いちごわさびです。(汗;)
本当にすみません・・ 前回の27話を書いたのが1年以上も前・・
細かな設定を忘れちゃっている部分もあり、再開に時間がかかっていました。
多分皆様も忘れちゃっているでしょうね(笑)
ということで、忘れていたら下記の「ここまでのお話」を読んでください。(^O^)/
物語は現在「宇宙暦0079年12月19日」あの有名なソロモン海戦の5日前になります・・
<ここまでの話>
【第1部】
「<第1話> から <第24話>までのリンク」
【第2部】
「<第25話>子にゃんこ」
「<第26話>緊急信号!」
「<第27話>チーム戦!」
------------------------------------------------------------------------------
「・・・ 大尉! 急いで! 敵母艦から、新たな熱源が4つ出たわ!・・ 」
ヒポグリフ艦長、タゴサ中佐からの叫び声が耳に飛び込んでくる!
くそぉ・・ 二次攻撃隊を出撃させたか・・ 敵は真剣だな・・
そんなこんなを考えながら、私はヒポグリフの左舷デッキに飛び込んだ!
着艦と挙動停止を確認したと同時に、ジムコマンド213のハッチを開き、
機外に飛び出した・・ と、ほぼ同時に・・
背後の漆黒の宇宙に、鮮やかな閃光が輝いた!
ん? ジオン軍の退却信号弾?・・
となると、数分で二次攻撃隊が到着する! 急がないといけない!!
私はデッキの中を見渡した・・ オレンジ色に塗られたボールが1機・・
そこから出てくるパイロットが流れる先に、こちらを向いて手を振る士官が1人・・
「・・・ ワサビィ大尉! あちらを見て!」
その士官が指差す方向を見ると、作業員の数人が車体シートを剥がしている・・
剥がされているシートの中が見えた!
あっ? あれは!?・・ そこには見慣れた戦闘機の先頭部が!
この戦争が始まってから、ずっと乗ってきた、セイバーフィッシュ!
ハービック社(HERVIC社)が製造した、FF-3を宇宙用に改造したFF-S3宇宙戦闘機だ!
ん?練習機か? 単座ではなく複座のコックピットだ・・
というか、こいつがタゴサ艦長が言う「作戦」の答えなのか?
確かにセイバーフィッシュは良い戦闘機だ、使い方さえ間違えなければ
ザクとも戦える・・が・・しかしだ!
現時点ではモビルスーツの時代であり、戦闘機はもう古い!
と考えているうちに、後部のカバーも取り外された・・
「な! なんだ!! こりゃ!!!」思わず声が出てしまう!
「・・・ ねっ! すごいでしょ?」
セイバーフィッシュとは似ても似つかわない巨大なブースターが
後部に接続されている!
宇宙用のセイバーフィッシュも、地上用のセイバーフィッシュに4機の
ブースターロケットを上部に2機、下部に2機と接続した機体ではあったが、
そのブースターロケットなどとは比べようがない、巨大なブースターだ!
私は、手を振る士官の横に着地した・・
「ワサビィ大尉です・・ タゴサ艦長とお見受けしますが!」
「・・・ よろしく! タゴサよ・・ 大尉にはあれに乗ってもらいます!」
「あいつは・・ いったい・・」
「・・・ ワッケイン司令からのお土産なのよね・・
V作戦の一環で作られたテスト用の機体なんだけど
ハービックが開発してたFF-X7 コア・ファイター用のブースター
コックピット部がない時にFF-3を流用しテストしたのね・・
だから先頭部はFF-S3セイバーフィッシュなの。
つまり、操縦系統もセイバーフィッシュと同じ・・
でもね、あまりにもパワーがありすぎて、制御できないから
単座から複座に改造したんだって・・
それでも使い辛くって倉庫のゴミになってたのね・・
まぁ、FF-X7はコックピットコンピュータが通常の10倍以上の
性能なので単座でも使えるみたいね・・
まぁ・・ 量産型はパワーも落としているし・・」
「ちょ・・ちょっと待ってくれ・・
お土産って・・ いったい誰にだ?
