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月刊「祭御宅(祭オタク)」

一番後を行くマツオタ月刊誌

358.オリンピック中止・延期祈願-祭関係者が泥を被らないために-

2021-06-05 01:05:39 | 新型コロナと祭、民俗

オリンピック強硬開催と祭
オリンピックのために努力に努力を積み重ねてきたアスリートの人たちにとっては、中止は悲しいものがあります。しかし、アスリートの人たちにとっても、延期の選択肢、さらにマラソンも行える涼しい季節の実施も視野に入れて行うことができれば、メリットの方が大きいでしょう。
しかし、オリンピックを利権のために強硬開催しようとする輩が、くそ暑い時期に、コロナ禍で医療崩壊している時期に国内外に沸いてでています。
こちらでは、選手への厳しい制限、医療関係者が完全にボランティアではないことを理由にスポーツをやめるなともっともらしいことをのたまっています。しかし、医療関係者が有償無償にかかわらず不足していること、そもそもくそ暑い時期にマラソンをするような気の狂った日程になっていること、そして、さらにそもそも、ホンマに本当にアスリートの立場にたつんやったら延期すりゃええやんという視点は(わざと?)抜け落ちています。要は著者の方が意識するしないに関わらずオリンピック貴族さまの御用記事になっている状態です。
 
●オリンピック強行後の秋祭
オリンピック強行→秋祭の通常実施→新型コロナ感染拡大となった場合、バッシングされるのは誰でしょうか。まず、オリンピックのスポンサーに国内外の名だたる企業が名を連ねていることを考えると、オリンピック関係者やそのスポンサーがバッシングされないように世論誘導は必ず起こります。そして、世論誘導によって我々祭関係者が感染の夜の店などと同様に戦犯の一味に仕立てあげられることになるでしょう。
 
●もしオンピックが中止、延期になった場合 -できる可能性はあるけど、よりハイリスク-
今のところその動きはみられませんが、どこかのニュースで小池都知事あたりが言いだすのではないかという記事もみたことがあります。
まだまだ期待できるレベルではないと思いますが、そうなれば、ワクチンの性能と出回りで秋祭りができる可能性は残っているように思えます。
しかし、そこでクラスターが起きた場合は、オリンピック中止したのに。。とフクロ叩きのリスクが生じます。オリンピックがない分、祭ができる可能性は高まりますが、何かあった場合のフクロ叩きのリスクも高まるようにおもえます。
 
●祭関係者バッシング危険年
何度かこのブログでも言ってきましたが、今年はオリンピックも関係して祭関係者が不要なバッシングにさらされやすい年でもあります。
 
編集後記 -できるようになったら年二回-
コロナがおさまり祭をできるようになったら、年二回できたらいいなあと考えています。
 
 

318.秋祭ができる条件(月刊「祭」2020.1月1号)

2021-01-02 13:46:00 | 新型コロナと祭、民俗
●続くコロナ禍
 管理人は大袈裟に言いすぎたかなと思いつつあった矢先に、再び新型コロナが日本でも猛威を奮いつつあります(東洋経済オンラインの国内感染者統計)。
 少しだけ明るい話題としては、さまざまな問題があるものの、ワクチンができつつあるということです。気になるのは祭ができるか(ここでは神事のみでなく、屋台だんじりなどの賑わいものを例年通り出せること=祭ができるとします。)どうかです。
 今見る限りでは今年も厳しいというのが実情に見えてきます。が、まだまだ諦めたくはないということで、どのような条件が揃えば祭ができるのかを考えていきたいと思います。

●確実な治療●
 管理人が少しだけ希望を持っているのが、ワクチンがそろそろ出回るのかもしれないということです。あまり聞かない、副作用が強いなどの話も聞きますが、「もしかしたら」という期待はどうしても強くなります。

●オリンピック の中止、延期●
 現時点で、各国から選手を招くのはやはり危険と言わざるを得ないと思われます。しかも、医療関係者のボランティア招集て。。。
 「オリンピックをしたから、祭ができる」可能性より、「オリンピック をしたことによって、祭ができなくなる」可能性の方が高くなると言わざるを得ないでしょう。オリンピック も個人的には楽しみですが、祭と天秤にかけると圧倒的に祭です。

