いちごわさびの徒然草

アニメ大好き! ガンダム大好き! そんなこんなを徒然なるままに・・

<第44話>ひよっこパイロット / [小説]ガンダム外伝

2010-11-07 15:13:29 | [小説]ガンダム外伝
<ここまでの話>
【第1部】
<第1話> から <第24話>までのリンク

【第2部】
<第25話> から <第35話>までのリンク

<第36話>敵艦接近!
<第37話>被弾!そして・・
<第38話>MIA・・
<第39話>信頼!
<第40話>絹のスカーフ?
<第41話>ノーマルスーツは9号?
<第42話>ソドン型巡航船
<第43話>高軌道艦隊

【ガンダム外伝を楽しむための補講】
補講(4)MS運用艦ヒポグリフ
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「しかし・・ 口の上手さはさすがだな♪」

「おう 惚れ直したか?」

「無礼者! 何を言うか! 根性無しのくせに♪」

「またそれを言う・・
 そうだ!! ここだと戦隊長など、邪魔者は居ない・・
 レイテには空室も沢山あるし・・
 どうだ・・?  根性無しかどうか・・ 一度試してみるか?」

「・・・ えっ・・ 」

「ば~か♪」

「きっ・・ きっさまぁ~ は、諮ったな!!
 だから嫌いなんだ! このへなちょこがぁ!!」

「ほらほら・・ 怒るとしわが増えるぞ♪
 というか、ノーマルスーツをYUKIKAZE後部座席に積んできた
 パイロット用の奴だ・・ 9号でいけるだろ?」

「無礼な! 9号で余裕だ! というか、レディにサイズを聞くな!!」

「おっと・・ レディでしたか? こりゃ失礼いたしました、姫・・」

「ほんと・・いちいち癇にさわる奴だな貴様は! ほんとデリカシーが無い!」

「まぁ・・ 冗談は置いといて・・
 準備ができたらすぐに帰ろう・・ ここに居ても何も無いからな・・」

「まぁ・・ そうだな・・ 次の作戦も近いからな・・
 というか、そのパイロットスカーフ・・ 良くあったな・・
 やはりパイロットはそれが良い、似合っているぞ♪
 またタゴサ中佐から借用したのか?」

「いや・・ 今日はグリフィンから飛んだからな・・ 
 これは、クロヒッツ少佐が貸してくれた、すごく良い素材だぞ♪
 まぁ、私もパイロットとしては、このスタイルが好きだな・・
 パイロットは男の子の憧れでもあるしな!」

「そうだな・・
 というか、貴様の場合はウェーブの軍服にも興味があるのでは?」

「そりゃ、軍服には気品の高さを感じるからな・・
 その気品にあふれる軍服から出る色気は、男にしか解らんかもな・・」

「いや・・ そんな事はないぞ・・ 女にだって憧れはある・・」

「ほう・・ そうなのか?」

「そういうものだ♪」

「というか、女性士官の軍服だが・・ 私はスパッツの奴は好かんな・・
 やっぱりスカートタイプの方が、女性らしくて好きだったりする・・」

「すまんな・・ いつもスパッツタイプで・・
 というか、スカート型はチャラチャラしてるし機能的でもないだろ?」

「まぁ、人それぞれだろうが・・ 私はスカートに一票だ♪」

「ふん・・ くだらん・・ 
 で・・ そのスカーフ、ちょっと見てもいいか? 
 どれどれ・・ ほう・・・ 確かに・・ このシルクは一級品だな・・」

と、言いつつ、マスミン大尉が胸元のスカーフを引き出す

「ん? なんだ? この2本の紐は?・・
 タグがあるな・・ 何々・・」

タグを見ていたマスミン大尉の動きが突然停止する・・

「・・・・・・」

「どうした? 何かあるのか? ん?ちょっと顔が赤いぞ?」

と問いかけた瞬間に、稲妻が一閃した!
私の左ほほに、マスミンの平手打ちが炸裂したのだ!

