【タイ山岳民族の村に暮らす】

チェンマイ南西200キロ。オムコイの地でカレン族の嫁と綴る“泣き笑い異文化体験記”

【お茶文化の衝突】

2010年06月09日 | オムコイ便り

「クンター、熱いお茶をどうぞ」

 朝起き出すと、ラーがニコニコしながら湯呑みを差し出した。

 ランパーンで大振りの急須をもとめたので、さっそくジャスミン茶を試してみたらしい。

「ほお、感心、感心」

 甘ったるいタイのインスタントコーヒーよりも、お茶の方がずっといい。

 だが、呑んでみると少しばかり甘い。

「なんだ、砂糖を入れたのか?」

「だって、クンターが昨日淹れたのは苦くてまずかったから」

      *

 中国系のタイ人は別にして、タイにはお茶を飲むという習慣がないようだ。

 最近はペットボトル入りの緑茶がはやり出して、ラーも好んで飲むのだけれど、中国と同様に砂糖入りでとても甘い。

 どうやら、ラーはそのひそみに倣ったようだ。

 まあ、ジャスミン茶に少量の砂糖という組み合わせは薫りもよく、朝の飲み物としてはさほど悪くない。

 ゆっくりと飲み干して、急須から2杯目を注いだ。

 ところが、これがとんでもなく苦い。

 しかも、急須にはお茶っ葉が入っていない。

「ん?お茶っ葉はどうした?」

「そっちのどんぶりの中だよ」

 いったい、どういうこったい。

 仔細に訊いてみると、ラーはまず日本人からすれば大量過ぎる茶葉をどんぶりに入れてお湯を注ぎ、お茶が出きったところで、茶葉をどんぶりに残してそのお茶だけを急須に移し直したらしい。

 そして、湯呑みに砂糖を入れて急須からお茶を注いだのだという。

 とんでもなく手間のかかる淹れ方をしたもんだ。

 当然、急須に残ったお茶はとんでもなく苦い。

 そこへ砂糖を加えることで、“私が急須で淹れた日本式のお茶よりもずっとおいしい”お茶になったということらしい。

 うーむ。

      *

 むろん、改めて正しいニッポンのお茶の淹れ方を伝授したのだけれど、いまひとつ納得できない風だ。

「だって、急須の中にお茶っ葉を入れたままにしておくと、苦くなるでしょ?」

「だから、苦くならないように急須に淹れたお茶は湯呑みに注ぎ切ってしまうんだよ」

「じゃあ、飲むたびに急須にお湯を少しずつ入れるの?」

「そうだ、その通り」

「そんなの面倒くさいよ。だって、いちいちお湯を沸かさなきゃいけないじゃない」

 そこで、ふと思い当たった。

 読者の皆さんには信じがたいことだろうが、わが家には給湯ポットがないのである。

 まあ、お湯が必要なのは朝のコーヒータイムくらいだし、定宿で新品のポットがすぐに壊れるさまを何度も目にしてきたので、ついつい面倒になって放ってきたのであるが、日本式の急須が手に入った以上、これは考え直さねばならないかもしれない。

 しかし、新品のポータブルラジオ(CD・カセットテーププレイヤー付き)はわずか3週間で壊れてしまったし、新品の扇風機は2ヶ月で動かなくなった。

 業者が持ち帰ったテレビ用衛星アンテナに至っては、2ヶ月近く経ったいまでも修理が終わらない。

 直らないなら直らないといってくれれば、その方がすっきりするのであるが、催促するたびに「明日持って行きます」という繰り返しなので、さすがに血圧に悪い。

 これ以上、不良品家電を増やして健康を損なわないためには、茶を飲むたびにお湯を沸かした方がよさそうな気もする。

 だが、つい先日はお湯を沸かしていることをすっかり忘れて、ヤカンを真っ黒焦げにしちまったからなあ。

 タイには、お湯が沸いたことを知らせるホイッスル付きヤカンなんて売っているのだろうか。

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3 コメント

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電圧変動かも (yoritomo)
2010-06-09 16:32:35
うーん知らず知らずのうちに鍛えられることが解ったような気がしますが、年一の爆発もややむを得ないか。。

家電製品の早期不良化は配電電圧が大幅に変動すること(変圧器からの距離が長いとより顕著)が考えられます。
パソコン等の電源は交流を直流に変換しています。しかも交流電圧100-240V等大幅な電圧差が生じても問題なくに対応しています。
扇風機や湯沸かし器等は電圧が±10%位の変動には対応できますがそれ以上の変動は寿命に影響を及ぼします。
電気を使用しない保温ポット等をお勧めします。我が家のポットは上部のボタンを押すとお湯がでてくる、電気ナシのもので15年モノです。
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ヤカン (しんちゃん)
2010-06-10 14:56:54
ホイッスル付ヤカンですが、バンコクでは伊勢丹やエンポリアム等のデパート、BigーCなどの大型スーパーで買えます。私はBig-Cで買いました。値段がデパートの半分ですから。アルミのペラペラのヤカンの倍以上ですが忘れて真っ黒にしてしまう事はなくなりました。安全、安心が一番です。ちなみに、伊勢丹と向かいのBig-Cもまだ閉店中です。Big-Cにはムササビはありませんが、ワニやカエルの肉は冷凍ですが売ってます。
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ポットとヤカン (クンター)
2010-06-10 20:44:32
yoritomoさん

 なるほど。電気なしの保温ポットというのが、精神衛生上一番いいかも知れませんね。そういえば、昔は保温ポットのことを“魔法瓶”なんて呼んでいたような気がします。

   *

しんちゃん

 焦がし防止装置付きヤカン、バンコクの量販店で買えるということはチェンマイでも手に入りそうですね。しかし、ワニや蛙の肉はあってもムササビの肉がないなんて、バンコクも遅れていますねえ(笑)。

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