いちごわさびの徒然草

アニメ大好き! ガンダム大好き! そんなこんなを徒然なるままに・・

<第31話>ソロモンへの足音 / [小説]ガンダム外伝

2009-09-14 20:08:21 | [小説]ガンダム外伝
<ここまでの話>
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【第2部】
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<第26話>緊急信号!
<第27話>チーム戦!
<第28話>ジャジャ馬
<第29話>一撃離脱・・
<第30話>帰艦・・
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「た~いちょ~ぉ またやったっすね♪ たいちょ~らしいや♪」
ヒロ中尉のたった一言でデッキの中に爆笑の渦が巻き起こった・・

「まぁ、あの方達の怒りを納めることができるのも、大尉どのだけの特技!」

「そうっすね! クマ軍曹の言うとおり!って 覚悟を決めて行って来て
 くださ~い♪
 でないと、私達らにもその影響がでるんすよぉ! ねっ?みんな!」

「ばか! 私はお前らのシールドか?」

「そんな良いものではないってば!
 私が思うに・・ う~ん・・ そう! おもちゃね♪」

「なるほど! やっぱりそうなのね! リン! 解る解る♪」

「こら! リン! おもちゃって何だ? おもちゃって・・
 で・・ ミィ! どうしてそこで納得する? ・・」

「まぁ・・ みんなそう思っているのだから・・
 頑張って行ってきなよ! フォローはするからさ♪」

「オーリン・・ お前まで・・」(フォローになってないし・・)

私は爆笑の渦から逃れるようにし、グリフィンの艦長室に向かった・・

宇宙港の幾つかの区画を抜け、グリフィン係留の区画に入る
すでに、前回での戦闘時に受けた損傷に対し、簡易的な修復作業が終わったのか
整備兵の姿は見えなかった・・ 

グリフィンの艦内に入り、艦長室に流れていく・・ と、後ろから・・

「大尉! ワサビィ大尉!」

と呼ぶ声が聞こえ振り返った・・ ビジー軍曹だ・・

「おう! 軍曹! こんな所でどこに行くんだ?」

「ええ・・ 大尉と同じですよ・・ 艦長室です・・」

「何?」

「こいつですよ・・ 例の戦闘機の戦闘データです・・
 転送ユニットのインターフェースが不明なのでブロックを・・」

「ちょ・・ちょっと待て・・ 戦闘データって・・」

「ヒポグリフのタゴサ艦長の命令で、今後のために・・と・・」

「それはセイバーフイッシュと同じか?」

「いいえ、フライトレコーダーではなく、試作テスト用の物で
 特殊な奴ですね・・ 後部座席の照準機をオンにしたら記録されます・・
 もちろんデータの中には機首カメラの画像と、各アポジモーターの推進量や
 操作履歴・・ そしてパイロットと砲手の会話など・・」

「かいわ? そんな物まで?・・」

思わず背筋を冷たい電気が走った、こういう感は最近良く当たるのだ

「ビジー軍曹、物は相談なんだが・・
 そうだ! 軍曹はおでんが大好物だよな! 時間をかけて煮込んだ大根とか!」

「まぁ・・ 好きではありますが・・」

「どうだ? 美味しい店を知っているが・・」

「いや! 大丈夫ですよ♪ 自分で作りますから!」

「そ・・ そうなのか・・ たまねぎが旨いのだが・・」

「そうなんですかぁ? 聞いた事ないですけど・・
 あっ・・ うどんなんかは、考えてます・・」

「ああ・・ うどんはいけるよな・・ 」(いかん、話を元に戻さないと・・)

と、話している間に艦長室の前についてしまい、軍曹がインターフォンを押す

(ああ・・ 終わった・・)

「・・・ 誰だ?」

「ビジー軍曹でありますっ! タゴサ中佐の命により、
 戦闘機の戦闘データをお届けにあがりましたっ!」

「・・・ ありがと・・」

ドアが開きマメハ大佐が出てくる・・ 私と目があった・・
「ん? ワサビィ・・ 来たわね 中に入ってくださる?・・
 軍曹・・ありがと♪・・」

軍曹が艦長に敬礼をし戦闘データユニットを手渡すと、私の方を向き、微笑した
(おーい軍曹・・! できる事なら代わってくれよ~)

