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映画批評etc

映画の感想ではなく批評
その他諸々

ニライカナイからの手紙

2009年04月13日 | 映画(ナ行)
監督
熊澤尚人

キャスト
蒼井優
平良進
南果歩
金井勇太
前田吟
斉藤歩

あらすじ
竹富島で、父の死後、郵便局長であるオジイと2人で暮らしていた風希。毎年誕生日に、東京で暮らす母から届く手紙は、風希を励まし、勇気づけ、彼女にとって何よりの宝物であった。いつしか亡き父のカメラを手に写真の練習を始める風希。14歳の誕生日に20歳になったら全てを話すという内容の手紙が届き、その約束を信じる風希は高校を卒業して上京する。そして20歳の誕生日がやって来る。

寸評
まず、竹富島の映像が美しい。
蒼井優がその映像に美しく映える。

設定はどうってことない。
一人の健気な少女の静謐な物語である。
田舎の郵便局に勤める祖父と倹しく暮らす少女。
その少女を支えながら秘かに思いを寄せる少年。
東京に出て写真を撮りながらもまだ見ぬ母を探す。
吉祥寺の町。

蒼井優の独壇場である。
蒼井優の、繊細で丁寧な演技は光っている。
この女優の存在なくしては成立し得ない映画であろう。

他の出演者は殆どが素人だ。
そしてオジイはちゅらさんのオバァ役で有名な平良とみの夫だ。

ところで。
これ、学生時代に見るべき映画なのではないだろうか。
大人が見て、どうこう考える映画ではない。
青春の甘酸っぱい要素が多く詰まっている。
すなわち、青春時代特有の不安感、将来への漠然とした希望。
母親に対する複雑な感情。

他には親の立場で、この健気な少女を見ると、別の味わいというのもある。


大人のおっさんの視点で見ると、矛盾なり突っ込みどころは出てくる。
が、これはこの映画本来の意図しているところではない。
一番おっさんが気になるのは、風希が母と別れて20才になるまでの13年間、母親の消息がわからない、という設定だろうな。

電話は?
番号知らないのね?
母親の葬式って島でやんなかったの?
だから島の人は誰も知らなかったのね?
いや、知ってるみたいだな、じゃ誰も伝えなかったんだな。
よく隠し通せたもんだ、13年も。



などと、考えてる時点で野暮だ。
製作者の意図を素直に汲み取れないのがおっさんだ。


やたらと出てくる「郵政」の画が「?」となってしまうが、これはなんだろう。
公開時期と郵政民営化法案と重複するが関係あるんだろうか。



総評、良作である。
蒼井優の芝居だけでも観る価値はある。
加えて、竹富の夕暮れや二人の住む家、全体を覆う淡い色彩、どれもが甘酸っぱい。
爽やかな清涼飲料水を飲む感触である。

ノーカントリー

2008年12月11日 | 映画(ナ行)
監督 ジョエル・コーエン イーサン・コーエン

キャスト
トミー・リー・ジョーンズ
ハビエル・バルデム
ジョシュ・ブローリン
ウディ・ハレルソン
ケリー・マクドナルド
スティーヴン・ルート
原作 コーマック・マッカーシー 「血と暴力の国」(扶桑社)




【寸評】
BGM一切無し。
CGなど派手な映像も無し。
テクノロジー全盛の時代に逆にクールなスタイルである。
実に淡々とした絶妙のリズムで本作は作られている。
意味深なテーマと冷酷な殺人鬼シガーのキャラクターが話題には挙げやすいが、本作で一番難しいのはラストだろう。
スッキリしないにも程がある。
スッキリすりゃいいもんではないが、本作は際立っている。
そこまでは分かりやすくスリリングに作られているだけに余計唐突に感じられてしまう。

大半をサスペンスで通してきたのだから、サスペンスとしてのゴールは当然であろう。
バランスよく構成を組み上げていないから、ラストのちぐはぐ感が拭い切れなくなる。
さまざまな面で突出しているにも関わらず匙加減を間違え、非常にもったいない。

所謂いい映画とは簡単に言い難い作品である。
決してつまらないとも言い難く、見終わってから暫く経った今も、未だに捉えきれずにいる。

ナイト・ミュージアム

2008年12月11日 | 映画(ナ行)
★2007年公開

★キャスト
ベン・スティラー

★スタッフ
監督 ショーン・レヴィ
製作 ショーン・レヴィ
   クリス・コロンバス

★あらすじ
ラリーは元気で明るい性格ではあるが、定職に就けずに離婚。そのため、大切な一人息子のニックと共に暮らせない。職探しに奔走する彼は、ようやく自然史博物館の警備員として働くことになった。しかし、その博物館には、夜になると、展示物が魔法の宝物の力で動き出すという秘密があった。また、この博物館の元から居た警備員達が怪しい計画を密かに進めていた。果たして、ラリーは博物館を守ることができるのか。 そして、またニックと共に暮らせるのか。

★寸評
癒し系の映画と言える。
ストーリーも何もあったモンではなく、楽しいハッピーな映画である。
その意味でこの映画は素晴らしい。

批判するのは簡単である。
曰く、「深みに欠ける」とか「薄味」とか。

この手の馬鹿馬鹿しい批判を喝破する。

ならば、例えばコーラや炭酸飲料に「深み」や「渋み」を求めるんだろうか。
予告なりを見れば、これは「コーラ」の類の映画というのは判るはず。
それに「深み」を求めるのは酷であり、ひたすらスカッとするものを求めるのが本来の正しい姿勢だと思う。
矛盾なり無理が判っても目を瞑るべきですらある。
目的のズレを理解する程度の知恵は持って欲しいと思う。

あと、事前の勉強が必要、という批判もある。

正直いって、無い。
この程度のストーリーに事前準備など要らない。
これもまた、この映画の本質を見失っているとしか言えない。
何故、博物館の展示物が動くのを楽しむ、というだけの映画に事前準備が必要なのか。

実に爽快に楽しめる映画である。
絵本として取っておきたい作品である。