JOEは来ず・・・ (旧Mr.Bation)

なんの役にも立たない事を只管シコシコと

「ロシア革命アニメーション1924-1979」 Aプログラム

2009-06-18 | 映画(DVD)
「1917年に始まった共産主義革命の過程で、資本家やファシズムそしてアメリカを徹底的に否定し、革命の成果を誇示するために、早くからアニメーションのイメージ伝達の即効性に着目していたソヴィエト政府は、人民を洗脳する手段として、共産主義プロパガンダを目的としたアニメという特異なジャンルを80年代末の体制崩壊まで一貫して発展させていった。今見ると逆にカテゴライズ不能、ポップで刺激的なこれら短編アニメーションの数々。これまで窺い知れなかったロシアのダークサイド。」

こんなコピーを読んだらとってもとっても興味が沸いてしまうじゃないですか。
それでもプロパガンダアニメなんてやっぱり眠ってしまいそうだし、と鑑賞を躊躇していましたが予告編でチラッと登場するあるアニメ画像を見て、これは絶対見ておかなくっちゃって気になりました。そのアニメはシンガリに控えるタラソフという人の作品・・・

「ロシア革命アニメーション1924-1979/ロシア・アヴァンギャルドからプロパガンダへ」 


「ソヴィエトのおもちゃ」1924年 監督:ジガ・ヴェルトフ
引きの時の稚拙な絵とズームされる緻密な絵が面白い。登場人物すべてがソヴィエトのおもちゃであり、きちんと後片付けされ大きなもみの木になるラストが秀逸。ピアノも良い。
ジガ・ヴェルトフ、有名な人なんですって。

「用心を怠るな」1927年 共同制作:ニコライ・ホダターエフ 他
ソ連人民よ、国債を買って資本主義者たちに立ち向かおう!

「ファシストの軍靴に祖国を踏ませるな」1941年 監督:アレクサンドル・イワノーフ、イワン・イワノフ=ワノー
ナチスの獣(豚)とスターリン率いる赤軍の戦い

この2作目、3作目のプロバガンダアニメではマーチ調の勇壮な音楽が流れる。
このあたりロシア版「歌は世につれ(ガーコン)」といった趣。

「百万長者」1967年 監督:ヴィトールド・ボルジロフスキー、ユーリー・プルィトコフ
ブルジョア婦人から100万ドルを贈与されたブルドッグ・・・まずい、だんだん眠くなってきた。

「予言者と教訓」1967年 監督:ヴャチェスラフ・コチョノチキン
チラシから読み取るとタラソフの作品の次に楽しみにしていた皮肉の効いた作品。しかし肝心なところで眠ってしまう。残念。

「狼に気をつけろ」1970年 監督:エフィム・ガムブルグ
ヨーロッパ山中で発見された野生の狼少年。孤児院に引き取られた彼は何とか人間性を取り戻すが、あるときナチスの再興を目的とする組織に捕らえられ、戦闘員として再教育を受ける。
絵も暗いけど、ダークな内容のプロパガンダはとてもパンクで、これはちょっと見応えありました。

「電化を進めよ」1972年 監督:イワン・アクセンチュク
また眠ってしまう、高圧線が行進したり、サイケな色調のアニメになったりしていたような・・・

「射撃場」1979年 監督:ウラジーミル・タラソフ

お目当てなので眠らないよう気を引き締めた。
眠るどころじゃない、お目目パッチリと引き付けられっぱなし。
スポーツカーのホイールに写り込む街。
闇と影をうまく使ったポップな色調の絵柄・・・
斬新な視点に溢れている。
資本主義社会を皮肉っているものの資本主義への憧れが見え隠れ・・・
国家の意思をちゃんと守りながら好きな事、やりたい事を実現しているところが凄い。
ソ連という厳しい環境でも芸術は魂を失うことは無い。このあたり現代の北の独裁国とはまったく違う。為政者の度量の違いなのか・・・

射撃の的となったアベックの弾丸を交わすシルエットがなんともスタイリッシュ。

音楽も凄い。フリーフォームのジャズ・サキソフォン。

ウラジミール・タラソフ
ググって見ると、この方ソ連のフリー・ジャズ、ガネーリン・トリオのドラマーでもあるの?同一人物?

タラソフ・アニメーション集という形で作品を沢山見たいところです。

Bプログラムでもう一度、ロシアの歴史をなぞろうと、公開中に鑑賞することにケッテー!!

渋谷UPLINK X
7月3日まで公開

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2 コメント

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Unknown (imapon)
2009-06-20 06:13:52
とらねこさん、ありがとうございます。
Bプロ行かないんですか?Bのタラソフは「射撃場」以上に期待してるんですが・・・
制約の中でチラッと主張を見せるところがいいですよね。

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 (とらねこ)
2009-06-19 00:26:41
おおおーっ、Bプロも行かれるのですね★
『狼に気をつけろ』は、アマラカマラの話を思い出してしまいました。

『射撃場』、冒頭部分なんですが、いったん自分の自由なチョイスで、射撃場から出ることも出来たのに、外にあぶれた労働者が居て、結局職探しをしなければならず。それを見てもう一度戻る、という辺りがオオっ、なんて思いました。
結局自由と言っても何のための自由なのか分からないんですよね。
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