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石田芳恵のツボ

フリーアナウンサーのお仕事日記のはずが、大好きな映画・音楽・本のレビューに。感動とやさしい気持ちをお届けしたいです。

G・マルケスの訃報

2014年04月18日 23時21分04秒 | 本の感想(小説)
村上春樹さんの新刊発売の今日、早速手に入れてホクホクしていたら、
G・マルケスの訃報。

新潮文庫の「予告された殺人の記憶」は表紙がボロボロになるくらい、20代の頃に読み込んだ大切な小説です。

今日の放送で、村上氏とG・マルケスという2人の作家のニュースを同日に読むとは…不思議なものです。

「百年の孤独」もまた再読したいな。

『カラマーゾフの兄弟』読破マラソン(その2)ただ今、76ページ

2013年02月01日 22時32分51秒 | 本の感想(小説)
ドストエフスキーの『カラマーゾフの兄弟』、
学生時代に挫折し、20代の忘れ物と化していた名作。

「若いうちに名作を読め!」
「なるべく20歳までに、できれば25歳まで、ぎりぎり30代後半まで」
大学院時代の教官の言葉を、’ぎりぎり’すべりこみで実践できる最後のチャンスかと思い、
40歳までに世界と日本の名作をゴリゴリ読んでいこうと思います。

そんなわけで、まだゆるゆると76ページです。

とはいえ!!!

「第一部 第一編 ある家族の歴史」クリアですよ!

主要人物が順に紹介される、この第一編。
もっとライトな小説ならば、サラリと読めるのでしょうが、
ここは、カラマーゾフの個性豊かな登場人物たち。
ぐいぐいと心情の奥深いところも描写されるので、何度も読み返して、
その鋭さと粘着質なところを味わっています。
サラリと読むのがもったいないんですよね。

フジのドラマでも、毎回、登場人物ひとりに焦点を当てて物語が進行していますね。
この作りも、ドストエフスキーへのオマージュなのかな? なんて、思いました。
たった76ページ読んだだけですけど。

本を読むのは、かなり速いほうなんですが、
この『カラマーゾフの兄弟』は、
じっくりがっつりと取り組んでいきたい作品です。
速読で終わらせるにはもったいないような描写ばかりなんですから!


カラマーゾフの兄弟〈上〉 (新潮文庫)
クリエーター情報なし
新潮社


できれば、テレビドラマの進行に合わせて読めたらいいんですが。

『カラマーゾフの兄弟』読破マラソン(その1)ただいま40p!

2013年01月21日 23時05分35秒 | 本の感想(小説)
フジテレビの土曜ドラマ『カラマーゾフの兄弟』がなかなかおもしろい。
現代の日本におきかえるなんて、興味深い!
といいながら、私、本家のドストエフスキーの『カラマーゾフの兄弟』を読んでません。
学生時代に何度も挫折しました。
訳者を変えてみたけど、20代では1巻も読めずに完敗。

それでも、あらゆる小説の中で最大の傑作、と言われているので、
できれば30代のうちに読んでみたい!とずっと憧れていたんです。
東大教員が選ぶ学生に勧める小説の1位ですしね。
(みんな読んでるんだな~すごいな~)

というわけで、仕事の合間や移動時間中の読書、しかも並行して何冊も読んでいる中の1冊、
という状況ですが、
30代のうちに、ドストエフスキーをたくさん読む!と決めました。
良い読書は、少しでも早い年齢で・・・と思っているので、この際、気合いで読みます。

まずは、『カラマーゾフの兄弟』から。
訳者は、多くのドストエフスキーファンが進めてくれた原卓也さん(新潮文庫)です。

とりあえず、今日は40ページ。
3兄弟の性格と父親の性格がなんとなく、わかったようなわからないような・・・といったところ。
大まかなストーリーは知っているのですが、
宗教観や心理描写などが特に楽しみです。
さあ、できれば春が来る前に読破したいのですが・・・コツコツと読んでいきます!