で・・ パワーがありすぎて・・って 倉庫のゴミだろ? こいつは?」
「・・・ そうよ『こんなジャジャ馬、使いこなせるバカは、広い宇宙でも
4~5人だ!』ってワッケイン司令が言っていたわ・・
その4~5人の中に2人もグリフィンに居るって言うじゃないの!
私がこっちに来る事になったとき、
司令が『種馬と雌豹によろしく!』ってね・・
ワサビィ大尉とオーリン曹長・・ セイバーフィッシュの
エースだもんね、有名よあんた達!」
「つ・・つまり・・ こいつは私達への補給物資なのか?」
「・・・ そうよ! サプライズなのね♪
で・・ 本題に入るわよ!
作戦ってのは単なる思い付き・・
応援に来たジムが新型だったから、グリフィンからかな?って
思ったのね・・ で繋ぐと大尉だった・・
すぐにこの子を思い出したの!
この子は、現時点でどんな戦闘機やモビルスーツよりも
早く飛ぶことが出来るの・・
そして・・ あれが見えて? メガ粒子砲よ!
でかい核融合炉を搭載しているのね・・ つまり、
あの子は、サラミス級のメガ粒子砲を2門持っているの!
あとはセイバーフィッシュと同じ25ミリが4門ね・・
もう解ったでしょ♪」
「なるほど・・ こいつで敵母艦に私1人で突っ込め! って訳ですか・・」
「・・・ ぶっぶぅ~ 半分あたりで、半分アウトぉ♪」
な・・ なんだこの人・・
「・・・ 1人では操縦だけしか出来ないのね・・
この子には砲術士が必要なのよ・・ だから2人で突撃!
(いってらっしゃい!)
その相棒がこの子・・
ウーミン伍長よ・・ 射撃では特級ライセンス持ちよ!」
タゴサ艦長が横にいたパイロットスーツの小さな子を指差した・・
と、同時に、その子はペコリとおじぎをしたように見えた・・
「あっ、あのオレンジ色に塗られたボールのパイロットだよな?」
「・・・ そうよ・・仲良くしてあげてね♪
・・・ でも・・
傷を付けたり、手を出したりしたらタダじゃぁ済まねぇよ!
あたいの可愛いぃ部下なんだからさぁ・・ わかったわね!?」
うっ・・ 態度が急変したぞ
なんだこの重圧は・・ この人って一体・・
「・・・ 艦長! セイバーブースター、準備できました!」
「・・・ 了解! よくやってくれたわ!
大尉! 伍長! じゃあ搭乗して!
敵母艦の座標は送るわね、
コントロール! 聞こえてて、セイバーブースターに
索敵した敵母艦の座標を転送してね!」
「・・・ 艦長!了解です。転送します!」
「・・・ OKよ!」
その時
「・・・ こちら21独立部隊MS小隊のユカ少尉です!
ヒポグリフ艦長どの・・ 居られますか?・・」
「・・・ 聞こえてるわよ、艦長のタゴサです・・
応援ありがとう、用件はなに?」
「・・・ 敵MSが撤退しました、ザクが4機かな・・」
「・・・ ユカ!・・スカート付きもいたよ!」
「・・・ ありがとミィ・・ 訂正です、敵MS5機撤退しました。
現在戦闘空域に敵は居ません・・ 補給をお願いしたいのですが・・
特にビームガンが空っぽで・・」
「・・・ 了解よ、右舷デッキを開けるので、そちらに着艦してね
予備のビームガンは無いので、ジム用のスプレーガンで良いわね?
・・・
整備班!班長は居る? 右舷デッキで補給の用意を!
予備のビームスプレーガンを3つ用意してね!
バルカンも補給よ!」
「・・・ イエスマム! 右舷デッキ準備します!!」
「・・・ ユカ少尉、悪いけど2機を残し、1機ずつ着艦させてね・・
順序だけど、少尉が決めてくれていいわよ!
ヤーク軍曹!聞こえてる? ユカ少尉に従ってね!」
「・・・ ヤークです!了解してます。大丈夫です!」
「・・・ ユカ少尉です。 じゃ・・ 軍曹から先に補給を!
