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石田芳恵のツボ

フリーアナウンサーのお仕事日記のはずが、大好きな映画・音楽・本のレビューに。感動とやさしい気持ちをお届けしたいです。

今日の購入本、孫崎享『戦後の正体』。これはわかりやすい!

2012年09月24日 15時52分05秒 | 本の感想(評論)
現在、NHKの土曜日に放送している吉田茂のドラマ、おもしろいけれど現実感がなくて・・・。
吉田茂が決断力を持って堂々とマッカーサーとやりあったというのは、
国内向けのポーズだと思うのですよね。
じゃなきゃ、現代がこんなにアメリカ追随の政治になってないもの。
なんて、ずっと感じていたことが、ものすごーく臨場感を持って語られている本だったので、
どきどきしながら読んでいます。

著者は、外務省官僚を経て、防衛大教授の経験もある方。
だからこそ、話の展開や論説が、実体験に基づくものだったり、資料に真摯に向き合った結果だったりします。
そして、分かりやすい。
「戦後」という認識を、あらためて紐解き、
そして現代の政治につながる流れを当時の首相を中心にまとめています。
今の日本が抱えている問題の根幹を直視できます。

国際情勢と国内政治を論じた本は、読むのに比較的時間がかかるのですが、これはあっという間に読めそうです。
そして、学生時代の日本政治学の授業を思い出しました。
また、勉強したいなあ。



戦後史の正体 (「戦後再発見」双書)
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創元社

『ベーシックインカム入門』、社会保障っていろいろ。

2012年05月30日 01時47分18秒 | 本の感想(評論)
生活保護が何かと話題の昨今、
社会保障やセーフティネットに対する日本人の思考が
かなり露わになっていますね。


この本は、生活保護の問題点から始まり、
社会保障について、分かりやすく解説しています。
あらためて、今回の騒動を振り返ったとき、
この国には、ベーシックインカムの考え方は馴染まないのか?と
思ってしまったのです。
私は、社会に理想を持ちたいので、ベーシックインカムに肯定的です。
実現は、そりゃスグには無理だけど、
理念としてはアリかな、、、

ベーシック・インカム入門 (光文社新書)
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光文社

『ラジオ福島の300日』、一気に読みました

2012年04月06日 22時34分17秒 | 本の感想(評論)

3.11のあの日、マイクの前で出来たこと・できなかったこと、、、
1年たった今も放送の意味を考えています。

AM単営のラジオ福島の300日を振り返ったこの本は、
共感することも多く、
時に涙ぐみながら読みました。
制作サイドだけでなく、営業サイドの苦悩、
著作権協会やTBSラジオなど他局の協力など、
参考になることもたくさんありました。

感想はまだ色々あるのですが、
まずは出版してくださったことに感謝します。

ラジオ福島さんの300日は、
この仕事を誇りに思える軌跡であり、
この仕事の責任を実感する重さもあります。

ラジオ福島の300日
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毎日新聞社

北川健次著『絵画の迷宮』、ミステリーとしても・紀行文としても

2012年03月15日 18時24分53秒 | 本の感想(評論)
2004年に刊行された『「モナ・リザ」ミステリー 名画の謎を追う』に、
加筆・修正が加えられた文庫が発売されたので、早速購入。

私は子供の頃から、「モナ・リザって怖い!」と思ってました。
絶世の美女とか、魅惑的な微笑み、という以前に、
この女の人、不気味だなあと、その妖しさにぞっとしていたわけです。
そこがまた、きっと魅力なんでしょうね。
(好きか嫌いかというと苦手な絵ですが、すごーく力があるのは分かる)

モナ・リザは誰なの?なぜ描かれたの?という謎から、
レオナルド・ダ・ヴィンチ本人の性格や生い立ち、精神構造までを迫る。
美術史からだけのアプローチではなく、
脳科学、夏目漱石、発達心理学、法然上人など、
まさか関連があるとは思えないところからもじりじりとダ・ヴィンチの本質へ近づいていく。
一方で作者は、「本物」の絵の前に立ち、ダ・ヴィンチの過ごした場所に足を運ぶ。
だからこそ、バラバラだった素材に一本の糸が通っていく。

まるで推理小説を読んでいるおもしろさ!

