忍之閻魔帳

ゲームと映画が好きなジジィの雑記帳(不定期)。

「それがPSPの仕様だ」by 久多良木(久夛良木健)

2005年01月21日 | 業界四方山話



■PSP:「PSP ギガパック セラミックホワイト」


今回のPSP初期不良問題について、
ようやく久多良木SCE社長(久夛良木健)からコメントが発表された。
日経ビジネスに掲載されたコメントを読んだ後、
私は「やはり、技術屋に商売は出来ないのだな」と痛感した。
天下のSCE社長様に向かって何と大それたことをと自分でも思うが、
今回だけは言わせてもらう。
久多良木社長は商売人失格である。
私がつべこべ言うより、読んでいただくのが一番早いだろう。
以下は日経ビジネスに掲載されたコメントである。

「それがPSPの仕様だ」
久多良木SCE社長、ゲーム機不具合を一蹴

「一番美しいものを作った」

これが、私が考えたデザインだ。
使い勝手についていろいろ言う人もいるかもしれない。
それは対応するゲームソフトを作る会社や購入者が、
この仕様に合わせてもらうしかない。

使用する液晶画面はこれ以上小さくしたくないし、
PSP本体もこれ以上大きくしたくなかった。
ボタンの位置も狙ったもの。
それが仕様。
これは僕が作ったもので、そういう仕様にしている。
明確な意志を持っているのであって、間違ったわけではない。
世界で一番美しいものを作ったと思う。
著名建築家が書いた図面に対して門の位置がおかしいと難癖つける人はいない。
それと同じこと。


上記のコメントはボタンを押しても反応しない点についてであり、
全ての初期不良に対してのコメントではない。
ボタンが戻らない点については記事の中で不具合と認めている。
修理対応となったのは出荷数全体の0.6%ということなので、
年内出荷50万台として3千台が「修理対応」となったわけだ。
しかし、逆に言えばSCEが「不良」と認めたものだけでも3千台あったわけである。
本当は「修理対応」という点からして既におかしいわけだが、
今回はその件については言及するまい。

今回の記事から感じられたのは、技術屋としての驕りとプライドのみ。
不良品を掴まされたユーザーに対しての謝罪は一切なかった。
せっかく表に出て来る気になったのなら、
コメント次第でいくらかの名誉挽回は出来たはずなのだが、
久多良木社長の口から出てきたのは
「素人がごちゃごちゃぬかすな」(としか私には読めなかった)
という専門家からの逆ギレであった。
不良品に当たってしまったユーザーや、
初期不良の噂を耳にしてなかなか購入に踏み切れないユーザーが
この記事を読んだ時、果たしてどう思うのだろうか。

純金製の茶器が最も機能的に優れているわけではないように、
「世界で一番美しいもの」が一番優れているとは限らない。
美しさも大事だとは思うが、何よりもまず
「お客様にお出ししても恥ずかしくない物」を作るべきではないのか。

「週刊ポスト」で取り上げられた時、
もっと信頼性の高い媒体に飛び火して欲しいと書いたが、
消火に出てきたはずの久多良木社長は
燃え盛る火事現場に灯油缶を投げ込んで去って行った。
尻拭いをしなければならないSCEの営業には同情を禁じ得ない。

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2005年1月22日

あまりにも書き込み数が多いのでこちらで追記を。
まず、何件かあった「タイトルに問題あり」とする指摘についてだが、
私も納得するところが多かったので変更させていただいた。
多数の方に誤解を与えてしまったことをお詫び申し上げる。

次に、「ユーザーでない立場の人間が言うな」という指摘についてだが、
私は業界の末端に身を置く者であるが、
同時に年の割には熱心なゲーマーでもある。
PSPの購入も予定しているれっきとしたユーザーなのだ。
今回の久多良木氏のコメントは、いちユーザーとして腹立たしいのと同時に、
「修理対応という説明に納得しなかった客に自腹で返金した」
「修理に時間がかかる上に交換品も店頭になかったので自腹で返金した」など、
激昂する客に対し身銭を切って平身低頭で詫びたというショップの話を
いくつも聞いているだけに、同じ業界に身を置く者としても許せないのだ。

「技術屋に商売は出来ない」という表現について。
これは私個人の考えというより、昔から言われていることだ。
「名選手、名監督に非ず」という言葉もあるように、
どちらかと言うと「餅は餅屋」というニュアンスに近い。
もちろん、例外が多く存在することも承知している。

アクセス解析をつけてはどうかという意見もいくつか頂いていたが、
私は、私自身が素性を隠して当BLOGを運営している以上、
来訪者の素性も問わないというスタンスでやっていきたいのだ。

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2005年1月23日(24日、25日、27日にも少し追加)

SO503i、ついに交換開始 ユーザーの声届く

2001年の記事である。
当BLOGに限らず、今回の件について
「ネット上でいくら騒いでも何も変わらない」
という書き込みを何度か見かけたが、
私はそれでも「何も言わないよりはマシ」だと思う。
ユーザーの声が届いた前例が、同じソニーの製品であるのだから。

「クレームを言ってくるお客は、販売店にとっては有り難い存在だ。
 指摘された箇所を改善すれば問題は解決するし、
 何より同じ思いをするお客を未然に防ぐことが出来る。
 一番恐いのは、不満を感じても何も言わない代わりに
 二度と来店してくれない客だ」