カラマーゾフの兄弟〈上〉 (新潮文庫)
クリエーター情報なし
新潮社

原田マハさんの『旅屋おかえり』、自分のためではなく人のためにする旅のお話。

2012年07月19日 19時36分14秒 | 本の感想(小説)
前作の『楽園のカンヴァス』がとってもロマンチックで、
久々に読書を堪能できたので、
早速、原田マハさんの最新作を購入しました。

主人公は元アイドルの30代のタレント、丘えりか(通称おかえり)。
唯一のレギュラーだった旅番組が打ち切りになって始めたのが、
発注者の代わりに旅をする、旅の代行屋「旅屋」・・・というお話。

『楽園~』に比べて、ずっとポップなタッチの文章と物語です。
もともとこういうテンションの文章を書かれる作家さんだったので、
昔からのファンの方はほっとされているのかな?
読み進めやすく、そして多くの人に勧めやすいのは確かですが、
私個人としては、『楽園~』のようなすっきりと品のある文章や重厚な展開が好み。

ただ、原田さんの小説の最大の魅力である「ハートフルさ」は、こちらにも健在しています。
旅行は自分のためにすることがほとんどですが、
「自分探し」ではなく「誰かのために旅をする」という切り口がとても輝いていました。
「誰か」のために行動することで、
めぐりめぐって「自分」の心も豊かになる。
お互いに感謝の気持ちが持てるって幸せなことです。

物語後半に登場する愛媛県の内子町は、私も旅をしたことのある町だったので、
懐かしい気持ちで読みました。
内子町は、古い町並みが住民の努力で残されていて、本当に奇跡のような場所なんです。
また行ってみたい!とずっと思っていたので、
私も、「旅屋」おかえりさんに代行して頂いているような気分でした。
(取材協力の「甘味喫茶こころ」「町家別荘KOKORO」も素敵なところです)

自分のためじゃなく、誰かのために行動したくなる。
自分のためじゃなく、誰かのために笑ったり、泣いたりしたくなる、そんな優しい小説でした。


2012年4月26日発売 『旅屋おかえり』原田マハ(集英社)1400円

旅屋おかえり
クリエーター情報なし
集英社

今日の購入本、靍樹のぶ子さんの『マルセル』。絵画ミステリーに期待!

2012年06月20日 01時36分15秒 | 本の感想(小説)
先日読んだ原田マハさんの『楽園のカンヴァス』(アンリ・ルソーの絵がモチーフ)が
とってもおもしろかったので、
同じ絵画ミステリーの『マルセル』を購入。
こちらは40年前に起きたロートレックの絵画盗難事件を追うストーリー。
芥川作家の高樹のぶ子さんらしい、しっかりと重みのある文章で、最初から惹き付けられます。
かなりのページ数ですが、一気に読めそうな雰囲気。
近々、感想をUPします。


マルセル
クリエーター情報なし
毎日新聞社

楽園のカンヴァス
クリエーター情報なし
新潮社

小説『ピエタ』(大島真寿美)、ヴェネチアの喧噪と優しい音楽が聴こえる小説

2012年05月21日 12時17分02秒 | 本の感想(小説)
18世紀のヴェネチアを舞台に、修道院の音楽教師でもあった音楽家ヴィヴァルディにまつわるお話。
優しくて、切なさの中に光を感じる、小説でした。
本の中おその世界にどっぷりと浸かる、という体験は読書の醍醐味。
久々に、読み終える(その世界に自分がいられなくなる)のが寂しくなった本で下。

当時のヴァネチアの音や匂い、ヨーロッパの政治の動きもいきいきと伝わってきます。
語り手の慈善修道院の女性の子供時代から中年時代が描かれ、
ある「特別な楽譜」を探すミステリーがお話の軸でもあります。
歳を重ねることの寂しさとともに、
歳を重ねないと分からないこともある。
そんな人生の滋味深さがじんわりと感じられました。
ラストは、本当に本当に優しさにあふれています。

優しさという音符で曲が作られているようなお話でした。

ヴィヴァルディの音楽に対する姿勢や、当時の評価など、
かなり史実に基づいたものであり、
バロック音楽の好きな方も、ぐっと楽しめると思います。

指揮者の異なる『四季』を3枚、買ってしまいました。

装丁も、小説の雰囲気にぴったりで、大切にしたい一冊です。
個人的には、本屋大賞1位の『舟を編む』より、
同3位のこちらの方が、ずっとずっとおすすめです。

ピエタ
クリエーター情報なし
ポプラ社

今日の購入本、山本兼一『銀の島』(石見銀山とザビエルの話らしい)

2012年03月17日 19時35分03秒 | 本の感想(小説)
1年半前に読んだ山本兼一さんの『利休にたずねよ』が
めちゃくちゃおもしろかったので、山本さんの本を続けて購入。
いやあ、ほんと、『利休にたずねよ』はすごかった。
『火天の城』よりも、ずっと色気と凄みのある内容でした。