●夏前に緊急事態宣言をして、新規感染0を2週間ほど続けたのち解除
 本来なら昨年にするべきだったと思われます。昨年は感染爆発前夜状態で解除がなされてしまいました。歴史的な評価を下すならば、「近隣諸国の対抗意識から解除に拙速さが見られた」というのが妥当となってしまいます。
 ワクチンに頼らない場合はどうしても、緊急事態宣言がまた必要になると思ってしまいます。

●編集後記●
本年もよろしくお願いします。
 今年の4月でなんと九周年を迎えるこのマツオタ月刊誌。とりあえず、カレンダーを作ってみました。大判の印刷に耐えうるものではありませんが、スマホなどの壁紙にどうぞお使いください。




308.太鼓をならす意味(月刊「祭」2020.10月5号)

2020-10-24 18:43:00 | 新型コロナと祭、民俗
●コロナ禍中の屋台運行自粛
  コロナ禍で安全のために自粛を余儀なくされる今年の祭。しかしその中でも、飾りつけをして太鼓を鳴らすなどをしている屋台やだんじりがありました。管理人は運行など人が集うことに関しては反対の立場です。特に、飲食を伴う集まりは、危険を伴うことは最近の阪神の福留選手の感染などをみても、否定はできません。
 一方で、感染の危険にハラハラしつつも、他所で地車や屋台を出したり、太鼓をならす鳴らしたりする映像を見ると、じいんと来てしまうのは、祭好きの一人だからでしょう。
 このような中だからこそ、どのようなことを祈って人々は太鼓をならしてきたのかなどを考えてみたいと思います。

●摂津名所図会の文章から
 こちらの記事で述べましたが、寛政八年(1796)~寛政十年(1798)の成立の『摂津名所図会』には下のようなことが書かれています。
 神輿渡御の前に太鼓を鳴らして神をいさめるハ陰気を消し陽勢をまねくならハし也

 ここでは、神輿渡御の前にならす理由としていますが、太鼓をならすことで「神をいさめ」、「陰気を消し陽勢をまねく」と考えられていたことがわかります。
 戦後すぐ三木の町はおいうちをかけるように洪水に見舞われます。それでも明石町屋台が参道を練り歩いたのは、陽勢をまねくことを祈ってのことだとも言えるでしょう(参考:コタニマサオ『なんでもかんでも三木』神戸新聞社1989)。
 新型コロナという陰気を、太鼓をならして消しさり、陽勢をまねかれることを願っています。


●迷信とは言えない?
 太鼓の音の力で眠り子ども
 もちろん、太鼓の音を聞けばコロナが治るとは言いません。しかし、あながち太鼓の音は人体にいいように作用するのではないかと思うことがあります。三木の祭関係者は毎年一回は、ドンドンと大音量でなる太鼓を聞きながら欄干に乗っている子どもが眠りかける姿をよく見ると思います。
 人を心地よくさせる何か、勇気づける何かが太鼓にはあることを我々は経験的に知っています。太鼓の音が戦争と洪水でうちひしがれている人を勇気づけたと言われると、我々は容易に想像できます。敗戦と洪水に打ちひしがれた三木の町を勇気づけた時のように、別所長治公を思わせる若人たちが、世界一の明石町の太鼓を再びならす時、陽勢が盛り返すこととなるでしょう。













編集後記
 なんとか、太鼓の音を聞きたい。でも、危ない。今年の感染対策、出したところの様子を映像で見る限りではまだまだ不備があるように思えます。

①ものを口に入れる前の手洗い消毒
②マスクは不織布、上にバフとか鉢巻をまくと医療用程度になるという報告もあり。

そこまでせんでもゆうくらいやってちょうどいいくらいだと思います。
 

306.新型コロナ禍中の大宮八幡宮秋季例大祭(月刊「祭」2020.10月3号)

2020-10-12 10:18:00 | 新型コロナと祭、民俗

●消えなかった祭の法灯
 オミコッサンとタイコの運行「は」中止となった、今年の大宮八幡宮秋季例大祭。でも、「神さん事」は例年通り行われました。
 管理人も宮参りで普段は行くことのない、「川向こう」の宮にも行くなど普段とは違う祭となりました。なんらかの形で、祭の法灯は灯り続けた様子を紹介します。