続いてミィ、私が最後・・、いいわね!」
「・・・ あいさ!了解です、少尉!・・」
「・・・ わかったユカ!・・ じゃ先に入るね!」
セイバーブースターに流れながら、
そんな会話をスピーカから聞いていたが・・何かひっかかる・・
「タゴサ艦長・・ 敵母艦から発信したMSは、あと何分でここに?」
「・・・ ・・・ 大尉・・ やっぱりさすがね・・
コントロール! 敵MSの到着予想時刻は?」
「・・・ 艦長!、・・・ あと4分30秒!」
「・・・ ユカ少尉!! ダメ!、あなたもすぐに入って!
時間が無いわ!・・」
「艦長! 私の機体に補給できますか?」
「・・・ ええ・・ 大丈夫よ・・ あっ!そうね!
ユカ少尉! あなたは左舷デッキに入ってくれる!
ワサビィ大尉の機体を先に補給しておくから、それに乗り換えて!
整備班! この機体にも補給を! 急いで!
ワサビィ!は 早く乗って!」
「了解!」
どんどんアドレナリンが湧き出している・・
私は急いでセイバーブースターのコックピットに潜り込んだ・・
うん・・ 懐かしい・・ なんだか全部が良い感じだ!
「行けるぞ!!
ウーミン伍長! 発進準備はOKか?」
「・・・ はい! 発進準備オールグリーンです!」
「ヒポグリフコントロール、ワサビィ大尉だ! 発進準備OKだ!!」
「・・・ あっ・・ 大尉・・これを使って!」
とタゴサ艦長が白い布を差し出してきた・・
絹で出来たパイロット用のスカーフだ・・
「・・・ ごめんね、私のだけど、大事な物だから必ず持って帰ってね♪」
「イエス!マム!! 助かります! 必ずお返しします!
ワサビィだ! セイバーブースター! 出る!」
ズン! という音と強烈なGを背中に感じ、セイバーブースターは漆黒の
宇宙に飛び出した!
振り返ると、ミィ少尉が右舷デッキに滑り込むのが見える・・
ユカ少尉は、私が発進するのを待っていたようだ・・
少し距離が開いた時点でブースターをMAXで点火した・・
とんでもないGが体を襲う・・
こいつはトンだジャジャ馬だ! ドンドン加速する! すごい・・
ふと後部座席のウーミン伍長の様子が気になった・・
「伍長! 大丈夫か?」
機内の有線に切り替え問いかける・・ 返事が無い・・
「伍長! 伍長!! 聞こえているのか? 伍長!」
「・・・ えっ・・ 何? 誰・・」
「伍長! 気がついたか?」
「・・・ あっ! すみません! ちょっと・・
はい! もう大丈夫です大尉!」
「よし! 頼むぜ、相棒さん!」
「・・・ 了解しました! 伍長ではなく、ウーミンでOKですよ♪」
「おう! そうか・・ でもなタゴサ艦長が怖いからな♪」
コックピットがエアーが充填された。
ヘルメットを取って、タゴサ艦長から受け取った絹のスカーフを首に巻く・・
戦闘機乗りにとって、スカーフは大事なアイテムなのだ
常に180度見回して、常に状況を把握する・・
前などはほとんど見ないとも言えるだろう、それだけ周りを何度も見る・・
それが戦闘機乗りの生き残るノウハウでもある・・
つまり、戦闘機の搭乗中は常に首を動かしているのだ!
そのため、スカーフが無ければ首が擦り切れてしまい
挙句の果てに血が出てしまう・・
これはパイロットにとっては死活問題だ!
Gのかかり方によっては、その傷口から血が噴出し、
出血多量で命を落とすこともある・・
スカーフは戦闘機パイロットであることの証で、カッコ良く見せる物のように
見られているが、実は命を守る必需品でもあるのだ・・
それをタゴサ艦長が貸してくれた・・ 大事な品なのだろう・・
絶対にこの作戦を成功させて、返さないといけない!
そんな事を考えながらスカーフを巻き終わり、再びヘルメットを装着する
もちろん、バイザーは開けたまま・・このほうが気分が良い
やっぱり、戦闘機の視界はMSのカメラ越しの物とは異なり気分が良い!
突然! けたたましくアラームが鳴り響いた!