というわけで、出版界からも評価の高い『銀の島』を購入。
宣教師がスパイだったという世界史の見地から、
石見銀山を中心に日本の戦国史を語る一冊、のようです。

山本兼一さんの小説は、いつも、
歴史のど真ん中ではなく、少し違った視点から語られる点がおもしろい。

読後の感想は近いうちに。

銀の島
クリエーター情報なし
朝日新聞出版

今更ながら、『夢をかなえるゾウ』を読んでみた30代。

2012年03月13日 19時22分18秒 | 本の感想(小説)
2007年に単行本が発売されベストセラー。
ドラマ化・舞台化もされ、社会現象となった1冊。
が、当時なぜか興味を持てず読みませんでした。
なんだか、就職活動中の大学生向けの本のような気がして。

文庫されたということで、いまさらですが、手にとりました。

読みやすかったので、1時間ほどで読了。
分かりやすさ、テンポの良さ、お得感、
若い人たちに支持された理由が理解できます。

夢を持てない時代とはよく言われるけれど、そんなのはただの言い訳。
夢を持つこと、わくわくすること、夢を応援すること、
すごく素敵で大切なことだと思います。

この年齢でこの本に縁があったということは、
自分の夢だけでなく、
他人の夢を応援する・応援できる年齢やキャリアになったということを、
あらためて確認する時期だったからかもしれません。

オノ・ヨーコさんの言葉、
「一人で見る夢はただの夢かもしれないけど、
 みんなで一つの夢をみると現実になる」
を思い出しました。


夢をかなえるゾウ 文庫版
クリエーター情報なし
飛鳥新社

今日の購入本『プラハの春』(春江一也)

2011年12月14日 00時45分55秒 | 本の感想(小説)
東欧、いや最近は中欧というのか、
チェコ・ハンガリー・オーストリアの旅から帰って来た知人が、
大好きな本、と話していたので、即購入。
この本と出会ったからこそ、旅したそうだ。

実際の外交官が書いたことで話題になった一冊。
1968年、世界はいろんなことがあった。あり過ぎたくらい、激動だった。
私がまだ生まれていない、この時代を振り返りたくなった。

(読後の感想は後日)

プラハの春(上) (集英社文庫)
クリエーター情報なし
集英社

今日の購入本『アフリカの日々』

2011年12月07日 00時44分04秒 | 本の感想(小説)
みずみしい風景描写に触れたくて購入。
1914年に北欧からケニアへコーヒー園経営のために移住した作者の自伝小説。
当時のヨーロッパがアフリカをどう見ていたのか、その空気も感じたい。

この作品は、村上春樹『1Q84』で引用されていたらしい(私は忘れた)し、
アイザック・ディネーセンは20世紀文学最大の物語作者の一人らしい(私は知らなかった)。

一人の女性の感動や驚きを素直に受け止めたい。


アフリカの日々 (ディネーセン・コレクション 1)
クリエーター情報なし
晶文社

村上龍『限りなく透明に近いブルー』、暴力性の中に爽やかさが見える不思議。

2011年08月18日 13時12分30秒 | 本の感想(小説)
新装版 限りなく透明に近いブルー (講談社文庫)
クリエーター情報なし
講談社



何度も読みたい小説ではありません。
一度でいいです。
それだけのインパクトが持続している強烈なストーリだから。

米軍基地の街を舞台に、
若者のドラッグとセックスを何の遠慮なく文章にしている。

不思議なのは、エグさのある描写ばかりなのに、
文章に品があって、どこか爽やかさがある、ということ。
救いようのない「暴力性」の中に、どうして気になってしまう「煌めき」が見えてしまう。
これは登場人物が、退廃的であっても「若さ」のある年齢だからか?
本人たちが愚かなボロボロ状態であっても、
客観的には「若者」には「可能性」がある。
無気力や自暴自棄の向こうに、ひとすじの希望が常にある内容。


初めて読んだ村上龍の小説は、『半島を出よ』(北朝鮮コマンドーが九州に上陸する話)だった。
その綿密な取材によるリアルな筆致に圧倒されたけれど、
次に読んだこの『限りなく透明に近いブルー』は、「文学」の凄さを教えてくれた。
衝撃的だった。
社会から内面まで、深く掘り下げる表現は、「文学」でしかできないものがある。
映画や音楽や絵画ではとても行けないところを、あぶり出すことができる。