その他、フェルメール論、ピカソ、ダリ、デュシャンについての記述もあるが、
この「モナ・リザ」にまつわる推察が一番ドキドキします。
好き嫌いを越えて、パワーのある絵は、何らかの物語があるんだな、と納得。

そして、ダ・ヴィンチという謎の多い大天才が、
ぐっと身近に感じられると同時に、なぜ彼が天才であるかが少し理解できる本です。






絵画の迷宮 (新人物往来社文庫)
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新人物往来社

今日の購入本『英文ビジネスメール・レター』

2011年12月14日 00時30分33秒 | 本の感想(評論)
急に仕事で英文でメールのやりとりが必要になったので、
3冊のメールマニュアルを購入。
2500円だけある流石の情報量。

が、今すぐ返信したい私にはレベルが高すぎました。
とにかくシチュエーションが細かい。
「請求書の誤りについての苦情」とか「雇用事実を照会する」とか。
日本人の少ない外資系企業へ就職する際や、
海外との取引の最前線に立っている人には、
本当に心強い一冊だと思います。

それにしてもなんで私はこれを購入したんだろう・・・

ということで、
ある程度のやりとりは、辞書で十分なことが分かりました。
後は洗練度を高めることかな。
これは日本語でも奮闘中なのですが。


ネイティブはこう書く!英文ビジネスメール・レター
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語研

今日の購入本『ビジネス英文メールの鉄則』

2011年12月14日 00時25分21秒 | 本の感想(評論)
急に仕事で英文でメールのやりとりが必要になったので、
3冊のメールマニュアルを購入。
1つの文章を作るというよりは、
1つのメールを作成するための構成に役立つ本。
日本の言い回しをそのまま英訳すると、
伝わらないことも多いので、誤解も少なくなると思います。

が、今日中にすぐ返事を書きたかった私には、
そんなに役に立ちませんでした。
きっと本書が指摘しているような、ぶしつけなメールとなったことでしょう。
今後のメールの力をアップさせるために必要な本のようです。


10分間で超速スキルUP! ビジネス英文メールの鉄則
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日経BP社

今日の購入本『英文ビジネスレターは40の構文ですべて書ける』

2011年12月14日 00時18分13秒 | 本の感想(評論)
急に仕事で英文でメールのやりとりが必要になったので、
3冊のメールマニュアルを購入。
意思を伝える文頭の表現が多く、最初に勉強するには効率的かも!

が、私はとにかく今日、返信したいのです、まずは。
すごーく急いでいる私が使った『構文』はひとつだけ。
「I would like to...」
後は和英と英和の辞書でなんとかなりました。
緊急時には辞書で十分かもしれないけれど、
今後の勉強には使いやすい本かもしれません。

英文ビジネスレターは40の構文ですべて書ける
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研究社

今日の購入本『いかにして問題をとくか』

2011年12月05日 14時12分39秒 | 本の感想(評論)
本を購入してばかりで、なかなか最後まで読み切れず、また購入。
いわゆる「積読」(つんどく)状態のものも多い。
とりあえず購入時の好奇心を大切にしたいので、こちらにアップ。

大人の数学本として、以前から噂に聞いていた一冊。
本屋で山積されているのを見て、本日お買い上げ。
日常生活から専門職の現場まで、
いろんなシーンで数学的思考を持っている人に出会う。老若男女問わず。
これは理系だからとか、算数が得意だからとか、理屈っぽいから、という意味ではなく、
シンプルで親切で無駄のない思考回路を持っている人のこと。
簡単に言うと、公式やルールがきちんと理解して使われている頭。
もうちょっとややこしく言うと、
頭の中に第四象限までの座標軸があったり、
思考ベクトルにz軸があったりするかんじ?

数学はもともと好きな科目だったので、のんびり読んでいこうかと思います。
数学は最もシンプルな言語で、頭のヨガみたいなもの、
と気軽にページを開いたら、
やっぱり、この内容、けっこう数学そのものレベルも高いような・・・。
(読後の感想はまた)


いかにして問題をとくか
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丸善

総合的に使える料理本「ようこそ、私のキッチンへ」(有本葉子)

2011年08月01日 01時37分29秒 | 本の感想(評論)
「ストレス?あまり感じない方だと思う」
「少なくとも、ここ3年は、ストレスらしきものを感じたことがない」
「とりあえず、何かを作ってると楽しくなるもん」

・・・と口にすると、相当鈍感な人間だと思われるのでしょうが、
イライラがあまり続かない性格です。
(イラッというのはあるかもしれないけれど、すぐ忘れる)

というのも、「自炊」のおかげです。

幼い頃から、
何かを造っている/作っている/創っている時って、
集中していて楽しくてしょうがなかった。
ありがたいことに、仕事でも「つくる」ことに携わっているし、
30代を迎えてからはプライベートタイムも「つくる」時間が増えた気がします。

