【タイ山岳民族の村に暮らす】

チェンマイ南西200キロ。オムコイの地でカレン族の嫁と綴る“泣き笑い異文化体験記”

【疲れる話】

2009年12月15日 | オムコイ便り
 
 12月15日、火曜日。

 家で目覚めると、すでに7時である。

 昨日は、軽い昼寝のつもりが店の小部屋で夕方まで眠り込んでしまったのだけれど、またまた9時間も眠ってしまったことになる。

 これには訳があり、昨日の明け方、焼酎を瓶ごと盗んでいったふたりの酔っぱらいに眠りを妨げられたのである。

 焼酎泥棒の正体は、ラーの従兄弟とミスターオッケーで、ふたりはどこかで朝まで飲み続けて家に戻れないものだから(ふたりとも凄い恐妻家なのだ)、律儀にも(?)店に焼酎の瓶を返しにきたらしい。

 そして、あわよくば店の裏で焚火をしながら、さらに飲み続けようという魂胆だったようだ。

 「このバカたれどもが!こっちは夜の12時近くまで働いたというのに、お前らのおかげで焼酎も飲めなかったんだぞ!とっと家に帰って、かあちゃんに殴られて来い!」

 ラーがふとんから飛び出して通訳するとぴたりと静かになったが、頭に血がのぼったので、もう眠れるわけがない。

 そういうわけで、今日の遅い目覚めになったわけだが、疲れはだいぶん取れたものの、夕べ喰った蟹(地中海風ハーブ煮込み)のせいか下痢はするわ、首を寝違えるわ、まったくろくなことがない。

 ええ、いまいましい酔っぱらいども奴め!

 まあ、昨日はふたりとも罪滅ぼしのために材木の運び出しを手伝ってくれたというからかわいいところもあるのだけれど、その報告に来たときには、またまたべろべろに酔っぱらっているのだから、始末に悪い。

       *

 いつものことだけれど、月曜日と火曜日は比較的暇なので、今日はゆっくりと仕込みを済ませてから、クルマを洗うことにした。

 私にとってのクルマは単なる足にしか過ぎず、日本でも自分で洗うことなどめったになかったのであるけれども、家の庭には巨大なマッカームの樹があり、その葉が盛大に車体に振り落ちてくる。

 この葉は、カレン族料理には欠かせない酸っぱい果実と同様に酸味を含んでいるので「放っておくと錆びになる」とラーがうるさくて仕方がないのだ。

 そこでホースで水を振りかけ始めると、ラーがしきりに「ご飯を食べよう」と声をかけてくる。

 まだ野菜がゆがきあがっていないはずだと思いながら水を止めて様子を見に行くと、案の定、ラーは唐辛子味噌をこねている最中だ。

 「まだ、喰えないのに、なんで呼ぶんだよ?」

 「だって、おなかが空いたから」

 「俺は、お前さんがうるさく言うからクルマを洗っているんだぞ。呼ぶんなら、喰える状態になってから呼べよ」

 作業に戻ると、5分もしないうちにまたまた「クンター、ごはん食べよう」である。

 「できたのか?」

 「うん」

 そこで、また水をとめて裏庭にいくと、野菜はゆがき終わっていない。

 「まだ終わっていないじゃないか」

 「すぐに終わるよ。唐辛子味噌は、もうできたんだから」

 「まったく、もう。全部終わってから呼んでくれよ!」

  作業に戻ると、またまたすぐに「クンター、おなかが空いたよお」である。

 「そんなに腹が減ってるんなら、先に何か喰えよ!何度呼べば気が済むんだ?」

 「あ、野菜がゆがき終わったよ。さあ、食べよう」

 「本当だな?」

 「うん。さあ、早くおいでよ」

 作業を中止して店に戻ると、野菜の盛りつけは済んでいるが、飯がない。

 「ご飯は?」

 「あ、もう炊けてるよ」

 「だったら、飯をよそってから呼べよ」

 「クンター、よそってくれる?」

 どうやら、飯の支度をすべてひとりでやるのが気に喰わないらしい。

 だが、こちらはその当の本人の要望でクルマを洗っている真っ最中なのである。

 「あのなあ、俺はお前さんが言うから・・・」

 「分かってるって。料理をしているときにクンターの顔が見えないから、寂しかったんだよ。さあ、早く、ご飯にしよう」

 「・・・」

 なんか、こういうのも疲れるんだよなあ。

☆応援クリックを、よろしく。
タイ・ブログランキング 人気ブログランキングへ

 

 

 

 

 

 

 

 




 

 
コメント (4)    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 【貸家戦争勃発】 | トップ | 【ちと、情けないけれど】 »
最新の画像もっと見る

4 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
僕も (ishi)
2009-12-16 00:58:04
僕も夕飯を作るときに,かみさんが近くにいるのであれば,手伝ってもらわないと何となく,寂しくなります.かみさんが,何かしていたとしても,皿を出すとかだけでもしてもらうとほっとします.食事を作るのは好きなのですが,基本わがままなのでしょうね.ラーさんの気持ちがよくわかる気が・・・・・・.
返信する
Unknown (なかちゃん)
2009-12-16 09:05:31
クンター様
ご無沙汰しております。
なんとかネットも繋がる様になって良かったですね!(^^)これからも更新を心待ちにしております。
クンターさんに刺激され僕も来年から新しい商売を始めようと思っています。なんとか訪泰の方も考えていてその際には是非クンターさんのお店に顔を出させて貰おうと考えてますので宜しくお願いします。奥様ラーさんの作ったクッティアオ早く食べに行きたいです。あっ!その時はパクチー抜きで...(^_^;)
返信する
良かったですね (チェンライおやじ)
2009-12-16 11:51:09
クンター様
取りあえず、ネットの回線が繋がったようですね。
これで、毎日クンターさんのブログを読むことが出来ますね。
私の場合もそうでしたが、タイだからと諦めるしかない事が多い田舎暮らしです。(本当は、タイだからという言葉は嫌いですが)
商売の方も順調そうで、此れからも頑張ってください。
返信する
おかげさまで。 (クンター)
2009-12-17 12:01:38
ishiさん

 うーん、確かにその気持ちは分かりますが、自分で用を言いつけておいて、その作業の邪魔をするというのがわが嫁なのでありまして・・・。
 先日アドバイスいただいた牛の病気、まだ舌の腫れは完全にはひかないのですが、ビタミン剤の投与で小康を保っているようです。

    *

なかちゃん

 こちらこそ、大変ご無沙汰しました。新商売を始められるとのこと、成功をお祈りいたしております。
 タイにいらっしゃったら、ぜひお立寄りください。パクチーを山ほど準備して、お待ちしております。

     *

チェンライおやじさん

 いつも、応援ありがとうございます。道端の草むらでネットをつなぐというのも、なかなかオツなものです。
 店の方は素人商売なので、あれこれ疲れることも多いのですが、早朝3時起きのそちらに較べれば、まだまだ楽です。
 機会があれば、ぜひ商売のコツを教わりに行きたいと思っています。
 お互い体に気をつけて、のんびりと行きましょう。
返信する

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

オムコイ便り」カテゴリの最新記事