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「自己主張」についての日本人意識を変える

2013-01-31 23:29:33 | 教育
「反抗期」も「やる気(意欲)」が育つ大切な時期。
そもそも「反抗期」なんてネガティブな名前が付けられていること自体おかしい。
「いたずら」は「探索行動」と言ったほうが当を得ているのと同様に
「反抗期」も「自立期」と言ったほうが適切。
「反抗期」に現れる行動は「自己主張」と捉えることができる。

「反抗期」を邪魔しないために大切なのは、
「自己主張」についての日本人意識を変えること。
当たり前のように抱いている「自己主張」についての先入観・固定観念について再考していただきたい。

「自己主張」の捉え方に海外と日本とで差が見られる。

海外特に欧米人や中国の人たちは「自己主張」が盛んでそれができることを高く評価している。
逆に「自己主張」ができない人は「自立」した人格とみなされず蔑(さげす)まれることすらあるが、

日本では「自己主張」しないことを「奥ゆかしさ」とややポジティブに評価し、
一方「自己主張」をする人は「でしゃばり」「生意気」「無作法」などネガティブに捉えられてきた。

若者達の間でも、例えば授業中に「わかる人?」と言って挙手を求められたとき、
日本人は周りを気にしながら遠慮がちに手を挙げ、手を挙げる行為自体「ダサイ」とみなしているが、
海外では少々わかっていなくても競争で手が挙がる。

世界の高校生たちが集まって地球環境についての話し合いが持たれたときなども、
海外の高校生たちは活発にフランクに意見を述べ合っていたが、
日本人の発言はごくわずかだった。
その孤軍奮闘していた日本人女高生も、日本育ちでなく帰国子女だった。

サッカーでも
日本では、シュートをふかして失敗したシーンを見ていて観客はため息をつく。
海外では、シュートをふかしても拍手が沸く。シュートしたこと自体を評価しているわけだ。

サイドバックの選手はキーパーに近い位置で主に守備の役割をしているが、相手ゴール近くまで攻め上がって攻撃に参加することがある。
ところが、その上がった後ろ(スペース)をつかれて反撃を受け失点を被(こうむ)ることがある。
日本では、任された守備をおろそかにして出しゃばったことをしたとバッシングを受けるが、
海外では、全く責められることはない。
むしろそういう積極性のある選手は「ベストイレブン」に選ばれたりもする。

以前、世界最高峰のリーグのひとつとされるイタリアのセリエAのあるチームに日本人ストライカー柳沢が入団した。
柳沢は公式戦のある試合で、巧みなボールさばきを見せゴール前までボールを運び相手キーパーと1対1の状況を作った。
楽々ゴールのシーンで彼は併走していた味方の選手に横パスを出し、
そのチームメイトがゴールを決めた。
日本ではゴールを譲った奥ゆかしいプレイと評価されるのかもしれないが、
イタリアでは「おかまか?」という評価でその後スタメンから外れることが多くなった。

サッカー日本代表を率いているザッケローニ監督も口をすっぱくして言っているのが、
「ゴール前で勇気を持て」だった。
「決定力不足」が最大の欠点とされていた日本代表が、ザッケローニ監督になってからその決定力不足が改善されるようになった。

何を言いたいかというと、
日本では、トライした「結果」であれこれ評価される。特に「失敗」について寛容ではない。
ところが、海外では「トライ」したこと自体を評価するが、結果は二の次。

子育ての考え方も同様。
その結果、海外の人たちは「自己主張」を当たり前のようにするようになるが、日本人は「自己主張」に臆病になる。

倫理的に見て、どちらがよいかについての評価は問えないが、
「やる気(意欲)」が育つかどうかの観点から見ると、海外式のほうが間違いなくいい。





「いたずら」は将来への投資―②

2013-01-30 18:35:41 | 教育
赤ちゃんと過ごす時間の長い部屋は、私の場合は1階の居間だったが、
襖(ふすま)も畳(たたみ)もマジックだらけ、壁もいたるところにへこみがあった。
そんなボロボロにしてもよい部屋をひとつ用意して、
そこで赤ちゃんが自由に「いたずら」を楽しめるようにしてあげたい。
「いたずら」を卒業した頃、リフォームすればよいのだから。

