<ここまでの話>
【第1部】
「(第1話) から (第9話)までのリンク」
【第2部】
「(第10話)存在・・」
「(第11話)期待・・」
「(第12話)不倫温泉・・」
「(第13話)男のロマン・・」
------------------------------------------------------------------------------
(何かがおかしい・・)
大きな違和感を感じた事から、前を歩く課長の背中に声をかけることも出来ず
無言で後をついていくが・・ 頭は混乱している・・
(酔っているのか?・・ 彼女が言った『駅』とは何だ・・ 聞き違いか?
え~い! 解らん!!)
「あの白い建物がビジネスホテルです・・ 駅から近いでしょ? 客先もその先なので・・」
「そうか・・ 駅まで行かなくても良いんだな・・」
「はい・・ 朝なども歩いて5分もかからないので、良いロケーションです♪」
「メンバー全員がこのホテルなのか?(他のホテルは使っているのか?)」
「そうです! 他のホテルは遠いですし、かなり古くて人気も低くって・・
ここは築2~3年で綺麗でネット設備も完備されていますから、最適なんです!
私は3階の部屋ですが、もう1つ確保している5階のシングルルームをご利用ください
メンバーの野郎どもは、私と同じ3階にツインルームで押し込んでいますが
女性は1人なのでシングルにし、野郎どもとは別フロアにした事から
3階と5階に離れてしまった・・ と言う事です・・
私とフロアが分かれ申し訳ありません・・」
(えっ! か・・ 彼女と同じフロアって? )別の意味で混乱する・・
「いや・・ 君と別フロアでも問題ないが・・」
(逆に問題だろう! 一体・・私は何を言っているんだ・・)
ホテルの玄関をくぐり、ホテルのロビーに入る・・
「予約は会社名でしていますが、フロントでチェックインだけをお願いします・・」
「ああ・・ 解った・・」
フロントで書類にサインし、チェックインを完了させると、
シングルルームのキーカードを受け取った・・ 501号と書かれている・・
(5階の角部屋か・・)
そのまま、2人はエレベータに乗り3階と5階の着床ボタンを課長が押した
ゆっくりとしたスピードでエレベータは上昇を開始する・・
(彼女は何号室なんだ? 気になるが・・ 聞き出す口実が見つからない・・)
「明日の件について、簡単な打ち合わせを行っておきたいと思っています
後で、部屋に伺いますが・・ 何分後が良いでしょうか?」
エレベーター内で課長が問いかけてきた時、3階に着きドアが開く・・
考える時間も無い・・
「そうだな、早く済ませよう・・ すぐで良いぞ!」
「了解しました、では5分後に伺います。」
と、返答を聞くと同時にエレベータのドアが閉まり、再び上昇を開始した・・
心臓の鼓動が早くなっている・・
というか、恐怖心にも似た何か大きな違和感が私を包み込んでいた・・
・・・
501号室の部屋に入り荷物を置く・・ 清掃が行き届いているのか
清潔に保たれていて、ほのかに良い香りがする・・
(さてと、まずは状況整理だ・・)
思考を巡らす・・
矛盾点は、彼女は確かに『駅に着く』と言った事だ
しかし、顧客からホテルへの途中には駅はなく、徒歩数分だ・・
そして、思考を邪魔している疑問が他にも数点ある・・
まず、彼女は何号室だ?・・ と考えた時、新たな疑問が湧き出した!
(ちょっと待て・・ 彼女は・・ 今、このホテルに居るのか?)
単純な疑問である
もしこのホテルに居ないのなら、電話の『駅』も納得できる
が、しかしだ! そうなると今度は『明日会えますね?』の言葉が矛盾する!
そして、なにかもう1つ話していたような・・ 彼女との電話での会話を
思い出そうとするが・・ 思い出せない・・ 引っかかる・・
(え~い! 考えていても埒が明かない・・ 彼女に電話しよう!)
と、時計を見ると深夜の12時を回っていた・・
(こんな時間に非常識かもしれんが・・ このままでは寝る事も出来ない・・
しかし、電話に出なかったらどうする? いや・・ そのまま『着いたよ』と
留守番電話に入れればよいじゃないか・・
いや・・ ひょっとしたら・・ 隣の部屋にいるのかも・・
『着いたよ・・ 部屋番号は何号室?』と言おうか・・
いや・・ それはやはりダメだ! これでは不倫温泉そのものではないか!!
ん? 不倫なのか? それとも単なる浮気心?・・
ダメだダメだ! 自分勝手な自己中じゃないか!!
良く考えると、私の考えと彼女の考えが同じと言う保障はない!
というか・・ 『同じ考え』って何だ? というか『保障』って一体・・
私は彼女に一体何を求めているんだ!)
