稲刈り10日目にして、とうとうラーの体が悲鳴を上げた。
首筋、肩、背中、腰の痛みがひどく、今日はついに休まざるを得なくなったのだ。
村人の中では飛び抜けて体格のいい次男のイエッ(18歳)も、昨日は背中の痛みを訴えて半日でリタイヤ。
今朝はまたなんとか出撃していったが、稲刈りと脱穀はそれほどに重労働なのである。
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なにせ、鎌を使った手刈りである。
そして、脱穀も機械は使わない。
まずは、一番広い田んぼにブルーシートを広げ、その周囲に刈り取った稲束を積み上げる。竹ひごで結わいた数束の稲は意外に重く、急斜面に拓かれた棚田に散ってこれを集め回り、頭にかぶるように背負って細い畦道を運ぶ作業は、なかなかに甘くない。
数往復もすれば、すぐに背中と腰がきしみ出す。
積み上げが済むと、シートの真ん中に置いた古タイヤや簀子状の板台を目がけ、「叩き棒」に挟んだ稲穂をひたすら叩きつける(前回の記事冒頭写真をご参照)。
籾を効率的に弾き飛ばすためにかなりの力を込めるから、長時間やっていると首、肩、背中、腰に負担がカチンカチンに固まってくる。
そして、乾燥が済むとこれを飼料袋に詰めて遠く離れた作業道や川向こうに停めたピックアップの荷台に運び込む。
そして、村にあるそれぞれの家の米蔵まで担ぎ込まなければならない。
肩に担ぐ袋は、20キロを超える。
やれやれ。
私自身は腰痛のため、ここ数年まったく手伝ってはいないのが、こうして書いているだけでも息が詰まってくる。
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ところで、今朝方はかなり冷え込んだ。
朝6時の気温は、16℃。
朝靄もなく、早朝から端麗な青空が広がっている。
朝食を済ませると、ラーは久々にのんびりとした時間を楽しんでいる様子だ。
だが、貧乏性の番頭さんはこの天気を見て、ひとりそそくさとバンブーハウスの掃除や布団干しにとりかかる。
むろん、腰のリハビリを兼ねたのんびりとした動きではあるけれども。
午前10時の気温は、すでに25℃。
山から吹き下ろす風が爽やかだ。
庭に咲いたマリーゴールドのまわりでは、白や黄色の蝶々が飛び交っている。
遠くから、セミの声も聞こえてきた。
道沿いには、ススキの穂も揺れている。
バンブーハウスに覆いかぶさるように立っているマカーム(タマリンド)の大樹に、茶色の実が鈴なりになっている。
一日の間に四季が同居するクール(コールド?)シーズンの到来である。
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ふと気づけば、やけに静かである。
人の話し声すらも聞こえない。
そうか、みんな稲刈りか脱穀に出かけているのだった。
近所の雑貨屋にぶらぶらと出かけても、人っ子ひとり見かけない。
太っちょの主人が「どうにもならんわい」と苦笑する。
戻りがけ、バンブーハウスの前より眺める川向こうの景色から、棚田の黄金色が日に日に消えていく。
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田植え、稲刈り、脱穀と、いずれも体験しまたが、いずれも5分と持ちませんでした。とくに脱穀。見た目以上に重いです。1回で辞めました。あれを1日炎天下で繰り返し作業をするお百姓さんたちに感謝です。
朝方は冷え込んできましたが、日中は30℃になるので、しんどいですよね。昨日は脱穀が終わらず、夜にも作業を続けていました。
棒で挟んでの脱穀はよく見ます。嫁の親戚も連日稲刈りです。うちの田圃は最後になるでしょう。稲刈りも村の半分程は済んだ感じです。
そうですよね、なにせ命がかかっていますから必死です。昨日ゲストを案内したところでは、近場の田んぼではほぼ終わりかけているという感じでした。