映画批評etc

映画の感想ではなく批評
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M-1グランプリの結果

2009年12月22日 | Weblog
優勝のパンクブーブーだが、まったくノーマークだった。
youtubeでコントを見てはいたが、漫才は初めて見た。

正直、満票を得るほどとは思えず、自分のお笑いに対する目が衰えたことを感じた。

よく、吉本の政治等が取り沙汰されるが、今回に関しては、最終決選で満票という結果なので、相当の出来でなくては難しいだろう。

ノンスタイルと笑い飯に関しても、それほど面白いとは思わなかったが、決勝で敗退した、南海キャンディーズとモンスターエンジンに関しては、面白いと思った。
特に山里の独特のボキャブラリーによるツッコミと、モンスターエンジンのガラの悪いボケは、好いな~と思って見ていた。
しかし、彼らはむしろ低評価の部類。


しかし、審査員の中では中田カウスの点が高すぎ。
東国原は芸人のプロとしての立場ならそのまんま東の名前で出るべき。
それに、もうお笑いやってないじゃん。

とは言っても、笑いに対する目は年々曇ってきているのは間違いないだろう。
おっさんになってきてるんだから仕方ないが、一抹の寂しさは感じる。

カールじいさんの空飛ぶ家

2009年12月22日 | 映画(カ行)
★2009年 アメリカ

★スタッフ
監督
ピート・ドクター
ボブ・ピーターソン
製作総指揮
アンドリュー・スタントン
ジョン・ラセター

★あらすじ
ピクサーによる記念すべき第10作目。老人が抱き続けてきた夢をかなえるため、驚くべき方法で冒険の旅に出る。ファンタスティック・アドベンチャー。ピクサー初のディズニーデジタル3-D(TM)版も公開。

★寸評
PIXAR作品のブランドイメージは大人から子供まで楽しめる娯楽作品である。
今回は主人公を老人にし、共感を得られにくいかと危惧していたが、さすがPIXARだ。
テーマは普遍的で、子供・夢・冒険ファンタジー・心の通い合いなどを随所に散りばめた作品になっている。
しかし、この邦題、いかがなものだろう。
原題は非常にシンプルに「UP」だ。
これに比して邦題はジブリそのものである。
その方が売れる作品になるという日本側の判断だろう。
この邦題だと、作品自体を小さな枠に縛ってしまわないだろうか。
原題の非常にシンプルでポジティヴなイメージからは程遠いタイトルだ。
ジブリ作品に対するリスペクトと捉えるべきだろうか。
販促のためとはいえ、あまり賛同できない。

本作では、家が空を飛ぶのは重要な設定だが、この作品はファンタジー色が薄いし、魔法も怪獣も出てこない。
社会的弱者の老人とアジア系の肥満児が主人公だし、美少女もイケメンも出てこない。
描きたかったのは日常的行動からの大きな飛躍だろう。
主人公周辺のキャラクター群は犬も鳥も少年も皆、自分の能力以上に、良心に従った飛躍的行動をする。

これが爽快感を生み、物語に躍動感を与えている。

ところで、宮崎駿が本作を見て、
「実は僕、『追憶のシ-ン』だけで満足してしまいました」
というコメントを出している。
この言葉尻を捉え、最初10分だけで本作の良いところは終わり、という口コミも見られる。

一理あるのかもしれない。
子供が見ることを前提に加えると、あまりにも感傷的過ぎるし、これだけでは満足してもらえない。
そこに、やや設定上無理をしてでも痛快さや高揚感を入れなくてはいけない。
そこには成功しているのではないだろうか。
そもそも冒頭の追憶シーンは設定の説明のシーンなのだ。
にも関わらず、説明的と感じる部分はなく、それどころか出来が良すぎて本編の中に食い込みすぎたのだろう。


ところで、設定上の無理は気にするとキリがない。

・あの冒険家は何歳だ?
・カールじいさんの体力が異常に回復
・そもそもカールじいさんとはあまり呼ばれない
・冒険家の扱いがぞんざい

といったところは気になった。
が、これらを以て本作の価値を貶めるのは少し勿体無い気がする。
これは、原題の「UP」という響きがそれらを解決してくれるような気がする。