「来たわね、大尉!」

「タゴサ艦長、大切なスカーフ本当にありがとうございました、
 あの機体は想像以上の戦力になりますよ!」

スカーフを外していると、中佐から思ってもいなかった言葉が出る

「そうかしら?」

「えっ?」

「実はね・・
 本当は半信半疑でお願いしちゃったのよ、背に腹は変えられぬって戦況で・・
 それを今、マメハ大佐にも説明をしていたのだけど・・
 でも半分は大尉のお噂とワッケイン司令のお言葉を信用して・・」

「どういうことですか?」(噂ってなんだ・・)

「だから、戦闘データなの・・」

「タゴサ中佐・・ このユニットで良いのかしら?」

「ありがと、マメハ大佐・・ 使ってごめんね」

「良いわよ・・ 私の部屋だから」

「これがインターフェースね・・
 これを情報端末に繋ぐと、戦闘データにアクセスできて・・」

「中佐・・ 端末端子はこれよ
 マスミン・・悪いけどモニターをセットしてくれる?
 じゃ、ワサビィ・・ 先に戦果の報告をお願い・・」

「はい、全て砲手である、ウーミン伍長の戦果ですが
 敵母艦の座標に向かう際、5機のMSと遭遇、内リックドムを1機撃破、
 目標座標に到着後、ムサイ級巡洋艦2隻を中破・・ 
 初陣の戦果とすれば、すばらしい戦果です!」

「な・・ 何だってワサビィ! 本当か? すごいじゃないか!」

「マスミン大尉、落ち着いて・・ 本当なんだ・・
 あいつの火力は巡洋艦クラスで、機動力は宇宙戦闘機以上だ!
 アポジモータの数が多く、かなり細かな動きができるが
 最大速度では、動きが後追いにはなり少々バランスが悪い・・
 ただ、速度は宇宙一だと思う・・
 なんといっても、正面の表面積が小さいことが有利なんだ!
 まぁ・・ 課題は幾つかあるのだが・・」

「課題? 何か気がついたの? 聞かせてくださる?」

「はい中佐・・ まず砲手です・・ ビーム砲の仰角を固定し
 パイロット1人で操作できるようにすれば、もっと有効になるかと・・
 あとは、レーザー通信の設置・・ 推進剤の増量、航続距離が短いと・・」

「そうなの? それが課題なの?
 後ろの2つはその通りよね・・
 でも・・ 最初の1つは・・ 本当にそう思う?」

「違うでしょうか? というか、グリフィンに配置した場合、
 砲手がいません、それでは、宝の持ち腐れと・・」

「おかしいわね・・ 試用試験の結果から、ビーム砲の反動が大きく
 ビームが槍のように発射されず、線上に放射されるので、
 火力相当の戦果を期待できない・・ って事から、砲手を乗せて、
 仰角のコントロールをするようにしたんだけど・・
 ビーム砲の位置なども影響して、砲手を乗せても難しい・・って
 ハービック社のレポートにはあるのよ・・」

「そんな話、聞いてないですよ!」

「だって・・ 話している時間なんて無かったでしょ? ねっ♪」

「ワサビィ、ごめんね、タゴサってこういう奴なの、許してやってね♪」

「あら大佐どのぉ? こういう奴って? どういう奴かしら?」

「中佐さま・・ そういう事ですのよ 解ってらして?」

「あ~ら? そんな事ですのね、 よ~くわかったわぁ!」

「だったら良いのではなくって♪ 問題ないわね! タゴサ中佐さま♪」

「な・・ な・・ お・・ お二人は、お知り合いなのですか?」
(仲は悪いのか?)

「まぁ、腐れ縁って奴?」

(そうか・・ RPG風に考えると
 マメハはタゴサを仲間に加えた・・
 マメハのレベルが1つ上がった・・
 タゴサはマメハの仲間になった・・
 タゴサのレベルは1つ上がった・・
 ワサビィのレベルが1つ下がった・・・・ か?・・)