「ばか!! この淫乱ワサビィ!! やっぱり貴様は、大嫌いだ!!!」

捨て台詞を残し、その場を離れるマスミンに対し
何も言えず、呆然と後ろ姿を見送る事しか出来ない私がそこにいた・・

(一体なんなんだ・・ 訳が解らん・・)

・・・

コスタリカの左舷デッキから右舷デッキに回ると、ヘルメット内の
エアーチェッカーがグリーンに変わった・・
ヘルメットを取るとメカニックの声と整備機器の音とオイルの匂いが
鼻をくすぐる・・ この感覚・・ なぜだか好きだ・・

色んな声が聞こえるが、そんな中、大きな笑い声が耳に入ってきた
見るとトリアーエズのキャノピー下に、なにやら描きこんでいる・・
それを見ながら数人のパイロット達が取り囲んで、ワイワイとはしゃいでいる
何気に近づいて見て見ると、どうやら撃墜マークのようだ・・

「ほう! これはすごいな・・ この機体(FF-4)で撃墜マークか・・」

思わず発した私の声に反応し、皆が振り返った、
皆、若い・・ (というか子供のようにあどけない! 階級は伍長か・・)

「あっ・・ 大尉殿! お褒め頂きありがとうございます♪」

「そうか・・、初の撃墜マークなんだな? 嬉しいだろ!」

「はい! 初陣で1機撃墜です♪」

「そりゃすごいじゃないか!初陣で戦果をあげるとは!・・
 しかし良く落とせたな・・ この機体は連装25ミリだけの武装だろ?」

そう言った時、横から他のパイロットが口を挟む・・

「こいつだけでは無いですよ! 私は2機です♪ で・・ あいつも2機・・」

「えっ・・ ちょっと待て・・ 一体何を落としたんだ?
 そんなに戦果が上がるとは思えんが・・ 」

「HLVです・・ 確かに大尉殿がおっしゃるように、装甲が固く
 そう簡単には落ちないですが、バーニア全開で、目標に一直線で近接し、
 機銃の銃弾に機体の加速度を乗せれば、頑強なHLVでも何とかなります・・
 この機体の弾丸は高速徹甲弾を榴弾より多く混合してあるのも理由です」

ちょっと自分の顔がこおばる・・
というか、子供のようにはしゃぐ若いパイロットの言う事が
私には少々理解不可能になっていた・・
確かに敵には違いないが・・ 戦意も無く丸腰の脱出艇を撃つのか?

「HLV?・・ ジオンの地球脱出カプセルか?」

「はい! 自分達は地球低軌道上に漂流する、ジオン地上軍の掃討作戦に従事し
 見事、このような戦果を上げています!」

「ん? それは作戦なのか?」

「ハイ! ジオンに兵無し! とは申しましても、
 地球で戦ったジオン軍の精鋭部隊をサイド3に帰したら、
 我ら連邦軍にとっては大きな脅威にもなる・・との事です。」

「しかしな・・ HLVは武装されていないぞ、それを撃つのか?」

「お言葉ですが大尉殿・・
 HLVもハッチを開け、中からザクが機銃掃射を行う時もあります・・
 また、ソドン巡航船やジッコ突撃艇などジオン艦船とも遭遇しますし・・」

「まぁ、敵も逃げるのに必死だからな・・
 だといっても、ザクは陸戦用のJ型だろ?
 マシンガンも地上用だぞ・・ 宇宙では重力が無いので照準すら合ってない!
 ザクが撃ってきても当たらんだろ? 脅威ではないと思うが・・」

「そうなんですか? 陸戦用って・・
 ザクマシンガンには地上型と宇宙型があるのですか?」

「おいおい・・ 習わなかったのか?」

「いや・・ ザクなどモビルスーツは脅威だとは教わっていますが・・
 詳しくは・・」

「戦う敵の緒元を研究せずにどうやって戦うんだ?
 貴様・・ 飛行時間は一体何時間だ?」

「はっ! 85時間であります!!」

「なにぃ? たったの85時間だと?・・」

臆することなく答える内容に正直にビックリした・・
自家用のスペースヨットなどのライセンスであれば、35時間ほどの飛行時間で、
スペースライセンスは取得可能ではあるが、あくまでもこれは1種免許であり、
シャトルなどの2種免許はもっと条件がきつい・・
また、軍の場合は2種免許以上に厳しく、基本の1段階(シャトル)で55時間、
2段階(複座)で85時間、そして単座戦闘機で120時間の訓練が規程されている・・
それが、たったの85時間で実戦に投入するとは・・
これが連邦軍のパイロット不足の現状でもあるのだが、
想像するにジオンも同じだろう・・
(ひょっとしたら、チコちゃんやウーミンも同じような物なのだろうか?)