●ダイニッタンと元宮・寺院参拝

 明石町五か町の一つ、大日町在住の管理人は、はじめにダイニッタンこと大日堂に参拝し、その後、同じく明石町五か町の一つ杣宮町にある大宮八幡宮の元宮と伝わる杣八幡社に参拝しました。

 
↑ダイニッタンこと大日堂(明石町五か町の大日町)

↑杣八幡神社(明石町五か町の杣宮町)


↑杣宮町杣八幡神社

 そして、大宮八幡宮と月輪寺が表裏一体なのと同様に杣八幡神社と表裏一体の寺院が羽場月輪寺です。現在は栄町の寺院となっていますが、栄町も分離するまでは元々は明石町の一部だったそうてます。


↑羽場月輪寺の文字

↑羽場月輪寺の薬師堂




●神事
 元々2日ある祭礼日(10月10[土]、11[日])のうちの1日目で神事が行われました。各町の宮総代が礼服で参加されていたそうです。管理人が大宮八幡宮に着いた十一時頃には、すでに神事は終わっていました。
 石段を登ると各町の幟が上がっていました。屋台運行は中止になったけど宮参りされている方と何人かと出会いました。








●テレビ撮影
 テレビクルーが来ていたので、ニュースにでもなるのかと思いきや。。 いつもの後ろに髪を結んだいつもの白髪男性スタッフさんと、タレントの下町出身の武田訓佳さんでした。ということは??
 聞くところによると、今年も三木大宮八幡宮秋祭りのテレビ番組が、11月1日に放映されるとのことです。新調前の懐かしい姿も見れるようにしたいと、スタッフさんは語っておりました。テレビ放映が楽しみです。
 


●献血
 例年ならば宮の下は混雑で献血車が止まるスペースはありませんが、今年は献血祭でした。管理人は先輩に800mlの献血を勧められました😅が、通常の400mlでお願いしました。
 なんと献血には宮司さんと禰宜さんも参加されました。しかも、宮司さんの素敵なはからいで、バッチとスタンプももらえました。




高木、大村
 大村の禰御門神社でも神事が行われました。平田の大歳神社では確認できていません。


 高木の屋台蔵にも提灯がかけられていました。



●やっぱり法被は着たい
 たとえ屋台がでなくとも法被は着たい。そんな思いを実践した人たちもいました。
 まずは新町の高校生。「よやしょーい」といいながら、宮入していました^_^



 そして、明石町キッズとその、お母さんが屋台蔵の前で記念写真を撮るところにもばったりとあいました。「先生(もうちがうんですが)も入りーとのことで、倉の前でワンピースの方式で右手拳をあげての撮影をしました。
 写真はまだいただいていないのと、少し画像が大きくなり特定されてしまうのであげません。


編集後記
具体策の必要性
 やはり、残念だった屋台運行の中止。危険なので中止は正しかったと頭ではわかっても割り切れるものではありません。
 とはいえ、雰囲気だけで従来通りにするのもやはり危険です。運行時もさることながら、そのあとの飲食の場での感染リスクをどのようにして減らすかを突き詰めて考えることが、大切です。

消えなかった祭の法灯
 屋台を出すことはできませんでしたが、祭は行われました。必ずまた、復活させるという強い思いも感じることになった祭でした。神仏習合時代の言葉を使うと、祭の法灯は消えなかったということが言えるでしょう。

 

304.新型コロナ流行下の屋台・だんじり運行の感染防止策(月刊「祭」2020.10月1号)

2020-10-04 23:58:00 | 新型コロナと祭、民俗
●屋台・だんじりを動かす決断
 いくつかの地域で屋台・だんじりを動かす決断をくだすところが出てきています。この中で集団感染を起こすと、日々差別的言動に勤しむ輩の祭ヘイト(参考①参考②)にあうこと、そして、多くの年配者が命の危険にさらされることが危惧されます。インフルエンザは余命間もない高齢者にトドメをさせる、新型コロナは元気な高齢者をしに追いやる点では、やはり大きな違いがあると言わざるをえないようです。
 そこで、管理人考案の感染防止方法をイラスト付きで紹介します。個人装備と組織で気をつけることに分けて書いていきます。
 
