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中国経済まっさかさま 中国共産党崩壊間近の予兆

2016-01-29 18:03:57 | 政治
津田 孝一
9時間前 · Ishikawa石川県 かほく市

2016-01-28 04:07:52
中国、「経済・外交の危機」米国は次期大統領で巻き返しに出る
テーマ:ブログ


中国経済まっさかさま 中国共産党崩壊間近の予兆

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甘く見られたオ米大統領
米は「台湾カード」切る

オバマ米大統領は、「社会派」大統領としての評価が下されている。前任のブッシュ氏が破天荒な軍事戦略を展開して、米国自身も大きな傷跡を残した。その後任がオバマ氏だ。ブッシュ氏の反動で、何ごとも「穏便」に済ませるという「話し合い型」大統領である。その影で、世界情勢は流動化して混乱を続けている。オバマ氏がアラブ問題でも決断を下して行動に移していたならば、事態はここまで悪化しなかったであろう。この問題は、ロシアや中国の政府にも「オバマ与しやすし」というイメージを与えた。クリミア問題と南シナ海問題を発生させたのだ。「不作為の作為」という政治家として、最大の恥辱である。

今秋、米大統領選挙が行われる。8年前の大統領選では、当時のブッシュ大統領の業績が争点にされた。今度の選挙は、オバマ氏の外交戦略が俎上に上る。「米国の失われた権威」復活をめぐって論戦が戦わされるであろう。その際、必ず出てくる問題は、対中国戦略である。現状の中国は、海外へ思うままに手を伸ばしている。ここで、米国が決定的な手を打たなければ、失地回復が難しくなる。米国内で、そういう認識が高まっても不思議はない。

幸いにも、と言っては語弊があるが、中国経済は瀕死の重傷を負っている。米国は、TPP(環太平洋経済連携協定)という一大経済圏を作り上げつつある。世界のGDPの36%を擁するのだ。追加参加予定国の台湾・韓国・タイ・インドネシア・フィリピンなどを加えると、世界のGDPの51%に達する。むろん、中国にはハードルが高すぎて参加は不可能である。こうして「拡大TPP」は、中国を除外して発展する。逆に、中国は世界のGDPの半分の経済圏か取り残されるのだ。経済衰退は明らかであろう。

米国は、外交的に新たな手が打てるという見方が浮上した。台湾総統選で、民進党の蔡英文氏当選が米国の対中外交で大きな得点源になったというのだ。米国は、南シナ海で為す術もなく中国にやられっぱなしである。ここで、台湾を踏み台にして中国へ外交的なダメージが与えられるとする見解である。

甘く見られたオ米大統領
『ウォール・ストリート・ジャーナル』(1月18日付)は、寄稿「米、対中国で『切り札の台湾』使用も」が掲載された。筆者のジョン・ボルトン氏は、米国の元国連大使。現在は、米大手研究機関アメリカン・エンタープライズ研究所のシニアフェローである。

①「台湾で1月16日に行われた総統・立法院(国会)選挙で野党・民進党が大勝し政権奪回を果たした。民進党は与党・国民党に代わり、総統および立法院での初めての過半数議席を勝ち取り、議会運営でも優位に立つことになる。総統選で大勝した蔡英文氏は、選挙運動で、国民党の中台関係強化政策に対する攻撃に焦点を絞ることはなく、台湾の景気低迷を争点とした。だが、蔡氏は民進党の台湾独立志向の基本政策を拒否することもなかった。蔡氏の発言は16日の勝利宣言も含め、慎重だ。しかし、民進党の支持基盤は自らが欲するものをはっきりと理解している。従って、必然的に東アジアで警戒信号がともる結果となっている」。

台湾の民進党は本来、台湾の独立を主張してきた政党である。蔡氏は、あえてこの問題には封印し「中台現状論」を選挙中訴えてきた。だが、中国からすれば国民党と違い「油断ならぬ相手」と映っている。だからこそ、中国は独立論が出たらすぐに対応すると威嚇しているのだ。中国にとって厄介なのは、台湾の国民が「台湾人」意識を強めていることである。台湾へ不条理な圧力を加えれば、総スカンを食うことは明らかである。

