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Sweet*Studio

あなたと過ごす、この瞬間は忘れない。

眠りたいおばけ

2006-02-25 | フィクション

ねむりたーい。ねむりたーい。

いつも、どこからかその声がきこえてくる。



ちょっと前、わたしは眠りたいおばけに取り憑かれてしまった。
春のせいだろうか。
とにかく、いつもやたらとねむたい。



ねむりたーい。ねむりたーい。



その声に負けて、横になる。
なかば眠ったつもりなのに、その声は響き続ける。



ねむりたーい。ねむりたーい。



浅い眠りの中で、まだ眠りを求め続けている。
深い眠り。目覚めたときの充実感。
それはどこに行ってしまったのだろう?



ねむりたーい。ねむりたーい。



今日も、眠りたいおばけは、ささやき続けているのです。

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わたしは木

2005-11-24 | フィクション
深い森の奥に、深い、とても澄んだ湖がある。
そのほとりに、わたしは立っている。
もう、ずっとここに。
そして、これからも一生ここに。



子どもの頃は、空を飛びたかった。
わたしの枝を訪ねる小鳥たちのように、わたしもどこか知らないところへ行ってみたかったし、この森を、遠くから、上から眺めてみたかった。
一度でもいいから。


叶わぬ夢。
そう、木に生まれたわたしには、どんなに頑張っても、叶わぬ夢だとわかっていたくせに、それでもどこかに魔法の呪文があると信じていた子どもの頃。
心の声で小鳥に話しかけてみる。
「ねぇねぇ。小鳥さん。どうやって飛んでいるの?」
小鳥は美しい声を出して答えてくれる。
「ち、ち、ち。そうだなぁ。考えたことはないけれども。
次に行きたい枝をじっと見るのだよ。
それで、えいやって身体を持ち上げてみれば、その枝に着いてるんだ。」



すれ違う鳥に、いつも尋ねてみたけれど、返事はいつも似たり寄ったりで、やっぱり自分にはできないとあきらめるようになった。
夢をあきらめることは辛かったけれど、いつまでもうちひしがれているより、上を向いて伸びていかなくてはならない、と身体の芯のほうから逆らえない指令のようなものがあった。



太陽の恵みを、身体中の枝と葉を伸ばして受け止める。
熱と光が全身を包む。それは気持ちの良い時間。
時には、鳥や虫たちがわたしの身体に巣を作る。
そうしてしばらく、わたしのそばにいてくれる。
それは心が躍る楽しい時間。
つらいのは、強い雨。あんまり激しく打ちつけられると、わたしの枝は折れてしまう。
そして、どんなに根で押さえようとしても、土が流され、根が地上に露出してしまう。
それでも、それを乗り越え、傷をふさいで、新しい枝を伸ばしてきた。
また太陽は登り、わたしは全身の葉を輝かせる。



わたしのいる場所は、きりたった崖の際。
だから、ここに来てくれるのは空から来る鳥のほかは、細い枝つたいの小さなリスくらい。
見たことのある一番大きな生き物は、人間というもの。
湖の向こうには、小さな村がある。
そこに住む人間たちが、ときどきボートを浮かべにやってくる。
とはいえ、ここまではまだ遠く、わたしは声すら聞いたことがない。
あれはいったい、どうやって生きている生き物なのだろうか。

わたしたち、木の仲間たちは、声というものを持たない。
そのかわりに、心の中で思ったことを、そのまま「想い」という形で伝えあっている。
あの人間というものも、鳥のように、さえずることで想いを伝えるのだろうか。
どんな声をもつのだろうか。


いつかわたしにも寿命というものが来て、生まれ変わることができるものならば、湖の上をあのように美しく軽やかに行ってみたい。
小鳥たちのように、声というもので想いを伝えあってみたい。



  おしまい


イラスト by はんたろう

TB
うまれかわり うさとmother-pearl





あとがき

うさとさんの「うまれかわり」のものがたりにコメントをしたらお返事いただきましたよ。

>お花とか、草とか、が前世なんですね。
>なんて素敵でしょう。

せっかく素敵って言ってもらったのに。わたしの場合の「植物」って、樹木でした。
植物なら、なんでも良い気もするんですけど、せっかくなら、少し背が高くて風景が見渡せて、草花よりは長生きできる樹木。色気よりも・・・みたいかな(笑)。
「うまれかわり」を読んでですね、わたしの前世、なんだろって考えてみました。
今まで、このブログで何度となく植物(この場合はお花もあり)になってきたな...と、植物願望に気付きました。
そう言えば、小さい頃、言葉が出てくるのが遅くて、母に心配されたっけ。
いまだに、うまく言葉なんて出てこなくて、感覚的に生きてるなぁ。
運動は苦手だし、毎日座ってばかりでもあまり苦にならないなぁ。
人の気持ちより、花の気持ちのほうがわかるかもしれない。
人間として、歴史が浅いんだな、きっと。
うん、やっぱりわたしは植物だったのだな。

