バンマスの独り言 (igakun-bass)

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ボナマッサ 再来日東京公演

2010年04月08日 | 音楽:ポピュラー系
去年の9月に初来日したアメリカの若きブルース・ロック・ギタリスト、ジョー・ボナマッサが2度目の来日コンサートを行いました。

僕らのバンド、シェイズは来月5月9日に新宿で春のライブを敢行しますが、そのライブ用に組んだセットリストは<オール・ボナマッサ・プログラム>なのですよ!
つまりは一人のアーティストの曲だけをやるというバンド36年の歴史上初めての試みなわけです。

まぁ、メンバー全員が彼の音楽を好きだということが理由なのですけど、なにしろ今を時めく天才的ギタリストなので演奏技術水準も高く、実際中年バンドがどれだけその音楽に近づけるか、という自ら課した命題に日々練習を積む毎日なのです。

そんな僕らのヒーロー、ジョー・ボナマッサの東京公演(恵比寿リキッドルーム)をバンド全員で夕べ(4/7)観に行きました。
約1000人がスタンディングで入るというリキッドルーム。
前回(初来日)の代官山UNITより大きな会場に着いた僕らはチケットの整理番号が若かったせいもあって早々に会場内に入り、なんとステージ下最前列の場所を確保し、ステージ開始を今や遅しと高ぶる気持ちを抑えて待っていたのでした。

今回の再来日公演は4/7東京と4/8大阪の2公演のみ。
あのロンドンのロイヤル・アルバート・ホールを満員にした男の力量には全くもってふさわしくない地味な来日公演でした(もちろん前回もそう思いました)。

東京公演のみオープニング・アクト(前座)が用意されていて、定刻19時に登場したのはなんとティーンエイジャー女の子バンド<RESPECT>でした。 (参考画像
本来は4人編成ですが今回は気合いを入れたのか3管のブラス隊と鍵盤をサポートメンバーに加えていました。(本当はラッパ隊の無い<素の>彼女らの音楽をチェックしたいです)

一曲目からボーカルのブルース・ハープで彼女らのブルース好きをいきなりアピールしていましたが、僕にはどうしても自分の娘の高校の文化祭を見ているような感じでなんとも落ち着かないのです。ボーカルとリーダーのギターは姉妹でギターの姉は平成3年生まれ。
まぁ、とびっきり若いわけです。

僕らはボナマッサというプロ中のプロを見に来ているわけなので、彼女らの健闘する姿に応援の拍手を送りたいのだけれど、何か違和感ばかりが先行して白々とした気分になっていました。僕だって次代を担う若者の姿には応援したい気持ちはあります。ありますが、当夜詰めかけた<たぶんコアな音楽ファン>にとっては<別のところで楽しくやっていただきたいバンド>と思えたに違いありません。

まだ二十歳にもならない女の子のキュートなステージが30分ほどで終わり、場内は明かりを落としたままメインアクトの登場を固唾をのんで待っています。
ステージ上の再セッティングが終了し20時いよいよボナマッサの登場。
僕らは、また言いますが、最前列。約1m先に<彼>がいるという環境なんです。

そりゃ、NY時代に何度も有名ミュージシャンを至近距離で見たり、ステージ後に一緒に飲みに行ったりはしましたが、それを除けばこんなに近い距離でお気に入りのアーティストの頭から足先まで全部を見ることはありませんでしたから、それだけでもう異常に興奮状態に陥りました。
演奏中に足でリズムをとるボナマッサのスニーカーのかすかな音さえ耳に入るんです。
すごいことでしょう?


ところでセットリストに関して当初僕は非常に不安がありました。
というのも今回のコンサートはニュー・アルバム「BLACK ROCK」のプロモーション・ツアーだったからです。
反論があることは承知で書きますが、この最新アルバムは予約までして手に入れたものの、全曲を通して聴いたのはたった一回だけの僕だったのです。バンドの他のメンバーの感想も似たり寄ったりで、とにかく非常に落胆したアルバムだったわけです。そしてそのアルバムのプロモーションなのですから、セットリストに期待が持てなかったのです。

しかしジョーはそれを知ってか知らずか、定評のある人気曲をオープニングからびっしりと並べ、ニューアルバムからの曲はわずかにとどめたセットリストを持って来たのでした。
これには正直言って意外だったし、反面うれしかったです。

また、まだ秘密ですが僕らのセットリストにも入っている曲もやりましたので、僕なんか自分のパートの細かな部分をよく観察し盗み出すことが出来ました。

僕らの目の高さはざっとステージ上のボナマッサの膝の位置くらいだったでしょうか。
目の前で息もかかってくるほど、そして汗も飛び散ってくるほどの強烈な実在感の中で火の出るようなホットなプレイを思う存分見ることが出来たのです。

3曲目(前回も同じ3曲目だった)のスローなマイナー・ブルース「SO MANY ROADS」が最高潮に達した時、不運にもボナマッサのレスポールの弦が切れました。僕の目の前2~3mでの出来事です。

ラッキー!