「でもね・・ そんな機体で、どうして戦果が出たの?って疑問よね?」

「それを分析するために、このデータよ! さてどんな数値かしら?
 あっ・・ 繋がったわ! まずは1つ目ね・・
 スピーカもオンよね! このスイッチかしら?」


・・・「ウーミン伍長・・ ビーム砲の準備は出来ているか?」
・・・「・・・ 大尉・・メガ粒子砲エネルギー充填はすでに100%です!」
・・・「そうか、じゃ、試し撃ちでもしてみるか?」
・・・「・・・ 前方のザクですか?」
・・・「ああ・・ 練習だ!計器に頼らず、目視で狙って撃ってみろ!」
・・・「・・・ ラジャ!・・ 大尉軸線合わせてください!」
・・・「OK・・ウーミン!」
・・・「・・・ そのまま・・ そのまま・・ GO!!」


「ここよ! 試射しているんだけど・・
 アポジモータの稼動量を見て? 1テンポ遅れているけど動いているわね?
 軌道補正したのかしら・・」

「あまり覚えてませんが、ただ上には振られました
 ビーム発射の反動分だけ当てたって感じですが・・」

「そうかもしれないけど・・ 反応は早いわ・・ 次行くわね・・」


・・・「うん・・ いい子だ!」


「ここでリックドムが襲ってくるわね・・
 バズーカを撃ってきたわ!」


・・・「くっそう! 回避ぃ!!!」


「Gがすごいわよ・・とドンドンあがってる・・
 でも、まだ推進剤はフルバーストね、緩めないのね・・ 」


・・・「やばい! 制御できん!! こなくそぉ~!!」
・・・「31が3、32が6、33が9、3412・・」


「どうして? 軸線外しているのに・・画面からリックドムが消えないわ?
 ドムがヒートサーベルを抜いて待ってるわよ! 突っ込んだら自殺行為じゃない!」


・・・「くそぉ!! ダメかぁ!?」


「ここでバルカン撃ってるわね・・ 当たってないけど♪・・
 あれ?・・ちょっと戻すわよ・・ 機体軸線と画面が違ってる・・
 どうして?・・ これってビーム砲のターゲットスコープよね
 ここでリックドムを破壊!
 ・・・
 あっ!解ったわ! これ、うちの子よ! ねぇ見たでしょ♪」

「はい、タゴサ中佐、最初に言ったように、ウーミン伍長の戦果だと・・」

「違うの、軍規上での戦果区分ではないのよ!
 もう一度見てね・・
 ほら! ここよ! この機体ロールの中、リックドムに照準が合ってない?
 さすが、うちの子よぉ!」

確かに、データでは過剰な機体の動きに対し、何度もズレは生じているが
リックドムを的確にロックし、ビーム砲を発射、撃破している・・
(ウーミン・・ すごいじゃないか・・)

「ちょっと待ってタゴ!・・ ここは?この異常な数値は何なの?」

「これは・・ 上部アポジモーターね・・ フルスロットル?・・
 ビームの発射と同時に発射反動をアポジモーターで殺しているのね!
 すごいわ・・ すごい連携ね! はじめての機体で・・ すごいわ・・」

「そりゃ、私の部下ですもの!
 まぁ、これぐらい、うちの子だったら誰でもできるけど!」

「あらら? 砲手は私の部下ですわよ! 文句があって?」

「なに? その言い草!」

「なによ! マメのくせに!」

「中佐! 私は大佐なの? 解ってて?」

「はいはい! 解ったわよ・・
 でも、これで、優秀な砲手が必要だった訳が解るわね」

「そうね・・ パイロットも誰でもできる訳でもないって事もね!」

「確かにそうね・・ 訓練している時間も無いものね・・
 だからパイロットは、大尉か、オーリン曹長かって言った
 ワッケイン司令の言葉の意味も解ってきたわ
 じゃ、次はムサイ級中破のデータよね・・」


・・・「伍長! ビーム砲の準備は?」
・・・「・・・ OKです!」
・・・「よし! 軸線を合わせている、射出角Zeroで撃て!」
・・・「・・・ えっ? ターゲットは?」
・・・「かまわん! 撃て!」
・・・「・・・ 了解! ビーム砲!Zero掃射 てぃ!」

・・・・

「また試射しているわね?・・
 でも・・ どうしたのかしら? そのまま補正もせずに・・
 そっか・・ 反動で向きを変えたのね・・ まるで野生だわ
 またフルバースト・・ ちょっと推進剤の残量を見てないのかしら?・・
 もうほとんど空に近いのに・・
 ここで敵の艦船からビーム攻撃が返ってきたのね・・」


