今日の朝飯は、プラーニンの唐揚げだ。
プラーニンという養殖魚は日本とも深い関わりがあり、その由来については世界広しと言えども、もうすぐ発売される私の新刊の中にしか書かれていない(今日は何の日でしたっけ?)。
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さて、揚げすぎたカチカチの白身に苦戦していると、嫁のラーと3男のポーが言い争いを始めた。
訊けば、大雨のあとで大漁が期待できる本日、投網をどっちが使うのかで揉めているのだそうな。
ポーの方は、すでに年下の子分を引き連れ、投網をデイバッグに、昼飯を大きなビニール袋に詰めて準備万端だ。
彼の言い分は、「母ちゃんが破った投網を、昨夜2時間もかけて修理したのは自分なのだから、今日は自分に使う権利がある」ということらしい。
以前は、ひとつの投網を二人で持って仲良く川に出かけていたのだが、彼もすでに14歳。
いつまでも、メー(母ちゃん)の助手役に甘んじるつもりはないというわけだ。
ラーはラーで、今の季節は大きな蛭が多くて、岸辺を丸網で探るのは嫌なのだという。
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「そしたら、ジャンケンで決めたらどうだ?」
ラーに日本式のジャンケンを教えると、何やら怪訝な顔をしている。
「タイにはジャンケンはないのか?」
「あるけど、村じゃあトーポンといってちっちゃな子供の遊びだよ」
ラーによれば、「トーーー」と伸ばして言いながら利き手の拳を背後に隠し、「ポン!」と言って勝負を決める。
日本と、まったく同じである。
「でも、日本じゃあ大人も大事な勝負を決めるときに使うんだよ。たとえば、男二人がガールフレンドを争うときとか、当たった宝くじの権利を夫婦どっちが独占するかを決めるときとか(今日は何の日でしたっけ?)」
「ふーん。じゃあ、それで決めようか。ポー!トーポンで勝負を決めるから、こっちにおいで!」
だが、すでにポーと投網の姿はない。
父ちゃんと母ちゃんが暢気にジャンケン遊びをしている隙をついて、裏口からこっそり抜け出したようだ。
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「ラー、この勝負、お前さんの負けだな」
「まったく、しようのない子だね。でも、いいことを聞いたなあ。今度、日本人が村に遊びに来たら、どっちが100本ビールを奢るか、トーポンで決められるね」
おいおいおい。
負けたらどうする、負けたら!
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プラーニン(うちの方ではパニン)は昭和天皇がプミポン国王にタンパク質不足を補うために送ったのですよね。帰国してタイ大使館でこのことを知りました。日本から送られた魚(ティラピア)なのに、何故タイの名前なのかは疑問です。
放送日が近づくにつれ僕の方がお尻の辺りがむずがゆくなってきました。緊張してきながら楽しみにしております。
どうも、お騒がせしました。放送は中止になったようです。よかった、よかった(あ、今日は嘘をついちゃいけないんだ・・・)。
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チョンケオさん
確かに、匂いますね。洪水で流れ込んだのか、村の川でもときどき小さいのが釣れます。過去記事のカブトムシ、鶏卵、脱穀に関するコメントも、ありがとうございました。
僕も以前は泥臭くて口に入りませんでしたが、最近、食べられるようになりました。
ところで、プラーニンは「仁魚」をタイ語にしたものですね。魚はプラー、ニンは仁の音読み。今上天皇が皇太子の時にこの魚をタイに贈られたので、「明仁」の「仁」を魚の名前にした...と説明されていました。ご参考まで...
お元気でいらっしゃるようですね。プラーニンの名前の由来は、私もそのように聞いています。詳しい説明、ありがとうございました。