●個人装備
 個人装備の留意点では飛沫感染と、人→人や人→物→人の接触感染の防止策に分けて提示します。

①飛沫感染防止策
マスクの上にバフ



 管理人はマスクは「うつらないため」ではなく「うつさないため」という認識でした。しかし、メンタリストのDaigoさんはYouTubeでノースイースタン大学の論文から導き出した方法を提示しています。
 論文の著者によれば、マスクの上にストッキングをかぶせると50%ほどウイルスの遮蔽率(防ぐ率)があがり、医療用並のものになることもあるそうです。
 さすがにストッキングだとかっこうわるいのでバフでも同様の効果は期待できるだろうとのことです。残念ながらプレプリントの段階で、この論文は止まっていますが、理屈は合っているとのことです。
 法被、鉢巻の色に合わせたバフだとそんなに変な感じにはならないと思います。
 一方で熱中症などの危険はこれで高まるで、早めの休憩、交代を念頭に入れた運行が必要になりそうです。

②接触感染防止策
 消毒薬の各自携帯
 ホンマでっかの武田先生は、「コロナ恐るるに足らず論」の代表的な人と言えます。その武田先生が医療従事者の話を聞いて「これさえすれば」と提案しているのが、人→物→人の感染防止策です。
 武田先生は簡単そうに言っていますが、実行するとなると非常に面倒です。いろんな人の飛沫が飛びかい、それをそのまま口にする恐れのある酒の席などではやはり必要となってきます。
 
 基本は物を口にする前に、口をつける物と手指の消毒です。 
 またかつぎ棒は、自分の頬が棒につくので、担ぐ直前に頬に消毒薬を塗ってのぞむと無難です。馬鹿げたことかもしれませんが、それでもうつるよりマシです。


*自己責任で 自作次亜塩素酸水
間違いはないと思いますが、保証できません。管理人は使っていて今のところ問題ありません。

ピューラックスペットボトルの蓋に一杯(約10ml)を、炭酸水500m lに入れる。
[解説]
ピューラックス(次亜塩素酸ナトリウム・塩素濃度6%)を500m l炭酸水に混ぜる。
 ↓
次亜塩素酸ナトリウムが次亜塩素酸水に変化。濃度1200ppm。
 ↓
24倍の水でうすめる。
手指消毒に適した50ppmくらいになる。

しかし、次亜塩素酸水の塩素濃度はあっという間にさがります。下の映像によれば、ペットボトルにアルミ巻きするなどすれば濃度は保たれる時間は長持ちするとのことです。




●組織の留意点
①飲食の席
飲み物は缶よりペットボトル。
 コップでの回し飲みは非常に危険です。
 缶はお勧めしませんが、ビールなどの場合は飲む前に消毒がひつようです。

食べ物は個人で盛り付けたらラップでレンジに
 レンジで殺菌してから食べる方が無難です。

②結局心掛け
 精神論、根性ではどうにもなりません。「いざ自分の親がかかったりするとどうなるか?」
この想像力を常に持って運行する必要があるのが現実です。












 



301.祭実施における感染の社会的責任(月刊「祭」2020.9月3号)

2020-09-26 11:02:00 | 新型コロナと祭、民俗
 今回は少し語気を強めて書きます。

●新型コロナ流行下において中止された屋台、だんじり運行
 新型コロナ流行下において、屋台やだんじりの運行は相次いで取りやめになりました。管理人も自町において今年の運行には、強く反対しました。
①新型コロナはインフルエンザと違い、元気な年長者を死に追いやる可能性が高いこと
②祭に伴う飲食の場などでは、酒に酔った状態で十分に感染防止対策がなされるとは到底思えないこと
が理由です。
 それは決して間違っていたとは思っていません。しかし、自分のやりたいことに反対の意見を言うのはあまり気持ちの良いものではありませんでした。また、管理人のように青年団も引退しており、年長者組ではいわゆる「ペーペー」の立場であったからこそ、今年の運行に反対することが出来たとも感じています。おそらく十年前の自分であるならば、運行を強く主張していたでしょう。
 特に、青年団の若い人、何らかの役職につくのが最後の人、何らかのリーダーになる人、一生に一度の大役を果たすはずだった人にとっては、無念以外の何者でもありません。少なくとも「コロナ恐るるに足らず論」も出ている中では余計に、無念の思いは強くなることでしょう。