・・・「くっそう・・ 嵌めやがったな! タゴサ艦長め!!
    うちの艦長と、どっこいどっこいや!!」


「ちょっと止めて!! 何て言ってた?」


・・・「・・・ そんなぁ・・ 大丈夫? おにいちゃん!」


「何ぃ?、おにいちゃん?
 貴様ぁ! おにいちゃんって何だ?
 ええっ 戦闘中におにいちゃんとは、なんだ!!」

(タゴサ中佐・・ もう止めてください・・ やばい・・)


・・・「ちょっと待て・・ 考えるから!
    なぁ・・・ 生きて帰ったらデートしよな♪
    そうそう・・ タゴサ艦長には内緒やで? 2人の秘密や♪」
・・・「・・・ えっ?!」
・・・「生きるための目標がいるやろぉ! ほんまに・・」
・・・「・・・ で・・でも・・ 犯罪なんでしょ? 艦長も怖いよ・・」
・・・「大丈夫や! 所属が違うから、言えへんかったらバレへんし!
    というか、障害があるってのは、禁断の愛!って感じで
    逆に燃えへんか?」
・・・「・・・ 昔のおにいちゃん・・こんなんや無かったのにぃ・・
    もう・・ほんまに・・ あほやなぁ♪」


「あっ!そうだ! 今日はインターセプト要員かぁ!! スタンバイだ!!
 ワサビィ大尉、失礼しますっ!」

「ワサビィ! ちょっと待ちなさい!」
「このバカ者ぉ!」
「承知しないって言ったわよね!」・・

三者の三様の声を背中に浴びながら、私はあわてて艦長室から飛び出した・・ 

(司令・・ 本当にサプライズですぅ・・)

・・・

逃げるようにグリフィン艦内の通路に体を流す(食堂に行って水でも飲むか)
食堂の入り口に入ると中にオーリン曹長が・・

「来ると思った! ビンゴね!」

「おう、私も探そうと思ってた・・ ルナ2との通信はどうだった?」

「ここじゃ誰か来るとまずいから・・ トレーニングルームに行かない?」

「そうだな・・ トレーニングは重力場のコロニーに下りるから・・
 確かにここには誰も来ないか・・
 穴場だな♪・・ (こりゃ!使えるかも!)」

「またぁ・・ 何、目を輝かしてんのさ! 相手がいないくせに♪・・ 」

「ひょっとしたら・・今、誰かが使ってたら 面白いよな!♪」

「はぁ? ワサビィって覗きの趣味があったっけ?」

「まぁ・・ 人の弱みは時として強力な武器にもなるからな!
 最近、楽しみが減って・・ どうもストレスが溜まっているような・・」

「ばか・・ ストレスは自分が撒いた種でしょう?」

そんな意味の無い会話をしながら、トレーニングルームの中にある
簡易重力発生装置の前に流れた・・
ドアの前にあるカウンターがゼロを指し、中には誰もいない事を告げている・・

(残念♪)

簡易重力発生装置の中に入り、久々の重力を味わう・・
無人のバーで、ジンジャエールを2つグラスに注ぎ、1つをカウンタに置いた、

「どうぞ! お嬢様、こちらの紳士からのプレゼントでございます♪」

「まぁ! どこの紳士か存じませんが、ありがとうとお伝えくださいな・・」

「それでは、その紳士にお伝えするメッセージなどはございますか?」

「そうね・・ 明日、お父様達が本殿を出発されるとか・・」

「えっ?・・ なんだって・・ 作戦開始が決まったのか?」

「そうなの・・ 明日12月20日に司令の第3艦隊はルナ2を出航されるわ・・
 だから、もうてんやわんやで・・ ターゲットはソロモンに決定ね・・
 チェンバロ作戦だ・・と姐さんが言っていたから・・」

「姐さんって 姐さんって誰だ? マスミン大尉か? 一緒に聞いたのか?」

「だって・・ ワサビィはいないし・・ 後で大変な事になったらやばいじゃん
 そんなら、司令に近い人って考えたら・・ 姐さんかなぁって・・」

「良かった・・ さすがオーリンだな・・マスミン以外だと話がややこしくなる
 それをちゃんと伝えずに、あのヒポグリフの救援信号だったから心配だった
 で・・ 奴を姐さんと呼ぶとは・・ 仲良くなったのか? 大尉と・・」

