月刊「祭御宅(祭オタク)」

一番後を行くマツオタ月刊誌

山車、地車の鉦(月刊「祭」49号.2015.12月)

2015-11-29 17:15:48 | 屋台、だんじり、太鼓台関連

今回は「鉦」特集です。
一寸を約3センチ3ミリとして、特に指定がないまま何寸とあれば、それは鉦の内側の直径を意味するものとします。また、大きい、小さいも指定がなければ内側の直径をさすものとします。

◯東小西大
東京から関西までを見る限り、東側が小さく西側は大きくなっています。
私が見た東京都八王子市の祭では、目分量ですが、鉦は五寸程度の大きさだと記憶しています。鉦の直径が小さいほど音は高くなり、大きいほどその音は低くなります。東の方では太鼓も締め太鼓や鏡面の直径が1尺ないものが好まれ、全体として高い音のお囃子が流れます。

そこからさらに西に行き、祇園祭の山鉾や滋賀県の山車になると、やや鉦は大きくなります。大きさはまたうる覚えの目分量ですが、6寸、7寸ほどでしょうか。

さらに西に行き大阪や奈良、兵庫県の地車では、8寸でも「小さめ」となり、1尺ほどの鉦が好んで使われます。
太鼓も鏡面直径2尺をゆうに超える大太鼓と、1尺足らずの小太鼓のペアが使われたりします。太鼓も鉦もかなり低い大きな音が鳴らされます。そうなると、聞こえなくなるからなのか、笛を使わないところも多くあります。

◯大阪の北大南小、北薄南厚、北低南高、北響南弾と鉦から鐘
北大南小、
大阪府では摂津(北・大阪市など)では11寸、泉州(中・岸和田市など)では10寸(リンク先は高石市から淡路島に渡ったもので、笛はないが、泉州では笛を伴う囃子になるのが通常)、河内(南・富田林市など)では9寸もしくは、8寸のものが好まれるようです。
また、鉦の底部の板の厚さを薄くすればするほど、音は低くなるらしいのですが、これも北は薄く音を低くする傾向があり、南に下るほど高くなるそうです。つまり、鉦の大きさ板の厚さ、音の高さは、北に行くほど大きく薄く低く、南に行くほど小さく厚く高くなる傾向があるそうです。

北響南弾と鉦から鐘
また、使われる材料も違います。北では音の余韻が残る青銅製のものが好まれ、南では歯切れのいい音が出る真鍮製のものが好まれるそうです。
南では歌が大きな役割を占める祭りになります。なので、リズムを刻む楽器が余韻を残すのは、ハイハットシンバルを広げたまま歌うようなもので、歌いにくいからではと管理人は推測しています。
一方、鉦の音が低く響く北側では、歌も笛の旋律も無くなり、踊る祭りになります。踊る中でトランス状態を迎えるには、低く余韻の残る音の方が向いているのかもしれません。

鉦から鐘
神戸市の東灘区では鉦ではなく鐘に変わってきた地車が多くなっていると聞きましたし、管理人も神戸市東灘区住吉神社のだんじりを見てそれを確認しました。かなりの余韻が残り、管理人は中に東南アジアの楽器を入れてるのではと勘違いしました^_^;

鉦、鐘とだんじり
詳しい調査は一切行っていないので推測の域を出ませんが、鉦、鐘の形と地車の型の分布は凡そで一致しそうです。

上地車は11寸鉦で青銅製、岸和田型は10寸で真鍮や青銅、河内型は8寸、9寸で真鍮、神戸東灘外ゴマ型は釣鐘といったふうに。
と偉そうにのたまわったものの、上地車、岸和田型、河内型の区別をどうつけるのか、そもそも区別ができるのかさえ管理人は知りません。しかしながら、鉦と地車の型の分布に共通点を見出せそうであるという考えには、少し自信を持っています。

鉦などを加工販売している東大阪市の上田工房の方に地車の鉦についてご教示賜りました。この場を借りて改めて御礼申し上げます。

編集後記
パリでテロが起きました。やれ報復だ、やれテロは許すな、やれ協力だと言うのは簡単です。ですが、現場に行くのは恐怖です。そして、現場に行く人と、兵器などの売り上げなどの利潤を得る人には、明らかな経済格差が生じるだろうことは予想に難くないでしょう。
経済格差を大きくする→貧困層を徴兵する→兵器の売り上げによる大きな利益は富裕層が持っていく→貧困層の鬱憤は隣国に逸らす。
世界各国でこのような図式ができているように思えてならない今日この頃です。