石田芳恵のツボ

フリーアナウンサーのお仕事日記のはずが、大好きな映画・音楽・本のレビューに。感動とやさしい気持ちをお届けしたいです。

家庭教師・塾をここで一区切り

2008年12月24日 18時56分49秒 | 家庭教師・塾のおしごと
上京するにあたって、個人で続けてきた家庭教師と塾をひとまず一区切りつけました。

ずっと一緒に勉強してきた生徒さんたちと保護者の方々には、本当に申し訳ないと思っています。
全く私の都合にも関わらず、

「先生、関東で夢を叶えて!がんばって!」

と送り出していただきました。


大学1年生からアルバイトで始めた家庭教師の仕事。
大学院生、そしてフリーランスになってからと、
トータルでかなり長い間この仕事をしてきたことになります。

小学生から大学受験をひかえた高校3年生まで、たくさんの出会いがありました。
当時10代だった彼らと、今は大人同士としての交流が続いているのも嬉しいです。
そして、私を信頼してくださった保護者の方々にも感謝の気持ちでいっぱいです。

勉強そのものを教えるというよりも、

「勉強の仕方を、自分の頭で考える」
「自分の進路・人生は、自分で責任を持って選択する」

ということを念頭に、多くの生徒さんに接してきました。


大人になるのは楽しい、はやく社会に参加したい・・・と
若い人たちに思っていただけるような、そんな「オトナ」の一人であるよう、
私自身も努力してきました(うーん、今も努力中!!)。

そんな素晴らしい勉強を私自身できたと思います。

岡山・玉野を離れる以上、「石田塾」はお休みですが、
ここまで続けてこられたのは、支えてくださったみなさんのおかげです。


・・・とはいえ、
学校教育、地域教育、受験、学校生活・・・などなどについて、
私自身が思っていること・感じていることはたくさんあります。
学校の先生とも親御さんとも、はたまた専業の塾講師の方々とも違う考えかもしれません。
そんな視点を、引き続きブログで時々おしゃべりできたらなあと思っています。

さらには、テレビやラジオを通して10代の皆さんに語りかけることができたら、
この上ない幸せです。私の目標のひとつです。


・・・ご縁のあった皆さん、今までありがとうございました。
そしてこれからも、一緒に頑張って行きましょう!

映画「ブロードウェイ♪ブロードウェイ」、さあ一歩前へ!

2008年12月23日 16時53分51秒 | 映画の感想
ブロードウェイの大ヒットミュージカル「コーラスライン」の再演に向けて、実際にオーディションが開催されます。
そのオーディション風景をカメラに収めたドキュメンタリー。


ドキュメンタリーなんですが、フィクションなのかノンフィクションなのか分からなくなるほど、「ストーリー」に没頭してしまう作り。
というのも、再演される「コーラスライン」という物語そのものが、オーディションの物語。ブロードウェイに立つことを夢みて集まってきた若者たちの群像劇なのです。↓

コーラスライン [DVD]

東北新社

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1975~90年にわたり上演されたミュージカルの最高峰。
そして2006年再演のために行われたオーディションを受けるダンサーたち(19人の枠に3000人!)の姿もまた、まさに「コーラスライン」のストーリーそのものなのです。

この設定、彼らに感情移入できないわけがない!

歌が好きで、ダンスが好きで、ミュージカルに命をかけている彼ら。
人生そのものをブロードウェイにかけている彼ら。

一生懸命さ、才能、運、冷静さ、情熱・・・いろいろなものが交錯します。


「チャンス」というものは誰にでもあります。
しかし、「チャンス」を手にしてそれをものにできるかどうかは、その人次第。
チャンスの女神は本当に、前髪しかなくて早足です。
それをまるでリアルに見ているような、そんな錯覚さえしてしまうこの作品。
好機をつかむヒントがあまりにもたくさん盛り込まれています。

そんな冷静な見方をする一方で、
役を「勝ち取る」ために全力でぶつかっていくダンサーたちの姿に共感し、そして尊敬し、今の自分の甘さも実感しました。
熱く、熱く・・・感じました。
人生は一度だけ。
「これが私の仕事だ」と誇れるほど、仕事を「勝ち取って」いきたいと思いました。