「貴様達も同じような物か?」 と、他のパイロットにも聞く・・

「はっ! 自分は91時間です!」「自分は・・」・・・

次々と報告をするが、概ね100時間以内のヒヨッコ達だ・・

「貴様達・・ 死にたいか?」

「えっ?」

急に皆の顔がこわばった・・
ゲーム感覚で悪気も無く、丸腰のHLVを打ち落とす卑怯な行為を行っている事にも
苛立ちを感じつつ、それ以上に、そのような状況に置かれている
若いパイロット達が無性に不憫に感じ始めていた・・

「1つ聞く・・
 貴様らの愛機FF-4はジオン軍のジッコ型の突撃艇を想定敵として開発された戦闘機だ
 じゃぁ想定敵のジッコと遭遇したら・・ どう戦う?」

「・・・」

「どうした? 逃げるのか? 怒らないから思ったことを言え!」

「はっ・・ 自分達は編隊で一撃離脱の連続攻撃を戦術として・・」

「だろうと思った・・
 いいか! 一撃離脱は、トリアーエズの想定敵機種であるジッコ型突撃艇の戦術だ!
 またジッコは複数で編隊を組んで攻撃してくる・・
 ジッコ3隻の突撃隊と、我ら連邦軍が誇る巡洋艦サラミスが戦ったら・・
 どちらが勝つと思う?」

「・・・」

「答えにくいだろうが、ジッコの機動力にサラミスでは手が出ないのが現状だ!
 コロニーの拠点や幾つかの月都市が、いとも簡単にジオンの手に渡ったのは、
 全てジッコという突撃艇の存在に因るんだ・・
 だから、その脅威に対し軽戦闘機としてトリアーエズが設計された・・
 そんな相手に対し、同じ戦術で勝てるのか? 生きて帰れるのか?
 ジッコの小型ミサイルは脅威だぞ!」

「・・・」

「いいか・・ 貴様らに死んで欲しくは無い・・ ジッコに遭遇したら、逃げろ・・」

「そんな! 自分達は戦います!」
「というか、ジッコが逃げ出すよな!!」と他のパイロットが口を出す・・

「解ってねえな! 今の貴様らではジッコには勝てない・・って言ってんだ!
 本来であればトリアーエズの性能をフルに使えばジッコなどは敵ではない・・
 同様にソドン型巡航船も同様だ・・
 奴らはそれを知っているから逃げるんだ・・
 貴様らヒヨッコより、ジオンのパイロットの方が経験は上なんだぞ!」

「・・・」

「だがな・・ 勝つ方法はあるぞ・・ 知りたいか?」

「ハイ! 教えてください!!」

先ほどまでは俯いていた若いパイロット達が顔を上げた・・
皆、同様に目が輝いている!

「じゃ・・ 良く聞けよ
 要は・・ 小回りが利く機動力を使え! ということだ・・
 アポジモータをフル使え! 戦闘エリア内は同じ軌道を3秒以上進むな!
 小刻みに軌道を変えろ! ということだ・・
 まっすぐ突っ込むと、ジッコのミサイルでお陀仏だ!!」

「と言われましても・・ 自分達はそのような訓練を受けていませんし・・
 軌道補正からロックオン・・そして機銃掃射までを3秒では・・」

「ああ・・ そうだと思った・・ 80時間では飛ぶのがやっとだからな・・
 でも素人でも解る事があるぞ・・ 今貴様が言ったな?
 3秒では標準を合わせる事が難しい・・と
 それがジオンだって同じ事だ、ベテランパイロットで無い限り3秒は
 難しいと解っているんじゃないか・・ どうだ?
 やられなかったら勝ちだ!
 だから言う、一定時間を同じ軌道をトレースするくだらん一撃離脱など忘れろ!
 そして自分達で、どうしたら戦果を出しつつ生き残れるかを真剣に考えろ!」

