ほしちゃんの「続・なるようにしか、ならん」。

安くてウマいもんと料理と旅行と音楽と競馬が好きなサラリーマンの暮らしを、ありのままに綴ります。

多様性と不寛容の狭間で生贄になった、張本勲。

2021-11-29 19:59:27 | エンタメ

何かと物議を醸しつつも私は毎週観ているTBS系「サンデーモーニング」で、人気のスポーツコーナーからご意見番こと張本勲氏の年内での番組卒業が昨日発表され、世間が騒いでいる。
張本氏と言えば何かにつけ時代錯誤な昭和の根性論や持論の押し付け、さらにカズこと三浦良知には
「もう、おやめなさい」
と引退を勧告するくせに中日・山本昌には
「いくつになっても、頑張ってほしいねぇ」
と励ますダブルスタンダード。
ダブスタと言えば、メジャーリーグには
「海の向こうのスポーツには興味ない。日本人選手はみんな、日本でプレーしてほしい」
とコキおろしながらも、大谷翔平の活躍にはアツすぎる視線を注ぐ。

危険を伴うアクロバティックなスポーツには
「あぶないよ〜」
「やめてもらいたいねぇ」
「何が面白いのかねぇ」
とまるで興味を示さないのに、そのスポーツが五輪競技になると
「頑張ってもらいたいわねぇ」
と手のひらを返した事もある。

しかし、何かと物議を醸しつつも降板騒ぎまでには至らなかった。
今回、直接的降板要因となったのは東京五輪・女子ボクシング選手への発言が女性蔑視と受け取られた件で張本本人や局に抗議が殺到、番組スポンサーが提供終了を示唆したため張本氏の降板をもってみそぎとした、と報じられている。

張本勲という人はまさにシニア世代の代弁者、補足すればシニア世代の凝り固まった価値観の代弁者だった。
若者は、もう悲しいくらいTVを観ていないのでハナから感心はないだろうが、シニアは「水戸黄門」が大好きだ。
水戸黄門は、開始45分で印籠を出してどんな悪党もひれ伏すというカタルシスがお約束であり、要するにシニアはお約束が好きなのだ。
張本氏も上記のような発言をシニア代表として繰り返し、そのワンパターンな発言に主な視聴者であるシニアはカタルシスを覚え、今日まで放送を続ける長寿番組となった。

張本という人は、さしずめ多様性と不寛容の狭間で民間放送の宿命に沈められた生贄であろう。
一連のワンパターンな発言は、シニアにしてみれば当たり前の価値観であり、何がおかしいのだと言われるだろう。
しかし、いくら多様性社会だ、シニアなら誰でもそうだからと言って女性蔑視発言はこのご時世、許されるものではない。
何度か書いた事があるが、時代は明らかに不寛容に流れているのだ。

ではその多様性か?不寛容か?の境目は、残念ながらその収入の大半をスポンサーからのそれで占める民間放送においては、スポンサーが付くかどうかでしかない。
張本氏がいなくなって寂しい、という意見も多々聞かれるが、こと不寛容な時代においてはお引き取り願わなければならなかったキャラクターだった、というのが結論ではなかろうか…