バンマスの独り言 (igakun-bass)

趣味と実践の音楽以外に日々感じる喜びや怒り、感動を記録するためのブログです。コメント大歓迎です!

アフリカン・ミュージック

2009年06月24日 | 音楽:ポピュラー系
僕は初めて聴くような音楽とのふれあいをいくつかの方法で楽しんでいるが、たとえ仕事の時間であっても貴重な音楽知識を吸収できるラジオ放送はもっとも重宝に利用しているメディアのひとつだ。


Weekend Sunshine(NHK-FM)毎週土曜日7:15-9:00

特にこのFM番組は僕にとって大変貴重なもので、内容はやや偏りつつもワールドワイド。時にはこのブログの記事を書く時のきっかけや資料にもなるし、情報の補完にも役立つことがある極めてありがたい番組なのだ。

パーソナリティのピーター・バラカンは知る人ぞ知る著名音楽評論家だが、この人の聴いている音楽の多種多様さにはいつも恐れ入る。イギリス人のわりにはクラシックの知識は浅めだが、ケルトやアフリカンなどのワールド・ミュージック、カントリーやブルースあるいはデキシーなどのアメリカン・ミュージックのプレーヤー(シンガーも含む)に対する知識は奥深い。
またこの人と僕とは比較的歳も近いので話の内容に共感できることも多い。

土曜の朝、この番組のテーマ・ソングが流れるとなぜだかうれしくなってくる。
ピーターもこの曲が好きだからこその選曲だったんだろう。日本でもかつてヒットしたダンサブル(ディスコ)ナンバーだ。妙に哀愁があって、アタマのカウントなどは日本人にだけわかるダジャレ?のようなおかしさもある。



OSIBISA: SUNSHINE DAY (1976)
(参考) YOUTUBEで
 
(注)あくまで参考曲:メンバーチェンジの後、ディスコ化してしまったオシビサの曲であって、僕の言う本来のオリジナル・オシビサではないので念のため)

この映像ではカットされているが、冒頭のカウントで「ワン、ツー、サンシャイン!」とほざく(笑)。



さて今日はこの愛すべきアフリカン・ファンク・バンド「オシビサ」を取り上げる。
1971年「オシビサ」で鮮烈なデビューを果たし、すぐさまセカンド・アルバム「ウォイヤヤ」(72年)で揺るぎない評価を得たアフリカン・ルーツのバンドだ。 後年、折からのディスコ・ブームに押されて?次第にダンサブルに変化して、僕はその後の彼らを追うことをやめたいきさつがあるが、それ以前、いわゆるデビュー当時の彼らにはかなりハマった思い出がある。
学生の頃この2枚のLPレコードを持っていたが、一度聞かせて、と言われそれを貸した先輩からはついに2枚とも戻ってこなかった・・・そんな思い出も残っている。



「オシビサ」(1st)
 

「ウォイヤヤ」(2nd)


ファーストの「オシビサ」は草むらで鳴く虫の声、セカンドの「ウォイヤヤ」では雷鳴が去った後の静けさの中でフルートが大平原を描き出す、そんなシーンで始まる。
洗練されたホーン(ブラス)のバンド、当時でいえばBS&Tやシカゴ、チェイスやタワー・オブ・パワーのようなスマートさは微塵もない。ひたすらブカブカと楽しげに吹いている。もちろんバックを支えているのはアフリカン・パーカッションと西洋のドラムセットの混成リズム隊だ。

オシビサのメンバーはガーナ、グレナダ、アンティグア、トリニダード、ナイジェリアの混成メンバーで、一口にアフロ圏と言っても南ア系の素朴でゆったりとしたムードに比べるとファンキーでアグレッシヴな印象を与えるのは、やはり西アフリカ系のメンバーがいるからなんだろう。

みなさんは「ハイライフ」というサウンドをご存じか?
ハイライフとは主にガーナやナイジェリアなどで40年代に流行したアフリカン・ポップスなのだが、ホーンやラテン・パーカッションを編成に加えたサウンドは、いかにもダンスフロア育ちのたたずまいで、ともすれば素朴とか野性的とかイメージされがちなアフリカン・ミュージックにあっては、実はかなり洗練されたスタイルの音楽だったのだ。