「大尉! もっと教えてください!」

「もっと? 例えば?」

「例えば・・ ガトルなどの戦闘機と遭遇した場合は?」

「ガトル型宇宙高速重戦闘爆撃機か・・
 原則的には先ほど話したジッコ突撃艇と同様だが、ジッコとの差は旋回性能だ
 速度はジッコには比べ物にはならないほど遅いが、貴様らのFF-4同様に小回りが
 利く・・ 対艦ミサイルで爆装している奴は機動力が落ちているから気にするな・・
 だからな、脅威はマシンガンと10門もの小型ミサイルだ・・
 ただ、旋回性能が高くともロックオンされなければ、そうは当たる物ではない・・
 意味が解るか?」

「・・・」

「そっか・・ 解らんか? 解らなくとも何か言え!
 じゃ!貴様! 敵機を見るとき何を見る?」

「はっ! 解りません!」

若いパイロット達が、萎縮している・・
(これは・・ 良くないな・・)

「すまん・・ 私が悪かった・・
 じゃ逆に、敵は貴様のどこを見ていると思う?
 敵のパイロットはウェーブ(女性兵)ではないぞ♪」

「はい! こちらの機種を見て、性能差を考え戦術を・・」

「そんな難しい事を考えるのか?
 パイロットって輩は、どこかネジが抜けたバカばかりだぞ 私と同じようにな♪」

こわばっていたパイロット達の顔に笑顔が戻る・・

「戦闘機とか突撃艇って奴は、武器が前を向いているって事さ♪」

「大尉! 解りました!! 機体の向きですね!!」

「おう、物解りが良いじゃないか!! その通りだ!
 敵も機体を制御して、向きを変えるんだ・・ その動きを察知して軸線を外せ!
 弾丸みたいな物は、そうは簡単には当たらんものだ・・
 ただな・・ ミサイルには気をつけろ、時間信管で散弾をばら撒くタイプがある・・」

「クラスター弾(炸裂弾)ですね・・」

「そうだ・・ まぁ小型ミサイルでは少ないが、チベやムサイ等の艦船には
 対空ミサイルが装備されているからな・・ ミサイルの軸線には注意しろ!」

「はい! 解りました!」

本当に解ったのか?・・ などはどうでもよかった・・
ただ、このような基本的な事も教えていない事に対し、徐々に腹が立ってきた

「何か? 他には・・」

「大尉殿! 先ほど言われましたザクに対してですが・・
 逃げるにしても、何かコツなどがありましたら・・」

「コツかぁ・・ ザクに対してトリアーエズ(FF-4)ではなぁ・・
 敵が単機であれば、1小隊(5機)であればなんとかなるかもしれんが
 まぁ遭遇したら戦場の魔女に魅入られたと観念して、ランダムに軌道を変え逃げろ
 ザク(MS)って奴はな・・ どのような機位であっても、全方向に攻撃できるんだ
 マシンガンを持った腕をちょっと動かすだけでな・・
 だからと言って無敵でもない・・」

一心に私の言葉を1つも漏らさないよう集中する彼らを見て
言葉に力が入り、一気にまくし立てる・・

「ザクマシンガンの120ミリ弾丸には、曳光弾、徹甲弾、炸裂弾などがあるが
 曳光弾が混じっているザクの場合、パイロットの錬度が低い・・
 怖いのはベテランパイロットだ・・ 奴らは曳光弾を混ぜないことが多い・・
 徹甲弾や炸裂弾は見えんからな・・ その点、曳光弾だと軌跡が見えるだろ?
 だからといって曳光弾イコール新兵という訳でもないがな・・
 敵が撃ってくる弾丸は、全て自分に飛んでくるように見えるものだが
 曳光弾が楕円に見えている場合は軸線が合ってない証拠だ・・ 気にするな
 丸い奴・・ 曳光弾が丸く見える奴が自分に飛んでくる奴だ
 だから、曳光弾はそのような意味からもかわし易い・・
 言いたいのは、曳光弾を使わない奴は要注意ということだ
 自分の撃った弾丸の軌跡を確認する必要の無い奴・・
 また、相手にかわされやすい事を知っている奴 ベテランだ 心しろ!
 あと・・ ザクマシンガンの弾丸は初速が遅い、秒速600メートルほどだ・・
 だから距離を保て・・ 500の距離を取ると弾着まで1秒弱かかる、回避可能だろ?
 500の距離は解るな? どうだ?」