●少しだけ動いただんじり、屋台
 その中でも少しだけ、運行した屋台やだんじりも見られました。管理人自身は映像や画像でしかその様子を見ることができていません。その様子を見ると集団感染を心配する反面、動いているだんじりや屋台はやっぱり美しく感じます。
 それは、コロナ禍でうちひしがれている中だからこそ余計に感じるものかもしれません。敗戦直後、三木市は洪水の被害にも見舞われます。敗戦と洪水で打ちひしがれているなか大宮八幡宮の秋祭において我らが明石町屋台が参道を練り歩いたと言います。おそらくその時に人々が感じたものに近いものだとも思われます。
 その一方で、①湧いて出た祭ヘイト ②仮に集団感染の責任の所在 の問題もあるのが現実です。これらにおいて、管理人の思いを今回の記事であげます。

●湧いてでた祭ヘイト
 今回いくつかのだんじりや屋台が少しだけ運行したことを受けて、ヤフコメなどでは批判的なコメントがいくつか見られました。その種類としては
①自分たちは自粛したのに、これで感染がひろがったらどうするんだという批判
②気持ちは分かるけど、やはり慎むべきだったのではないかという批判
③祭ヘイト
岸和田でクラスターがおきればいいという発言もあった。

です。

 ①②については、それぞれの屋台、だんじり、氏子域で引き続き議論すべき課題です。来年以降、祭をどうしていくのかはそれぞれの地域で問われる課題です。
 一方、③についてはクズの所業と言わざるを得ません。そして、この祭ヘイトの人たちは、今回もいわゆる「左翼」と呼ばれる人ではなく、ネトウヨを思わせる発言・隣国地域への差別的発言を行っていました。
 祭好きの人たちにも、残念ながら隣国への差別的な感情を持っている人達が見受けられます。しかし、それを煽っている人は、祭も誹謗中傷していることは肝に命じておくべきです。正直なところ、一緒になってネトウヨ的な発言をしている人やそのリーダーが、屋台やだんじりは神事じゃないとか言って、祭好きな人を裏切る可能性はかなり大きいと危惧しています。

●万が一集団感染が起きた場合の社会的、法的な責任について
 あってはならないことですが、集団感染が起きた場合に誰が責任をとるのかという問題が残ります。もちろん、「出す」という決断をした祭礼当事者やリーダーがその責任問われることにもなると思われます。
しかし、それだけではあまりにその責任を問われる人が気の毒です。
 まず、当事者は憲法で認められている「健康で文化的な生活」をする権利や「信教」や「身体」の「自由」を行使したにすぎません。そして、運行の可否の判断の元になる情報を流す側の責任が全く問われないのであれば、そこにも理不尽さを感じざるを得ません。もっとはっきり言えば、祭当事者達が間違った判断をするようにこの国のリーダー達が仕向けたとも言えます。
 ざっくり言うと下のような順序です。

利権などによるPCR検査の拡大ペースの遅れ、マスク不足の対応への遅れとアベノマスクという愚策。

②ニュージーランドだけでなく目の敵にしている韓国にもコロナ対策で遅れをとる

③韓国などへの面子を保つためか、緊急事態宣言の解除を無理に早め、「一月半で収束した」と宣言するも感染再拡大をひきおこす。

④ゴートゥー、オリンピックなどの政策をゴリ押しする。これらは例えば電通などへの利益供与の一面が大きいことが疑われる。

⑤もはや、コロナ収束による支持率回復は絶望的となる。かねてより、自分たちを、支持するテレビによく出るコメンテイター達が唱えていた「コロナ恐るるに足らず論(正しく怖がろう論)」が、メディアで推され始める。コロナは恐るるに足らない、インフルエンザと変わらないという言説を流布させることで、政権の失敗も大したことないと印象づけることができる。

⑦「経済を回しつつ感染を予防する」方針をとりつつも多くの業界では、それぞれの場面に応じた感染対策の教育がなされていない。あるのは、幼稚園児でも言える「三密をさけましょう、手洗いきっちりやりましょう」くらい。