ということで、前世の木になってみました。

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夢でみた物語

2005-10-13 | フィクション
わたしは今、渋谷にいる。
何故かはわからないけれど、うちから自転車に乗ってきてしまった。
私鉄T線10分、そこから更に乗り換えて10分、そんなにかかるうちから、わたしはどうやってここまで来てしまったのだろう。
帰り道だって、わからない。

でも、わたしの大事な自転車を置いていくわけにはいかないし、これに乗って帰らなくちゃいけないんだよなあ。
困った、困った。

しばらく頭を抱えていたけれど、そうしていても埒はあかないし、結局は自転車に乗ってうちに帰るしかないわけだ。
そう腹をくくって、T線の線路に沿って自転車をこぎ出す。
歩いたこともない、いつも車窓から流れていただけのその風景は、いざ自分が入ってみると、全く平らではなかった。
「自転車に乗って」帰ることが無理だったとは…。
いつの間にか、自転車は乗るものではなくて、大きくて、運ぶのがつらい荷物になっていた。
長い坂を自転車を押して登っていく。
やっと頂上かと思ったら、なんと、そこは行き止まり。
目の前が真っ暗になった。
そのへんは商店街みたいになっていて、露店が出ていて、アクセサリーをじゃらじゃらつけた危なそうなにーちゃんがいた。
そのにーちゃんのすぐ脇に、人ひとりがやっと通れるような、細いトンネルがある。
通りたいけど、にーちゃんが怖い。
それでも、意を決して、「あのー、通してもらってもいいですか?」
と声をかけてみた。
「いやだよ」
簡単に断られてしまった。
いやな顔をしたり、カネをせびったりされても、結局は通してはくれるものと思っていたわたしが甘かった。
「でもね、わたし、ここを通らないと、ずーっと今来た道を戻って、ずーっと遠回りをしないと、うちに帰れないんです」
泣き落としを試してみた。
にーちゃんは頑として道をゆずってくれない。

仕方がないので、今登ってきた道を戻る決心をした。
それでも、ムダにならないように、どこかで地図をみせてもらうのがいいだろう。
そうだ、地図を見せてくれる人を探そう。

「なぁんだ。諦めちゃうの?意外と根性ないねぇ。こんなところを自転車もって登って来るくらいだから、もうちょっとねばり強い人かと思ったのに」
背後から、にーちゃんの意地悪い声がした。

無性に腹がたって、かなうかどうかわからないけど、力ずくで通ってみせようと思った。

自転車を楯にして、トンネルに突っ込んでいく。。。。






ジャジャーン!!!
おめでとうございます。あなたはファーストステージをクリアしました。
ポイントが100点、追加されます。
ここで休憩をすることができます。
ポイントで自由にエネルギー補給をしてください。
さあ、十分に休めましたら、セカンドステージへどうぞ!



スピーカーから流れる女性の高くきれいな声が、悪魔の宣告のように聞こえた。
わたしの家までの道は、永遠のように長いらしい。






あとがき
このお話は、以前、夢で見たものをほんの少しだけ整えてみたものです。
「夢でみた話」「夢の中へ入っていって、夢のなかでおわる物語」「電車・駅」というキーワードを、ギビちゃんのところから勝手にもらってきました。
でもね、なんかこれ、何も考えていない人ってことがバレバレみたいな夢ですよ。

夢は、何を語ってくれるのでしょうか。
それとも、何も語られるものではないのでしょうか。
ご意見聞かせてもらったら嬉しいです。辛口でも良いですよ(笑)


TB:白昼夢駅にて。   今日は明日の前日だから
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雨降り

2005-09-27 | フィクション
彼女は雨に降られるのがキライ



雨に降られると悲しい気持ちになる



そう言うから、雨の日には僕が駅まで迎えに行く





イラスト by はんたろう


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2005-09-21 | フィクション
公園に猫がいた。
かわいい子猫。
子猫の見上げる視線の先を追うと、桜の木の枝に猫がいた。
強い視線を子猫に送っている。
母親のように思える。
猫達は見つめあい、けれども決して身動きしない。

母親猫の様子は何か不思議だった。
身体の様子がどうもおかしい。
どうとは言えないのだけれど、何か違和感がある。
よく見ると、木の枝振りもなんだかおかしいような気がしてくる。
桜のはずだったのに、この葉は、合歓の木?