「測光儀で距離を・・」

「違うな・・ パッと見ろ! というか戦場では、計器を見るな!
 360度、自分の目で見てケツで感じろ!
 いいか? ザクの体長は約17.5メートルだ・・ 人間の10倍と覚えとけ!
 つまり・・ あの整備兵が見えるだろ・・ 約50メートル先だ・・
 あの整備兵の大きさにザクが見えたら距離500だ! 覚えろ!」

「ハイっ!!」

「あと、バズーカを持つザクの場合は、1発撃ったら次発装填に時間がかかる・・
 ザクバズーカは単発式だ、ザクのスカート内に2発予備を積んでいる・・
 これも逃げるタイミングになる・・
 さっきも言ったが敵の武器の特徴をもっと勉強しろ!
 それが生き残るコツだ! ・・と言う事で、ザクは逃げろ・・ いいな!
 できる事は貴様らの曳光弾でザクの鼻先に撃ち込み、ザクの軌道を変えさせるぐらいだな
 自軍の援護程度だ・・ 25ミリとはいえ、初速が速い分損傷は与える事ができるからな
 再度言うぞ! ザクの場合は逃げろ、仕留めるなどは考えるな! 行っても援護までだ!
 で・・ 腕が上がったら、ジッコ突撃艇やガトル戦闘機とは空戦でしとめろ♪
 とは言ってもなぁ・・ 口では中々伝わらんだろうなぁ・・
 う~ん・・ 貴様達の隊長は、どこに居る?」

「はっ! 自分が分隊長であります!」

「ん? 分隊長?・・ 貴様は伍長じゃないか? 小隊長は?」

「はっ、ビリー中尉は、主計部長を兼務されており、現在そちらで職務中です」

「なにぃ? 主計の中尉が貴様らの隊長なのか?」
(なんとも・・ こいつらは不幸な奴らだ・・
 ただ、マスミンに言った事は撤回しないといけないようだ・・
 パイロット記章は一応伊達じゃなかったか・・ が・・、
 奴からパイロット特有の気配は感じ取る事ができなかった事は事実だ・・)

「はっ! 隊長をご存知なのですか?」

「ああ・・ さっき会った・・ レイテの負傷兵の事でな・・」

「えっ! 大尉殿はレイテの・・ あの・・ あの機体は大尉の機体ですか?!」

と、興奮気味に1人のトリアーエズパイロットがYUKIKAZEを指差した
YUKIKAZEを見ると、まだ10数名の傍観者達で囲まれている
やはり珍しいのだろう・・

「ああ・・ そうだが・・」

「すごい機体ですよね!! 自分も早くあのような機体に乗りたいものです♪」

「本当にそう思うのなら、さっき言った事を肝に命じ忘れるな!」

とは言ったものの・・
あの中尉では彼らに対し、まともな訓練が出来ていない様に感じていた・・
いや・・ 訓練など必要が無いと思っているかもしれない・・
など、色んな事を感じながら、思わず次の言葉が口から出てしまった

「貴様ら・・ 飛行訓練はどうしている?」

「自分がお答えします!」

先ほどの分隊長だといった伍長が返答する・・

「隊長が作成された飛行計画に沿って、離陸&着陸と編隊飛行、一撃離脱などを
 訓練のカリキュラムで実施しています!」

「空戦は?」

「いえ・・ 行っておりません・・
 HLVに対する攻撃戦術の錬度を高めています!」

「解った・・ もう良い・・ 貴様らの隊長と話がしたい、通信をつなげろ!」

「はっ! 少々お待ちください!」

戦場では、やはり経験の差で紙一重という事が非常に多い
この、ひよっこ達に対し、私ができることを、何か1つでも残してあげたいと
彼らとのたった数分の会話が、私の中の何かを掻き立て、変な気持ちになっていた・・

本来であれば、絶対に行わない行動である・・
他の部隊のパイロットに対する教育などは、その隊の士官に対し大変失礼な行動と取られ
その士官が無能であると言っている事になるためだ
しかし、この時は頭の中で何かがぶっ飛んでいたのかもしれない・・

「大尉殿! ビリー中尉と繋がりました!」

「ありがとう・・
 突然すまんな・・ 私は21独立戦隊のMS隊中隊長ワサビィだ・・」

<第45話>模擬戦・・に続く・・・

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