投信メモ

調べたことをメモしてます
・『AI日本株式オープン(絶対収益追求型)(愛称:日本AI(あい))』03314172:JP

AI日本株式オープンと予想配当利回り

2019-06-21 | 投信メモ:AI日本株式オープン

下図は、AI日本株式オープンの予想配当利回りの推移を描いたものです(予想配当利回りの値は月報より取得)。

 

これによると、今年3月頃から、ファンドの平均予想配当利回りが低下し、東証一部の平均予想配当利回りを下回るようになっています。

今までは一貫して東証一部を上回ってきました。

ちょうどこの時期にモデル改良実施のアナウンスがありましたが、今回の改良は、従来のファンド特性を変える大幅な変更となった模様です。

 ☞ 2019年03月29日 『運用戦略で活用するモデルの機能強化について<pdf>

AI日本株式オープンの特徴の1つに『高配当利回り銘柄への投資』がありましたが、どうやらこの部分を大きく変更したようです。

例えば、5月末の組入れ上位銘柄を見ると、「高配当銘柄」としてリクルートなどが採用されています(これがなぜ「高配当」なのか、『AI』だからこその知見かもしれません)

 

 

2月頃に出た運用状況レポートの説明では、年初来の反発局面に入って、下げ続けたAI日本株式オープンも反発すると想定していたようですが、

モデルは、ファンド担当者の「理解」とは異なり、悪化を続けました

 ☞ 2019年02月12日『直近半年間の運用状況について<pdf>

流動性が相対的に乏しい中小型の高配当銘柄の株価下落が大きく、株式個別銘柄戦略のパフォーマンス悪化に影響しましたが、
これらの銘柄についても、リスク回避の動きが収まると共に反発に転じ、プラスに寄与すると考えています
加えて、株式市場上昇の確信度が高まる場合には、先物アロ ケーション戦略のモデルが局面判断を変更し、実質国内株式組入比率を引き上げることでパフォーマンスの上乗せを図ります。

 

 

 

説明通りの動きにならなかったことで(反発どころか悪化を続けた)、急遽、大幅なモデル改良(≒ファンド特性の変更)が実施されたと推察します。

ただ、3月末以降のパフォーマンスを見ても、一貫して、悪化を続けています。

端的に評すれば、モデル改良効果は出ていないと言えます。

 

 

モデルの要因分解の計算方法について、具体的な記載がないので分かりませんが、この部分がどうもうまく計算出来ていないのではないでしょうか?

パフォーマンスを見ていると、直感的な印象でしかありませんが、そんな風に感じています。

モデルの問題の所在は、別の部分にあるように思えてなりません。

現場担当の責任者が問題を誤魔化すために、明後日の方向を向くよう、意図的に情報を歪めて出す事があります。

当ファンドは分析段階でかなり酷いことをしていたので、どうしても猜疑心の方が強くなってしまうのかもしれませんが)

度重なる改良を実施しながら、このような状況が続いている以上、一度、ベースからきちんと見直した方が良いような気がします。

 

 

 

ところで、目先の改良でパフォーマンスが改善するくらいなら、そもそも、最初からここまで酷いパフォーマンスにはならなかったことでしょう。

そして、慌てて目先の状況に合うようにモデルをチューニングしてしまう事態は、レベルの低いクオンツファンドではよく見られる現象です。

データ分析により有効性を確認したと主張し、ファンドの根幹に据えていた「投資哲学(高配当戦略)」ですら(だからこそ予想配当利回りを月報で報告)

実質的に、あっさりと捨ててしまっています。

目先のパフォーマンスにしか目が行かなくなると、ファンドはますます悪循環に陥ることになると思います。

 

非常に厳しい言い方をしてしまいますが、

このファンドの最大の失敗は、「AI」を使うことを目的化してしまい(机上レベルの幼稚な仕事しかしていない)、

「AI(手元にある技術)で何をするのか」という投資戦略上の意義を考えること(プロフェッショナルな仕事)が出来なかった点にあると思います。