石田芳恵のツボ

フリーアナウンサーのお仕事日記のはずが、大好きな映画・音楽・本のレビューに。感動とやさしい気持ちをお届けしたいです。

3/31は古巣感謝デー

2009年03月31日 23時58分12秒 | アナウンスのおしごと
3/31は最後の出勤や送別会の方も多かったのでしょうか、花束を持った年配のサラリーマンや若いOLの方を何人か見かけました。

私も毎年、この日を感慨深く迎えています。

学生だった私をまず社会人として育ててくれ、そして放送人としての心構えを叩き込んでくれ、アナウンサーとして丁寧に鍛えてくれた山陽放送を去った日。

会社は私に厳しく、かつ温かいところだったと思います。
自分の中で全て整理し納得した上での退社でしたが、裏門を出てから急に悲しくて寂しくなったのを覚えています。
会社に育ててもらったのに恩返しができたのか?尊敬し憧れていた先輩アナウンサーやディレクターともう一緒に仕事ができないのか?私は一体これからどうなっていくのだろう?
後悔はないけれど、不安と喪失感でいっぱいだった。

山陽放送を後にしてから、いくつかの放送局でフリーとして仕事をさせていただき、そして今は事務所所属で関東で声を出しています。
こうして振り返ってみると、私のアナウンサーとしての基本的な技術はもちろん、社会人としてのマナーや組織の一員としての心構えなど、全てのベースは山陽放送にあるように思います。
放送の楽しさ、苦しさ、怖さ、責任の重さを教えてもらった。
そして、スタッフや上司・先輩にも恵まれていた。

苦しいこと、嫌なこともあったかもしれないけれど、今こうやって放送の仕事を続けていられるのも、古巣のおかげだと思います。

もし、恩返しができるとしたら、もっともっと頑張って上手くなって、関東での仕事で輝いていることかもしれません。
「あの石田も、やっと成長したな」と早く言っていただけるように。

感謝の気持ちを改めて確認した1日でした。


TRIPLANEのLive へ(赤坂BLITZ )

2009年03月30日 00時02分14秒 | 音楽CD・LIVEの感想
TRIPLANEのワンマンLive・TOUR2009「君に咲くうた」(赤坂BLITZ)へ行ってきました。

彼らのつくる歌はとても共感できるものが多い。
地方から中央に出てきた若者の戸惑いや純朴さが垣間見え、自分を重ね合わせてしまう。
Liveで聴くとさらにハートに伝わるものだ。
ストレートで気持ちのいい向上心も感じられた。

後半のテンポは心地良いさわやかな疾走感。
Liveの良さと彼らの可能性を実感した2時間でした。

それにしても、赤坂サカスって言いにくいね。
サカスの桜の木しっかりと根付いて、満開の桜を咲かす日が待ち遠しいなあ。

「義家弘介のY-Y-Y」最終回

2009年03月28日 20時32分35秒 | アナウンスのおしごと
関わった番組の最後は必ず立ち会いたい、というのが私のささやかなポリシーのひとつだ。
というのも、私が新人として最初に担当した番組の最終回、
たくさんの先輩や上司が駆けつけてきてくれた。
番組は自分のものだけではなく、たくさんの社員やスタッフ、関係者に支えられていることを実感した。
何よりも、単純にうれしかった。
終わることによる寂しさを上回る、人の温かさをその時に強く感じた。


私では力不足だが、番組の終了や人事異動、退社などの節目は、
自分なりの感謝の気持ちとお疲れ様の気持ちを伝えたいと思っている。


3/27は、原稿読み(収録)で参加させていただいていた番組「義家弘介のY-Y-Y」(金曜25~27時)の最終回。

本来ならば私が担当する最初にご挨拶するべきなのに、
はじめましてと義家先生にご挨拶したのは、最終回の本番10分前だった。
放送をいつも聴いていたこともあり、私にとっては「初めまして」という気持ちではないのだけども。
義家先生はとても真摯で素敵な方で、間接的にも番組でご一緒できたことが誇りに思った。
そして、2時間の生放送を見学。