オシビサはそんな音楽にテクニシャンのメンバーがエスニックのプリミティヴな要素とソウル、ジャズ、ロックのモダンな要素を合体させて響かせていた。
また彼らはアフロ・スピリチュアルを<言葉>で語るというよりも(実際彼らはある急進的政治結社への共鳴を明言していた)どちらかというと<音楽>で苦しさを忘れ、愛のあるハッピーな世界を築こうという一見穏健派のようなメッセージを投げかけていた。
オシビサの楽しく、そして同時に哀しげな、あるいは今も新しくそして懐かしい音楽を聴いていて光と影を併せ持つこの世界に思いが至る。

ともかく初期の2枚のアルバムを聴いて僕は当時とても新鮮な感動を覚えた。
おりしも彼らのデビューは60年代末から70年代初頭に爆発的に開花したプログレッシヴ全盛期のさなかだった。
彼らの結成はロンドンだった。当時のイギリスの音楽シーンにいかに鮮烈な影響を与えたかは歴史が雄弁に語っている。

(参考曲:2ndアルバムより「Y sharp」)

ピーター・バラカンのDJ番組にオープニングで流れるオシビサを聴いていて、楽しい気分になりつつも、ダンサブルなバンドに変化していってしまったこのバンドの原点に懐かしさと愛着を今でも感じている僕なのだ。

このバンドを聴いていた僕は彼らのその後の変化に対して距離を置くようになる。
そして僕のアフリカン・スピリチュアルへの興味はオシビサよりももっと過激で強烈な音楽へと移り変わっていくことになる。

そう、そんな音楽をマイナーながら世間に放出していたアーティストの一人が、あの伝説的ミュージシャン・・・フェラ・アニクラポ・クティだ!
僕はアメリカ人の友人に頼んで国内では発売されていないフェラのアルバムをいくつも入手して楽しんでいた。(今はAmazonなどがあって便利だが、その頃苦労して手に入れたフェラのアルバムは現在相当量廃盤になっている)

なんという朴とつで過激な音楽なんだろう!
彼は母国ナイジェリアでは政治犯でもある。こんな彼の音楽こそがリアルなアフリカン・ミュージックなんだろうと確信しながら聴いていた。

オシビサの屈託のない音楽がよりリラックスできるというのは正直な僕の感想ではあるが・・・。

フェラ・クティのお話は複雑になるので今回は省略するが、音楽は英米ばかりではない、ということをこれからも事あるごとに取り上げていきたいと思う。

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4 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
この人達だったの! (yoko)
2009-06-25 02:41:29
このyou tubeの曲、よく店の有線で流れてますよ!そうかぁ、なんか陽気な曲だとは思ってましたよ。誰だかも分からずにいました。アフリカンミュージックだったんですね。
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サンシャイン デイ! (くまじーじ)
2009-06-25 07:08:36
本日は快晴です。

6月に入って朝から快晴は初めてです。 気温も30度くらいになるとの事。 うれしいーー!!

オシビサは30年前、札幌でDJやってた頃よくリクエストをもらいレコードかけてました。 オシビサ=ヒサビサなんちゃって。
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ハッピーになりますよね! (igakun@発行人)
2009-06-25 11:30:33
>yoko さま

このころのオシビサは厳密にいえばもうアフリカンではないと思うのですが(どちらかというと西アフリカ諸国~カリビアンか?)楽しくて明るい曲想ですよね。
歌詞もシンプルな繰り返し。覚えやすいですよ~。

今日、本文に一行加筆。
彼らの彼ららしい2ndアルバムから1曲、youtubeにリンクを張りました。聴いてみてください。
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北で30度は暑いっす! (igakun@発行人)
2009-06-25 11:38:46
>くまじーじ さま

ぜったいに知っていると思ってました!

DJやってて、こいつらをかけてた?!
なんでもやってたスーパーくまさんですね。
ヒサビサに聴いて、天気もよくてハッピーな気分になってくださいよ。

北海道は梅雨が無い、なんてよく言われるけど、本当に雨がなければ農作物なんかは困るでしょ?
雨はそれなりに降るんでしょ?6月は。
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