監督 アンドリュー・スタントン
製作総指揮 ジョン・ラセター他
脚本 アンドリュー・スタントン
あらすじ
舞台は29世紀。人間は、汚染され尽くした地球を捨て、宇宙船で生活している。
量産型のゴミ処理ロボットであるウォーリーは、人類が地球を去ってから700年間、何があっても、仲間たちが壊れて動かなくなっても、ただ黙々とゴミを圧縮し、積み上げ、塔を建て続けてきた。
ある日、上空から巨大な宇宙船が着陸し、中から白く輝くロボットEVE(イヴ)が現れ、周囲を探査し始める。いくつかの誤解や軋轢の後、やがて二人は仲良くなるが、ある時、WALL・Eの宝物の一つを見たEVEは、突然驚いたようにそれを収容すると、そのまま動かなくなってしまう。数日後、あの宇宙船が戻って来て、EVEを回収してしまう。WALL・EはEVEを追いかけ、宇宙船にしがみつき、宇宙へと飛び出す。
寸評
作品の至る所に、PIXERブランドの印は押されている。
実に「らしい」場面は各所に散りばめてある。
舞台は超未来。
地球はゴミだらけで、廃墟と化している。
既に人は住めず、ロボットもウォーリーしか住んでいない。
人間は肥え太り身動きすらままならない。
絶望的な世界観である。
にも拘らず、ウォーリーは実にテキパキと、時に好奇心旺盛に働いている。
台詞は殆ど無い。
生き生きとした健気なウォーリーはPIXERならではのキャラクターである。
自分の仕事中に見つけたガラクタコレクションをイヴに見せてあげる。
機能停止しちゃったイヴの面倒を必死で見てあげる。
回収されるイヴを宇宙まで追っかけていっちゃう。
どうにも駄目な奴だが、人間は根源的に駄目な奴の味方である。
しかし。
宇宙に行くと世界が変わってしまう。
退化した人間の姿は実に醜い。
全員がブクブクブヨブヨのデブで、満足に自分のことが自分で出来ない。
オートメーション化された環境で生きるブクブクに太った人間は、大量消費と使い捨てが好きで「もったいない」の概念を最近知った現代のアメリカのカリカチュアライズした姿である。
そんな風になっちゃいますよ、とでも言いたげである。
テーマは複雑になる。
スケールは格段に上がっている。
荒廃した地球と完全にオートメーション化した宇宙船との対比は凄まじい。
要はここで子供向けではなくなっているだろう。
色合いはアメリカ的に明るいが、暗い未来の展望が示される。
以上のように本作は、単純な作品ではない。
分かり易い部分は分かり易いが、エンターテインメント作品ではあるが、テーマは深く且つ重い。
すなわち、エンタメ要素がやや抑え目である。
従って、子供向けではないとも思う。
蛇足だが、キューブリックの「2001年宇宙の旅」のオマージュがされている。
子供が知ってるわけない。