⑧感染対策が不十分なまま、ゴートゥーキャンペーンなどで、元の生活をしていい雰囲気が政府やマスコミぐるみで醸成された。

以上①から⑧のような中、屋台やだんじり関係者が運行の判断を下してしまうのは無理のないことだと言えるでしょう。必要以上に咎めることに意味はありません。
 結局はできることをしなかった我が国のリーダー達に私財を投げ打ってでも補償していただく、中国の政府高官たちにも私財を投げ打っていただくというのが、筋といえます。


296.コロナ禍中のお盆(月刊「祭」2020.8月2号)

2020-08-12 20:23:00 | 新型コロナと祭、民俗

●感染再爆発
 我が国が誇る偉大な政府の、den tooならぬgo toたる感染再拡大政策により、規制は自粛を勧められるようになりました。
 屋台、地車の賑わいものは中止になっても根幹的な神事は、止まらないように、お盆の仏事もまた、同様のようです。どのような形になって、お盆の仏事が行われたのかを我が家の例を報告します。

●帰省の自粛
 楽しみだった親戚同士と会える場も、年配者のことを考え今年は見送ることになりました。各々三木や近隣にいる人で墓参りだけはすることになります。



●僧の檀家廻りの中止
 金剛寺では感染の拡大を警戒して、ご住職の檀家周りが中止になりました。その一方で、地区ごとに決まった日の午前10時から1時間半くらいかけて、ご住職さんは本堂で、各檀家の仏さんの名を唱え読経し、寺の総代さんがサポートしたそうです。
 その時間の間、各家では仏壇に蝋燭と線香を焚いてくださいとのことで、我が家でもはじめにつけた線香が消えるまで焚き続けました。

 全ての寺が自粛したわけではなく、違う寺の信者の家ではご住職さんが来られているところもありました。

●精霊流しの実施
 美嚢川沿いで行われる精霊流し(といっても、実際には川には流しませんが)は行われます。しかし、帰省者は昨年より減ることが見込まれ、風景はまた少し変わったものになるかもしれません。


290.江戸時代の「時疫」対策(月刊「祭」2020.6月10号)

2020-06-29 20:48:00 | 新型コロナと祭、民俗
・伝統的な疫病対策 
 現在同様に疫病は、それぞれの時代で人々を悩ませてきました。一方それに抗うための対策を人々が立ててきたのも事実です。
 今回は享保の大飢饉後に起きた疫病時に出された「薬方書付御触」を見ていきます。この御触書は享保十八年(1733)に出されました。この記事では、幕末期に記された「村翁夜話」という播州の地誌に引用されたものを紹介します。

●薬方書付御触
 「時疫流行之節、此薬を以て其煩を逃るへし」
 疫病が流行したら、この薬で症状を和らげよといった意味でしょう。この言葉ではじまり、「時疫」と書かれたおそらく流行病・疫病への対処と「一切の食物の毒」など書かれた食中毒への対処法が書かれたものがあります。享保十八年の疫病は赤痢、疫痢と思われる下痢を伴う病がはやっていたところから、後者にかなりの行がさかれています。
 全部書くのは煩雑なので、今回は前者の「時疫」への対処4種を紹介します。いずれも当時読まれていた医学書をもとに書かれています。

●時疫にハ
①大粒の黒大豆一合よく煎って、甘草一匁(いちもんめ・約3.75g)水にて煎じ出して飲む。
 黒豆も飲む水に混ぜたのかは分かりません。煎り豆は節分の鬼追いで見られますが、あながち迷信ではなかったのかもしれません。

↑法隆寺の鬼追い



②茗荷(みょうが)の根と葉をつき砕き、汁を飲む
 物忘れの元ともいわれる茗荷ですが、のむといいそうです。
 
③牛蒡(ごぼう)をつき砕き汁をしぼり、茶碗に半分2度飲む。その上での葉一握り火であぶり黄色になったら、茶碗4杯の水に入れ、2杯になるまで煎じてにこみ、飲んで汗をかく。若葉ではなく枝でもオッケー
 牛蒡は漢方にもなっているとか、日本でしかあまり普段の食用にはされていないそうです。
 雷がなると桑原(クワバラ)と唱えるように、桑もまた悪いものを追い払うと思われていたのかもしれません。