彼女が私に対し抱いている感情などは、勝手に私が妄想し、決め付けた設定で
あるのだが、それを否定する根性は無く、またそれを確認する勇気も持ち合わせて
いない・・ 第三者的な視点があれば、これが一番大事な事であることが解るのだが
それに気が付かず、その疑問を勝手に封印する・・ 良くある事象だ・・
そして、考えは自分で解決できる内容に向かっていく
大きな勘違いをしてる自分を自覚したのだ・・
浮気はドロドロしたイメージで、行ってはいけない行為と感じているのに
『不倫は文化だ!』 などという言葉で、どこか美化したイメージをもっていたのだ
浮気という言葉には複数の意味がある・・ 使い方でその意味は異なるのだ、
1つの事に集中できず他に興味をもつことなど、恋愛以外の心変わりも浮気と表現する・・
しかし、色恋事で使用する場合は、特定の相手が居ながら他の異性に気が向く事を言う
つまり、読んで字の如く『浮ついた気持ち』が語源であることが解る・・
ポイントとしては、男女の色恋以外でも使用される事があることだ・・
そして不倫は、同じように読んで字の如く『倫理から外れたこと』全般を言うのだが、
最近では結婚制度から逸脱した男女関係を指す事が多い・・
いや!、男女関係以外で『不倫』という言葉を使用することは皆無と考える方が良い・・
気持ちの中で、不倫はOK、しかし、浮気はNGと勘違いしていたのだ!
(論理的に考えると、どちらも同じじゃないか!!
そして今の私の心境は・・ 間違いなく彼女に気持ちが行っている・・
そうだ・・ これはNGだと思っていた『浮気』なんだ・・ )
と、新たに自覚した・・ つまり、気が付かない間に『浮気心』が発生し
それを自覚した・・ そして・・ 浮気心を自覚しているのに、この先に進んだ場合が
人の倫理から外れる行為となり、それが『不倫』という事を意識する・・
ただ、自覚したからといって、疑問が解決するわけでもなく、
現状が変化するわけでも無かった・・
つまり(やはり彼女に電話すべきだろう・・)の結論は変わらない・・
悩みながら携帯電話を取り出すと、着信があった事を知らすランプが点灯していた
着信履歴が入っている!! 慌てて携帯電話を広げ、履歴を見る・・
(か・・ 彼女からだ! 一体、私は何していたんだ!
もっと早く気づけよ!! ん? る・・留守番メッセージが録音されている!!)
高鳴る胸を押さえつつ、留守電を聞こうとすると、ドアをノックする音が・・
(まさか? か・・ 彼女か?♪)
「(第15話)悪魔と天使・・」に続く・・・
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Copyright ichigowasabi
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(何かがおかしい・・)
大きな違和感を感じた事から、前を歩く課長の背中に声をかけることも出来ず
無言で後をついていくが・・ 頭は混乱している・・
(酔っているのか?・・ 彼女が言った『駅』とは何だ・・ 聞き違いか?
え~い! 解らん!!)
「あの白い建物がビジネスホテルです・・ 駅から近いでしょ? 客先もその先なので・・」
「そうか・・ 駅まで行かなくても良いんだな・・」
「はい・・ 朝なども歩いて5分もかからないので、良いロケーションです♪」
「メンバー全員がこのホテルなのか?(他のホテルは使っているのか?)」
「そうです! 他のホテルは遠いですし、かなり古くて人気も低くって・・
ここは築2~3年で綺麗でネット設備も完備されていますから、最適なんです!
私は3階の部屋ですが、もう1つ確保している5階のシングルルームをご利用ください
メンバーの野郎どもは、私と同じ3階にツインルームで押し込んでいますが
女性は1人なのでシングルにし、野郎どもとは別フロアにした事から
3階と5階に離れてしまった・・ と言う事です・・
私とフロアが分かれ申し訳ありません・・」
(えっ! か・・ 彼女と同じフロアって? )別の意味で混乱する・・
「いや・・ 君と別フロアでも問題ないが・・」
(逆に問題だろう! 一体・・私は何を言っているんだ・・)
ホテルの玄関をくぐり、ホテルのロビーに入る・・
「予約は会社名でしていますが、フロントでチェックインだけをお願いします・・」
「ああ・・ 解った・・」
フロントで書類にサインし、チェックインを完了させると、
シングルルームのキーカードを受け取った・・ 501号と書かれている・・
(5階の角部屋か・・)
そのまま、2人はエレベータに乗り3階と5階の着床ボタンを課長が押した
ゆっくりとしたスピードでエレベータは上昇を開始する・・
(彼女は何号室なんだ? 気になるが・・ 聞き出す口実が見つからない・・)
「明日の件について、簡単な打ち合わせを行っておきたいと思っています
後で、部屋に伺いますが・・ 何分後が良いでしょうか?」
エレベーター内で課長が問いかけてきた時、3階に着きドアが開く・・
考える時間も無い・・
「そうだな、早く済ませよう・・ すぐで良いぞ!」
「了解しました、では5分後に伺います。」
と、返答を聞くと同時にエレベータのドアが閉まり、再び上昇を開始した・・
心臓の鼓動が早くなっている・・
というか、恐怖心にも似た何か大きな違和感が私を包み込んでいた・・
・・・
501号室の部屋に入り荷物を置く・・ 清掃が行き届いているのか
清潔に保たれていて、ほのかに良い香りがする・・
(さてと、まずは状況整理だ・・)
思考を巡らす・・
矛盾点は、彼女は確かに『駅に着く』と言った事だ
しかし、顧客からホテルへの途中には駅はなく、徒歩数分だ・・
そして、思考を邪魔している疑問が他にも数点ある・・
まず、彼女は何号室だ?・・ と考えた時、新たな疑問が湧き出した!
