ヒデ系の瞳

平和憲法尊守

自民党・4月28日が主権回復の日とは?見せかけの主権回復。

2013-04-26 | 安保が分かれば、世界が見える
ズルい女?


4月28日はいかなる日か

見せかけの「主権回復」

軍事的従属を永続化

わが国の政府は、対日平和条約と日米安保条約を一体のものとして受け入れた。その日米安保条約とは、「考えられるあらゆる方面でのアメリカへの軍事的従属を永続化することによって日本を支配するための手段」であったと、米政府秘密文書を渉猟した米国の日本史家ジョン・ダワーが指摘している。(「占領下の日本とアジアにおける冷戦」=『昭和』みすず書房所収)
 4月28日の真の意味は、この点に集約される。

「安保」調印は下士官集会所

 サンフランシスコで締結された平和条約に、米政府は沖縄・奄美・小笠原の日本からの無期限分断支配と千島列島の日本領有権放棄とともに、米軍常駐許容条項を盛り込んだ。その数時間後、同地のプレシディオ米陸軍要塞の下士官集会所舞踏室で急きょ開催された日米安保条約の調印式では、事前に案文を見ていた日本の唯一の全権、吉田茂だけが署名した。
 両条約調印直後、著者も参加したサンフランシスコ両条約に抗議する学園内の自治会集会すら、米占領軍の指令による警察隊の弾圧で解散させられた。それが当時の状況だった。
 両条約の調印・発効の全経過は、「主権回復」が見せかけにすぎなかったことを実証した。
 4月28日のすぐ後、元東大総長・南原繁は、「講和条約と不可分に日米安保条約が伴い、軍事同盟と軍事基地協定が協定され・・・新たな重大な結果を内外にもたらさずにはおかない」と憂え、そこに「旧憲法精神の復活とファッショ的全体主義精神の復帰」をかぎとった(『世界』1952年9月号)。当時の多くの国民の懸念と共通するものだった。
 沖縄・奄美・小笠原を将来、「米国を施政権者とする信託統治」下に置くとした平和条約第3条は、カイロ宣言・ポツダム宣言の領土不拡大の大原則の蹂躙であっただけでなく、信託統治は国連加盟国となった地域に適用しないとした国連憲章を踏みにじるものだった。フランスの国際法学者ロッシュは沖縄などへの将来の信託統治提案を条件とした米全面占領の継続を非難し、「併合を実現することなく、併合の利益を享受する手段として、これ以上に狡猾なものを知らない」と厳しく糾明した。

植民地主義的新手の手法で

 米国は日本の侵略戦争断罪を口実に、日本に対し新手の植民地主義的支配の手法で臨んだ。特に国内で唯一の陸戦が戦われ、多数の住民が巻き添えにされた沖縄で、戦闘終了直後、住民は収容所生活を強制されたが、その最中、米軍はなんの断りもなく住民の土地・財産を大規模に接収し米軍用地に変えた。明白なハーグ陸戦法違反の行為だった。驚くべきことに、米陸軍琉球軍司令部の秘密報告書「沖縄における米軍の土地取得の経過」(1954年11月作成)はこの土地強奪を正当化し、「米国は1945年の〔沖縄〕侵攻後、ただちに征服の権利により必要な土地を手に入れた」と記述した。
 「征服の権利」とはかつて列強諸国が、武力で他国併合などを強制した際の論理に他ならない。
 これは、米軍がいまも日本全土で固執している際限ない基地特権とも、本質的な共通点がある。講和条約の事前交渉で来日したダレス特使は米スタッフに、日本から回答を求めるべき「第一の問題」は、「われわれが希望するだけの軍隊を、希望する場所で、希望するだけのあいだ、駐留させる権利を得ることができるかどうか」にあると語っていたのだ。(マイケル・シャラー『日米関係』とは何だったのか』草思社)

不公平隠した日米両政府

 ダワーが指摘した通り、「二国間の安全保障条約のもとでの日本の地位と、それを可能にしていた行政協定が、戦後にアメリカと安全保障条約を結んだどの国と比べても公平でなかったという事実を、アメリカも日本政府も公表しなかった」のである。

 4月28日を「主権回復の日」として、対米従属下の日本の現状を肯定しつつ「国の未来」への決意を固めるという安倍内閣の企ては、欺瞞に満ちている。これをもって憲法「改正」の国民総動員の契機にしようとするものだが、第9条の大改悪こそは、日米安保条約下でアメリカが押し付け自民党が推進してきた自衛隊大増強と海外派兵の路線そのものの全面推進のためではないか。
 このきな臭い企ての真相をいまこそ国民は見抜き、それを許さないため、断固たる意思表明をすべき時である。
【にいはら・しょうじ 国際問題研究者】
(しんぶん赤旗2013年4月24日)

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