実はこういうアクシデントは「お宝体験」なのですよ。以前にもここでお話したようにマイケル・シェンカーのステージ放棄事件などと同じようになかなか経験できない類の出来事ですから。




普通のプレーヤーだったら中断して楽器を替えるか、演奏のクオリティが極度に下がってしまうかでしょうけど、僕はボナのその後の対処を興味深く見ていたのでした。

彼は演奏姿勢に変化があるためによく見えなかったけれど、多分切れたのは2弦か3弦ではなかったでしょうか? (後に、一緒にいたバンドのメンバーによると切れたのは1弦らしいことが判明しました)
最高に盛り上がっていたソロ・パートの途中です。僕は曲をよく知っていたのでソロ中のフレット・ポジションは大体想像がつきましたが、一瞬ドラマーのボウルズ君にニヤっとした以外は、普段通りに流れるようなフレーズを一瞬たりとも途切れさせることなく、ポジショニングを自在に変更しながら<仕事>を完結させたのです!

すごい! さすがです。

こういう時こそプロの対処を目にきちんと焼き付けておくべきなんです。
それがこの晩、図らずも目撃出来たのです。だからラッキーなのです!

毎回演奏されるこの「SO MANY ROADS」は今回特に立派でした。潮が満ちていくようにゆっくりとクライマックスにもっていく様子に僕なんかオシッコちびりそうになりましたから。




すこぶる調子が良かったジョーのマーシャル。透明衝立を使う理由が知りたい!
(アンプはDSL100 とTSL100。キャビネットは双方1960B。チャンネルはクリーンしか使わない。GAINはかなり上げ目、TREBLEは両方ともゼロになっていた・・・との報告がある)



このステージは正味2時間びっしり、ジョーは出詰めでした。あれだけのプレイを手抜き一切なしでしっかりとやり、しかも年間200回のステージをこなすなんて、あっぱれジョー! 神業のようです。

それに比べてベーシストの<ゆるさ>には前回同様、またCDでの演奏も、どうも好きになれません。いつもの穏やかそうなメガネとスキンヘッドのいでたちが当夜は裸眼に海賊がするような黒の眼帯?で終始椅子に座っての演奏でした。どうしてジョーはパラスト・ライブあたりの(2005~6年当時の)エリックと決別したのでしょうか?
エリックだとあまりにアグレッシブなベース過ぎて、ハードロックからぐんとブルース寄りの姿勢に転じはじめたジョーの音楽に合わなくなっていたのでしょうか?

それにしても聞いていて(見ていて)あまり得る所のない、やっつけ仕事的なベースに全く感心しませんでした。となりで一緒にみていたシェイズの鍵盤姫はあのベースが演奏中にあくびをしていたと<証言>していました。あくびくらいなら・・・ではないのです。
プレイにそのゆるみが出ていたのです。どうした?ロハス、こんな調子なら僕はキミがボナ・バンドから去ってくれることを心から願うよ。


さて、熱気ムンムンの燃えたぎるようなステージが終わり、バンドがソデに去って行きました。当夜の聴衆の全てが思ったことは、よくぞ全力でステージを務めてくれた!という感激でしょう。
彼は本当に手を抜かない好人物です。まだ30代と若いので、今後の変化に一抹の不安がありますが(この後どういう仕事をしていくんだろう、と思うと今があまりに立派なので逆に心配なのですよ)けっしておごることなく、不要に枯れることなく、元気いっぱいの音楽を続けてほしいと願う気持ちでリキッドルームを出ました。

外は冷たい小雨こそやんではいましたが、桜が満開だというのにこの寒さ。これには閉口しました。

でも今日は一転して快晴の東京。
ボナマッサ一行は大阪へ移動し、今夜日本でのラスト・ステージをやります。

移動の最中、彼らは富士山を見たでしょうか? 
今日は新幹線でも飛行機でもきっと美しい景色を見られたと思います。

リキッドルームで立ちっぱなしだった重たい足を半ば引きずるようにして帰宅。そして3時間余りの睡眠をとって仕事へ行った僕も、今朝は例の「羽根倉橋」上で春霞みの富士山を見ていました。

ジョーも見たかなぁ、なんて考えながら。

また会おう、Good Boys!


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2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
最高! (TAMA)
2010-04-09 07:37:46
感動したよ!
前回より良かった!
3曲目はオレもチビリそうになった!
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本物! (バンマス@発行人)
2010-04-10 11:46:41
>TAMA さま

一緒に感動できてよかったと思っているよ。

思えばずいぶん多くの外国バンドを一緒に見てきたけど、それらの中でこのボナマッサは最初から最後まで少しも休まず、手を抜かず、そして2時間たっぷりの大熱演・・・こんなアーティストはいなかったよなぁ。
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