きっと、この本は、多くの人の人生を変えてきただろうし、
これからも、多くの人に影響を与え続けるだろう。

でも、あまり頻繁に読みたい内容じゃないなあ。けっこう、体力が必要です。


小説『アルキメデスは手を汚さない』、復刊に感謝。

2011年05月30日 18時35分24秒 | 本の感想(小説)
アルキメデスは手を汚さない (講談社文庫)
クリエーター情報なし
講談社


1973年出版され、第19回江戸川乱歩賞受賞した小説。
文庫で復刊されたということで、懐かしさから手にとった。
30年以上前に書かれた作品であるが、私にとっては25年ぶりの再読。
小説で登場するある場所が故郷ということもあって、地元の図書館の所蔵されていた。
当時、小学校高学年だった私には、作品に登場する生き生きとした高校生たちが非常に眩しく映ったものだ。
早く大人になりたいと思った。
自分の意志を持ち、それを行動に移している姿が「大人っぽく」感じられたのだ。
 
そう、今、読み返して思う。
登場人物たちは、「大人」ではない。
大人の社会に反発し、正論を通そうと躍起になる彼らは、「大人」になることに抵抗している。
だからこそ、純粋であり、その純粋性がもたらさす残酷さも、今なら分かる。
清濁併せ呑めない時代、というのは誰しも若い頃あるものだ。
 
舞台は70年代の高校。高校生たちの周辺で、中絶死・中毒死・殺人が連続して起こり、
大人の世界も巻き込んだ事件となっていく。
ミステリーであると同時に、学生紛争の空気も伝わってくる70年代ならではの青春群像劇だ。
 
この本の一番の魅力は、高校生たちと大人たちの間のギャップだろう。
かつて私が共感していた高校生たちの正義感が、25年たった今は苦々しくもあり甘酸っぱくもある。
大人と大人以前の両方の価値観が存在している小説として、非常におもしろい。
そして、その両方が分かる年齢になった。
年を重ねるというのは、楽しいものだ。
できれば、美しさと爽やかさを持った大人でありたいけれども。

小説『国境の南、太陽の西』村上春樹、男心は分かっても女心は分からない話

2010年11月19日 22時03分04秒 | 本の感想(小説)
国境の南、太陽の西 (講談社文庫)
村上 春樹
講談社


村上春樹さんの作品を10代後半で読み始め、この小説は大学1年生の夏に出会った。
ファンの間では、評価が分かれる作品らしいが、
私はとても好きだ。

小説の中には、人を一気に「大人」にしてくれるものがあるが、
この『国境の南、太陽の西』は、私にとって階段を駆け上がれせてくれた作品。
かつて感じた違和感が、今となっては味わいとして噛みしめることができる。
主人公「僕」の幼少期から中年期にいたるまでのできごとと感情がとても丁寧に描かれているからだ。

当時は、「僕」にも、彼の憧れの女性として登場する「島本さん」にも、感情移入できなかった。
にもかかわらず、
誠実な人が持つ「あやふやな」感じに、非常に惹かれた気がする。
そして、涙した。
大学生の私は、迷い考え、悩み、でも根拠のない自信もすごくあったりして、
ふわふわした感じだった。
もう大人なのに、大人になるのが怖く、同時に誰よりも早く大人の思想を持ちたいと思っていた。
けれど、年を重ねてたとしても、完璧な大人になれるわけでもなく、
どこか寂しさや儚さを持ち合わせたまま生きていくわけで、それもまた美しいのかもしれない・・・と、
この物語を通して感じた気がする。

そして10年以上たち私は30代を迎え、主人公の年齢に近づいてきた。

何度も読んだけれど、今、思うことは、
男と女は違うんだな、ということ。

30歳半ばあたりから、男性と女性の人生の目線は確実に変わっていく。
だからこそ、おもしろいのだけど。

男の人が何に憧れ拠り所にしながら40代を迎えるのか、今なら分かる気がする。
やっと私も、男性の持つ寂しさや哀しさが魅力的に感じられる年齢になったのかもしれない。

男の人の心に居続けられる女性になりたいものだ。


小説『ジョゼと虎と魚たち』田辺聖子(やっぱり、人を想うっていいなあ・・・と)

2010年09月17日 21時35分00秒 | 本の感想(小説)
ジョゼと虎と魚たち (角川文庫)
田辺 聖子
角川書店
ずっとずっと前から、私の大好きな小説。
映画化されたストーリーもとっても素敵だけれど、原作にもまた味わいがあって、
愛しい物語です。


人を想うこと、優しくすること、優しくされること、恋をすること。

生きていること。


田辺聖子さんの小説(特に短編が好き!)は、いつも暖かい気持ちになります。
このお話は、私にとって宝物のように大事にしたい短編。
何度も何度も読んでいますが、
読後感の爽やかさを今日も味わいました。

人を大切に想うことは、尊いものです。