何だ?! と考えている暇もなく、
突然いくつかの物体とすれ違い・・そして離れていく・・・・
相対速度が速すぎる・・ というか、センサーの感度が低い!!
どうやら、すれ違ったのは敵のMS隊・・ 二次攻撃隊であろう・・
あと、1分少々で、あちらも防戦態勢に入るのか、ユカ、ミィ・・頼むぞ!
と・・また続けてアラームが鳴る!・・
前方をセンサーモニターで注視すると、5つの熱源がサーチされている・・
識別は? レッド! そうか・・さっき撤退した奴らだな・・
「ウーミン伍長・・ ビーム砲の準備は出来ているか?」
「・・・ 大尉・・メガ粒子砲エネルギー充填はすでに100%です!」
「そうか、じゃ、試し撃ちでもしてみるか?」
「・・・ 前方のザクですか?」
「ああ・・ 練習だ!計器に頼らず、目視で狙って撃ってみろ!」
「・・・ ラジャ!・・ 大尉軸線合わせてください!」
「OK・・ウーミン!」
「・・・ そのまま・・ そのまま・・ GO!!」
突然大きな轟音とまばゆい閃光に包まれ、機体を大きく軋ませながら
一閃の閃光が前方を飛行するMSに向かって進んでいく!
すごい!これがこいつのビーム砲か!!
サラミス級と言うのは嘘ではないな! 当たれば勝ちだ!!
しかし、敵もしたたかな奴らばかりだ、
ビームの束がMSの編隊に届く直前に、編隊が瞬時に散開した!
「・・・ ちぃ!! 外しちゃいました・・ ごめんなさい!」
「そりゃ、そうだろ・・ 敵は機動力のある、MSだからな・・
そうは簡単には当たるもんじゃない!
しかし・・ すごいパワーだな、こいつは・・」
「・・・ でも・・ 私に出来るのかなぁ?」
「大丈夫だ! ターゲットは宇宙船だ、機動力は無い!」
「・・・ はい! そう、信じます」
「うん・・ いい子だ!」
とか言っている内に、敵MSの編隊に追いついてしまう・・
と同時にリックドムが行き先をふさぐように前方に立ちふさがり
突然、バズーカを撃ってきた!
「くっそう! 回避ぃ!!!」
ちょいと迂闊だった・・
また急激なGが襲う・・というか、軌道に変化が出ない!
「やばい! 制御できん!! こなくそぉ~!!」
力いっぱい機体をロールさせる・・
同時に機体下部のバーニアにスロットルをくれてやる!
すー・・と頭から血が低下し、目の前が白くなる。ホワイトアウトだ・・
九九の3の段を口ずさむ!・・ 意識を保つために!!・・
機体の底部をかすめ、敵のバズーカは後方に飛び去った・・
リックドムはバズーカが外れると同時にヒートサーベルを抜いて
襲い掛かってくる!
「くそぉ!! ダメかぁ!?」
めくら撃ちで25ミリを連射!・・
と、同時に再び轟音と伴に閃光が輝き、ビームが放たれ
敵のリックドムを貫いた!!
リックドムが爆散する横を通り過ぎ、敵MS編隊をも通り過ぎていく・・
ザクなどMSにはスピードでは追い付く事は出来ないし、
ザクマシンガンの弾丸も届かない・・
敵の部隊にゲルググのようなビーム兵器が無いので、もう安心だ・・
「・・・ やりました! 大尉♪」
「おう! ウーミンちゃん! やるじゃない♪
助かったぞ! こいつ、思った以上に制御が難しい・・」
「・・・ 出来ることをやらずに負けちゃ嫌だもん!
でも、良かった! ちゃん付けになりましたね ♪」
「すまんすまん、どうも気に入った相手には軽口になるようだ♪」
「・・・ でね。ウーミンちゃんじゃなく、うみちゃんって呼んでよぉ♪」
「えっ? 何だって?(うみ?・・ うみちゃん??・・)」
「・・・ おにいちゃん! まだ解んないの?