「まぁね! 意気投合ってやつぅ? まぁ、この艦に乗ってから、
 まともに話ができる奴って少ないもんね、
 で・・姐さんってさ、最初は気まずい感じだし・・ オーラ出しまくってるし・・
 けどね・・ CICでMSオペレータしているときにさ・・
 いっつもワサビィの心配ばかりしているんだよ それに気がついたらさ
 話しやすくなってさ! いい仲なんじゃないの?」

「ばか・・ そんな仲じゃないって・・」

「ふふ♪・・ まぁ良いかぁ・・ じゃ、話を戻すわね・・」

と、オーリン曹長はチェンバロ作戦の概要を話し出した・・
レビル将軍の第1連合艦隊は温存し、ティアンム提督の第2連合艦隊がサイド1の
影に待機し、戦闘艦隊の本体に、ワッケイン司令の第3艦隊は、ソロモンの前面に
展開し陽動をかけるなど・・
(レビル将軍の階級は大将だが、陸軍系のため将軍と呼称され、
 ティアンム提督は中将で、海軍系なので提督と呼ばれている・・)

「聞いた話だが・・ ティアンム艦隊には新兵器があるとか・・」

「あらら? よく知っているわね・・ ソーラシステムね・・
 太陽の熱波を鏡を利用して一箇所に集めて焼くの・・
 そのため、コロンブス級が沢山の鏡を運んでいるって・・
 ボールも大量に配置されるとか・・
 でもね・・ 時間を稼がないと・・ ミラー展開に時間がかかるんだって・・」

「それで第3艦隊が陽動なのか?」

「そう・・ でも、第3艦隊にも新兵器があるって・・」

「なに?」

「ビーム撹乱幕って言ってた・・」

「ほう・・ ミノフスキー応用学だな・・ だったら粒子だろ?」

「ソロモンと第3艦隊の真ん中に拡散するんだって・・」

「ちょっと待て! 拡散するってどうやって? ソロモンのビームの餌食になるぞ!」

「う~ん、そのあたりは、良く解んないけど・・
 新型のパブリクって突撃艇があるんだって・・ 速度を重視した機体で
 そこに拡散幕用の粒子をつめたミサイルを積んで先行し
 発射して帰還するって・・
 星一号作戦って事で、全ての作戦を考慮して、戦艦の製造からパイロットの育成
 MSやボールの製造なども、計算して準備してたって言ってたわ・・
 曹候補生などから適性で割り当てているとか・・」

「なるほど・・ チコ伍長が言ってた意味が繋がったな・・
 そうなったら、私達はどこに配置されるんだ?」

「さぁ・・それは解らないけど・・ まぁXディは決定したらしいから
 また作戦の発表があるでしょ・・」

「そうだな・・ じゃあ、しばらくは待機だな・・」

「と・・ 思うでしょ・・」

「なに? 違うのか?」

「チェンバロ作戦への参加は確実よ・・ でもそれ以外に何かあるようなの・・」

「何があるんだ・・」

「そこはね・・ 追い出されちゃったから♪ 後は姐さんにでも聞いて♪
 では、紳士さま、ジンジャエール、ご馳走様でした!
 ちょっと走って帰るから・・
 そうそう!チーフがね・・ 絶対に食べに来てねって!
 2割増量の出血サービスだってさ! 伝言さね!」

「おい、オーリン! ちょっと待てよ・・」

「あっ・・ 1つ忘れてたわ・・
 2日前(17日)にさ・・ サイド6でね、領宙内の公国船籍全艦艇に対する退去命令が
 発令されたんだって・・
 それで、サイド6と連邦との、正式な安全保障条約を締結したんだけど・・
 やばいね・・ サイド6、ジオンに狙われるよ
 ワサビィ、サイド6に居たんだろ? これがヒントなんだってさ! じゃね!」

オーリンは片手を挙げて、更衣室に消えていく・・
(一体何があるんだ・・ 私に知る必要があるのか? ヒントって何だ?)

氷が溶け、薄くなったジンジャエールを喉に流し込んだ・・


<第32話>小隊長・・」に続く・・・
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