そして印象的だったのは、選ばれるダンサーたちだけでなく、選ぶ側(審査する側)も全身全霊で一生懸命だということ。
プロデューサー・脚本家・振付師たちも、「コーラスライン」という作品が大好きで、そして「選ぶ」ということに責任と愛を持っているように思いました。
選ぶ側・選ばれる側、出演する側・制作する側、ともに一流であるからこそ、素晴らしい作品が世に出てくるのかもしれません。


真剣な人の姿ほど、胸をうつものはありません。
ずっと泣いていました。



★★★★★(ほし5つ!本場のミュージカルもぜひ見てみたいです)

12/10(水)シネマクレール丸の内
「ブロードウェイ♪ブロードウェイ~コーラスラインにかける夢~」
監督・製作 ジェイムス・D・スターン、アダム・デル・デオ
出演 「コーラスライン」オリジナルキャスト&スタッフ、マイケル・ベネット

2008年 アメリカ 1時間33分



小説「八日目の蝉」 逞しく生きたいと思いました

2008年12月22日 16時26分22秒 | 本の感想(小説)
八日目の蝉
角田 光代
中央公論新社

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上京する10日ほど前に、仲の良い友人から借りて読みました。
一気に読みました。
そして、じわじわと今までない感情が押し寄せてきました。
この気持ちをうまく文章化できるといいのですが。


2部構成で、1部は不倫相手の赤ちゃんを誘拐して逃げる女性が主人公。逃げて、逃げて・・・そのスピード感にぐいぐいと引き込まれます。
そして2部は、その誘拐された赤ちゃんが成長して一人の若い女性となります。彼女の視点から当時の誘拐事件を見直し、彼女自身のアイデンティーを模索する展開。


何が正しくて、何が正しくないのか。
現代はますます感情が一元化していると思います。
ネット炎上にあるように、価値観が暴走してしまうことも多々見受けられます。
もちろん、この世に一元化されたルールがあるように、それが大切である反面、
現代は複眼的にものを見ることが少なくなってきている気がしてなりません。
多様性を認めない風潮が加速しているとも言えます。

さらに、多くの人が「他人から見てどうか」「社会から見てどうか」という、他者からの評価を気にしすぎとも思います。
幸せの基準を自分自身の中に求める方がずっと楽なはずなのに、賛成多数な価値感(マスコミが作り出した幻想かもしれません)に縛られている。


本書で描かれている「不倫」や「誘拐」を決して肯定しているわけではありません。
むしろ一般に定義されている上記は、私は大反対です。
だけど、それぞれの場合に踏み込んで事象を検討したとき、はたして出てくる答えは一つといえるでしょうか。

そんな一言では語れない個人や社会にあるヒダのようなものを、本当に上手く表現している小説でした。


題名の「八日目の蝉」は、
7日で命を終えてしまう蝉が、もし、自分だけが8日目も生きていたら・・・という設定に由来します。
他の仲間が見ることが出来なかったモノを見ることができたと喜ぶか、
もしくは、自分だけ生き残ってしまったことを悲しむか・・・。


私はできれば前者でありたいと思います。


そして、物語に出てくる瀬戸内のキラキラした描写。
岡山を離れる前に読めて、本当に良かったです。
個人的には、ふるさとの香りを感じる小説です。


2008年12月



はじめまして、東京タワー。

2008年12月21日 00時33分28秒 | アナウンスのおしごと
今まで何度か関東に足を運んでも見る機会がありませんでしたが、とうとう見ることができました。
見る、というよりも、『やっと会えた』という表現の方が適切かもしれません。


…東京タワー



先日、元山陽放送で現在は関東で活躍されているアナウンサーの先輩と、品川でご飯を食べました。
お店を出てふと夜空を見上げると、そこにはぽっかりと東京タワーが浮かんでいました。

独特の存在感。
人格があるかのようなオーラ。

赤くスマートに輝く東京タワーを心底美しいと思いました。


やはり特別です。
リリー・フランキーさんじゃないけど、まさに上京のシンボル。
いったい今まで何人の地方出身者が、希望と不安の入り交じった気持ちで見上げたことでしょうか。

そんなたくさんの人たちの思いが、東京タワーの唯一無二のオーラとなっているのかもしれません。
東京タワーを初めて見て、シンプルに、だけど強烈に、感動しました。


その後、同じ所属事務所の先輩とご飯を食べた際、麻布から東京タワーを見ました。上品な姿でした。
また、友人とは六本木ヒルズから東京タワーを見ました。堂々とした姿でした。