(ちょっと待て・・ 彼女は・・ 今、このホテルに居るのか?)
単純な疑問である
もしこのホテルに居ないのなら、電話の『駅』も納得できる
が、しかしだ! そうなると今度は『明日会えますね?』の言葉が矛盾する!
そして、なにかもう1つ話していたような・・ 彼女との電話での会話を
思い出そうとするが・・ 思い出せない・・ 引っかかる・・
(え~い! 考えていても埒が明かない・・ 彼女に電話しよう!)
と、時計を見ると深夜の12時を回っていた・・
(こんな時間に非常識かもしれんが・・ このままでは寝る事も出来ない・・
しかし、電話に出なかったらどうする? いや・・ そのまま『着いたよ』と
留守番電話に入れればよいじゃないか・・
いや・・ ひょっとしたら・・ 隣の部屋にいるのかも・・
『着いたよ・・ 部屋番号は何号室?』と言おうか・・
いや・・ それはやはりダメだ! これでは不倫温泉そのものではないか!!
ん? 不倫なのか? それとも単なる浮気心?・・
ダメだダメだ! 自分勝手な自己中じゃないか!!
良く考えると、私の考えと彼女の考えが同じと言う保障はない!
というか・・ 『同じ考え』って何だ? というか『保障』って一体・・
私は彼女に一体何を求めているんだ!)
彼女が私に対し抱いている感情などは、勝手に私が妄想し、決め付けた設定で
あるのだが、それを否定する根性は無く、またそれを確認する勇気も持ち合わせて
いない・・ 第三者的な視点があれば、これが一番大事な事であることが解るのだが
それに気が付かず、その疑問を勝手に封印する・・ 良くある事象だ・・
そして、考えは自分で解決できる内容に向かっていく
大きな勘違いをしてる自分を自覚したのだ・・
浮気はドロドロしたイメージで、行ってはいけない行為と感じているのに
『不倫は文化だ!』 などという言葉で、どこか美化したイメージをもっていたのだ
浮気という言葉には複数の意味がある・・ 使い方でその意味は異なるのだ、
1つの事に集中できず他に興味をもつことなど、恋愛以外の心変わりも浮気と表現する・・
しかし、色恋事で使用する場合は、特定の相手が居ながら他の異性に気が向く事を言う
つまり、読んで字の如く『浮ついた気持ち』が語源であることが解る・・
ポイントとしては、男女の色恋以外でも使用される事があることだ・・
そして不倫は、同じように読んで字の如く『倫理から外れたこと』全般を言うのだが、
最近では結婚制度から逸脱した男女関係を指す事が多い・・
いや!、男女関係以外で『不倫』という言葉を使用することは皆無と考える方が良い・・
気持ちの中で、不倫はOK、しかし、浮気はNGと勘違いしていたのだ!
(論理的に考えると、どちらも同じじゃないか!!
そして今の私の心境は・・ 間違いなく彼女に気持ちが行っている・・
そうだ・・ これはNGだと思っていた『浮気』なんだ・・ )
と、新たに自覚した・・ つまり、気が付かない間に『浮気心』が発生し
それを自覚した・・ そして・・ 浮気心を自覚しているのに、この先に進んだ場合が
人の倫理から外れる行為となり、それが『不倫』という事を意識する・・
ただ、自覚したからといって、疑問が解決するわけでもなく、
現状が変化するわけでも無かった・・
つまり(やはり彼女に電話すべきだろう・・)の結論は変わらない・・
悩みながら携帯電話を取り出すと、着信があった事を知らすランプが点灯していた
着信履歴が入っている!! 慌てて携帯電話を広げ、履歴を見る・・
(か・・ 彼女からだ! 一体、私は何していたんだ!
もっと早く気づけよ!! ん? る・・留守番メッセージが録音されている!!)
高鳴る胸を押さえつつ、留守電を聞こうとすると、ドアをノックする音が・・
(まさか? か・・ 彼女か?♪)
「(第15話)悪魔と天使・・」に続く・・・
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