②「もちろん米国でも今年、大統領選が実施される。共和党指名候補者の大半は、本来あるべき米中政策の欠如を補う決意だ。南シナ海や東シナ海で急速に高まる中国の政治的・軍事的攻撃姿勢に対抗するという一段と広範な構想とともに、これには『一つの中国』という不明瞭な主張を修正したり、あるいは、取り除くことも含まれる可能性がある。米政府の消極的な姿勢に加え、周辺諸国の無力に繰り返し直面して、中国政府は南シナ海の大半の領有権を主張することになり、『既成事実』をつくるに止まらず、地面そのものまでも作り上げている。つまり、人工島を建設し、航空・海軍基地を建設しているのだ」。

米国が、過去8年間にわたるオバマ政権下で、アジアはすっかり中国の意のままにされている。米国は中国とことを構えたくないという原則に立って、中国の動きを見て見ぬ振りをして穏便に治めてきた。これが、中国を増長させた大きな理由である。次期米大統領は、共和党であろうと民主党であろうと、米国の毅然とした姿を見せなければ、同盟国の信頼はもちろん、周辺国の軍事的な不安を取り除けないのだ。

③「歴史的にみても、国内問題を抱える独裁政権は敵対国に対する国家主義的支持を結集することで、国民の気をそらそうと努めてきた。中国の経済恐慌の責任を転嫁するのに、米国や厄介な台湾以上に格好の対象はいない。蔡氏が習主席の挑発にどう反応するかはまだ不透明だ。中国は、台湾をめぐる敵対行為に発展することなく、台湾が経済インフラや生産性を維持したまま、熟した果実のように転がり込んでくることを当然ながら期待しているだろう。しかし今後、中国政府は以前ほど言いなりにならない台湾政府だけでなく、米国の次期大統領についても考慮する必要がある」。

中国が経済危機に陥っていることは、もはや議論するまでもない。この経済危機を逸らすために、専制主義国家がとる常套手段はナショナリズムを扇ぎ立てることである。今や、中国では、それを実行する最適な時期を迎えている。台湾と米国、さらに日本を非難攻撃して叩く上で絶好の機会が訪れた。台湾の蔡政権の出現は、何なりと「難癖」をつけるにはもってこいの相手であろう。米国が台湾を唆(そそのか)した。日本は右翼の安倍政権が気脈を通じている、と。中国にとって、理屈はいくらでもつけられるのだ。

④「弱々しく焦点の定まらないオバマ大統領の任期が1年しか残っていないことは中国政府も重々承知だ。アジアの海域での中国の挑発的態度に対し、現在、米政権は断固たる姿勢を取るのに消極的だ。そのため、2017年の米次期大統領就任式までに、特に今年5月の台湾の蔡総統就任前に、中国が行動を起こすことを促す結果になっている。米次期大統領の就任式までは、アジアの状況が絶望的にならないことを祈りつつ、台湾だけでなく、南シナ海や東シナ海を含め、アジアの地政学的地域を見守ることしか出来ない」。

中国がナショナリズムに訴えて行動起こすとすれば、今年の5月の蔡総統就任前が一つのチャンスになりうる。オバマ大統領は「争い事」が嫌いだから、これを利用するには前記の時期が最適と見ているのだ。ただ、オバマ氏は先の「一般教書」で、いつにない高揚した演説をしている。「米国は同盟国を必ず防衛する」と言い切った。オバマ氏自身が、中国から軽く扱われているという自覚があるのだろう。残る任期は、「強い大統領」として振る舞って貰わなければ同盟国も周辺国も安心できない。

米は「台湾カード」切る
⑤「米次期大統領が断固たる措置を取る意志があれば、東アジアでの覇権に向けた中国の一見止められない動きを阻止し、そして反転させる機会は存在する。ニクソン政権では当時、『中国という切り札』を使うことには意味があった。現時点での別の選択肢は、中国に対し『台湾という切り札』を使用することだろう。南シナ海での拠点の放棄や、人工島の建設で生じる環境破壊を取り除くことを含め、領有権問題での貪欲さを慎むよう米国は中国に要求すべきだ。中国が外交的なやり方で領有権の主張を繰り返すことは自由だが、領有権問題が近隣諸国と平和的解決をみるまでは、近隣諸国と米国はそうした中国の主張を完全に無視することも自由だ」。