素晴らしい放送だったと思う。

情報が多くて自分のことで毎日を忙殺してしまう昨今、「考えること」を忘れることもある。
忘れた方が楽な時もある。
そんな中、自分の言葉でストレートにマイクへ向かう義家先生の存在は異色だったと思うし、何よりも貴重な存在だった。


人の心を動かすことができるのは、「本物の言葉」と「本物の行動」だ。


その「言葉」の力を最大に発揮できるラジオというメディアで、義家先生は多くの人の心に、共感~疑問~反感という感情を呼び起こしたと思う。
番組が終了するのは寂しいけれど、この番組に関わることができたことは非常に嬉しい。
ラジオの可能性を教えてくれた番組だし、放送に対する考えも改まった番組だった。


義家先生、お疲れ様でした。
スタッフの皆さん、お疲れ様でした。
参加してくださった多くのゲストの方、ありがとうございました。
聴いてくださったリスナーの方々、本当にありがとうございました。


今日、ラジオって本当にいいなあって思った。

私の最初の仕事だったラジオの深夜番組。
自分の原点と初心を思い出した。
ラジオが好きだし、(テレビも含めて)放送の可能性を信じたい。
自分のためではなく、観ている人・聴いている人・・・他人のために仕事をしたいと思う。



別れと感謝の季節

2009年03月27日 19時56分55秒 | アナウンスのおしごと
3月は別れと区切りの季節だ。
テレビ・ラジオ業界では改編期でもある。

今週、私がニュースを読ませていただいていた番組、radio dockが終了する。
水曜のALEX、木曜の慈英蘭、金曜のマリアの最後の放送をスタジオの外から見学。
番組に関わらせて頂いたのは少しの期間だったけど、
DJの皆さんや番組スタッフに会うことも私の楽しみだった。
そして番組に真剣に向き合う彼らの姿は、今でも本当に尊敬している。
その背中から、私はたくさんのことを学ばさせてもらった。

この仕事は、始まりがあれば必ず終わりがある。
常に出会いもあれば別れもある。


同じ仕事をする人間として、
素晴らしいしゃべり手とつくり手と時間を共有できたことを誇りに思う。

勤務の関係で、来週月曜の安達さん・火曜の麻耶の最後の放送の現場に行けないけれど、心からお疲れさまとありがとうの気持ちでいっぱいです。

thank you! RADIO DOCK!!

新人アナの『プロ野球ノート』

2009年03月25日 03時04分00秒 | アナウンスのおしごと
おめでとう!サムライ・ジャパン!

顔を合わせればWBCの話題だった今日1日。
街の電気屋さんや大型画面の前では人だかり。
ワンセグや携帯ラジオで試合経過を気にするサラリーマン。
私もニュース室のテレビにかじりつきながらも、共同通信から配信されるWBC関連の原稿の確認に終始した。

素晴らしい試合だった!
ここぞという所で結果を出すイチローは、本物の正真正銘のスーパースターなんだ。
勝利の喜びを全身で表現する選手たちをテレビで見ながら、祝福と感謝の気持ちでいっぱい。
そして、あんな達成感を経験できる選手たちが正直、羨ましいとも思う。

けれど、それをお伝えできる仕事に携わっていることにも誇りを感じる。
この仕事をしていて良かった…


…なんて思いながらも、ふと昔のことを思い出しました。

恥ずかしながら新人アナウンサー時代の私は、プロ野球のセ・パの区別もつかない状態。
大学ノートに(表紙にはマジックで『プロ野球ノート』と書いてある)、球団の名前から始まって、選手の名前の読み方やアクセント、ルール、原稿独特の読み方や、スコアから原稿の起こし方まで、メモしていきました。
今でも大切に保存してある私のプロ野球ノート。

当時あんなに野球がちんぷんかんぷんだった私も、今やゲームの流れや選手の精神状態に、自分の人生を投影してしまっている。
それだけスポーツはおもしろくて深みがあるってことだけど、あの手作りのプロ野球ノートがなければ、感慨深く野球を見ることもなかったかもしれない。