特に料理。
決して得意ではありません。
冒険心と好奇心で、レシピ通り作らず
トンデモナイことになることもありますが、
でも楽しい。

キッチンに立っている間は、
いろんなことを忘れて、そしてスッキリと浄化できる時間です。

そんなわけで、たくさんのお料理本にお世話になっているのですが、
最近のヒットはこちら。

太くて重くて、辞書か辞典のようなお料理本ですが、
「なるほど!」「ふむふむ!」と納得できる理論も書かれています。
納得するとレシピ通り作るし(笑)、
そして、応用もできる!
ふんわりとした解釈もいいですが、
どちらかというと理論や公式があるとスッキリとするタチなんで、
読み物としても非常におもしろいです。
分かりやすいから、小さなお子さんでも読めると思います。

有本さんの料理本を読んで、つくづく、
料理って総合科目だなあと感じるわけですよ。
数字もあるし、化学変化もあるし、情緒もある。
そして、五感をフルに使う。
私は第六感を使って時々失敗するけど。

決定版253レシピ ようこそ、私のキッチンへ
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集英社

ノンフィクション『宮本常一が見た日本』佐野眞一(使命感のある生き方・・・)

2010年11月11日 21時30分57秒 | 本の感想(評論)
宮本常一が見た日本 (ちくま文庫)
佐野 眞一
筑摩書房
佐野眞一さんの本には、いつも驚かされる。
膨大な取材量(紙だけでなく足を使っての取材だと思われる)、綿密な構成、
静かだが迫力ある文章、
そして、対象者への敬意と温かみのある眼差し。

転機となるほどの影響力がある。
かくも人は太く生きられるのか、と。

民俗学といえば、柳田が有名だが、
こちら宮本常一は、日本をくまなく歩き、多くの人と生活し、語り合い、
住み続けている人の目線と学者としての目線の両方を持って、記録していた。
大宅賞受賞の『旅する巨人』の続編である。

特に地域芸能における彼の思いは、熱く迫るものがあった。

宮本が足を使って見た日本は、美しく強く、しなやかだ。
同時に、差別と格差の歴史も内包し、この国の複雑さや多様性がよく分かる。

宮本が見た日本を通して、
現代の私たちが考えなくてはならないことは多い。

情報が溢れているようで、画一化も見られる昨今、
霞ヶ関に宮本民族学のファンが少なからずいることも末章で分かり、
すこし嬉しくなった。

「ルポ 貧困大国アメリカ」、新書も読みやすくなったなあ

2009年07月09日 21時02分51秒 | 本の感想(評論)
ルポ 貧困大国アメリカ (岩波新書)
堤 未果
岩波書店

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去年から売れに売れまくっている本書。
内容の感想は後述するとして、なんとまあ岩波新書が読みやすくなったことか!というのが第一印象です。
むろん岩波の赤だから、緑に比べて親しみやすいのは当然ですが、簡単ではない内容にもかかわらず1時間ほどで一気に読ませる迫力と明快さがありました。

その明快さが賛否両論あるところではありますが、アメリカの格差や貧困の全てではなく「一面」「側面」を捉えたと見れば、まことに分かりやすいルポだと思います。

サブ・プライムローンをはじめ「貧困層」がビジネスのターゲットとなっているアメリカで、戦争さえもが民間の派遣ビジネスと化している現状が本書では詳しく述べられています。
堤氏の取材は綿密で、文章も構成も非常に分かりやすい。
アメリカを分析することが、これからの日本を模索する材料となります。

何よりも、「日本、このままじゃいけないって!」と心底思いました。

健全な競争という名のもと日本も規制緩和が進んでいます。
けれど、公的サービスとして守らなければならない一線はあるはず。
これはかなり以前から感じていました。
特に教育と医療・福祉は、経済市場の中で語られるものではない、と。
国も社会も、個人を見捨ててはいけない。
そして、個人は国や社会に甘えすぎてはいけない。

アメリカのルポですが、日本と日本人に対する大きな問いかけがメインの一冊です。

★★★★☆(読みやすいけど骨太。著者が同年代の女性、ということも大いに刺激になりました)




マキアヴェッリにクールな生き方を教えてもらおう

2008年06月24日 01時06分37秒 | 本の感想(評論)
マキアヴェッリ語録 (新潮文庫)
塩野 七生
新潮社

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中世イタリアの思想家マキアヴェッリの著作(「君主論」「政略論」「フィレンツェ史」など)の中から、作家・塩野七生さんが抜粋したものを集めています。