今年半ばには、フィリピンが中国を相手に常設仲裁裁判所へ提訴した、南シナ海の領有権に関わる裁定が下される。中国の反対にも関わらず、仲裁の審理が始まったことから、「中国不利」という予想が一般化している。そうした内容の裁定が出ると、中国は極めて不利な状況に追い込まれる。ASEAN(東南アジア諸国連合)全体を「敵」に回しかねないのだ。米国は、中国に対して南シナ海の人工島からの撤退を要求する。それを実効あらしめるには「台湾カード」があると指摘している。

こういう環境下で、米国は「台湾という切り札」を切るというのだ。別段、航空母艦や戦闘機を派遣しないでも、実益を挙げられる外交手段があると指摘している。それは、次のパラグラフで指摘しているように、米国が台湾と外交関係を復活させることである。このカードを切りながら、中国に対して南シナ海からの撤退を要求する。なにやら、戦前の日本が、旧満州からの撤兵を求められ、外交的に孤立した姿と二重写しになるのだ。

⑥「中国が引き下がる意向がなければ、米国には、外交的に段階を追って無理やりにでも中国の注意を引く手段がある。米新政権は台湾の外交官を正式に国務省に招くことから始め、台湾の米代表部の地位を民間の『機関』から正式な外交使節に引き上げ、台湾総統を国賓として米国に招くことができる。さらに、米高官を台湾に派遣して公用を行い、最終的には完全な外交的承認を与えることも可能だ」。

米国が、台湾と外交関係を復活させれば、米中復交(1979年)条件であった「一つの中国」という約束事が破棄される。これは、大変な事件になる。世界各国が、「一つの中国」を承認して、中国か台湾のいずれかと外交関係を結び、両方との外交は不可能になった。「一つの中国」取り消しは、中国にとってはとうてい耐えられない屈辱である。それでも、南シナ海の人工島に止まって軍事基地を死守する積もりなのか。戦前の日本が、国際連盟から満州撤兵要求を突きつけられた事件に匹敵する歴史的な事件になろう。

⑦「中国政府首脳陣は、こうしたやり方に愕然(がくぜん)とするだろう。米国が中国の領有権主張の強引さにあっけに取られているのと同じように。中国側は、いわゆる領有権リスクを生むことで、いわゆる中国のもう一つの領域、台湾のコントロールを恐らく永遠に失うことになると理解する必要がある。もちろん、中国が近隣海域でもっと責任を持った行動に出るにしても、台湾の運命は引き続き台湾の人々が決めるべきものだ」。

中国が、戦前の日本の歩んだ国際的孤立の道を選ぶとは思えない。中国経済はさらに混乱するからだ。中国の経済問題は、後で取り上げる。常設仲裁裁判所において、「中国領有却下」という結論が出れば、米国は極めてやりやすくなる。戦前の日本が、国際連盟の決定に従わなかったゆえに、米国を中心にして経済封鎖(ABCDライン)に直面した。ABCDラインとは、A=米国、B=英国、C=中国、D=オランダである。くず鉄と石油の禁輸措置が取られて、日本経済は主要資源の輸入が止められたのだ。

中国経済は、緊急事態を迎えている。「人民元安」相場観が定着しており、米国の利上げ措置とも絡んで、中国から米ドルの流出が顕著になっている。IMF(国際通貨基金)では、中国の最低ラインの外貨準備高は1兆5000億ドルとしている。1月18日のブログでも詳細に論じたように、中国の対外債務は、昨年9月時点で1兆5300億ドル。そのうち3分の2は、1年以内に償還期限を迎える。つまり、1兆ドルは年内返済である。この確定債務のほかに、「ホットマネー」(投機資金)が流出する。

昨年12月末時点の外貨準備高は3兆3300億ドルであった。今年の年末には2兆ドルを大幅に下回って、デッドラインの1兆5000億ドルへ接近するに違いない。中国にとっては、まさに経済危機である。これを回避するには、完全な変動相場制へ移行するしかない。そうなると、人民元相場は中国政府のコントロールを離れて、自由に形成される。大幅な人民元安は不可避である。1米ドルが8元という世界になろう。

中国経済は、満身創痍になっている。ここで、米国から外交問題で攻め立てられると、中国が極めて厳しい局面に立たされるのは必至だ。「年貢の納め時」であろう。

(2016年1月28日)

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