かわいい女・犬を連れた奥さん (新潮文庫)チェーホフ新潮社このアイテムの詳細を見る |
この短編集は、とにかくどの作品も素敵です。
おしゃれで、人間味があって、にやっとしちゃう共感もある。
ロシア文学は苦手意識がありましたが、
この短編集に出会って、価値観が変わりました。
本当にどの作品もきらめきがあるので、
この短編集に収められている作品ごとに少しずつ感想を書いていきたいと思います。
まずは表題の「かわいい女」。
夫や愛する男性の職業や考えが、そのまま自分の意見・思想になってしまう、
そんな可愛い?女性オーレンカの物語。
相手に染まる、というより相手一色になってしまう女性って、
かわいいいし、愛しいし、はかないし、放っておけない。
同時に、滑稽で情けなくもあるけれど。
とはいえ、少なからず、特別な人ができたら影響を受けるのは当然で、
つまりは恋する人は皆、かわいい人なのかもしれない。
人の意思は、不変のようで、変わり続けるもの。
人は人の中でしか生きていけない。
人は影響されあって変化していくものだ。
だから、影響されるだけの女よりも、
影響を与えられる女の方が、より豊かな関係になるのではないかと思う。
だけど、
・・・往々にして、かわいくないかもしれない・・・。
一方、個人ではなく、社会の単位で考えると、
市民も視聴者も、
「かわいい女」であってはいけない。
政府の方針や、社会の流れ、マスコミの論調、
そういった耳に入る情報を鵜呑みにして信じてそのまま語ることは恐ろしいことだ。
理解や分析といった咀嚼力のある、
そんな、かわいくない?、いや賢い市民であるべきだと思う。
だけど、私個人はどこかで、「かわいい女」を愚かと思いながらも憧れるのです・・・