「渡辺会長が球団私物化」
巨人・清武代表が批判
プロ野球巨人の清武英利専務取締役球団代表（６１）は１１日、文部科学省で記者会見し、コーチ人事などで不当な圧力があったとして、渡辺恒雄取締役会長（８５）を強く批判しました。同会長が自らの一存で江川卓氏のコーチ招聘に動いていることなどを例に挙げています。清武氏自身は辞任する考えはないといいます。
人事介入「鶴の一声」を糾弾
清武代表によると、１０月下旬に岡崎郁ヘッドコーチの留任を含む来季の構想を渡辺会長に了承されましたが、今月になって江川氏をヘッドコーチとし、岡崎氏を降格させる方針を告げられました。さらに桃井恒和オーナー兼代表取締役社長のオーナー職を解くなどのフロント人事も内示されたといいます。
会見では、代表権のない会長の一方的な指示を「巨人軍とプロ野球を私物化するような行為」「会社の内部統制、コンプライアンス（法令順守）に大きく反する行為」などとする声明文を発表。「（会長の）一存では誰も納得しないし、球団の信用も失う」と語りました。
球団の内紛を幹部が公表するのは極めて異例。桃井オーナーは東京・大井町の球団事務所で「コーチ人事は誰かの鶴の一声でなく、常に意見交換している」との認識を示し、清武代表の行動を「逆に球団の内部統制（の観点）で言えばとんでもない話」と批判しました。
涙ながらに訴え
記者会見した巨人の清武英利代表は時折、涙をぬぐいながら「不当な鶴の一声で、愛する巨人軍を、プロ野球を私物化するような行為を許すことはできない」とする声明を読み上げました。
過去のプロ野球にはワンマンオーナーが珍しくありませんでしたが、声明では大王製紙やオリンパスの例も挙げ、「巨人にも内部統制と健全な企業体質が要求される」として、時代に即した運営の重要性を指摘。組織上はオーナーでもなく代表権も持たない渡辺会長の「越権」を批判しました。
「おかしなことがあれば言うのが役員の務め。自ら辞めるつもりはない」と自らの辞任は否定。渡辺会長に対しても「まずは是正を求める」と述べるにとどめました。
影響力ある２人
巨人・原監督
非常に影響力のあるお２人、少し意見が・・・というところはある。残念だ。われわれの仕事は強いチームをつくることで、それに変わりはない。（動揺する選手が）中にはいるかもしれないが、目的は一つだから集中してやる。
残念でならない
桃井恒和巨人オーナー
清武代表の記者会見は球団の誰もが承知しておらず、残念でならない。渡辺会長は親会社のトップであって、平の取締役とは違う。クライマックスシリーズ敗退で状況が変わり、コーチ人事の見直しが必要だという判断だと思う。フロントもけじめをつけないといけない。
受諾は難しい
江川卓氏
２０年（以上）も現場を離れているにもかかわらず、巨人のヘッドコーチに名前が挙がるのは大変名誉なこと。ただ、このような状況では、入団の時に小林繁氏に（阪神移籍で）大変ご迷惑を掛けてしまったのと同様、多くの関係者に迷惑を掛けてしまうので、お受けするのは難しい。
横暴勝手 もう通用せぬ
渡辺恒雄会長の独善的な手法に、ついに巨人球団内部から公然と批判の声があがりました。
清武代表が声明文で訴えたように、渡辺会長の振る舞いは、まさに゛プロ野球の私物化〝です。組織上はオーナーでもなく代表権を持たないにもかかわらず、『鶴の一声』でチームの人事を覆すことは親会社のトップといえども横暴です。
日本プロ野球界の権力者として絶大な力を誇示してきた渡辺会長は、これまでも球界全体を私物のように扱ってきました。
戦力均衡のためのドラフト制度を攻撃し、１９９３年には一部球団と新リーグを結成すると脅しをかけ、逆指名制度を導入させました。球界再編に揺れた２００４年には、ファンや選手の願いに逆行する１リーグ制を主張。オーナーたちとの話し合いを求めた労組プロ野球選手会の古田敦也会長（当時）に対し、「無礼なことを言うな。分をわきまえないといかん。たかが選手が」という暴言を吐いています。選手会が行った署名活動にも「大衆迎合だ」と非難しました。ここには、プロ野球選手の身分や人権を尊重しない権力者のおごりが表れています。
戦後、国民的スポーツとして発展を遂げたプロ野球。多くのファンや地域によって支えられている球団は社会の公共財といえます。近年は地域密着に力を入れる球団が増え、公共性は高まるばかりです。
球界の盟主をうたってきた巨人の衝撃的な内部告発は、かつてのように親会社が球団や選手、指導者たちを好き勝手に扱ってきた時代が終わりを告げていることを示しています。
