【タイ山岳民族の村に暮らす】

チェンマイ南西200キロ。オムコイの地でカレン族の嫁と綴る“泣き笑い異文化体験記”

【赤勝て、白勝て!】

2010年06月20日 | オムコイ便り
 早朝、市場に仕入れに行くと目当ての豚骨がない。

 これじゃあスープが作れないので、やむなく2連休と相成った。

 戻り道、先日書いたガトゥーイさん経営の食堂の前を通りかかると、久々にシャッターが開いている。

 クルマを停めて声をかけると、「エイズでチェンマイの病院に入院した」という噂を立てられた本人が、大掃除をしているところだった。

「どうしたんですか?」

「ちょっと具合が悪くなったんで、店を閉めることになりました」

 微笑んだ顔が、寂しそうだ。

 店の行方について訊くと、ここは貸店舗で、彼が立ち退いたあとはオーナーが改装して自らバイクの修理工場を始めるのだという。

 この時点で、ここへの麺屋移転の話は立ち消えとなった。

      *

 急な休みで、特にやることもない。

「どうする?」

「家の裏庭にも野菜畑を作り直そうか」

 しかし、今日も朝から快晴で、気温がぐんぐんあがっている。

 この暑さでは、なんだか億劫だ。

 ラーが洗濯をする間、本を読み始めたのだが、どうも気分が乗らない。

 そこで、DVDで日本のテレビドラマを観ることにした。

 例によって、定宿のKさんがメーサイで買ってきたもので、題名は『ROOKIES』という。

 試合中に乱闘事件を起こして廃部寸前に追い込まれた高校の野球部を、新任の熱血教師が立て直すというストーリーなのだが、これがなかなか面白い。

      *

 だが、冒頭から繰り広げられる暴力シーンを見ているうちに、ラーが怒り出した。

「日本のドラマは、シリアス過ぎるよ。どうして高校生が、こんなにひどい暴力を振るうの?これじゃあ、見ていて疲れてしまう」

 私には見慣れた光景だが、ラーには刺激が強すぎたようだ。

 タイのドラマにも暴力シーンはよく出てくるが、いかにも作り事という感じで日本のような迫真性はない。

「まあ、待て待て。彼らはだんだん変わっていって、最後には野球に夢中になるんだから」

 そのうちに、手のつけられない不良少年たちが一丸で試合に臨むようになった。

 すると、今度はラーが彼らに声援を送るようになった。

 手拍子を叩き、応援歌のようなものまで歌い始める。

「赤勝て、白勝て。行け、行け、行け!」

「なんだ、そりゃ?」

「小学校のときの運動会で、こうやって応援してたんだよ」

「・・・」

 そのうちに、釣りから戻ってきた息子たちも食い入るように画面に見入り始めた。

「ああ、この場面は息子たちによくない!」

 暴力シーンになると、ラーは相変わらず文句を付けるのだが、試合のシーンになると大声で声援を送るものだから、

「メー、静かにしてよ」

 息子たちに、注文を付けられる始末だ。

 ちなみに、タイのテレビドラマでは飲酒・喫煙シーン、銃やナイフを体に突きつけるシーンにはボカシが入る。

      *

 ドラマは、不良野球チームが甲子園に夢をつなぐ場面で終わった。

「ああ、やっぱり日本のドラマは面白いねえ。それに較べると、タイのドラマはバカみたいなのが多過ぎる」

 ラーが、感心したように呟く。

 そういえば、定宿の主人ウイさんも「日本のドラマは深いなあ」と感心していたっけ。

 ここ数年、私は日本のテレビドラマをリアルタイムで観たことがない。

 いま、日本ではどんなドラマが流行っているのだろうか。

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2 コメント

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日本のドラマ (バンコクジジイ)
2010-06-21 19:29:51
深いですよね。
というよりほかの国のドラマは皆タイと似たり寄ったりです。
韓国も同じ。流れがシンプルなんで中年おばさんが飛びつきやすいと言ったらぼこぼこにされそう。笑
インドネシアもドラマとしてはみな同じ流れです。
韓国ドラマが他の国と違うのは整形と化粧が徹底してる事じゃないでしょうかね。

私も海外での仕事時にタイ人と一緒に日本のドラマを見る機会が良く有ったのですが、深い。

シーロムでタイ語字幕付きのドラマ良く買ってました。
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家族の反応 (クンター)
2010-06-22 18:30:52
バンコクジジイさん

『ROOKIES』、ドラマに続く映画も家族に見せたのですが、ラストに近づくと「もっと見たい、終わって欲しくない」と大騒ぎしておりました。私には、家族の反応の方が面白かったです。
返信する

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