TATSURO SHIBUYA + ARCHITECTURE LANDSCAPE DESIGN STUDIO

アーキテクチュアは建築、ランドスケープは景観。風景を生かす建築環境デザインに取組んでいます。

冬の積雪と無落雪屋根/適材適所の屋根計画

2011-02-14 13:59:50 | *白鷹の家
今年の冬は積雪量がとても多いです。
雪おろしなどの除雪に伴ういたましい事故をなくすために、建築側からもできる雪対策に取組んでいます。

特に屋根に積もった雪の処理に関しては、①屋根に勾配をつけて落雪しやすくしたり、②軒先などに電熱線を入れて雪を溶かしたり、③雪を載せたまま耐えられるような屋根にする。などの方法があります。

①の勾配屋根はもっともベーシックですが、屋根からの落雪があるので、屋根面積が大きい場合には地上の屋根下まわりは非常に危険なエリアとなります。また、勾配屋根でも雪は積もりますので、特に今年のように積雪量が多い時は雪下ろしが必要になる場合もあります。さらに、敷地に余裕がない場合には地面に屋根から落ちた(落とした)雪を除雪しなくてはならず、二重に除雪の手間がかかります。

②の融雪装置は、公共施設や一部の住宅には設置例がありますが、一度溶けてしまうと、冷えて雪庇や氷柱ができやすくなるので、常に融雪しておく必要があり、イニシャルコストだけでなく、ランニングコストの面からもコストを見込んでおく必要があります。

③の無落雪屋根は、「北海道式」ともよばれ、北海道では多くの実績がある屋根工法です。白鷹の家でも採用しておりますが、通常の勾配屋根とは逆勾配となるため、施工の技術力が必要とされます。雪は載せた状態でも耐えられるように構造計算をしますので、よほど積雪が多くならない限り、雪下ろしの手間はありません。
ただ、安全のために年に1、2回は落葉のつまりなど屋根樋の点検が必要です。
※雨樋の点検は、どんな屋根形状の場合でも必要になります。

①~③のどれが一番いいかというのは、一概には決められませんので、設計する地域の気候風土や設計条件に合わせて、適材適所で丁寧に設計することになります。

白鷹の家では、2階に無落雪屋根を採用しています。(写真の白い採光断熱壁の部分が2階)



採光断熱壁外観(部分)


採光断熱壁内観

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