違和感を持ちつつ、家に帰った。
家族にその話をすると、あの猫は今生きているはずはないと言う。

そのとき突然、強く思った。
生きているというのは、「わたしはここにいる」と自分が思っているから。
もし、身体は命を落としたとしても、自分で死んだという意識を持たなければ、わたしはまだ生きているはずだ。
きっと、あの母親猫は、自分がまだ生きていると思っているのだ。
わたしは生きている、あの母親猫が全身で語っていたような気がした。

なぜかはわからないけれど、強く、そう、思った。
涙が出て来て止まらなかった。


イラスト:はんたろう(大きな絵はこちらへ)

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告白

2005-09-17 | フィクション
「ごめん・・・」
今更なのに、好きだったなんて言って、挙げ句に謝って、マコトはわたしの前から去って行った。
高校3年間、いい友だちだったマコト。
あれは、わたしの高校生活の最後の思い出。


大学生の時の夏休みのアルバイト。
8月、1ヵ月だけ、データを処理するような会社にアルバイトの大学生が集まった。
男女比はだいたい半々くらい。
いつも、路線が同じ方向の数人が一緒に帰っていった。
その最終日、最後の最後に渋谷駅で別れる時、リーダー格だったAさんに言われた。
「実は、きみのこといいなって思ってたんだよね。じゃあね」
「え・・・」
Aさんの後ろ姿を見送りながら、わたしは、その場をしばらく動けなくなってしまった。
しらくたってから、思った。

なんで?
なんで、今更言うわけ?
それで、いつもと同じ、じゃあね、なわけ?

そう、Aさんは、その仕事中、ときどきわたしのことを睨んでた。
そのたびに、わたしは何か仕事で失敗したかとヒヤヒヤしてた。
ずっと気にしてたわたしの時間はどうなるの?
ヒヤヒヤしながら、倍のエネルギーを使って気をつけて働いてたというのに、あれは睨んでたんじゃなかった。


いつも男の人はそう。
告白、それは「これからつきあおう」とか、「一緒にいろんなところへ行きたいな」とかいう状況の中で言うものじゃないの?
言うだけ言って、わたしをその場に残して、立ち去って行く。


こんな古いことを思い出したのは、昨日、タケシに告白されたから。
「好きだ」
そう、シンプルで古典的な言い方で。
言うだけ言うと、目の前に来た電車に飛び乗って行った。
その場には、また呆然としているわたしが残された。

今までの経験からすると、タケシはわたしの前から立ち去ろうとしているのかもしれない。
それは、いや!
わたしたち、まだ出会ったばかりじゃない。
まだ、これからもっといろんな話がしたい。
あの映画も見に行きたい。
紅葉の季節には旅行にも行く約束してる。

どうしよう・・・。このままじゃいけない。
わたしも、言わなくちゃ。わたしの気持ちを。
言われて、立ち去られっぱなしではなく、わたしも自分の気持ちを伝えるんだ。

よし。わたしもタケシに伝えよう。
「もっと、一緒にいたい」


TB
「セツナイキモチ」 不条理み○きー
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かなこ27才、夏物語!?

2005-07-19 | フィクション
シナリオ「やしの木のものがたり」

やしの木は、こんなボールみたいな形をした「やしの実」から生まれます。
海岸のやしの木から落ちたやしの実が、海を渡って、あっちこっちの島に流れていきます。
このやしの実も、海をずっと、ずーっと渡って行って...こんな島にたどりつきました。

やしの木のうた
 南の海 南の島
 とてもあたたかい 小さな島
 大きい海 小さい島
 広い空 ぼくの島

やしの木 
 ちいさいけど、とっても居心地よくって、気に入ってるんだ。
 ぼくの島は、広ーい海のまん中にポツンってあるんだって。
 だから、「やしの木島」って呼んで、海のまん中の目印にしてるんだって。
 いつも渡り鳥やウミガメたちが、寄ってくれるの。
 でも、今日はまだ来ないんだ...。ふう...。

中略(調子のいい鳥が立ち寄って、調子のいいことを言います。
友だちとは、いつも一緒にいてくれるもの。そう言って友だちのもとへ飛び去っていきます)