スポーツの知識は決してあるほうではないけれど、これからの仕事のためだけでなく、今後の人生を豊かに過ごすためにも、知識を増やしていきたいと思いました。

…まずは、大学ノートを買いにいこう。

松本清張「声」

2009年03月23日 19時13分35秒 | 本の感想(小説)
声―松本清張短編全集〈05〉 (光文社文庫)
松本 清張
光文社

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松本清張の短編が読みたくなって、ここ数日は睡眠時間を削って清張ワールドに没頭。
この短編集には名作サスペンスとして名高い「声」「顔」が収められています。

数百人の声を聞き分けることのできる、新聞社のベテラン電話交換手が、偶然にも殺人犯の『声』を聞いてしまうところからストーリーが始まります。
こういった設定こそが、清張の真骨頂。
私たちの仕事も、声に携わっている以上、自分の声も人の声も非常に敏感です。
初対面の人の印象を、いつの間にか自然と顔よりも声で記憶していました。
それぞれの職業や状況によって、人が敏感になるもの・記憶に残るものって違います。
みんな一緒だと思いがちなんですよね。
その盲点をついた設定、さすがだなあ。
清張が勤めていた新聞社にベテラン交換手がいたことで、アイデアが湧いたとか。

「顔」も、良質なサスペンス映画を観ているかのような臨場感。
清張の筆致が、「あ・・・今アップだな」「カメラを引いてみたいな」と思わせる。
急に成功した人間の自意識過剰も、とても共感できました。
人間の恥ずかしいところをジワッと書かれています。

その他、実際の天皇行幸誤誘導事件をモデルにした「尊厳」も忘れられない作品。
大きなミスは注意や緊張が足りなくて起こるのではなく、注意と緊張が極限に達してK点超えしたから起こることもある。
本人以外の周りの人はそれが分からずに責めるものなんですよね。

ほかにも歴史小説「陰謀将軍」なども入っていて読み応えたっぷりの一冊です。

はじめまして、東の桜。

2009年03月22日 00時13分31秒 | 出張・おでかけ
白金の東京都庭園美術館へ行きました。
アールデコの建物が素晴らしく、洗練されたお庭のあるこの美術館。

遠目から、

「あ!桜の木だ!」

って分かるんですね…!


まだ咲いてないのに、蕾の濃いピンク色を木全体から感じる。
木そのものが、生命力ある匂いたつようなピンクのオーラを放っているような気がします。


花はどんな種類も好きです。
一生懸命咲いている花は、全て美しいと思います。


中でも桜は、思い出がいっぱいで、切なくて懐かしくてジーンとなります。
節目や出発の時、いつも桜が咲いていて、風が柔らかかったなあ。


関東で迎える初めての春。
横浜の桜、東京の桜との出会いが今から楽しみです。
関東在住の方、一緒に桜を見に行きましょう♪

小説「箱男」、ひじょ~に攻撃的な孤独のあり方とは。

2009年03月20日 19時01分05秒 | 本の感想(小説)
箱男 (新潮文庫)
安部 公房
新潮社

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読んでいて苦しくなる小説っていっぱいあるんですが、この物語は読み進めるのも思い出すのも苦痛です。
同じ安部公房の「砂の女」もゾッとする怖さがあったんですが、まだ客観的にストーリーをとらえることができた。だけど、「箱男」は自分や社会を投影すると気分が悪くなってきて、落ち込んでしまうわけです。

というも、箱をかぶって自ら個性を没し社会から孤立しているようで、その異様さで社会にアピールしようとする自己顕示欲の強さももつ「箱男」。
30年以上前に書かれた小説ですが、匿名性での過激発言がときに事件となるネット社会を表現しているようで、苦しくなりました。

私も、この孤独で攻撃的で根拠のない自信があって欺瞞に満ちた「箱男」になる可能性は充分にあります。
むしろ、今はかつてよりそうなりやすい社会環境なのかもしれません。

