稲城の図書館サポーターみんなのとしょかん Neo

東京都稲城市で「市民の力になる図書館」の発展をめざして活動している市民グループです。

学校図書館システム 導入にあたってのABCーその3

2020-10-17 15:27:27 | ご存知ですか?
3 書誌「MARC」の統一

前回は、学校図書館システムの選択では、将来的なネットワーク展開を見据え、クラウド型をお勧めしました。

さて今日は「書誌」のお話しです。
「書誌」(英: bibliography)とは、本を探すための書誌事項(書誌情報)を記載したものです。
著者名や、書名、発行元、発行年、ISBN、DOI、全国書誌番号、図書分類などが記述されます。

本を探すための情報ですから、学校図書館の調べ学習には、とても重要な要素です。
なぜなら、書誌に記述されていない情報は、検索してもヒットしないからです。

昔はこの書誌を記述できることが司書の重要な仕事であり能力とされていました。
もちろん、現代の司書もその能力は備えていますが、仕事としての重要性は低くなってしまいました。
原因はMARCの登場とも言えます。
はぁ?マークってなんのマーク???
図書館関係者でなければほとんど知らない用語ですが、現代の図書館ではとっても重要!
マークとは、機械可読目録(MARC、MAchine-Readable Cataloging)のこと。
現代の図書館は、ほとんどがコンピュータによる図書館システムを採用していますから、先ほどの書誌もMARCとしてコンピュータに登録されるわけです。

現在販売を前提とした出版物は、出版と同時にMARCが流通します。
みなさんもインターネットで本を検索すると、いろいろなサイトでヒットしますよね。
そのデータもMARCの一種で、サイトごとに微妙に違うのです。
MARCは販売もされていますし、無料提供されるものもあります。
日本最大の図書館である国立国会図書館では、JAPAN/MARCという書誌を作成しており、書誌情報提供サービスも展開しています。
つまり、現代においては、書誌はもはや作成するものではなく、購入または導入するものなのです。

ここで重要になってくるのが本日タイトルに掲げた”書誌「MARC」の統一”

例えば市内の各学校でバラバラにMARCを導入すると、様々なタイプの書誌がシステムに登録されます。
将来「さぁネットワーク化しましょう!」という時にはこれが大変な障害になります。
それは、同じ本について微妙に違う複数の書誌ができてしまうためです。
ネットワーク化する際には、書誌データと、どこの学校が所蔵しているかという所蔵データをリンクさせるのですが、複数のタイプの書誌が混在していると、じゃあどれがほんとなの?どれを残すの?ホントに同じ本なの?といった特定作業をすべての本についてやり直さなければならないのです。
つまり、MARCの統一を先にやっておけば、将来無駄な作業をしなくて済むわけです。

みんとでは、調べ学習が様々な情報を検索する必要があることから、国会図書館の提供するJAPAN/MARCを推奨します。
例えば、筑摩書房が出版している日本文学全集を例にしてみましょう。
第3巻は宮沢賢治です。

稲城市立図書館が提供している書誌はこちらです。
タイトル ちくま日本文学全集 003
タイトルカナ チクマ ニホン ブンガク ゼンシユウ
著者 宮沢 賢治 /著
著者カナ ミヤザワ ケンジ
出版者 筑摩書房
出版年 1991
ページ数 477P
大きさ 16
ISBN 4-480-10203-5


国会図書館が提供している書誌はこちらです。
国会図書館サーチ

違いがわかりますか?
そう、国会図書館の書誌は、宮澤賢治のどの作品が収録されているか、その内容まで記述されているのです。

調べ学習の際、教科書に載っている作品が全集に入っているかどうか知りたい場合、稲城市立図書館のデータでは確かめることができません。
これはとても大きな違いです。
図書館システム導入にあたっては、将来的な展開を見据えた、「賢い」選択が必要なのです

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 学校図書館システム 導入に... | トップ | 学校図書館システム 導入に... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

ご存知ですか?」カテゴリの最新記事