やしの木 
 あ、待ってよ、あーあ、行っちゃった。
 待ってても、誰も来てくれないから、困ってるのにな。
 やっぱり、友だちなんかできないんだ。

やしの木のうた
 この空を飛びたい この海を渡りたい
 できない そんなこと ぼくは木 やしの木

うみがめ登場
 おや、なんじゃ、やけにしょんぼりしとるな。
 おい、どうしたんじゃね。
やしの木
 (ちろっと見て)なんだ、うみがめのおじいさんか。なんか用?
うみがめ
 なんか用?って、今日はずい分冷たいな。
やしの木
 ねぇ、友だちってなに?
うみがめ
 友だちは、わしとおまえさんのことじゃないか。
やしの木
 違うよ。友だちっていうのは「いつでも一緒にいる」っていうことなんだよ。
うみがめ
 (笑う)やしの木よ。それは友だちじゃなくて家族っていうもんじゃよ。
やしの木
 かぞく?
うみがめ
 ああ、おとうさんとか、おかあさんとか、きょうだいのことじゃ。
やしの木
 ふうーん。.....ぼくにはいないよ。
うみがめ
 そうじゃなあ。そうか。それでおまえさん、すねていたんじゃな。
やしの木
 なんでぼくのかぞくいないの?
うみがめ
 おまえさんは、まだやしの木になる前、おかあさんの木から海に落ちて波に流されて来てしまったんじゃ。
やしの木
 じゃあ、会えないの?ぼく、ずっとひとりぼっちなの?
うみがめ
 困ったのう。.....そうじゃ、いい考えがある。ま、見てなさい。おーい。グンカン鳥よ。
  
中略(うみがめが鳥に頼んで、やしの実を運んできてもらう。
舞台にはやしの木とうみがめ、そしてやしの実。)

やしの木
 ねえ、何これ。
うみがめ
 やしの実じゃ。まあ、やしの木の卵みたいなもんじゃな。
 そのうち芽が出て、大きくなったらおまえさんのいい話相手になるじゃろうよ。
やしの木
 これが、もしかして「かぞく」になるの?
うみがめ 
 ああ、まあ弟ってとこだな。
やしの木
 そうかあ...じゃあ、もうずっと「いつでも一緒」なんだね。
うみがめ
 よかったな。
 ところで、さっきの「友だち」ってやつだがのう。
 友だちってのは、いっつも一緒じゃなくても困った時には助けにやって来る者のことじゃないのねえ。
 おまえさんにとってのわしやグンカンドリみたいに、な。
やしの木
 うん、そうだね。おじいさん、ありがとう。
うみがめ
 お、わしもそろそろ行かなくては、な。それじゃ、元気でな。
やしの木
 うん、おじいさん、さようならー。

うた この島は ぼくの島
   とても小さな ぼくだけの島
   でもみんな やってくる
   波を越えて 風に乗って
   
   あー、遥か遠い北の大地も
   空と海とで つながっている

   この島は ぼくの島
   とても小さな ぼくだけの島
   でもいつか やってくる
   もひとりの やしの木

   この美しい 夕焼けの景色も
   ぼくひとりだけのものじゃ なかったんだね

おしまい
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再会

2005-04-28 | フィクション
わたしは東京のある会社勤め。
金曜日の昼休み、お弁当も食べ終わり、そのまま公園でぼーっとしていると、久しぶりにエミが電話をしてきた。
「今晩、ひま?」
彼女は大学時代のサークル仲間。
東京に残ったわたしたちの中で唯一、出身県に戻っていったのがエミだ。
「出張で東京に来てるんだよねー。よかったら付き合ってよ。他にも都合付く人、集めといてくれる?」

エミは、わたしたちの中で一番の行動派だっただけあって、こういう時の段取りは早い。
そして、こういう時のサポート役はだいたい、わたし。

でも、こんな急に、大丈夫かな。
そう思いつつも、仕方なくおずおずと電話をかけて回る。
来れるという答えをくれたのは、リエだけ。
でも、安心した。
機関銃のようにしゃべるエミを相手に、一対一では相槌うつのも結構疲れる。
話し上手のリエとなら、助かるなあ。


久しぶりに会うというのに、二人はまるで昨日も一緒にいたかのように、自然に盛り上がっている。
わたしは、以前よりも輝いている二人がちょっと眩しくて、二人の手元ばかり見ている。
自分がしゃべるよりも、こうやってヒトの話に耳を傾けてニコニコしてるのが、わたしらしい楽しみ方。
それをわかってくれてるこの仲間とのむのは、とても楽しい。
やっぱりこの仲間たちって、居心地最高!