これからいろんなことがあるでしょうが、東京タワーの輝きがあれば頑張れそうな気がしました。
静かにずっと見守ってくれる存在。

こんな気持ち、かつて一度だけ経験したことがありました。
…富士山です。
富士山を初めて見た時の感動と同じ、心の震え方でした。


うつむかずに、目線を上にして歩いていきたいです。

さよなら岡山、こんにちは関東

2008年12月19日 00時16分08秒 | アナウンスのおしごと
12/16、岡山から関東に向けて出発。
母から「常に感謝の気持ちを忘れずに」と言われました。
今の私にもこれからの私にも大切な言葉かもしれません。
まずは、今まで私を育ててくれた父と母に感謝。


横浜に到着してからは、不動産屋さんにマンションで立ち会ってもらったり、引越しの荷物を受け取ったりガスを開いたり…と非日常的なことが続き、かなり疲れました。

そして現在の我が家唯一の家電製品・ラジオから流れてきた槇原敬之の曲が、胸にしみたのです。
今まではそれほど好きではなかった彼の歌、希望と不安が入り交じった今の状況にあまりにも共感できるニュアンスばかりだったのです。
これまでは、彼の歌詞を理解できるほどの人生経験を積んでいなかったのかもしれない。
人生の転機を迎え、自分になかった感情のヒダが、ここにきて1つ増えたような気がします。

音楽とは、こう向き合うものなのかもしれません。

そして、ラジオのDJがメールの紹介をしているのが聞こえました。

「…他人に親切にすれば、いつか自分の大切な人が他人から親切にされる…」

自分に親切が還ってくるのではなく、『自分の大切な人』にフィードバックされるという視点が、目から鱗でした。
何気なく耳に入ったトークに衝撃を受けました。


選曲にしてもトークにしても、今日は受け手。
けれどいずれ私は、発信する側・出す側に立つ。
人の人生にいい影響を与えられるような、そんな選曲やしゃべりができるようになれば、どんなにいいだろう…とあらためて思いました。

岡山から関東へ、アナウンサー人生の転機です

2008年12月11日 20時31分34秒 | アナウンスのおしごと
11月下旬から少しずつ直接お会いできる方にはお伝えしていましたが、まだきちんとご挨拶できていない方もたくさんいらっしゃる中で、ブログから失礼します。
(本来なら直接お話すべですが、このような形ですみません)


私は来週から岡山を離れて、関東で仕事をすることになりました。


プロダクションに所属して、1月から関東の放送局で帯でニュースを読みます。


生まれてから学生時代も仕事もずっと岡山県という恵まれた環境でしたが、少し前から情報産業の中心地で仕事をしてみたいという思いが強くなり、東京での仕事を意識するようになっていました。

まさか完全に上京してフリーアナウンサーとして働くことになろうとは、3年前の自分には想像できないことです。
しかし、今の自分にとっては、とても自然な流れだと思っています。

たくさんの才能やたくさんの価値観の中で仕事をしてみたいという気持ちに揺らぎはなく、当たり前のように上京という選択肢がありました。

そして、もっと人の役に立ちたい、という思いも背景にあります。
20代は自分のために涙を流してきましたが、30代からは人のために涙を流したい。
健康と人と運に恵まれた私は、好きなことを職業にできています。
今度は、人を応援する側としても頑張りたい。
できれば今まで培ってきたもので、社会に貢献したい。
多くの人が夢や希望を語れるきっかけづくりをしたいと思っています。

そんな意味でも、たくさんの人が集まり、そしてたくさんの視聴者やリスナーが存在する中央は魅力的でした。

まずは、引き続きアナウンサーとしての腕を磨くこと。
そしてそれと並行して、仕事を通して人の役に立ち、人の支えになっていきたい。
さらには、ボランティアや寄付・チャリティーといったことにも微力ながら参加していきたいと思います。


アナウンサーとしても、一人の社会人としても、今、大きな転機です。
チャンスであり、正念場かもしれません。
今まで岡山で私を支えてくださった方々に感謝するとともに、どうかこれからも引き続き、ご支援いただきたいと思います。

・・・ありがとうございました!
そしてこれからもよろしくお願いします