
タイ語もカレン語も相変わらず不得手であるが、さすがに2年近くも村で暮らしていると、少しずつ単語が耳に入ってくるようになる。
私が最初に覚えたカレン語は、先日紹介した“アンミー(ご飯を食べる)”と“オイテテ(おいしい)”と“ダブルッ(ありがとう)”である。
これらは、生きていく上で必要不可欠な言葉であるから覚えざるを得ない。
次ぎに覚えたのが、“プルゥー(馬鹿)”と“ナッケー(困ったもんだ)”だ。
これは、嫁と喧嘩するときの大きな武器となる。
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顔を合わせた村人が、必ず口にする言葉も覚えやすい。
“アンミーヤ(飯喰ったか)?”
これは、タイ語の「ギンカオルーヤン?(キンが正しい表記だが私にはギンとしか聞こえない)」や中国語の「チィーハンラマ?」など、アジア各地の共通挨拶語である。
“リィプロ(どこ行くの)?”
家に戻る途中にこう聞かれると、初めのうちはついつい「バイバーン(家に戻るんだよ)」とタイ語で答えていたのであるが、そんな場合は“どこに行ってきたの?”という意味になるから、ちょっとややこしい。
尋ねた方も、さぞや困ったろうな・・・。
ちなみに、“リィ”は「行く」の意味(“タア”とも言う)。
「行け!」または「行こう!」と人をせき立てるときは、“リィ、リィ”または“タア、タア”と繰り返す。
「来い」「来る」は、タイ語と同じ“マー”。
何か言われても意味が分からないときは、“アンニャンコ(何)?”。
タイ語の“ニーアライ(これ何)?”という意味でも使う。
ただ、聞き返しても意味が分からない場合が多いので、ちょっと哀しい。
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日本語や中国語と似た言葉もある。
“オイシ?”
これは、文字通り「うまいか?」という意味。
うなづいて“ウン”といえば肯定だし、首を横に振って“ウウン”といえば、否定である。
何かを確かめたり、念を押したりするときは「ネ?」と言う。
「どうだ、その通りだろう?」というニュアンスのときには、「ノオ?」と自慢気に語尾をあげる。
“ブーヤオ”は北京語の“不要”と同じ発音で、意味も同じだ。
腹いっぱいになったら、「ブーヤオ!」
何かをやめてほしいときも、「ブーヤオ!」
これは、ラーの亡父のような中国国民党残党が持ち込んだ外来語かもしれないとも思うのだが、よく分からない。
ただし、「ブーヤオ」はちょっと強い言い回しで、「もう充分」と軽く言うときは「ポーラ」を使う。
「クンター、焼酎もう1杯どうですか?」
「ポーラ!」
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犬は、“トゥエーイ”。
腹の底から“トゥエーイ(犬)!”と声を出すと、どんな犬でもこそこそと逃げ出していく。
息子に「早く犬に餌をやれ」と言うとき、ラーは“マーアンミートゥエーイ!(来い・飯を喰う・犬)”と叫ぶ。
鶏を追い払うときは、“ショーッ!”
逆に、餌やりのときに呼ぶときは巻き舌で“プループループルー”とやる。
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数字やモノの値段はなかなか覚えられないが、“ケイチェイ(20バーツ)”と“レイチェイ(30バーツ)”だけは発音がよいと誉められる。
焼酎を買うとき、絶対に欠かせない言葉だからだろうか。
ちなみに、写真は3男のポーが描いたわが村の風景。ただし、象はいない。
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