------
またまた、BLOG STATIONの文章の表現と描写の例文にチャレンジしてみました。
例文の設定を変えずに、自分なりに描写してみる、ということでしたが、なかなか難しかったです。

わたしは、昔からの近視のせいにしてますが、どうも、景色を読み取るのが苦手です。
一部だけを凝視してしまって、全体を見まわせないので、たぶん風景描写をすることができても、ごく一点を凝視する形にしかできない気がします。
訓練とか、慣れで書けるようになるものかもしれないと思うのですが、どうでしょう?>Ken先生。
とりあえず、今のわたしには見たものを書くことはできそうにないので、心象風景でも描写できれば…と思ってチャレンジしてみました。
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霞む八重桜

2005-04-22 | フィクション
わたしってば、また遅刻。
途中の道で、ひとつ曲り角を見落としてしまったみたい。
さんざんぐるぐる歩いて、やっと元の道に戻れた。
3時間も遅刻。
こんなときに限って、ケイタイも電池切れちゃうし。
もう、怒って帰っちゃっただろうな。しゅーん。

そもそも、今年は桜の季節に乗り遅れてしまったの。
みんなが楽しく宴会している頃、これまた乗り遅れの風邪なんかひいてて、うちで寝込んでた。
今日は、そんなわたしのためにあの人が誘ってくれた。
最後のチャンスだったのに。

いいんだ。この際、せっかくなんだから、お弁当広げて、ひとりで楽しんでやる。

公園に着いてみたら。
約束の八重桜の下で、あの人がわたしのこと、待っててくれた。
立ち尽くすわたしに気付いて、手を振っている。
え、とっくに帰ってしまったんじゃなかったの?

この涙は今吹いた風のせいにしよう。


春の涙は、ほんのり暖かい気がします。

TB
SAKURA DROPS♪お玉つれづれ日記♪ 〜沖縄★美人画報〜
桜色の涙。 今日は明日の前日だから
八重桜の咲く頃BLOG STATION
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まさか…

2005-04-18 | フィクション
日射しが強くなってきたので、私はサングラスをかけて出勤している。
横断歩道、すれ違う人の目が想像している。
きっと、実物以上のものを黒いレンズの下に見ているのだ。

私が人を見る時、眼鏡をはずして、想像より美形だった試しなどない。
逆に、私が誰かと対面してサングラスをはずす時、相手は努めて表情を隠そうとしているのだ。
ー がっかりするのを気付かれませんように ー
そう思っているに違いない。

なのに。
彼の目は確かに驚いていた。
いや、今更お互いに顔を見たくらいでなんらかの感情が起こるはずもない。
毎日顔を突き合わせている同僚なのだから。
なのに、あの顔は、まるで虹を見た時のような…。
驚きのあと、何か言いたそうなのに、何も言わない。
言ってくれればいいのに。気になるじゃないの。



まさか。
私のあの秘密、あの一瞬にわかったというの?

(30代・OL)
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恐れ多くも、BLOG STATIONの■【TB企画】あなたなら、どんなタイトルをつける?に参加します。

原文はKenさんで、こちら。
◎例文2
眼鏡を外したら物凄い美人だった、などというのは、マンガや小説の中の話だろうと思っていたのですが、初めてそういう人に出会いました。いやもう、驚きましたよ。でも、ひょっとしたら、それは眼鏡のせいではなく、本当に綺麗になったんですよね。一体、彼女に何があったんだろう。
(40代・会社員)

…これを元にアレンジしてみました。
元の構成に助けられて、自分では作れないはずのものができましたし、思っていた以上に面白い試みでした。

タイトル付けは、一番好きな部分です。先にタイトルが浮かんで、そこから書いていく時と、最後にタイトルを考えることを楽しむ時もあります。
今回は、中身の大筋があったので、タイトルつけは楽しみにとっておいて、それが原動力となって書けました(笑)。
このタイトルにしたのは、これが主題と思ったのがひとつ。
わたしの今までの記事を見て、タイトルをひたすら説明していくスタイルなのだな、と気が付きました。これも、結局そんなかんじで、タイトルの付け方って、文体と同じくクセが出るものかもしれない、と思いました。
それから、スリリングなイメージで興味をもってもらえるかな、と思いきってつけたのですが、期待させ過ぎの気もします。

------
追記
書くにあたって例文2の他に参考にさせていただいたお二人の作品。
何かあった?さくら式ドロップス ♪サンジョルディ風味♪
今頃 気が付いたの?♪お玉つれづれ日記♪ ~沖縄★美人画報~
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