★2004年(独・墺・伊)公開
★キャスト
ブルーノ・ガンツ - アドルフ・ヒトラー
アレクサンドラ・マリア - トラウドゥル・ユンゲ
ユリアーネ・ケーラー - エヴァ・ブラウン
★スタッフ
監督 オリバー・ヒルシュビーゲル
脚本 ベルント・アイヒンガー
撮影 ライナー・クラウスマン
製作 ベルント・アイヒンガー
★あらすじ
アドルフ・ヒトラーの女性秘書を3年間務めたトラウドゥル・ユンゲの証言と映画と同名の研究書を下敷きに、1945年4月のベルリン陥落直前の総統官邸の人々の人間臭さを、総統地下壕を舞台に生々しく表現したドキュメンタリータッチの作品である。
★寸評
問題作のようである。
トラドゥル・ユンゲは彼女へのインタビュー映画『Im toten Winkel - Hitlers Sekretärin』が初公開された翌日に、公開を見届けたかのように天寿を全うしている。
実話が下敷きになっている作品だけに、問題になるのは当然である。
日本でも太平洋戦争に関しては論議が多い。
が、本作を見る限りでは、非常にリアルであり美化も少なく、ヒトラー本人と見紛うばかりである。
中心になってくる部分は総統の官邸で、終戦直前の司令部の混乱ぶりや狂気などはドキュメンタリーで再現するのは難しい。
個々の人物の描き方に関しては歴史的な考証が必要だとは思う。
美化された人物もいるようである。
が、これは歴史自身の視点だろう。
つまり、勝利者には敗者をボロクソに言う権利が許されている事実が、第二次大戦に関してはある。
日本もそうで、敗戦した国であるがゆえに、当時の日本人は殆どが狂人であるかのように描かれていた。
(硫黄島からの手紙は例外中の例外である。「シン・レッド・ライン」「パール・ハーバー」は最悪の例である。クソ映画。)
この作品には他国の人間は殆ど出てこない。
勿論、日本人は全く出てこないし、口にすら登らない。
だから描き方で問題になるのは、ドイツ人自身の歴史の認識だろう。
私が観た限りでは、一番問題になるであろう、ヒトラーやナチスの美化は行われていない。
むしろ、リアル過ぎて不気味にすら感じる。
これも描き方なんだろうが、あまりにも狂気の描き方がリアル過ぎる上に、劇的な描写も少ない。
これが問題作になってしまったのは、ヒトラーという「悪」の偶像が人間になってしまったからだろう。
語られることのなかったパーキンソン病の症状までが描かれている。
ヒトラーが人間になってしまうと、イスラエル含めてアメリカ社会には問題だからだろう。
従って政治的なレベルで論議が行われるまでにこの作品のヒトラーがリアルである、と捉えることが可能である。
これが呼び水となり商業的に成功するという皮肉が起こるわけだが、そこまで見越していたとしたら感心しないが、そんなことはないだろう。
我々日本人にとっては遠い話ではあるが、ディープで興味深い内容である。
★キャスト
ブルーノ・ガンツ - アドルフ・ヒトラー
アレクサンドラ・マリア - トラウドゥル・ユンゲ
ユリアーネ・ケーラー - エヴァ・ブラウン
★スタッフ
監督 オリバー・ヒルシュビーゲル
脚本 ベルント・アイヒンガー
撮影 ライナー・クラウスマン
製作 ベルント・アイヒンガー
★あらすじ
アドルフ・ヒトラーの女性秘書を3年間務めたトラウドゥル・ユンゲの証言と映画と同名の研究書を下敷きに、1945年4月のベルリン陥落直前の総統官邸の人々の人間臭さを、総統地下壕を舞台に生々しく表現したドキュメンタリータッチの作品である。
★寸評
問題作のようである。
トラドゥル・ユンゲは彼女へのインタビュー映画『Im toten Winkel - Hitlers Sekretärin』が初公開された翌日に、公開を見届けたかのように天寿を全うしている。
実話が下敷きになっている作品だけに、問題になるのは当然である。
日本でも太平洋戦争に関しては論議が多い。
が、本作を見る限りでは、非常にリアルであり美化も少なく、ヒトラー本人と見紛うばかりである。
中心になってくる部分は総統の官邸で、終戦直前の司令部の混乱ぶりや狂気などはドキュメンタリーで再現するのは難しい。
個々の人物の描き方に関しては歴史的な考証が必要だとは思う。
美化された人物もいるようである。
が、これは歴史自身の視点だろう。
つまり、勝利者には敗者をボロクソに言う権利が許されている事実が、第二次大戦に関してはある。
日本もそうで、敗戦した国であるがゆえに、当時の日本人は殆どが狂人であるかのように描かれていた。
(硫黄島からの手紙は例外中の例外である。「シン・レッド・ライン」「パール・ハーバー」は最悪の例である。クソ映画。)
この作品には他国の人間は殆ど出てこない。
勿論、日本人は全く出てこないし、口にすら登らない。
だから描き方で問題になるのは、ドイツ人自身の歴史の認識だろう。
私が観た限りでは、一番問題になるであろう、ヒトラーやナチスの美化は行われていない。
むしろ、リアル過ぎて不気味にすら感じる。
これも描き方なんだろうが、あまりにも狂気の描き方がリアル過ぎる上に、劇的な描写も少ない。
これが問題作になってしまったのは、ヒトラーという「悪」の偶像が人間になってしまったからだろう。
語られることのなかったパーキンソン病の症状までが描かれている。
ヒトラーが人間になってしまうと、イスラエル含めてアメリカ社会には問題だからだろう。
従って政治的なレベルで論議が行われるまでにこの作品のヒトラーがリアルである、と捉えることが可能である。
これが呼び水となり商業的に成功するという皮肉が起こるわけだが、そこまで見越していたとしたら感心しないが、そんなことはないだろう。
我々日本人にとっては遠い話ではあるが、ディープで興味深い内容である。