巨人・清武代表が批判
プロ野球巨人の清武英利専務取締役球団代表（６１）は１１日、文部科学省で記者会見し、コーチ人事などで不当な圧力があったとして、渡辺恒雄取締役会長（８５）を強く批判しました。同会長が自らの一存で江川卓氏のコーチ招聘に動いていることなどを例に挙げています。清武氏自身は辞任する考えはないといいます。
人事介入「鶴の一声」を糾弾
清武代表によると、１０月下旬に岡崎郁ヘッドコーチの留任を含む来季の構想を渡辺会長に了承されましたが、今月になって江川氏をヘッドコーチとし、岡崎氏を降格させる方針を告げられました。さらに桃井恒和オーナー兼代表取締役社長のオーナー職を解くなどのフロント人事も内示されたといいます。
会見では、代表権のない会長の一方的な指示を「巨人軍とプロ野球を私物化するような行為」「会社の内部統制、コンプライアンス（法令順守）に大きく反する行為」などとする声明文を発表。「（会長の）一存では誰も納得しないし、球団の信用も失う」と語りました。
球団の内紛を幹部が公表するのは極めて異例。桃井オーナーは東京・大井町の球団事務所で「コーチ人事は誰かの鶴の一声でなく、常に意見交換している」との認識を示し、清武代表の行動を「逆に球団の内部統制（の観点）で言えばとんでもない話」と批判しました。
涙ながらに訴え
記者会見した巨人の清武英利代表は時折、涙をぬぐいながら「不当な鶴の一声で、愛する巨人軍を、プロ野球を私物化するような行為を許すことはできない」とする声明を読み上げました。
過去のプロ野球にはワンマンオーナーが珍しくありませんでしたが、声明では大王製紙やオリンパスの例も挙げ、「巨人にも内部統制と健全な企業体質が要求される」として、時代に即した運営の重要性を指摘。組織上はオーナーでもなく代表権も持たない渡辺会長の「越権」を批判しました。
「おかしなことがあれば言うのが役員の務め。自ら辞めるつもりはない」と自らの辞任は否定。渡辺会長に対しても「まずは是正を求める」と述べるにとどめました。
影響力ある２人
巨人・原監督
非常に影響力のあるお２人、少し意見が・・・というところはある。残念だ。われわれの仕事は強いチームをつくることで、それに変わりはない。（動揺する選手が）中にはいるかもしれないが、目的は一つだから集中してやる。
残念でならない
桃井恒和巨人オーナー
清武代表の記者会見は球団の誰もが承知しておらず、残念でならない。渡辺会長は親会社のトップであって、平の取締役とは違う。クライマックスシリーズ敗退で状況が変わり、コーチ人事の見直しが必要だという判断だと思う。フロントもけじめをつけないといけない。
受諾は難しい
江川卓氏
２０年（以上）も現場を離れているにもかかわらず、巨人のヘッドコーチに名前が挙がるのは大変名誉なこと。ただ、このような状況では、入団の時に小林繁氏に（阪神移籍で）大変ご迷惑を掛けてしまったのと同様、多くの関係者に迷惑を掛けてしまうので、お受けするのは難しい。
横暴勝手 もう通用せぬ
渡辺恒雄会長の独善的な手法に、ついに巨人球団内部から公然と批判の声があがりました。
清武代表が声明文で訴えたように、渡辺会長の振る舞いは、まさに゛プロ野球の私物化〝です。組織上はオーナーでもなく代表権を持たないにもかかわらず、『鶴の一声』でチームの人事を覆すことは親会社のトップといえども横暴です。
日本プロ野球界の権力者として絶大な力を誇示してきた渡辺会長は、これまでも球界全体を私物のように扱ってきました。
戦力均衡のためのドラフト制度を攻撃し、１９９３年には一部球団と新リーグを結成すると脅しをかけ、逆指名制度を導入させました。球界再編に揺れた２００４年には、ファンや選手の願いに逆行する１リーグ制を主張。オーナーたちとの話し合いを求めた労組プロ野球選手会の古田敦也会長（当時）に対し、「無礼なことを言うな。分をわきまえないといかん。たかが選手が」という暴言を吐いています。選手会が行った署名活動にも「大衆迎合だ」と非難しました。ここには、プロ野球選手の身分や人権を尊重しない権力者のおごりが表れています。
戦後、国民的スポーツとして発展を遂げたプロ野球。多くのファンや地域によって支えられている球団は社会の公共財といえます。近年は地域密着に力を入れる球団が増え、公共性は高まるばかりです。
球界の盟主をうたってきた巨人の衝撃的な内部告発は、かつてのように親会社が球団や選手、指導者たちを好き勝手に扱ってきた時代が終わりを告げていることを示しています。