トイレットペーパーも何本も犠牲になるし、テッィシュペーパーも同様。
筆記用具やお母さんの化粧道具なども、格好のいたずら道具。

金銭的に無駄が生じるように思えるが、
福沢諭吉が幼い頃いたずら好きで有名だったように、
「いたずら」は「やる気(意欲)」が育つばかりでなく「独創性」「創造性」にもつながるもの、
巷(ちまた)の幼児教室へ行くよりずっと教育効果は高い。
金銭的なダメージは将来への投資と思って、
ダメージが大きければ大きいほどその投資効果は大になると自分に言い聞かせて、
協力してあげてほしい。

「いたずら」を自由に思う存分させてあげることの大切さはわかっていただけたと思うが、
くれぐれも、目の届かないところで放ったらかしの状態でそれを許すことは避けてほしい。

私の家のいたずら部屋は1階の居間だったが、
そこは台所と隣接しており、トイレも目の前で、
母親が家事をしながらでも、あるいはトイレに行ったときでも、子どもを見守れるようになっていた。
手出し口出しは「いたずら(探索行動)」の邪魔になるが、
「子どもの心に耳をすませる」ことだけは怠らないでいただきたい。

常に意識をお子様の心に置いておくと、不思議なことにお子様に背を向けていても異変に気付けるようになる。
逆に、子どもの心に耳をすませていないと、面と向かっていても、赤ちゃんの微妙な変化を見落としてしまうこともある。





「いたずら」は将来への投資ー①

2013-01-29 17:59:07 | 教育
「やる気(意欲)」が育つことに有効なこととして「いたずら」があるが、
この「いたずら」の邪魔をしないために具体的にどのようにすればよいか?
これも、「ひとり遊び」の場合とほぼ同じ、

◆ 子どもの心に耳をすませる。
◆ 「いたずら」が自由にできることを許す。
◆ 環境を整える。


などが考えられる。

「いたずら」を思う存分できるように、まず「環境を整える」ことが大切。
私の次女がボタン電池を飲み込んだ例をお話しましたが、
まず身の安全が保たれるように「環境を整える」必要がある。

赤ちゃんは何でも口に入れたがる。
飲み込んではいけないもの、口の中に入れたら毒になるものは、手の届くところに置かない。
刃物や鋏など身体を傷つける可能性のあるもの、
ライターやマッチ、ストーブなどの火気類なども同様。

身の安全が保たれるように整えたつもりでも、
いざ赤ちゃんが遊びはじめると、思わぬハプニングに遭遇することがある。

例えば、置いてあったテレビのリモコンのふたを開けてしまってボタン電池が転がり出たとして、赤ちゃんがそれをまさに口に入れようとしているとする。
そのとき、あなたならどう対処するだろう?
よくあるのが、「ダメー」と叫んで、無理やり腕を押さえにかかって取り上げようとする。
ハプニングのときはどうしてもそのような対応をしがちになる。
ところが、怒鳴られた赤ちゃんのほうはびっくりしてしまって、
あわてて電池を飲み込んでしまい、取り返しのつかないことに陥ってしまうことがある。

そんなハプニングが起きたときのために、
赤ちゃんが好きなものを予め隠し持っておくといい。
赤ちゃんの手から何かを取り上げようとするとき、それを赤ちゃんの目の前に差し出す。
すると、赤ちゃんはそれに気をとられ、手を伸ばしてくる。
その隙に、交換にボタン電池をお母さんがもらえばいい。

いたずら(探索行動)をしている最中の赤ちゃんにとって、見つけたものは「宝物」であって、
容易にはそれを離そうとしない。
そこで、赤ちゃんが好きな別の宝物をあげると、その危険なものは手放してくれる。

差し迫った危険はないが、お母さんにとって大切なものを返してほしいときなどは、
静かに丁寧に赤ちゃんに、
「お母さんにとって、だいじなもの、大切な大切なもの、ちょうだい。」と話せば、
解決がつく。
「心の基地作り」がしっかりできていると、
言葉は通じなくても、お母さんの様子から赤ちゃんは察してくれるものだ。





これまでのまとめ

2013-01-27 17:54:07 | 教育
これまで、楽しく楽な「らくらく子育て(子育ち)」を勧(すす)めてきた。
そのためには、あれこれやろうと欲張るのでなく、
これさえ育っていればというものだけに集中すればよいことをお話ししてきた。