大尉はサイド1の出身でしょ? わちゃびさんのおにいちゃん!」
えっ? おにいちゃん? えっ? わちゃび・・それって?・・
「<第29話>一撃離脱・・」に続く・・・
------------------------------------------------------------------------------
Copyright ichigowasabi
本当にすみません・・ 前回の27話を書いたのが1年以上も前・・
細かな設定を忘れちゃっている部分もあり、再開に時間がかかっていました。
多分皆様も忘れちゃっているでしょうね(笑)
ということで、忘れていたら下記の「ここまでのお話」を読んでください。(^O^)/
物語は現在「宇宙暦0079年12月19日」あの有名なソロモン海戦の5日前になります・・
<ここまでの話>
【第1部】
「<第1話> から <第24話>までのリンク」
【第2部】
「<第25話>子にゃんこ」
「<第26話>緊急信号!」
「<第27話>チーム戦!」
------------------------------------------------------------------------------
「・・・ 大尉! 急いで! 敵母艦から、新たな熱源が4つ出たわ!・・ 」
ヒポグリフ艦長、タゴサ中佐からの叫び声が耳に飛び込んでくる!
くそぉ・・ 二次攻撃隊を出撃させたか・・ 敵は真剣だな・・
そんなこんなを考えながら、私はヒポグリフの左舷デッキに飛び込んだ!
着艦と挙動停止を確認したと同時に、ジムコマンド213のハッチを開き、
機外に飛び出した・・ と、ほぼ同時に・・
背後の漆黒の宇宙に、鮮やかな閃光が輝いた!
ん? ジオン軍の退却信号弾?・・
となると、数分で二次攻撃隊が到着する! 急がないといけない!!
私はデッキの中を見渡した・・ オレンジ色に塗られたボールが1機・・
そこから出てくるパイロットが流れる先に、こちらを向いて手を振る士官が1人・・
「・・・ ワサビィ大尉! あちらを見て!」
その士官が指差す方向を見ると、作業員の数人が車体シートを剥がしている・・
剥がされているシートの中が見えた!
あっ? あれは!?・・ そこには見慣れた戦闘機の先頭部が!
この戦争が始まってから、ずっと乗ってきた、セイバーフィッシュ!
ハービック社(HERVIC社)が製造した、FF-3を宇宙用に改造したFF-S3宇宙戦闘機だ!
ん?練習機か? 単座ではなく複座のコックピットだ・・
というか、こいつがタゴサ艦長が言う「作戦」の答えなのか?
確かにセイバーフィッシュは良い戦闘機だ、使い方さえ間違えなければ
ザクとも戦える・・が・・しかしだ!
現時点ではモビルスーツの時代であり、戦闘機はもう古い!
と考えているうちに、後部のカバーも取り外された・・
「な! なんだ!! こりゃ!!!」思わず声が出てしまう!
「・・・ ねっ! すごいでしょ?」
セイバーフィッシュとは似ても似つかわない巨大なブースターが
後部に接続されている!
宇宙用のセイバーフィッシュも、地上用のセイバーフィッシュに4機の
ブースターロケットを上部に2機、下部に2機と接続した機体ではあったが、
そのブースターロケットなどとは比べようがない、巨大なブースターだ!
私は、手を振る士官の横に着地した・・
「ワサビィ大尉です・・ タゴサ艦長とお見受けしますが!」
「・・・ よろしく! タゴサよ・・ 大尉にはあれに乗ってもらいます!」
「あいつは・・ いったい・・」
「・・・ ワッケイン司令からのお土産なのよね・・
V作戦の一環で作られたテスト用の機体なんだけど
ハービックが開発してたFF-X7 コア・ファイター用のブースター
コックピット部がない時にFF-3を流用しテストしたのね・・
だから先頭部はFF-S3セイバーフィッシュなの。
つまり、操縦系統もセイバーフィッシュと同じ・・
でもね、あまりにもパワーがありすぎて、制御できないから
単座から複座に改造したんだって・・
それでも使い辛くって倉庫のゴミになってたのね・・
まぁ、FF-X7はコックピットコンピュータが通常の10倍以上の
性能なので単座でも使えるみたいね・・
まぁ・・ 量産型はパワーも落としているし・・」
「ちょ・・ちょっと待ってくれ・・
お土産って・・ いったい誰にだ?
