ブラジルWCは強豪国格上との闘いとなる。強豪国は例外なく「堅守」を誇る。格下の相手であれば別だが、その「堅守」をこれまでのパス回しによるポゼッションサッカーだけでこじ開けることは難しい
前線にボールが収まりアタッキングサードでパス回しをしようとすると、相手に守備を固める時間を与えてしまう。オシム元監督が言うように「ゴールから逆算しての攻撃」が合理的で、相手に守備の形を作らせない速い攻撃が必要だ。
だからと言って、パス回しは封印する必要はない。攻撃にはリズム・スピードの緩急が必要で、早い攻撃をより早く見せるための遅攻あるいは攻撃のバリエーションを広げる意味でのパス回しであればそれも有効だ。速攻を仕掛けることによってパス回しからのゴールの可能性も逆に上がるかもしれない。
ディフェンスラインとキーパーとの間のスペースを突く速攻。ブラジルチームが全員同じ意識「共通意識」で一丸となって闘ったように、日本も「ディフェンスラインとキーパーとの間を突く速攻」という「共通意識」をもって攻撃すべきだ。
単純な飛び出しならセンター永井(後半疲れのピークの時にこのポジションに永井をおくことは有効)左サイド香川右サイド岡崎でよいが、相手ディフェンダーを背にしてボランチ本田からのパスを受けてワントラップでディフェンスのマークを外し振り向きざまのシュートなど、様々な攻撃のバリエーションを仕掛けられるという理由でセンター香川の方が最適。
センター香川ボランチ本田とのコンビネーション。永井・岡崎の裏への飛び出し。ボランチ本田・阿部によるミドルシュート。香川とのワンツーからの本田のドリブル突破。機に応じてのポジションチェンジ、永井センター・香川サイド、本田トップ・香川ボランチなど、流れの中でめまぐるしいポジションをチェンジすることもできる。サイドの上りからの高速の低いセンターリングに永井・香川・岡崎が飛び込む。クリアーされたボールに本田・阿部がミドルや二次攻撃をかけるなど、ワクワクするような創造力あふれるアグレッシブなサッカーが展開できる。
しかし、創造力あふれるアグレッシブなサッカーをいくら展開したからといってアーティスティックポイントがもらえるわけでもないので、そこを勘違いすることなくあくまでもゴールに拘ってほしい。攻撃陣の「何が何でもゴールを奪うのだ」というゴールへの強い執念。Wボランチ・3トップ・両サイド各々が「自分が仕留める」という強い意志をもって攻撃してほしい。
3トップ、新戦力特に若い選手が食い込める可能性のあるポジションだ。スピードとスタミナのアドバンテージは若い選手にある。10代にも可能性がある。残念ながら上背に恵まれた10代の有望選手は見当たらないが、スピードと足元の技術に長けた10代の選手なら何人かいる。ワンダーボーイの出現を期待する。
例)あくまでも例であってこれがベストというわけではない。この例がすべて書き換えられるくらいの新戦力の台頭に期待。
「3トップ」
左サイド永井 センター香川(柿谷) 右サイド岡崎