都市化による匿名性社会を鋭く指摘している小説です。
もう2度と読みたくない・・・と読後に思っても、しばらくしてまた気になる本なんでしょうね。

図書館っていいなあ

2009年03月19日 23時01分15秒 | 出張・おでかけ
子供の頃から図書館が好きでした。
学校の図書館はもちろん、地元の市立図書館も。
数少ない自分の居場所だったような気がします。

こちらに来てまずチェックしたのも、図書館の場所とサービスでした。
多くの蔵書、長い利用時間、静かな自習室。
嬉しくて、そしてほっとしました。
ここにも、自分が解放される場があるという安心感。
本を選んでいるご老人、勉強している学生さん、絵本を探している親子、この静かで穏やかな空間が居心地いいです。

本を借りるだけじゃなくて、なにか机に向かって勉強もしてみたいなあ。そんな心の余裕も出てきました。


図書館を出ると、春の匂い。

目に入る樹木と嗅覚から、いろんな記憶が蘇るけど、すぐに花や木の名前が思い出せない。。。

次に図書館に来るときは、花の図鑑を開いてみよう。
この春先の香りを感じるうちに、早くまた図書館に来なくては…。

「Y-Y -Y」も後2 回の放送。

2009年03月18日 02時04分55秒 | アナウンスのおしごと
ヤンキー先生こと義家先生の番組「Y-Y-Y」(FMヨコハマ/金曜深夜25~27時)内で、1月からニュース読みやメール読みを担当しています。

教育や社会の問題について、義家先生とリスナーが本気で語る2時間。
人気のある番組で、私もすぐ番組のファンになりました。

3年続いた番組も、今月末をもって終了します。
あれほど本音で熱くメッセージを発する番組も貴重だっただけに、残念でなりません。

ただ、別れがあれば出会いがある。
終わりがあれば始まりもある。
寂しさは事実存在するけれど、新たな出発への希望もまた存在すると信じたい。

あと2回の放送、
義家先生は全力で臨んで下さると思います。
私も精一杯、原稿を読みます。

ぜひ、お聴きくださいね。

東京大神宮、神様も大忙しだなあ

2009年03月16日 22時46分19秒 | 出張・おでかけ
水道橋周辺で仕事だったので、近くの東京大神宮へ足を延ばしてみました。

旅先や仕事先で、時間を作って美術館や寺社へ行くのも楽しみの一つ。

かつて神社庁からのお仕事で、伊勢神宮の式年遷宮(神様のお引っ越し)に関する式典のお手伝いをさせていただきました。
詳しいことはこの時初めて勉強したんですが、シンプルに日本古来の伝統として脈々と続いている歴史は、美しくて、かけがいのないものだなあと思ったものです。
その際にたくさんの神職の方から、ぜひ伊勢神宮へ直接お詣りを…と声をかけて頂き、行きたい気持ちでいっぱいに。

けれどその2ヶ月後、伊勢を通り過ぎて、関東に来てしまいました…。
なんだか、すごく気になっちゃって。

そこで、伊勢神宮・東京支店的な東京大神宮に足を運んだ次第です。
ごあいさつ、ごあいさつ。


それにしても…びっくり!

女子、女子、女子、女子女子女子女子女子…

こちら、恋愛成就・縁結びの神様として有名なんですよね。
恋愛運upをお願いにやってきた乙女たちが列をなしていました。


あれだけの数の女の子のお願いをきくのも…きっと神様も休みなしで大忙しかと思います。。。

私は東京大神宮の神様に、お疲れさまです、ちょっとお休みください、ってお伝えしたい…(;^_^A


それでも、包容力があってホッと心が落ち着く神社でした。



最寄り駅/飯田橋

雑誌の取材を受けました。

2009年03月15日 00時06分09秒 | アナウンスのおしごと
先日、お持たせの和菓子について取材を受けました。

今まで取材をさせて頂くことはあっても、受けることは圧倒的に少なかったのですが、いやはや勉強になりました。

どんな職業・どんな環境でも言えることでしょうが、逆の立場になって初めて分かることってあるものです。
自分の足りない点や余計な点が、良く分かる経験でした。

今回は、ライターさんや編集さんに大変丁寧に対応して頂き、素敵な文章の記事なっています。


東京メトロに置いてあるA4のフリーペーパー「メトロポリターナ」4/10発売号。
首都圏の方はぜひ手にとってご覧ください。

CMを読みました!