で・・ パワーがありすぎて・・って 倉庫のゴミだろ? こいつは?」
「・・・ そうよ『こんなジャジャ馬、使いこなせるバカは、広い宇宙でも
4~5人だ!』ってワッケイン司令が言っていたわ・・
その4~5人の中に2人もグリフィンに居るって言うじゃないの!
私がこっちに来る事になったとき、
司令が『種馬と雌豹によろしく!』ってね・・
ワサビィ大尉とオーリン曹長・・ セイバーフィッシュの
エースだもんね、有名よあんた達!」
「つ・・つまり・・ こいつは私達への補給物資なのか?」
「・・・ そうよ! サプライズなのね♪
で・・ 本題に入るわよ!
作戦ってのは単なる思い付き・・
応援に来たジムが新型だったから、グリフィンからかな?って
思ったのね・・ で繋ぐと大尉だった・・
すぐにこの子を思い出したの!
この子は、現時点でどんな戦闘機やモビルスーツよりも
早く飛ぶことが出来るの・・
そして・・ あれが見えて? メガ粒子砲よ!
でかい核融合炉を搭載しているのね・・ つまり、
あの子は、サラミス級のメガ粒子砲を2門持っているの!
あとはセイバーフィッシュと同じ25ミリが4門ね・・
もう解ったでしょ♪」
「なるほど・・ こいつで敵母艦に私1人で突っ込め! って訳ですか・・」
「・・・ ぶっぶぅ~ 半分あたりで、半分アウトぉ♪」
な・・ なんだこの人・・
「・・・ 1人では操縦だけしか出来ないのね・・
この子には砲術士が必要なのよ・・ だから2人で突撃!
(いってらっしゃい!)
その相棒がこの子・・
ウーミン伍長よ・・ 射撃では特級ライセンス持ちよ!」
タゴサ艦長が横にいたパイロットスーツの小さな子を指差した・・
と、同時に、その子はペコリとおじぎをしたように見えた・・
「あっ、あのオレンジ色に塗られたボールのパイロットだよな?」
「・・・ そうよ・・仲良くしてあげてね♪
・・・ でも・・
傷を付けたり、手を出したりしたらタダじゃぁ済まねぇよ!
あたいの可愛いぃ部下なんだからさぁ・・ わかったわね!?」
うっ・・ 態度が急変したぞ
なんだこの重圧は・・ この人って一体・・
「・・・ 艦長! セイバーブースター、準備できました!」
「・・・ 了解! よくやってくれたわ!
大尉! 伍長! じゃあ搭乗して!
敵母艦の座標は送るわね、
コントロール! 聞こえてて、セイバーブースターに
索敵した敵母艦の座標を転送してね!」
「・・・ 艦長!了解です。転送します!」
「・・・ OKよ!」
その時
「・・・ こちら21独立部隊MS小隊のユカ少尉です!
ヒポグリフ艦長どの・・ 居られますか?・・」
「・・・ 聞こえてるわよ、艦長のタゴサです・・
応援ありがとう、用件はなに?」
「・・・ 敵MSが撤退しました、ザクが4機かな・・」
「・・・ ユカ!・・スカート付きもいたよ!」
「・・・ ありがとミィ・・ 訂正です、敵MS5機撤退しました。
現在戦闘空域に敵は居ません・・ 補給をお願いしたいのですが・・
特にビームガンが空っぽで・・」
「・・・ 了解よ、右舷デッキを開けるので、そちらに着艦してね
予備のビームガンは無いので、ジム用のスプレーガンで良いわね?
・・・
整備班!班長は居る? 右舷デッキで補給の用意を!
予備のビームスプレーガンを3つ用意してね!
バルカンも補給よ!」
「・・・ イエスマム! 右舷デッキ準備します!!」
「・・・ ユカ少尉、悪いけど2機を残し、1機ずつ着艦させてね・・
順序だけど、少尉が決めてくれていいわよ!
ヤーク軍曹!聞こえてる? ユカ少尉に従ってね!」
「・・・ ヤークです!了解してます。大丈夫です!」
「・・・ ユカ少尉です。 じゃ・・ 軍曹から先に補給を!