このこれさえにあたるのが、「やる気(意欲)」と「思いやり」。
「やる気」「思いやり」が育つためには、「真の自由」を用意することが必要、
言い換えると、「邪魔をしない」ことが大切であることを説明してきた。

「邪魔」とは「SSK」
つまり、「叱る=S」「躾け=S」「過保護=K」。
その対象として、「一人遊び」「いたずら」「ふざけ」「けんか」「反抗」を挙げた。
しかし、「邪魔をしない」というのは、決して「放っておく」ということではないこともお話しした。

「邪魔をしない」ことを実行していくうえで、
その前提として、母子間の心のつながりがまずしっかりと確立していなければならないこともお伝えした。
このつながりができることを「心の基地ができる」と平井先生のお言葉をお借りして表現した。

「心の基地ができる」時期は、妊娠中を含め満三歳までの4年間が最も大切であること、
「心の基地ができる」ために有効なものとして、
「話しかけ」「初乳」「母乳」「添い寝」「抱っこ」「スキンシップ」「散歩」、
「泣く」「笑う」は「相手をして!」というシグナル

などを挙げた。

次回から、「心の基地作り」が充分できていることを前提に、
「やる気(意欲)」が育つ子育ちについて、どのようにすればよいのか、
これまでの説明よりもっと突っ込んでお話ししてみたい。







3歳過ぎるまで保育園に預けないで!

2013-01-26 22:45:25 | 教育
生後赤ちゃんは、首がすわるようになり、寝返り、お座り、ハイハイ、つかまり立ち、
伝え歩きができるようになり、やがて歩き始める。
これを約1年半かけてやり遂げる。
「スゴイ!」としか言いようがない。

この間を含め3歳になるまでが、
「心の基地作り」にとって大切な時期となる。
どうか、この丸3年間は、
お子様と過ごす時間を多く取っていただきたい。
これは、お母様ばかりでなくお父様にもお願いしたい。

昨今、保育園不足が大きな社会問題となっている。
それだけ保育園に預けるケースが多くなってきているのだと思われる。
しかし、「心の基地作り」にとって大切なこの時期は、
どうか保育園に預けることなくお母様の手元で育ててあげてほしい。
それが可能となるような社会制度が充実することが望ましいが。

現実的にはそれが無理であるにせよ、
お子様をお母様の手元で育てる工夫を何とかしてほしい。
お父様もお母様も若年で経済的に苦しい時期であると思われるけれど、
お子様の一生を左右する大切な3年間なので、がんばっていただきたい。
衣食住のうち食は削れないにしても、衣や住は貧しくとも我慢することはできると思う。
たった3年間だから。

この時期の「心の基地作り」は、
妊娠中・出産後のそれと基本的にはかわりはない。
話しかけ」「母乳」「添い寝」「抱っこ」「スキンシップ」そして、
「泣く」「笑う」は「相手をして!」というシグナル
以上を大切にしていただければ大丈夫。

お母さん同士でいるとやけに話し上手になっておられるお母様が、
相手がお子様となると無口になってしまうケースを知っているが、
どうか、お子様に対しておしゃべりになっていただきたい。
確かに、話しかけたからといって言葉では返ってこないかもしれないけれど、
そこは気に留めず、話し続けてほしい。

これも繰り返しになるが、
お子様と一緒によく「散歩」もしてほしい。
その間も、できるだけ話しかけてあげたい。
花や草や動物たち、目に留まるものをお母様の言葉でガイドしてあげてほしい。
お子様が望めば、実際に触れさせてあげていただきたい。
「氷、冷たいね、すべすべしているね、硬い硬い・・・」

私の娘は、特に「石ころ」に興味を持った。
散歩の間、たくさんの石ころを収集していた。
散歩の時間は、新鮮な空気の漂う朝の7時頃がベストタイム。
1時間くらい、畑やお寺や公園を回って
家に帰ったら、最初に水シャワーを足にかけ、その後温かいシャワーを浴びさせた。
シャワーからあがると、布団の上で「赤ちゃんマッサージと体操」。
それから朝食。
それが、我が家の日課だった。