某販売店の店長から聞いた話だ。
24日午後11時現在までに寄せられた500件以上のコメントや、
80件にも上るトラックバックには、
SCEへの不満と愛情が込められていると思う。

ようやくネット上でも久多良木社長のコメントの全文が読めるようになった。
お時間のある方はこちらで確認していただきたい。

27日の共同通信のニュースより。
戦略的誤りと経営分析 ソニー副社長、決算で
この記事中に井原副社長の印象的な発言がある。

「ユーザーの目線に立っていたか、
 何を守り何を捨てるかで過去に戦略的誤りがあった」

その言葉、すぐ側に居る人間にも聞かせては如何か。

最後に、当BLOGは基本的に書き込みを削除しないことにしているが、
今回は私の判断で150件近くの書き込みを削除させていただいた。
該当した方、申し訳ない。
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これは酷いですよねぇ (KING)
2005-01-21 22:26:22
俺もちょっとこの台詞はないと思った・・・



ところで、S○Eの営業の方々ら個人は、今回の騒動についてはどんな事を感じたいらっしゃるのでしょうかねぇ
逆ソ\ニーショック (FURY)
2005-01-21 22:37:02
お久しぶりです。忍殿
何かの冗談かと思いましたが、本当のコメントでしたか。これまでPSのゲームを支持してきたファンはショックでしょうね。
ちなみに今日ソ\ニーの株価が暴\落しましたが、他の銘柄にはさしたる影響もなく
上がっていたそうなので、最早市場にとっても要らない存在なのかも。勿論ゲーム業界にとっても。
ゲーム機は芸術作品なの?大衆商品じゃないの? (いなつきほなみ)
2005-01-21 22:47:23
私は「購入に踏み切れないユーザー」の一人なのですが、

この社長さんのコメント(の一部)を読んでPSPを売る気がないのかと思いました。

今どきの商売はお客さんの要望には可能な限り応えるのが成功の秘訣なのに…



有名建築家の図面は芸術品の一種であり、それを忠実に建築し所有することがステイタスだから、実用的でなかったとして誰も文句を言わないのであって、

ゲーム機(しかも携帯機)にそれを当てはめるのはちょっと…



(初期不良の)改良型が出たら買おうかと思っていたのですが、掲載されたコメントの全文を読んで少し考えてみようと思います。

ユーザーとして、、、 (綾瀬)
2005-01-21 22:49:40
前回初めてコメントさせていただいたのだが

正直赦せない、こんなに消費者として馬鹿にされたのは初めてですねぇ

トップが言っていい事ではけして無いはずなのだが、ゲームメーカーに対してもひどいのじゃないかなぁ、PSP投げたくなりますよ。



こんな喧嘩口調ですがいつも、楽しく読ましていただいてます。

忍殿コレからもがんばってください
話題が尽きませんね(汗) (佐藤誠)
2005-01-21 22:53:35
こんな殿様商売がいつまで続くんでしょうね…。

PSPのみならずPS3にも悪い影響を及ぼしそうで怖いです。



サードの各社だって、こんな馬鹿げた事をトップが

平気で主張するメーカーを見放しかねないですし。
初めまして (風来のシュン)
2005-01-21 22:55:01
いつも楽しく読ませていただいていますが、今回初めてレスさせて頂きます。



PSPを楽しみにしていた者にとって、今回のSCEトップの発言には唖然としてしまいました。

品薄であった事とSCE伝統の初期不良の畏れから購入に至ってはいませんでしたが、不具合が解消されたら購入を検討していただけに今回の発言はSCEの製品を安心して買うことすら躊躇させる発言で、不良品を手にしてしまったユーザーを足蹴にする態度には怒りを感じずにはいられません。

据え置き機で覇権を握るハードメーカーとして多くのコンテンツを抱えるだけに強気でいられるのかも知れませんが、この様な姿勢で今後も製品にうるさい日本人と訴訟大国のアメリカで成功するのでしょうか?

いちゲームファンとしてはビデオゲーム世界でトップを誇る日本の位置づけが徐々に低下している昨今の出来事だけにかなり憂鬱です。
む、 (忍)
2005-01-21 22:57:21
一応初期のコメントは今のうちに証拠隠滅させていただいた。

忍のお馬鹿さが広まってしまう故。

と書いた時点で同じなわけだが。

ぽかーん (ほええ)
2005-01-21 22:57:47
今は全然良いソフトが無いし不良も多いから

購入を見送っていたPSPだったけど、

いつか良いソフトも出て不良も無くなったら

買おうとは思っていた。

でも、この社長のセリフを読んで、一気に気

が変わった。

誰がPSPなんて買ってやるもんか、と。

むしろ、買わない決心をさせてくれた本記事

に感謝すらする。
社長のお言葉 (アルテミス)
2005-01-21 22:58:15
 「たかが選手」とか吠えた新聞社の社長並ですな、これは。
誇りとは (そらせみ)
2005-01-21 23:04:23
>技術屋としての驕りとプライドのみ。

 これを誇りと言うのとも違うと思います。誇りを持った商品というのは任天堂のような壊そうとしないと壊れないような商品のことを言うのであって。

 あえて言うなら意地と自己満足でしょう。

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