続いてミィ、私が最後・・、いいわね!」
「・・・ あいさ!了解です、少尉!・・」
「・・・ わかったユカ!・・ じゃ先に入るね!」
セイバーブースターに流れながら、
そんな会話をスピーカから聞いていたが・・何かひっかかる・・
「タゴサ艦長・・ 敵母艦から発信したMSは、あと何分でここに?」
「・・・ ・・・ 大尉・・ やっぱりさすがね・・
コントロール! 敵MSの到着予想時刻は?」
「・・・ 艦長!、・・・ あと4分30秒!」
「・・・ ユカ少尉!! ダメ!、あなたもすぐに入って!
時間が無いわ!・・」
「艦長! 私の機体に補給できますか?」
「・・・ ええ・・ 大丈夫よ・・ あっ!そうね!
ユカ少尉! あなたは左舷デッキに入ってくれる!
ワサビィ大尉の機体を先に補給しておくから、それに乗り換えて!
整備班! この機体にも補給を! 急いで!
ワサビィ!は 早く乗って!」
「了解!」
どんどんアドレナリンが湧き出している・・
私は急いでセイバーブースターのコックピットに潜り込んだ・・
うん・・ 懐かしい・・ なんだか全部が良い感じだ!
「行けるぞ!!
ウーミン伍長! 発進準備はOKか?」
「・・・ はい! 発進準備オールグリーンです!」
「ヒポグリフコントロール、ワサビィ大尉だ! 発進準備OKだ!!」
「・・・ あっ・・ 大尉・・これを使って!」
とタゴサ艦長が白い布を差し出してきた・・
絹で出来たパイロット用のスカーフだ・・
「・・・ ごめんね、私のだけど、大事な物だから必ず持って帰ってね♪」
「イエス!マム!! 助かります! 必ずお返しします!
ワサビィだ! セイバーブースター! 出る!」
ズン! という音と強烈なGを背中に感じ、セイバーブースターは漆黒の
宇宙に飛び出した!
振り返ると、ミィ少尉が右舷デッキに滑り込むのが見える・・
ユカ少尉は、私が発進するのを待っていたようだ・・
少し距離が開いた時点でブースターをMAXで点火した・・
とんでもないGが体を襲う・・
こいつはトンだジャジャ馬だ! ドンドン加速する! すごい・・
ふと後部座席のウーミン伍長の様子が気になった・・
「伍長! 大丈夫か?」
機内の有線に切り替え問いかける・・ 返事が無い・・
「伍長! 伍長!! 聞こえているのか? 伍長!」
「・・・ えっ・・ 何? 誰・・」
「伍長! 気がついたか?」
「・・・ あっ! すみません! ちょっと・・
はい! もう大丈夫です大尉!」
「よし! 頼むぜ、相棒さん!」
「・・・ 了解しました! 伍長ではなく、ウーミンでOKですよ♪」
「おう! そうか・・ でもなタゴサ艦長が怖いからな♪」
コックピットがエアーが充填された。
ヘルメットを取って、タゴサ艦長から受け取った絹のスカーフを首に巻く・・
戦闘機乗りにとって、スカーフは大事なアイテムなのだ
常に180度見回して、常に状況を把握する・・
前などはほとんど見ないとも言えるだろう、それだけ周りを何度も見る・・
それが戦闘機乗りの生き残るノウハウでもある・・
つまり、戦闘機の搭乗中は常に首を動かしているのだ!
そのため、スカーフが無ければ首が擦り切れてしまい
挙句の果てに血が出てしまう・・
これはパイロットにとっては死活問題だ!
Gのかかり方によっては、その傷口から血が噴出し、
出血多量で命を落とすこともある・・
スカーフは戦闘機パイロットであることの証で、カッコ良く見せる物のように
見られているが、実は命を守る必需品でもあるのだ・・
それをタゴサ艦長が貸してくれた・・ 大事な品なのだろう・・
絶対にこの作戦を成功させて、返さないといけない!
そんな事を考えながらスカーフを巻き終わり、再びヘルメットを装着する
もちろん、バイザーは開けたまま・・このほうが気分が良い
やっぱり、戦闘機の視界はMSのカメラ越しの物とは異なり気分が良い!
突然! けたたましくアラームが鳴り響いた!
