「クンター、元気の様子がおかしいよお!」
叫びながら、女将のラーが真っ青な顔で飛び込んできた。
「ん、どうした、どうした?」
「隣の家、隣の家!」
パニクって、ろくに口も聞けないので、こちらも飛び出してゆくしかない。
*
見ると、隣家の前に元気がうずくまっている。
顔色がどす黒く、体が硬直した感じ。舌や歯茎の色もおかしい。口の周りに泡。
「こりゃ、毒でも口にしたかなあ」
すぐに抱え上げて家に連れ戻り、無理矢理口をこじ開けて、水を注ぎ込んだ。
腹がパンパンに膨れたところで、胃をぐいぐいと押す。
喉に指を突っ込みたいところだが、相手は犬なのだからそういうわけにもいかない。
そこへ、ラーが生卵を持ってきた。
「飲ませると、吐くよ」
なんだかよく分からないが、ついでにこれも強引に飲ませる。
すぐに、泡状のものを少量吐き出した。
しかし、期待していたような量ではない。
代わりに、糞が出た。白い虫がいっぱいだ。
寄生虫病か?
*
激しい硬直が起きた。
横倒れのまま両手、両足を突っ張らせて、頭をのけ反らせる。
牙がコンクリートの床をギギギッとこする。
白目が出てきた。
ま、まずい。
背中を叩く。
心臓マッサージ。
息は戻ったが、すぐにまた硬直。
さて、どうしたものか?
隣家の甥っ子が駆け込んで来て、塩水を飲ませろという。
これも、試す。
ラーが家にあるありったけの気付け薬、目まい薬、動悸・息切れ薬などを水に溶かし、喉に流し込む。
ようやく硬直が取れて、よろよろと立ち上がった。
数歩歩いて、ふらふらと横倒しになる。
また立ち上がって、甥っ子に向かって激しく吠えた。
普段は、こんなことは絶対にしない。
まさか、狂犬病?
でも、ワクチンは打っているしなあ。
念のために鎖につないで、指示を仰ぎに町の獣医まで走ることにした。
*
すれ違いで、医師は山の奥に入ったという。
携帯番号を聞いて、ラーに伝える。
家に戻ると、なんと元気が立ち上がっているではないか。
医師の指示で、卵の黄身と味の素を混ぜて飲ませたらしい。
これまた、なんだかよく分からない処置だが、劇的な変化だ。
しばらくして、激しく吐いた。
やれやれ。
落ち着いたかと思うと、今度は断続的に甲高い声で吠え出した。
どこかへ行きたそうな感じだ。
顔を見ると、目の様子がおかしく、あらぬ方向を見ながら吠えているのだ。
こちらの顔も目に入らない様子。指を左右に振っても、瞳が動かない。
菌で頭でもやられたのか?
1時間ほどそれが続いたあとで、ようやく静かになって横たわった。
*
朝起きて見ると、すっかり落ち着いた様子でふとんにくるまっている。
ラーによれば、何度も起き出して自製の混ぜ薬を飲ませていたそうだ。
医師に電話をすると、「まだ山から戻れない。どうしてもいうことなら、ジョムトーンの動物病院まで連れて行け」という返事。
ということは、自分たちの手で何とかするしかないわけだ。
幸いなことにミルクを飲んでくれたが、これを書きながら横になっている姿を見ると、まだ腹で激しく息をしている。
数分後、外で雄太の吠え声がしたら、すくっと立ち上がった。
よたよたしながらまわりを歩き、また横たわった。
少なくとも、顔の表情はすっかり元に戻っている。
やれやれ。
それにしても、一体どうしたというのだろう?
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ありがとうございます。おかげさまで、今朝はかなり良くなってきたようです。詳しくは、本日のブログにて。
考えられる原因としては
頭蓋内
てんかん
腫瘍・外傷など脳の器質的変化
頭蓋外
代謝性
肝不全
腎不全
低血糖
心原性
不整脈
先天性
中毒
となりますが,発作後意識障害様の症状が見られ,経時的に軽快しているようですので,頭蓋内の原因を疑います.
翌日まで発作が続いているのであれば,重積化の可能性も有り,脳に障害が残る可能性も考慮します.
いずれにせよ,近医への受診を指示しますねぇ.
てんかん様発作だとすると,一過性に起こり,その後再発しないこともありますので,そうなると良いのですが.
取り急ぎ
動物は話せない分苦しんでいると、可哀想ですよね。
早く良くなるといいですね、、