通過者
ジャン=クリストフ・グランジェ 著 TAC出版 / 2018.8
濃霧の夜のボルドーで、完全な記憶喪失の男が保護され、牡牛の頭部を被せられた全裸死体が発見された。
自分は殺人犯なのかと疑って逃走した精神科医の男の前に、次々と現れる装飾された惨殺死体。
彼は無実と信じて追う女警部は、絶望的な暴走を繰り返す。
フランス全土をまたぐ二人の逃走と追跡は、ついに嵐の港で真実とぶつかり合う。
面白かったー!!!
最後の最後まで、まだ展開するの?というくらい、常にお話が進みまくり、これ、終わるんだろうか?と、そして、どうしてこんなお話を思いつけるんだろう?と、本当に何度も思いました。
殺人事件とは別に、記憶を無くす?多重人格?と、主人公の病状がはっきりせず、どういうことなんだろう?と常に疑問に思うのですが、それは、主人公も同じなので、結局、主人公と一緒に謎解きをする感覚でした。
結局、正確な病状としては後半にはっきりしますが、若干、そんなことしていいの?という疑問も残りました。
日本も戦時中…というクダリもあり、でも、今は有事ではないフランスが、フランス軍も関わって、そういう発想と、頓挫したとはいえ実行するというのは…、フィクションとはいえ書いちゃうんだーという驚きがありました。
とにかく面白いのですが、一つだけ気になったのが、女性警部のアナイス。
父親との関係は別としても、魅力的には見えませんでした(これが残念)。
やはり、薬物、ですかね。
他にも、部下を馬鹿にする言動が多いのも気になりましたし、人としてどうなんだろう?と思わされました。
二段組み、700ページ、字、小さい!
本を手にした時、その厚さに年内に読み終わるだろうか…と一瞬、ガクッとなりましたが、中を開くと二段組!
京極夏彦さんに鍛えられ、二段組にはなぜかやる気が出てしまいます!
今回も、文字の小ささはちょっと辛かったのですが、二段組に燃え、読むのが遅い私があっという間に読み終わってしまいました!