【タイ山岳民族の村に暮らす】

チェンマイ南西200キロ。オムコイの地でカレン族の嫁と綴る“泣き笑い異文化体験記”

【見た目は、妖怪】

2010年06月10日 | オムコイ便り
 昨夜も晩飯どきに、無数の羽蟻が湧いてきた。

「これは雨が降る前兆だ」

 相伴していたモーピー(霊医・霊占師)のプーノイが重々しく宣うたが、雨は降らず、7時過ぎになってぐんぐん冷え込んできた。

 少しだけ開けたシャッターの隙間から吹き込む風が冷たく、思わず厚手のジャケットを羽織り、足元を毛布で包んだ。

 寝るときには毛布だけでは足りず、冬用の分厚い掛け布団にくるまった。

     *

 今朝7時の室温は、20℃。

 風邪気味で、頭が重い。

 そこへ、仔豚と鶏の餌やりからラーが戻ってきた。

「おいしいご飯が手に入ったよ」

 手渡されたビニール袋の中を覗いて、ギョッとした。

 不気味な化け物が、大口をカッと開いてこちらを睨みつけている。

 まるで、昨夜観た映画の中の妖怪みたいだ。

「なんじゃ、こりゃ?」

 真っ黒に焦げたそれを引っ張り出すと、顔も凄いが、断末魔のままに固まったような姿態もおどろおどろしい。

「こうもりか、これ?」

「ううん、飛行機みたいに木から木に飛び移る動物だよ」

 ラーが両手を広げ、滑空するような仕草を示した。

 どうやら、ムササビらしい。

 かつて、隣人だったメータイから調理済みのムササビのおかゆを差し入れしてもらったことがあり、鶏肉のような味わいはなかなかだったことを思い出したのだけれど、調理前の姿を見るのは初めてである。

「どうしたんだ、これ?」

「甥っ子のドー(ジョーの弟)が夜中に猟に行って仕とめてきたの」

 ドーはまだ高校生だが、クッティアオ屋も任せられるし(どんぶりは大量に割ってくれたけど)、蛇漁、蛙漁、そして粗末な紙火薬式散弾銃での鳥撃ちと何でもござれである。

 仕とめたムササビはその場で腹わたを出し、家に持ち帰って皮を剥ぎ、囲炉裏の火で表面が焦げるほどにあぶるのだという。

 そうすれば、日持ちがする。

 さて、今夜はこれで晩飯を作るというのだが、どんな料理ができあがるだろうか。

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2 コメント

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いいですね (バンコクジジイ)
2010-06-10 13:19:24
お茶と良い、ムササビと良い、毎日がいまだに驚きの連続と言うこと自体がすごい事ですわ。笑

電気ポットと言う選択は無しですかね?
私は今一人暮らしですが家に帰ると電気ポットに電源入れて、いつでもお茶やコーヒー入れられるようにしてますけど。
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電気ポットと血圧 (クンター)
2010-06-11 18:33:41
バンコクじいさん(さん)

 おっしゃる通り、本当に毎日あれこれ書くネタが出てくるもんだと感心します。ちなみに、そのお勧めの電気給湯ポットがすぐに壊れるのを見ているものですから、血圧に悪いかなあと懸念しているわけですが。
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