④熱が強く騒ぐほど苦しい時は、芭蕉の根をつき砕き絞って飲む
 西遊記では火を消すために芭蕉扇を使いました。芭蕉が火や熱を鎮めると考えられていたのでしょう。


↑屋根の像は西遊記一行(韓国水原市八達門)


●日本が新型コロナにましな秘密??
 こうして見ると、上に挙げたものの多くが日本では現在もよく食べられています。もしかしたら、これらの食習慣が偶然いい方に作用したのかもしれませんが、それは分かりません。
 また、いくつかの体に良いとされる食物は、伝承でも悪いものや熱を払ってくれると信じられていたようです。
 それを確かめる術を持たないのところが、文系研究者(自称)の悲しいところです。


289.私家版:新型コロナ基礎知識(月刊「祭」2020.6月9号)

2020-06-26 16:32:00 | 新型コロナと祭、民俗
 ここでの祭開催は、「屋台、だんじりを通常通り運行すること」を意味するものとします。

●開催可否の決定
 この夏に秋祭開催決定可否の決定がひとまずなされるところが多そうです(その後、岸和田春木地区、灘のけんか祭の自粛が決定しました。)。その判断の基準として絶対にしてはいけないのが、「他がやるからうちもやる」です。そもそも新型コロナがどんな性質なのか、それに対する医療がどんな状況なのかを知らないまま、判断するのは危険です。
 そこで、医学オンチで理系科目赤点スレスレの管理人が調べたことを、できるかぎり分かりやすく記述して行きたいとおもいます。
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「恐るるに足らずの例外規定」
②インフルエンザウイルスとの比較で見る新型コロナの性質
・共通点
・異なる点(新型コロナのタチの悪さ)
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「恐るるに足らず」の例外規定
 「ホンマでっか」の武田先生の「必要以上に恐ることはない、正しく怖がろう」「インフルエンザより死者数は少ないので、そこまで怖がらなくていい」といった主張、6月12日の大阪府の専門家会議で出た「自粛不要論」をもとに大っぴらに祭をして大丈夫という結論はかなり危険と言わざるを得ません。
 武田先生の場合は、自身で公衆便所スーパーでの購入物からの伝染の可能性が高いこと高齢者は自粛不要の対象外であるという主張を展開しています。
 また、大阪府の専門家会議で中野貴志氏が自粛不要論を唱えましたが、同会議内では夜の街での感染の危険性は依然としてあることが指摘されました。
 物の共有、公衆便所の使用、夜の街の様相、高齢者祭に親和性の高い事柄が自粛不要論の例外となってしまっています😭


②インフルエンザウイルスとの比較で見る新型コロナの性質
  世界保健機関(WHO)の報告(Tanya Basu「新型コロナとインフルの似ているところ、違うところ=WHO報告」2020.03.12 MIT technology review )やこちら(山本健人「新型コロナウイルス感染症はなぜ厄介か? 季節性インフルエンザやSARSとの違い」2020.04.29 Yahooニュース」を元に、インフルエンザウイルスと新型コロナウイルスの性質を比較してみましょう。

・似ている点
感染経路
 接触感染が多いそうです。人→人、あるいは人→物→人の、感染が考えられています。一方で、新型コロナは飛沫感染の可能性も多いに考えられていること、物に付着してからの生存期間が数日に及ぶ物もあることなどが相違点として挙げられています。

症状
 呼吸器系に悪影響を及ぼす、発熱、倦怠感を伴い、肺炎から死に至ります。

・異なる点(新型コロナのタチの悪さ)
治療方法の有無
 とてつもなく大きな問題の1つがこれです。
 インフルエンザ・・・ある
 新型コロナ・・・・・ない


感染してから症状が出るまでの時間
 インフルエンザ・・1日から数日
 新型コロナ・・・・4日から8日
つまり、新型コロナは自分が感染したことに気づきにくいということになります。また、症状が出る前にも感染力を持っているので、知らずのうちに感染を広めている可能性があります。

ウイルスの排出期間
 インフルエンザ・・2日〜7日
 新型コロナ・・・・約20日 8日〜37日
新型コロナがかなり長いことがわかります。一見直ったように見えても、ウイルス排出の可能性があり、長期の隔離が必要となってしまうようです。