塩野さんの言葉によると、マキアヴェッリの独創性は、「政治と倫理を切り離した点」にあるそうです。つまり、マキアヴェッリは「政治とは、場合によっては人の道に反することもやらなければならない。道徳よりも、ルールを遂行することに重点を置くべき」と言い切っているんですね。

もちろん、古来より孔子の「論語」的道徳を美徳をしてきた日本人には、全てをすっきりと受け入れることのできない思想かもしれませんが、それを善しとするか否とするかは個人の受け止め方であり、現代のような社会においてはマキアヴェッリの思想は大きな一つのヒントになるかもしれません。


そして「政治」を狭義のコトバ(永田町界隈や新聞の政治欄)で捉えるのではなく、組織対組織、組織対個人、個人対個人のような関係を「政治」と捉える広義な意味であることを踏まえると、このマキアヴェッリの言葉は生き生きとしてきます。


塩野さんいわく、「政治とはもっと広いもので、もてる力をいかにすれば公正に、かつ効率よく活用できる『技』ではないか」


なんだか、日ごろの悩みをマキアヴェッリが一刀両断してくれそうな気がしてきませんか?

組織の一員の会社員、トップに立つ経営者はもちろん、人間関係に悩む老若男女全ての方々の生きるヒントになるかもしれません。
同意すること、納得することばかりではありませんが、「あ、こんな視点もあるか」と思うと、事態を俯瞰して冷静さを取り戻せるものです。

ぜひぜひ、赤ペンやマーカーを片手に呼んでいただきたい名著です。


☆☆☆☆☆(星5つ!行き詰った時はいつも持ち歩いています)



<おまけ>
そんな私が最近、ゴリゴリと蛍光ペンを引いた文章の一部をご紹介。

「指導者たるものは、破滅を狙う者どもに口実を与えがちな悪評は、細心の注意を払って避ける必要がある」
←必要だと思います。でも難しいことです。だから細心の注意とやらが面倒になります。

「人々の頭脳をあやつることを熟知していた君主のほうが、人間を信じた君主よりも、結果から見れば超えた事業を成功させている」
←信じる前に熟知することが大切。そうしない人ほど「裏切られた」と騒ぎがち。

「もし好機が訪れれば、一朝にして変わる方が有効だ。なぜなら、変容があまりにも急なものだから、以前のやり方で得ていた支持者を失うより先に、新しい支持者を獲得することができるからである」
←苦手分野です。だけど、確かにうやむやにするとなし崩し的な展開になる。

「自らの安全を自らの力によって守る意志を持たない場合、いかなる国家といえども独立と平和を期待することはできない」
←「国家」といわずワタシも、身を守る「意志」を明確に持たないとねと思ったり。

「君主たる者、他者に左右されるような状態からは、できる限り自由であらねばならない」
←ああ、でもいろいろとシガラミがあるのが、社会なのですね。

「人々の嫉妬心が、善きことをしていれば自然に消えていくなどとは、願ってはならない」
←うんうん・・・

「断言してもよいが、中立を保つことは、あまり有効な選択ではないと思う」
←断言されると、かなり辛い。そうなんですか?マキアヴェッリさん。

「個人でも国家でも同じだが、相手を絶望と怒りに駆り立てるほど痛めつけてはならない」
←よくよく考えると基本の「き」なのになあ・・・ 見落としがちな点。

「人間というものは、敬愛か恐怖かのいずれかに突き動かされて行動するもの」
←この視点はシンプルで目からウロコでした。こう単純にないにしろ、分析に迷ったときのヒントになるかもしれません。

「忍耐と寛容をもってすれば、人間の敵意といえども溶解できるとなどと、思ってはならない」
←最近になってようやく理解できたことば。

「人の為す事業は、動機ではなく、結果から評価されるべきである」
←動機やプロセスも大事だけれど、それ以上に結果が全て。これが大人の評価。

「他者を強力にする原因をつくる者は、自滅する」
←これ、すごい言葉だと思う。

「別の人格を装うということは、場合によっては賢明な方法になることがある」
←賢い人ほど人格や性格の振り幅が広いように思います。分かりやすい「キャラ」がもてはやされる昨今が嘆かわしいような。

「軍の指揮官にとって最も重要な資質は、想像力である」
←他人の気持ちを「想像」できる人が本当に優しい人。自分の気持ちを押し付ける想像力のない人間にならないように気をつけたい。

極めつけはコレ ↓
「天国に行くのに最も有効な方法は、地獄へ行く道を熟知することである」