【タイ山岳民族の村に暮らす】

チェンマイ南西200キロ。オムコイの地でカレン族の嫁と綴る“泣き笑い異文化体験記”

【モスラ~や、モスラ~♪】

2011年07月26日 | オムコイ便り


 ラーと子供たちの騒ぎ声で目が覚めた。

「なんだ、なんだ?」

 ふとんを蹴って飛び出すと、玄関口のテラスに羽幅が20センチもあろうかという巨大な蛾がとまっている。

「まるで、虎みたいな模様でしょ。これはね、幸運をもたらしてくれるありがたい蛾なんだよ」

 興奮気味のラーに促されてよくよく見てみると、確かに右側の羽は茶褐色と白のまだらで、そう見えなくもない。

 しかし、左側の羽はボロボロで、上縁の左先がなんとなく蛇の頭のようにも見える。

 残念ながら、対象をなしていたはずの右羽のその部分は千切れている。

 もしも両方の羽が完全に残っておれば、虎と蛇が絡みあったような勇壮な模様が現出するのではあるまいか。

     *

 それにしても、この羽の傷みようはどうしたことだろう。

 蛾の寿命などについては何も知らないが、数々の危機を切り抜けつつ、相当の時間を生き抜いてきたことは間違いないだろう。

 もしかしたら、最期のときを悟り、わが家に幸運をもたらすべく羽を休めに来てくれたのだろうか。

 科学にからきし弱い文系人間の勝手な妄想を尻目に、当の老いたる巨大蛾は、さっきからピクリともしない。

      *

 ひとつだけ確かなことは、ラーや村の衆はこの蛾が“幸運をもたらしてくれる”と信じていることである。

 幸運とは、再開した麺屋の繁盛だろうか。

 ひょっとしたら、宝くじの一等当選かもしれない。

 何はともあれ、ここは信じるに如くはない。

 そのとき、突如として私の耳にかの懐かしきメロディが甦った。

「モスラ~や、モスラ~♪」

 怪しくも美しいハーモニーを奏でるのはむろん、史上最強の双子デュオ、ザ・ピーナッツである(若い人は知らないだろうなあ)。

 少年時代に夢中になった映画『モスラ』のシーンを思い出しつつ、私は南の島の原住民のごとく巨大蛾の前にひれ伏し、恩寵の到来を乞い願うのだった。

「モスラ~や、モスラ~♪」

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2 コメント

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ランク上昇中↗ (kero)
2011-07-26 22:59:14
ブログ更新お疲れ様です。

クンターのブログに日々癒されております。

そのうちで結構ですが、雄太2世とか鳥さん末裔の成長記事などもお願いします。
もちろん、ジョー君の嫁取り物語も気になるところで~す。

(全世界300万潜在読者を代表してコメントしました)
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その蛾はヨナグニサン? (新明天庵)
2011-07-28 00:22:05
 世界最大の蛾で与那国島で最初に発見されたので「ヨナグニサン」と呼ばれているそうです。この巨大な蛾の幼虫(グーグル検索で写真可能)こそ、モスラの幼虫にそっくりかな?
 この幼虫が食草の葉を食うときには、ガリガリと周囲に音を出すようですよ?
返信する

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