致死率
 世界保健機関(WHO)の報告(Tanya Basu「新型コロナとインフルの似ているところ、違うところ=WHO報告」2020.03.12 MIT technology review )では、3〜4%となっています。しかし、東洋経済オンラインの統計を計算(2020.03.17〜06.24)する限りでは、国内での致死率は約5.4%となります。感染者のおおよそ3人に1人がロシアンルーレットをする計算になります。
 そして、かなり手厚い医療を施しての結果の数字であり、医療崩壊などがおきれば、死亡率もグンと上がることが予想されます。

治療法がなく、気づかないまま他人に感染させ、致死率が高いウイルスが跋扈していますその中で、夜の街の様相を呈し、公衆便所の使用が不可欠で、高齢者が多数参加する祭の開催はやはり厳しいと言わざるを得ません。

編集後記
 ついついすがりたくなる恐るるに足らず論。ですが、よく聞くと、「これさえ気をつければ」の例外があります。その例外は、祭の様相そのものといえるのが、現状と言えます。 

288.本気で祭に向かう姿勢-神戸新聞2020.06.21の灘のけんか祭り記事より-(月刊「祭」2020.6月7号)

2020-06-21 20:39:00 | 新型コロナと祭、民俗
●播州にも祭を開催するかどうかについての報道
 大阪府知事の岸和田地車サポート発言(それについての記事)に続き、神戸新聞(2020.06.21)に松原八幡神社(灘のけんか祭)の秋季例大祭の開催可否についての記事が掲載されました。




 その記事から見出した下のキーワードを元に今回の記事を書いていきます。
①灘の判断待ち 
②安易

①灘の判断待ち
 大きな規模の祭礼の判断を待つのは悪くありません。しかし、灘がやるからウチもやるは、大きな間違いです。大規模な灘が祭をすれば、感染者が出た場合に医療資源が大幅に減ります
 逆に灘ができないと判断した場合に、自分たちの祭がほんのかすかながら、できる可能性が見えてきます。結局、それぞれの祭、屋台で、より様子を見る必要があるのは、
①国内の感染状況と出入りしてる国の感染状況
②感染者が出た場合の近隣の医療資源を確保できるか
③徹底的な感染防止対策を学び実行することができるか
などのシビアな様子見が必要になってきます。
 そして、
 ①無理して無策で祭する≠本気
 ②シビアな条件を途方もない労力を使ってクリアする=本気
  ③不可能なら撤退=本気
です。今年は播州の祭がより本気を見せる年になります。

②安易
・安易にやめる
 新聞記事のなかでは、「安易にやめる」ことの危機感を氏子の一人が言っています。たしかに、「この世の土産に孫の最後の晴れ姿」「今年しかできない祭の役割」「青年団最後の年」などの思いを持っているのが、祭です。その年の祭はその年にしかありません。毎年が一生に一度の祭です。安易にやめる決断をする気になれないのも理解できます。
 しかし、あるいは、なおさら、一生に一度の祭を一生の後悔にしないためにも、本気ならこの記事の懸念事項などを本気でクリアせねばなりません。
 もし、やめる決断をした場合、「今年に特別な思いをもって臨んでいた人の思いをどうくみとるか」が課題になりそうです。こちらは、祭関係者の得意分野だと感じています。

・安易にやる
 「(感染者が)出る時は出る」「死んだらその時や」「なんかあったらワシが責任とる」といったような威勢のいい言葉、「しっかり手洗い」みたいな幼稚園児でも言える合言葉だけでやるのは許されません。
 誰が、どの場面で、どのような感染対策をとるかなど、シビアな課題を本気で考えて乗り越えること(リンク先の「クリアするべき懸念事項」参照)が求められます。例年の度胸とはまた違ったものが、頭と関係者、観覧者に求められています。

編集後記-「できない理由」を探して潰す-
 「やるため」には「できない理由」を見つけ、それを「徹底的に潰す」。それが、祭を復活させるための条件です。今は、「できない理由」を具体的にしていく段階と言えるでしょう。自分なりに現在の感染状況などを調べた限りでは、今年に関しては、悲観的な結論しか出すことができません。
 ほんの少しだけ明るい希望がありました。ワクチンの治験が10人以下ですが、初めてうまく行ったそうです。