大家さんと僕 これから
矢部 太郎 著 新潮社 / 2019.7
季節はめぐり、初めての単行本が大ヒットとなった僕は、トホホな芸人から一躍時の人に。
忙しい毎日を送る一方、大家さんとの楽しい日々には少しの翳りが見えてきた。
僕の生活にも大きな変化があり、別れが近づくなか、大家さんの想いを確かに受け取り
「これから」の未来へ歩き出す僕。
美しい感動の物語、堂々完結。
号泣でしたー。
大家さんが二度目の骨折をした辺りから、お別れが近いのだろうと思うと先を読むのが悲しくて、悲しいエピソードじゃなくても泣けてきました。
大家さん、本当に素敵な方です。
矢部くんは、大家さんについてはフィクションを強調していますが、大家さんと矢部くんの二人の関係にはフィクションというイメージは到底持てません。
大家さんの思い出のお話、今回は特に戦争の経験のお話が多かったので、大家さんの当時のお気持ち、大家さんのお話を聞いている矢部くん、そして、それを読ませてもらっている多くの読者たちにとっても、大家さんはかけがえのない方だなと思いました。
もっともっと多くのお話を矢部くんにされたのだろうと思いますが、大家さんの残したものはとても大きかったと思います。
矢部くんにとっても、大家さんとの出会いはかけがえのないもので、全てに意味があるような、そんなことを思いました。
大家さんが入院した時の矢部くんの気持ちや、仕事が忙しくなり大家さんからの電話に困惑する自分、どれも、大家さんへの申し訳ない(言い訳だとは思いたくないですが)気持ちが伝わり、きっと、後悔したんだろうなと思いました。
でも、大家さんのたくさんのお友達に本を送ってあげたり、頻繁なお見舞、家を買いたいという気持ちは、もちろん、大家さんに届いているので、その後悔した気持ちを大切にして欲しいと思いました。
本当に素敵な二人です。
大家さんだからこそ、矢部くんだからこその二人であって、そして、こんなに素敵な漫画を、大家さんのお話を残せたことは素晴らしいことだと思いました。
大家さん、ありがとう!
あ、矢部くんもね。