行の日
きょうの誕生花 → あんず
きょうの誕生日 → 1966年 広瀬香美 (歌手)

きょうの新作昔話 → オオカミとキツネ
きょうの日本昔話 → きんぴかのやかん
きょうの世界昔話 → リップ、バン、ウィンクル
きょうの日本民話 → ヒヒと力くらべをした源助
きょうのイソップ童話 → ヘビのしっぽと胴体
きょうの江戸小話 → 気のきく男

hukumusume.com サイト一覧


4月11日の日本民話 風呂のぬか団子

2008-04-11 04:37:22 | Weblog

福娘童話集 > きょうの日本民話 > 4月の日本民話

4月11日の日本民話

風呂のぬか団子

風呂のぬか団子
広島県の民話広島県情報

 むかしむかし、田舎(いなか)のお百姓(ひゃくしょう)さんが、初めて江戸(えど→東京都)へ出てきました。
「ごめんなさい。今晩、泊めてください」
 お百姓さんが、宿屋の前でそう言うと、
「はい、ただいま。さあ、どうぞどうぞ」
 宿屋の女中(じょちゅう)さんは、お百姓さんを部屋に案内しながら言いました。
「ご飯を先にしますか? それともお風呂にしますか?」
「へえ、お風呂に入れてもらいましょう」
「では、こちらへ」
 お百姓さんは女中さんに案内されて、お風呂場へいきました。
 お風呂場には、ぬかと塩がおいてありました。
 むかしは石けんも歯ブラシもなかったので、ぬかで顔を洗い、塩で歯をみがいたのです。
 でも、このお百姓さんは、そんな事は知りません。
「はあ、これはきっと、ぬかダンゴを作って食べろというんだな」
 そう思い、ぬかに塩を入れて水でねり、ダンゴを作って食べました。
「こりゃうまい。こいつは、なかなか上等なぬかじゃ」
 お百姓さんは、ぬかダンゴをすっかり食べてしまいました。
 さて、お風呂からあがって部屋にもどると、女中さんがご飯を持ってきました。
 それを見て、お百姓さんが言いました。
「おら、お風呂でぬかダンゴを食ったから、もう、お腹がいっぱいじゃ」
「えっ? ぬかダンゴ?」
「ああ、とてもうまかったよ」
 女中さんは、ビックリしました。
 でも、お百姓さんに恥(はじ)をかかせてはいけないと思って、そのままご飯をさげました。
(もしかしたら、明日の朝も顔を洗うときに、ぬかを食べてしまうかもしれない)
 親切な女中さんは、ぬかと塩のかわりに、おもちをおいてあげました。
 さて次の朝、お百姓さんがお風呂場にいってみると、どうでしょう。
 ほかのお客さんは、ぬかを手ぬぐいにつつんで顔を洗っているのです。
「なんと、ぬかは顔を洗うもんだったか。こりゃ、とんでもない恥(はじ)をかいてしまった」
 さて、お百姓さんが顔を洗おうとすると、目の前におもちがおいてあります。
「よし、今度はまちがわないぞ」
 お百姓さんはおもちを手ぬぐいにつつんで、ごしごしと顔を洗いました。
 するとおもちがとけて、顔にベタベタとつきました。
 それでもお百姓さんは、うれしそうに言いました。
「やれやれ、今日は恥をかかずにすんだわい」
 ところが顔は、おもちだらけです。
 それを見た女中さんは、とうとう腹をかかえて大笑いしました。

おしまい

きょうの豆知識と昔話

きょうの記念日 → ガッツポーズの日
きょうの誕生花 → ヒヤシンス
きょうの誕生日 → 1949年 武田鉄矢 (俳優)

きょうの新作昔話 → 米のめし
きょうの日本昔話 → おとうふ下さい
きょうの世界昔話 → イワンのバカ
きょうの日本民話 → 風呂のぬか団子
きょうのイソップ童話 → 山の猟師と海の漁師
きょうの江戸小話 → 紛失の師匠

hukumusume.com サイト一覧