イングロリアス・バスターズ

2009年12月10日 | 映画(ア行)
監督 クエンティン・タランティーノ
出演 ブラッド・ピット
ダイアン・クルーガー
ティル・シュヴァイガー
ダニエル・ブリュール
クリストフ・ヴァルツ
メラニー・ロラン

あらすじ
家族をナチスに惨殺された少女の復讐劇を軸に、ヒトラー暗殺計画に挑むゲリラ部隊の活躍を描く。

寸評
タランティーノ監督の独特の会話劇が好きかどうか、に尽きる。
独自のスタイルを既に築いてしまっている彼の作品だから、どうしても好き嫌いはあるものだ。

今回もとにかく会話で押しまくる。
ブラッドピットはドスの利いた声で終始渋い顔をしている。
相変わらずこの男、正統派二枚目役をやらない。
今回の役はナチと対決する役だが、異常に残虐だ。
が、またこの男がやると暗くならず、妙にノー天気にさせてしまうのだ。
このへんが、彼の好みなのだろう。

この作品でのサプライズはクリストフヴァルツという役者。
過剰な演技だが、タランティーノの世界にはハマっている。
いちいち演技にクセ者感が漂うのだ。
この演技のアプローチは古畑を演じるときの田村正和のようだ。
本当にやり過ぎ。
だが、多数の言語を自在に喋るとは・・・スゲー。


しかし、残虐なシーンがそこかしこに描かれるタランティーノ映画。
本作での暴力描写は、素晴らしいと思った。
特に、映画館のバルコニーからマシンガンのシーンは素晴らしく美しさすら感じた。
残虐なシーンが苦手な人は多いだろうが、タランティーノは見る、という方は多い。
今回の作品もとても正視に堪えない程のレベルではない。
むしろそれ以外に緊張感を煽るシーンは多い。

なかなかの作品である。

M-1グランプリ2009 決勝進出者発表

2009年12月08日 | Weblog
以下に決定した模様。

ナイツ(マセキ芸能社)
南海キャンディーズ(よしもとクリエイティブ・エージェンシー)
東京ダイナマイト(よしもとクリエイティブ・エージェンシー)
ハリセンボン(よしもとクリエイティブ・エージェンシー)
笑い飯(よしもとクリエイティブ・エージェンシー)
ハライチ(ワタナベエンターテインメント)
モンスターエンジン(よしもとクリエイティブ・エージェンシー)
パンクブーブー(よしもとクリエイティブ・エージェンシー)


優勝候補と言われるコンビがそのまま優勝することがないのがM-1だが、本命はナイツと南海キャンディーズだろう。

しかしながら、ナイツは手法が既にバレている。
これを審査員が高評価するのは、イマイチ想像しにくい。
従って方向転換か、出来がいいか、でなくては厳しいと思う。
南海も同様。
しかし、彼らの潜在能力は高く、爆発もあり得る。
要は山里の出来次第だ。

ハリセンボンはどうだろう。
予選突破出来たのが既にピークだろう。
これ以上の上積みは難しい。
最近のネタは知らないが、これまで女性のコンビが優勝したことは無いので、出来たら本当に凄いと思うがそれは無い。

笑い飯は今回で何回目だ?
最早負けの美学となっているが、審査員側の見る目の厳しさもあるか。
勝ち時を逃してしまった感がある。

ハライチ、パンクブーブー、モンスターエンジンには強烈な「何か」が無い。
優勝するコンビには必ずあるキャラクターなり実力なり、強烈な「何か」。
これら3組には今のところそれが無いか。

ここで東京ダイナマイトである。
もう何年も追い続けているコンビである。
しかし、既に世の中からは忘れられかけている。
事務所の移籍、不遇の時代を経て、よしもとに今年になって拾われ、いきなりの決勝進出だ。
既に優勝後のストーリーも出来上がっていると言える。
実力は折り紙つきだ。
是非ともこのコンビに優勝してもらいたい。