2009年03月14日 23時55分43秒 | アナウンスのおしごと
上京して初めてCMを読みました。

CMの仕事は、20秒・30秒・40秒といった限られた時間で、内容を的確に分かりやすく伝えるという、しゃべり手の力量が問われるもの。

久しぶりのCM読みだったので、ドキドキしました。
ニュースなどの生番組は、第三者的にリアルタイムで確認できませんが、それとは異なり、CMだと何度も客観的にチェックできてしまいます…。
だから、オンエアされるたびに、恥ずかしい…。

でも、とても勉強になりました。


ニュースやフリートークとはまた違う難しさと楽しさがあります。
なにより、CMが読めることが嬉しい。


仕事とチャンスがあることに感謝して、ベストを尽くしていこうと思います。

「ブログで噛まないでください」

2009年03月14日 22時24分45秒 | TV・ラジオの感想
http://girlswalker.com/geinou/degawablog/
出川哲朗氏のブログ「俺の女の口説き方」はとてもクオリティが高い。
本文はもちろん、コメントまで、出来すぎの楽しさです。

PCからでも携帯からでも、文章の打ち間違いはよくあることなのですが…

3/14のブログでの打ち間違い「なざなら」(正しくは「なぜなら」)の盛り上がり方が、なんとも出川氏のポジションをよく表しているように思います。


出川さんの人柄全てがネタ!
狙ったところじゃなくて、狙ってないところにツッコミどころ満載!

「…なざなら…」

コメント『ブログで噛まないでください(笑)』


うまい!
「なざなら」を突っ込むコメが続くけど(ファンのツッコミはどれもクオリティも高い)、出川さんの愛され度が伝わってきます。


本文&コメの両方でバラエティーが一本作れちゃいそうなレベルの高さ、恐るべし出川大陸。

映画「チェンジリング」、重厚かつ挑戦的かつクラシック!!

2009年03月10日 19時46分47秒 | 映画の感想
オリジナル・サウンドトラック Changeling
サントラ
ジェネオン エンタテインメント

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まだご覧になっていない方はぜひ今すぐ映画館へ足を運んでいただきたい。
できれば、何のレビューも解説も見聞きせず、先入観ゼロの真っ白の状態で。
だからここでは、あまり映画の内容には触れませんが、ここ数年で5本の指に入るくらい素晴らしい作品。
いわゆる名作と呼ばれている映画を見終わった後のような満足感が得られます。
間違いなく、今シーズンの新作にして21世紀の名作。

クリント・イーストウッド監督の映画は、まずおもしろい。
奇をてらったストーリーでも手法でもないのに、いつも期待以上の重量感。
そう、重い・・・のですね。
だから今回の「チェンジリング」も、精神的にも体力的にもかなり健康な状態で観ないと、映画に負けてしまいます。

想像を絶するような悲しみと危機にさらされる主人公。
その背景にあるのが当時の腐敗したロス市警ですが、行政や国家権力が個人を追い込み否定する可能性は現在も充分ありえます。
そこに立ち向かう強さは、きれいな言葉で言うと「希望」なのでしょうが、はっきり言って「執念」。
人は追い詰められたとき、壊れてしまうか、それともこの「執念」で立ち向かうか・・・どちらかなのではと思いました。
高尚なことを掲げたり美しいことを考えたりする余裕もない。
けれど、執念の先には希望がある・・・そう、思える映画でした。

くすんでワントーンに撮られているロスの街並み、交錯しつつもテンポよく進むストーリー展開、最小限で印象的なセリフ、作品の雰囲気に見事にあっている音楽(イーストウッド監督の映画は音楽もいつも本当に楽しみ)、全てにおいて素晴らしい映画です。

ぜひ、スクリーンで観ていただきたいです。


2008年 アメリカ

★★★★★(ホシ5つ!いや~ほんと、いい映画をみました。アンジーは大女優の風格が
漂っています)