![]() | 蟹工船・党生活者 (新潮文庫)小林 多喜二新潮社このアイテムの詳細を見る |
某全国紙のコラムに紹介されてから一気にベストセラーになった本書。
中学校の国語の授業で文学史をやった際に受験のために作家と題名を暗記したに留まっていた本書。
実は小林多喜二はエリートだったというトリビア知識があるくらいで、ちっとも興味を持っていなかった本書。
でも今の時代がなにか共鳴するものがあるのかしらん、と思って購入しました。
が!!!
私には描写が辛くて、30ページ行かずしてリタイア。
決して読みにくい文体の小説ではなく、逆に「読みやすい」書かれ方なんですが、ちょっと内容がきつくて読み進めることができませんでした。
それだけ分かりやすい表現力の小説、という意味では素晴らしいです。
けれど小説の中に描かれいることを頭で想像していくと、息がつまってページをめくれない。つらい。精神的にかなりつらい。
読破できず、こんな感想しか書けない自分が情けない。
それだけ、私自身が甘いのかもしれません。
この小説が現代の若者に本当に受け入れられているとしたならば、その事実もまた辛い。
「働く」ということに希望が持てない社会になってしまったのでしょうか。
今の時代は決して希望が持てる環境ばかりとは言えませんが、それでも自分の努力と現状を打破する知性とでもってすれば、現代はこの小説の世界よりはずっと恵まれていると思います。
私自身に甘さがあるゆえの実感なのは確かですが、それでも就職氷河期を経験し、人員削減・経費削減の現場も見ているのもまた事実。
そういう上であえて感じることを書くならば、「蟹工船」は法整備や当時の経済状況・社会の認識に問題があり、小林多喜二はそこをえぐり出したかったのでは、と思うのです(・・・まだ最後まで読んでませんが)。
つまり「社会」の問題であり、「個」の問題ではなかった。
そういう視点に立つと、当時と現在とで状況が同じと言えるでしょうか。
「社会」「環境」という面では重なる部分、彷彿とさせられる部分があります。
しかし、「個人」は当時と現代ではあまりにも違う。
だからこそ、この小説が共感されることに疑問を持っているのも確かです。
あ、でもまだ読破できていないので、何も言えないや。
もう少し時間をおいて、再度、チャレンジしてみたいと思います・・・