天愛元年

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新元号『天愛』元年にスタート

木曜

2020-03-19 15:22:51 | 日記

 19日木曜日か。新型コロナウイルスの感染拡大もそうであるけれど、3連休前で金融市場で何が起きるか不安で、安眠できない気分が続くなあ。1929年10月24日のアメリカも木曜日であった。後世、暗黒の木曜日と呼ばれるようになった。『オンリー・イエスタデイ』(F.L.アレン著、藤久ミネ訳、研究者叢書)によると、その1週間前の新聞にアーヴィング・フィッシャー教授が株価について、「今よりずっと高値になる」と予言した。10月上旬に株式市場が軟調となっていた時、ニューヨーク・ナショナル・シティ銀行のミッチェル会長は「合衆国の産業状態は全く健全であり、われわれの信用状態は決して危険でない」「若干、投機が行き過ぎている場合があるが、いま市場は全般的に健全である」と楽観視していた。しかし、まず23日に「ナイアガラ瀑布のような投げ」が出た。24日の寄り付きは落ち着いていたが、前日までの下落により、信用取引に伴う追加証拠金の請求が爆発的に発生し、崩落の引き金を引いた。売りが売りを呼ぶ「恐怖遁走が突然始まった」。売買の事務処理が追い付かず、ボードを見ても現在値が分からず、1-2時間前の値段しか表示されない状態だった。
 慌てた銀行家たちがモルガン商会事務所で緊急に協議し、金融機関5社が4000万ドルずつ出して株価を買い支えることにした。このニュースが立会場に広がると株価は落ち着きを取り戻し、U・S・スティール株などは2ドル高で引けた。
 「銀行家の共同資金が、当座は完全な崩壊を喰いとめはしたが、経済構造が、ぱっくりと割れたという事実は、否定できなかった。」
 続く金曜と土曜の相場はいくぶん好転した。フーバー大統領は「この国の根本的な仕事、すなわち商品の生産と分配は健全で順調な基盤に立っている」との声明を出した。
 しかし、追証の重力が増して投資家の投げ売りを誘い、雪崩現象が起きた。6大銀行でさえ、合衆国全体からやってくる投げ売りの流れをせき止めることは、ほとんどできなかった。
 政府も金融界も決して座視したわけではないけれど、11月中旬まで下げ基調を止めることができなかった。主要工業株25種の平均価格は9月高値の469ドル49セントから11月13日には220ドル95セントの安値まで52.9%下落した。現在のダウ構成と全然異なるものの、因みにこの下落幅を当てはめると、2月12日の瞬間高値2万9568ドルに対する底値は1万3915ドルであり、昨日終値の1万9899ドルから更に5983ドル、約6千ドル近く下げ余地があることになる。
 『オンリー・イエスタデイ』によると、
 大強気市場は死んだ。数十億ドルの利益-および紙上の利益-は消え去った。八百屋や窓拭きやお針子は、なけなしの資金を失った。どこの都会にも、人目に立つ裕福な暮らしから、突如として負債に苦しむ生活に陥ちこんだ家庭があった。隠退して財産で食っていくことを夢想していた投資家たちは、いまや、ふたたび富にいたる長い道程を、はじめからやり直すことになった。毎日毎日、新聞は自殺の暗いニュースを報じていた。
―――と記している。
 こうした歴史の知見を持っているから、日米を始め各国政府は大胆かつ機動的な景気と金融市場対策を打ち出すであろう。間髪を入れずという割には役所に丸投げなのかゆっくりしか中身が出てこない。中身も、これまで失われた30年の経験では、計画を策定する側に都合の良い大盤振る舞いだっただけに、一向に真水となって一般国民に流れてこず、全て不発に終わってきた。自然大災害でも原発事故でも経済破綻でも、復興刺激対策は大手企業を仲介した政官財に資金が流れる仕組みとなっていた嫌いがある。今回も経済産業省がお膳立てして傘下の大手企業に対する救済が主となるなら、即効性がなく新型コロナウイルス不況対策に役立たないので、大恐慌に突入しかねない瀬戸際にあることを意識した内容にしてもらいたい。

蟻ならば
知りて落つなり
あり地獄
知らず踏み入る
人の浅はか