何だ?! と考えている暇もなく、
突然いくつかの物体とすれ違い・・そして離れていく・・・・
相対速度が速すぎる・・ というか、センサーの感度が低い!!
どうやら、すれ違ったのは敵のMS隊・・ 二次攻撃隊であろう・・
あと、1分少々で、あちらも防戦態勢に入るのか、ユカ、ミィ・・頼むぞ!
と・・また続けてアラームが鳴る!・・
前方をセンサーモニターで注視すると、5つの熱源がサーチされている・・
識別は? レッド! そうか・・さっき撤退した奴らだな・・
「ウーミン伍長・・ ビーム砲の準備は出来ているか?」
「・・・ 大尉・・メガ粒子砲エネルギー充填はすでに100%です!」
「そうか、じゃ、試し撃ちでもしてみるか?」
「・・・ 前方のザクですか?」
「ああ・・ 練習だ!計器に頼らず、目視で狙って撃ってみろ!」
「・・・ ラジャ!・・ 大尉軸線合わせてください!」
「OK・・ウーミン!」
「・・・ そのまま・・ そのまま・・ GO!!」
突然大きな轟音とまばゆい閃光に包まれ、機体を大きく軋ませながら
一閃の閃光が前方を飛行するMSに向かって進んでいく!
すごい!これがこいつのビーム砲か!!
サラミス級と言うのは嘘ではないな! 当たれば勝ちだ!!
しかし、敵もしたたかな奴らばかりだ、
ビームの束がMSの編隊に届く直前に、編隊が瞬時に散開した!
「・・・ ちぃ!! 外しちゃいました・・ ごめんなさい!」
「そりゃ、そうだろ・・ 敵は機動力のある、MSだからな・・
そうは簡単には当たるもんじゃない!
しかし・・ すごいパワーだな、こいつは・・」
「・・・ でも・・ 私に出来るのかなぁ?」
「大丈夫だ! ターゲットは宇宙船だ、機動力は無い!」
「・・・ はい! そう、信じます」
「うん・・ いい子だ!」
とか言っている内に、敵MSの編隊に追いついてしまう・・
と同時にリックドムが行き先をふさぐように前方に立ちふさがり
突然、バズーカを撃ってきた!
「くっそう! 回避ぃ!!!」
ちょいと迂闊だった・・
また急激なGが襲う・・というか、軌道に変化が出ない!
「やばい! 制御できん!! こなくそぉ~!!」
力いっぱい機体をロールさせる・・
同時に機体下部のバーニアにスロットルをくれてやる!
すー・・と頭から血が低下し、目の前が白くなる。ホワイトアウトだ・・
九九の3の段を口ずさむ!・・ 意識を保つために!!・・
機体の底部をかすめ、敵のバズーカは後方に飛び去った・・
リックドムはバズーカが外れると同時にヒートサーベルを抜いて
襲い掛かってくる!
「くそぉ!! ダメかぁ!?」
めくら撃ちで25ミリを連射!・・
と、同時に再び轟音と伴に閃光が輝き、ビームが放たれ
敵のリックドムを貫いた!!
リックドムが爆散する横を通り過ぎ、敵MS編隊をも通り過ぎていく・・
ザクなどMSにはスピードでは追い付く事は出来ないし、
ザクマシンガンの弾丸も届かない・・
敵の部隊にゲルググのようなビーム兵器が無いので、もう安心だ・・
「・・・ やりました! 大尉♪」
「おう! ウーミンちゃん! やるじゃない♪
助かったぞ! こいつ、思った以上に制御が難しい・・」
「・・・ 出来ることをやらずに負けちゃ嫌だもん!
でも、良かった! ちゃん付けになりましたね ♪」
「すまんすまん、どうも気に入った相手には軽口になるようだ♪」
「・・・ でね。ウーミンちゃんじゃなく、うみちゃんって呼んでよぉ♪」
「えっ? 何だって?(うみ?・・ うみちゃん??・・)」
「・・・ おにいちゃん! まだ解んないの?
大尉はサイド1の出身でしょ? わちゃびさんのおにいちゃん!」
えっ? おにいちゃん? えっ? わちゃび・・それって?・・
「<第29話>一撃離脱・・」に続く・・・
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